ゾンビが全滅し終わった世界【あべこべ】   作:耳野笑

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第6話 廃墟都市の冒険――ヒバリ視点

 私とつばめは、大島を進んでいく。

 

 道路の真ん中を歩き続ける。スーツケースの車輪の振動が、手に伝わってくる。

 

 コンビニを見付けて入ってみたが、物資は残っていなかった。再び歩き始める。大島の中心部へ行くにつれて、徐々に背の高い建物が増えていく。

 

 数分後、大きな建物が見えてきた。――道の駅だ。入ってみたが、残念ながら空の棚ばかりだ。

 

「う~ん、なかなかないね」

 

「この辺りはお店もないし、仕方ないね」

 

 一応、何か使えそうなものがないか見ていると――。

 

「えっ、えっ!?!?!?」

 

 つばめが大きな声を上げた。

 

「ヒバリヒバリ! 見て! すごいの見付けた!」

 

「え、なに」

 

 つばめの指差す先を見る。――「あっ」と声が漏れた。

 

 野菜の種パックだ。1コーナー丸々残っている。トウモロコシ、ニンジン、ダイコン、エンドウ、カブ、レタス、タマネギ、ミニトマト――様々な野菜の種が、大量にあった。

 

「すごいすごい! これ!! すごい!!!」

 

「ああ、これがあれば何でも作り放題だ」

 

「やった~! これ全部持って帰ろう!」

 

 セカンドバッグとリュックに、全ての種パックを入れた。大収穫だ。

 

「帰ったら畑耕さないとね」

 

「ああ、数面分の除草作業が必要になるね」

 

 草むしりと、ゾンビの死体を運び出す作業。相当な時間が掛かるだろう。想像するだけで大変だ。

 

 けど――つばめと一緒なら、それ以上に楽しいに違いない。

 

 ちなみに、そのすぐ隣には花の種パックがあった。興味深いけれど、これは持って行かないことにした。

 

 道の駅を出て、さらに歩く。道幅が大きくなり、建物の密集具合も高まってきた。この辺りからは都会だ。

 

 ――廃墟都市だった。

 

 灯りの点いていない建物群。車道には、ガラスの割れた自動車が大量に放置されている。

 

 手入れされていない街路樹は、豊かに葉を茂らせていた。植え込みは雑草が伸び放題で、車道にも歩道にも草が飛び出し、巨大な草むらとなっている。

 

 たった1年で、ここまで荒廃するのか……。

 

「本当に、人類滅んだんだね」

 

「ああ、そうだね」

 

 終末世界の光景だった。

 

 かつて通ったことのある場所。人通りも車通りも多い、都会のど真ん中。それが今や、無人の廃墟と化している。寒々しく、足先から冷気が這い上がってくるような感覚があった。

 

 さらに歩くこと15分。この地域最大のショッピングモールにたどり着いた。

 

「ここは色々ありそうだね!」

 

「ああ、一番期待できる」

 

 1階――飲食店と食品売り場。

 ゾンビの死体が大量に転がっている。そもそもショッピングモールは人の多い場所だ。ここで感染が広がれば、ゾンビだらけになるのも道理だろう。

 

 食品売り場を見て回ると――。

 

「あ~~~~~!!!!! これ! インスタント食品!」

 

 ――カップラーメンや缶詰が大量にあった。

 

「すごいすごいすごい!」

 

「いいね、持って帰れるだけ持って帰ろう」

 

「見て見て! カニの缶詰あるよ!」

 

「本当だ、こんなのもあるんだね」

 

 缶詰とインスタント食品をトランクへ詰めていく。

 

「意外と残ってたね」

 

「おそらく、ショッピングモールはゾンビが多くて誰も近づけなかったんだろう」

 

「そうみたいだね」

 

 お昼になった。私たちはフードコートへ移動した。大量のテーブルとイスが置いてある。

 

「すご~! フードコート貸し切りだ~!」

 

「ああ、変な気分だね」

 

 こんなに広いフードコートを、ふたりきりで独占している。不思議な感覚だ。

 

 つばめが持ってきたタッパーを開ける。蒸しジャガを食べるが、もう美味しいとは感じない。毎日食べているので飽きが来ていた。

 

 なので、ツナ缶を開けて食べてみた。

 しょっぱさ、ツナの旨味、ほろほろと崩れる触感。新鮮な味がダイレクトに味覚を刺激する。美味しくて感動する。涙が出そうだった。

 

 昼食を終えて、探索を再開する。

 

 2階――アパレルショップ。

 

 まず、私の服を見ていくことになった。アウター、インナー、ジャージ。自分が着る分の衣類を選んで、リュックへ入れていく。

 

 次に、下着と靴下のコーナー。私は2枚のパンツを手に取り、見比べる。

 

 つばめがじ~っと見てくる。だんだん、恥ずかしさが湧いてきた。

 

「そんなにじっと見られると恥ずかしいのだけれど」

 

「え~、いつも庭に下着干してあるの見てるし、今さらじゃない?」

 

「そうかもしれないけど」

 

 私は下着類をいくつか選び、リュックへと入れた。

 

 これからは自分の服を着ることができる。とても気分がよかった。

 

 次に、つばめの服を見ていく。彼は夏用と冬用に1点ずつ選んだ。

 

「じゃあ、遂にあのコーナーだね、ヒバリ」

 

「あのコーナーって?」

 

「男性用下着コーナーだよ」

 

「ああ、そうか。外で待っていようか?」

 

「ううん、一緒に見ようよ」

 

「そ、そうか」

 

 下着コーナーへ入る。白い花柄のブラジャー。黒いレースのパンツ。うっすら透けているベビードール。様々な下着が並んでいる。

 

 う、うわぁ……えっちだ……! なんかテンション上がる……!

 

 つばめはパンツを2枚手に取った。白と黒だ。

 

「どっちがいいと思う?」

 

 あ、やばい。楽しい。私、今、男子と下着選びしてる。めちゃくちゃ陽キャだ。

 

「く、黒で」

 

「ヒバリのえっち~(笑)♡」

 

「なっ……!?」

 

 つばめはニヤニヤと笑いながら私を咎める。

 

 確かに、黒の方がエロくて好きだから黒を選んだ。やっぱり下心があるとバレるのか……。

 

「じゃ、じゃあ白でも構わないが……」

 

「清楚系が好きなんだ(笑)♡ 処女っぽ~い(笑)♡」

 

「理不尽すぎるだろう!!!!!」

 

「あははっ! ウケる~(笑)」

 

「ウケるんじゃない! 処女だからってバカにするな!」

 

「ごめんね、でも処女からかうの楽しくて(笑)」

 

「ぐぅうううううううううううううッ!!!」

 

 処女。女としての恥。S○Xするパートナーを得ることができなかった、弱者の称号。

 それを、配慮も気遣いもなく、笑われ、遊ばれ、バカにされている。

 

 つばめは楽しそうだ。嗜虐的で、小悪魔的な笑みを浮かべている。

 

 惨めさでいっぱいで、強烈な悔しさと羞恥心が込み上げてくる。

 

 くそっ……! くそっ……!!

 

 処女だからって、バカにしてッ……!!!

 

「他にもヒバリの好みの下着あったら教えてよ」

 

「どうせ何を選んでもバカにされるんだろう」

 

 私はそっぽを向く。もう答えるだけ損だ。

 

「好きな下着教えてくれたら、初めての時着てあげるよ」

 

「!?!?!?!?!?!?」

 

 私はぐいんっ!と首を戻し、つばめを見る。

 

「ま、マジ?」

 

「うん、マジ」

 

 あ、えっ、マジか。

 

 マジか……。

 

 初体験の時に、私の好きな下着付けてもらえるんだ……。やばっ、嬉しっ……!

 

「そ、そうか、じゃあ……」

 

 黒いレースのネグリジェを発見した。生地が薄く、うっすら透けて見える。女の情欲を煽る、エロいデザインだった。

 

「わぁ、えっちなやつだ」

 

「あっ、いやっ、そのっ」

 

 ヤバい、流石に処女すぎるか? またバカにされるかも――と思ったが、つばめはネグリジェを手に取り、リュックに入れた。

 

「いいよ、着てあげる」

 

「えっ!?!?!? いいの!?!?!?」

 

「うん」

 

「えっ、ま、マジか……じゃ、じゃあ、あれとかは……?」

 

「あれ?」

 

 私はガーター付きクロッチレスパンツを指差す。中央部分がパックリ開いている。つまり――ちょうどチ○ポだけ隠せないデザインだ。

 大事なところだけ丸出しの、男性からしたら尊厳を損なうようなパンツ。正直、エロい。つばめに穿かせたい。

 

「なっ、えっ、これはっ……」

 

 つばめは焦りを見せた。その頬はうっすら紅潮している。珍しい。流石に恥ずかしいのか。

 

「つばめでも照れることがあるのか」

 

「この変態っ! こんなのっ、大事なとこだけ隠せないじゃん!」

 

「流石にダメか……見たかったんだけど……」

 

 まあ仕方ない、えっちなネグリジェを着てもらえるのだから、それで満足するべきか……。

 

 と思ったら、つばめは覚悟を決めたような顔で私を見る。

 

「わ、分かったよ。穿いてあげる」

 

「えっ」

 

「せっかくの初体験だもんね」

 

「マジ!?!?!?!?!?!?!?!?」

 

 そして、つばめはクロッチレスパンツをリュックに入れた。

 

 や、やったぁあああああああああああッ!

 

 つばめにエロ下着穿いてもらえる!!!!

 

「つばめ!!! 本当にありがとう!!!」

 

「あはは……」

 

 続いて、3階――生活雑貨フロア。

 

 ライター、電池、ウェットタオル、救急キットなどを入手した。続けてインテリアコーナーを見ていくと、ランタンを見付けた。同時に、雨の日の会話を思い出す。

 

 ――あと、その……笑わないでほしいんだけど、夜にS○Xしたい。薄暗い部屋で、できればランタンくらいの光源だといいかも。

 

 ――分かった、ランタンだね。絶対大島で見つけてこよう。

 

「買っていこう。つばめの好きなものを選んでくれ」

 

「あ、うん」

 

 つばめに選んでもらい、普段使いする分も合わせてランタンを2つトランクに入れた。

 

 4階――家電製品エリア。

 

 電気がないので家電は使えない。テレビ、掃除機、扇風機、パソコン、イヤホン。無数に並ぶ家電たちは、いずれも動かない。

 

 人間の進歩の産物が、全て無に帰した。無常を感じる光景だった。

 

 5階――電源ゲーム・ホビー用品売り場。

 

 私たちはボードゲームのコーナーを見ていく。

 

「何か持っていこっか。これから暇になることあるだろうし」

 

「ああ、娯楽がトランプだけでは寂しいからね」

 

 話し合いの結果、小さめのボードゲームを3点持っていくことになった。

 

 ボードゲームなんて、中学生の修学旅行以来かもしれない。結構楽しみだ。

 

 *

 

 私たちはショッピングモールを出て、近くのホテルへ移動した。適当な部屋へ入る。ベッドがふたつ隣り合っているタイプの部屋だ。

 

 うん、ベッドがくっついてるの、すごくいい。処女っぽいから言わないけど。

 

「ひろ~い!!!」

 

「ああ、凄いね」

 

 つばめはベッドの上をゴロゴロ転がっている。が、突然「あっ」といって静止した。

 

「どうしたんだい?」

 

「今気づいたけど、千葉県の人ってディズニーのホテル泊まり放題なんじゃ……?」

 

「ああ、もし生存者がいればそうなるね」

 

「羨ましい~!!! 僕もディズニー泊まりたい~!」

 

「あはは、気持ちは分かるよ」

 

 そんなこんなで、夕食の時間になった。

 光源が月明かりだけだと不便なので、早速ランタンを使ってみる。室内が仄かな橙色の光に照らされた。

 

「なんか、キャンプみたいで好きかも」

 

「ああ、分かるよ。テントの中にいるような気分になる」

 

 つばめが窓外を見る。向こう側の建物は窓が割れている。風はない。電気の灯りもなく、車の音も聞こえない。寒々しい光景だった。

 

「なんか、世界に僕らしかいないみたいだね」

 

「……そうだね」

 

「だいじょうぶだよ、ヒバリには僕がいるし、僕にはヒバリがいるもん」

 

「あ、ああ。そうだね。……その通りだ。私たちには、お互いがいる。寂しくはない」

 

 私たちは笑い合った。つばめがいれば、寂しくない。何も怖くない。私は今、とても幸せだ。

 

「でも、それはそれとして、仲間には会えるといいね」

 

「ああ、無事でいてほしい」

 

「明日にはホームセンターまで行けるかな?」

 

「微妙だね、明日の夕方か、明後日の朝には着きそうだけど」

 

 明日か明後日。遂に、仲間と再会できるかもしれない。期待と緊張の両方を感じる。

 

 ――食事を終えた。

 

 ちょうど今日買ってきたウェットタオルで体を拭くことにする。

 

「じゃあヒバリ、あっち向いてて」

 

「えっ、ここで拭くのかい? 洗面所じゃなくて?」

 

「うん」

 

 私は窓の方を見る。そして、つばめは服を脱ぎ始めた。ガサゴソと、衣擦れの音だけが部屋に響く。

 

 仄明るい橙色に包まれる部屋。ランタンが右側に置いてあるので、私たちの影が左の壁に映っている。

 

 私は、チラリと左側を盗み見る。つばめが服を脱いでいく様子が、影となって映っている。

 

 うわ、えっろ……。振り向きたい……。

 

「ねえ、ヒバリ」

 

「な、なんだい」

 

 足元に何かが投げ落とされた。つばめの服だ。つばめがたった今脱いだ服がある。

 

「僕、今、上裸だよ」

 

「な、なっ……!?」

 

「今振り向いたら、おっぱい見れるよ」

 

「…………」

 

 ゴクリと生唾を飲む。

 

 つばめの裸。おっぱい。想像するだけで興奮する。呼吸が乱れて、涎が分泌される。

 

 見たい。見たい。見たい。

 

 おっぱい、見たい。

 

「見たい?」

 

「………………見たい」

 

「特別に、振り向いてもいいよ?」

 

「…………っ!」

 

 息を呑む。

 

 もう、止まれる気がしない。

 

 私はゆっくりと、後ろを振り向いた。

 

「いやインナー着てるじゃないか!!!!!」

 

 つばめは普通に服を1枚脱いだだけだった。上はインナーも着ている。下は1枚も脱いでいない。

 

「あははっ! 騙された~!(笑)」

 

「くそっ……! 処女の純情をからかいやがって……!」

 

 つばめはニヤニヤと蠱惑的な笑みを浮かべ、私を嘲笑う。すごく、下に見られている。掌の上で弄ばれている。私が、処女だから。

 

「おっぱい見たかった?」

 

「見たかったに決まってるだろう!!!!!」

 

「残念だけど、処女さんに生おっぱいは刺激が強すぎるかな~?(笑)♡」

 

「ぐぅううううううううっ!!!!!!!」

 

 ちくしょうちくしょうちくしょうッ!!!

 

 処女だからってバカにしてッ!!!!!!

 

 くっそッ!!!!!!!!!!!!!!!

 

「じゃあ、ここからは約束通り、パンツ見せてあげるよ」

 

「えっ」

 

「約束したじゃん、ヒバリの苗字忘れてたお詫びにパンツ見せてあげるって」

 

「えっ、えっ、えっ」

 

 急に状況が変わる。つばめは手早くインナーとズボンを脱いで、スポブラとパンツだけになる。完全な下着姿だ。

 

 魅惑的な肢体が晒される。肩、二の腕、ヘソ、太もも、足。スポブラ越しの胸と、布面積の小さいパンツに覆われた鼠径部。

 

 ――ドバっと噴火するように性欲が噴き出す。

 

 全身エロすぎる。どこを見てもエロすぎる。

 

「エロっ!!!!!!!!!!!!!」

 

「声でかっ(笑)」

 

「エッロっ!!!!!!!!!!!!!」

 

 つばめのエロすぎる身体をガン見する。顔が熱い。心臓がバクバクいっている。

 

 ランタンの光に照らし出される、つばめの肉体。美しく輝く肌。スポブラに覆われた胸板。淫猥に窪んだヘソ。触り心地のよさそうな太もも。局部だけを隠す小さなパンツは、否が応でもその内側を想像させてやまない。

 

 エロすぎる。生の男子の半裸、すごすぎる。今すぐ抱きしめたい。触りまくって、好き放題したい。ヤりたい。S○Xしたい。

 

「うわ、えろっ、最高……」

 

 つばめの全身を舐め回すように見る。ドバドバと気持ちいい脳内物質が溢れ、幸せな気持ちになっていく。

 

 さらに、つばめは後ろを向き、スポブラを脱いでみせた。何も纏わない、綺麗な背中だ。

 

「えっ、えっ、なんでっ」

 

「せっかくだし、背中拭いてよ」

 

「いいの!?!?!?!?!?」

 

「いいよ、おねがい」

 

 私はおそるおそる近付き、つばめの背後に立った。

 

 ヤバい。上裸の男子が、目の前にいる。なんかもう、すごすぎる。

 

 そして、ウェットタオルを手に取り、彼の背中へと当てる。

 

「んっ……!」

 

「な、なにっ!?」

 

「冷たくて変な声出ちゃった」

 

「はあっ……! はあっ……! つばめ、エロすぎっ……!」

 

 エロすぎて呼吸が苦しい。心臓が痛い。興奮して頭に血が上っている。ぶっ倒れそう。

 

 背中全体を拭いていく。その最中、邪な考えが浮かぶ。――これ、おっぱい見れるんじゃない?

 

 私はつばめの背中を拭きながら、こっそり上半身を前へ出す。

 

 もうちょっと、もうちょっと覗き込めば、おっぱいが見える――と思ったら、つばめは自分の手でおっぱいを覆い、ガードしてしまった。

 

「こ~ら、覗いちゃだ~め(笑)♡」

 

「ぐっ……!!!!!」

 

 つばめが振り向く。全部お見通しだぞ♡と言わんばかりの、嘲りの眼差しだった。

 

「ごめんね?(笑)♡ 処女さんが男子の生おっぱいなんて見たら、鼻血ぶーしちゃうかもしれないから(笑)♡」

 

「子ども扱いするなっ……!!!!!」

 

「処女さんが見れるのはここまでだよ(笑)♡ ほら、おしまい(笑)♡ あっち向いて?(笑)♡」

 

「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぅッ!!!!!!!」

 

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!

 

 クソッ!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 ち゛く゛し゛ょ゛う゛ッ!!!!!!!!!

 

 おっぱい見゛た゛か゛っ゛た゛ッ!!!!!

 

 私は呻きながら、反対側を向く。

 

 興奮しすぎてつらい。身体が爆発しそうに熱い。

 

 後ろからガバッと抱き着いてやろうかと思った。無理やり腕を引っぺがしておっぱいを見てやろうかと思った。もう、やっちゃおうかと思った。

 

 けど、しなかった。私が理性と善性のある女だからだ。たぶん私じゃなかったら、とっくに襲ってた。感謝してほしいくらいだ。

 

 つばめは前面と下半身を自分で拭き、再び服を着た。

 

 そして、今度は私が自分の身体を拭く番だ。悶々とする。すぐそこにつばめがいる状態で裸になっている、という状況も相まって、ますます興奮してくる。

 

 ああ~~~~~~~~~~~~~~~~~!

 

 マジでS○Xしてぇ~~~~~~~~~~!

 

 清拭が終わり、ふたりでベッドに入る。

 

 あとは寝るだけなのだが――興奮しすぎて眠れない。私は布団に顔を埋めたまま「ふぅ~ッ! ふぅ~ッ!」と呼吸をする。性欲との戦いだ。

 

「もしかして、興奮して寝れない?」

 

「当然だろうっ!」

 

 つばめは私の布団へ侵入してくる。そして、手の甲をつつーっと撫でてきた。

 

「なっ……!?!?!?」

 

「目ギンッギンでウケる~(笑)♡」

 

「はぁッ……! はぁッ……! もうやめてッ……! 苦しいッ……!」

 

「ほら、もっと発情しちゃえっ、えいえいっ(笑)♡」

 

 私の脚に、つばめが脚を絡めてくる。互い違いに組み合わさった脚がもぞもぞと動かされ、服越しに太ももが擦れ合う。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛っ……! マジでつ゛ら゛い゛っ……!」

 

 ヤバい、無理。無理。無理。ほんと無理。

 

 もう限界。襲いそう。

 

 もう、やっちゃいたい。

 

 ――さらに、つばめは私の耳元に唇を寄せ、吐息を注ぎ込むように囁いてくる。

 

「ざぁ~こっ(笑)♡」

 

「そろそろ襲ってやろうかホントに!!!」

 

 *

 

 朝、私は目を覚ました。つばめが私を覗き込んでいる。

 

「おはよう、ヒバリ」

 

「おはよう、つばめ」

 

「ねえヒバリ、さっきオオカミの遠吠えみたいなの聞こえなかった?」

 

「え……? いや、聞こえなかった。まあ、野犬くらいはいるかもしれないが、犬の鳴き声ではなかったのかい?」

 

「もしかしたら夢かもしれないけど、ワオ~~~~~~ンっていう鳴き声だったと思う。というかオオカミって日本にいるんだっけ?」

 

「いない。ニホンオオカミの最後の目撃情報は、たしか1900年頃だ。環境省では50年間生存を確認できなかった種を絶滅種と認定するから、私たちの生まれた頃にはもう絶滅済みだね」

 

「へ~! オオカミってもういないんだ!」

 

 私たちはのんびりと朝食を食べ始める。持ってきた蒸しジャガは半分くらいなくなった。

 

 朝食を終えて、ホテルを出た。

 

 ――大島探検2日目、スタートだ。

 

 ホームセンターに向けて歩いていく。すると、書店があった。

 

「ヒバリ、寄ってみない?」

 

「ああ、私も入りたかった」

 

 入ってすぐ、赤本のコーナーがあった。

 

「僕たち、本当なら来年受験しなきゃいけなかったんだよね」

 

「そうだね。けど、今の私たちに勉強する意味はない」

 

 勉強は好きだった。逆にいうと、勉強しか取り柄のない処女だった。ごくまれに男子と会話した思い出が宝物になるくらい、筋金入りの喪女だった。

 

 パンデミックの起きなかった世界線の私は、高校生活を勉強に費やし、一度も男子と触れ合わずに卒業したはずなのだ。

 

 そんな私が、こんな美少年と一緒に過ごして、時にはえっちなからかわれ方をしている。しかも将来、肉体関係を持つことが約束されている。

 

 知識など、学びなど、惜しむ程のものではない。つばめと共に過ごせる幸せに比べたら、そのくらいの損失は全く気にならない。

 

 私は学術コーナーの本を手に取った。パラパラとページをめくる。

 

「地学書? そういうの好きなの?」

 

「ああ、いや、そういう訳でもないよ。なんとなく手に取っただけだ」

 

 地学書を置き、2階へ移動した。マンガコーナーだ。

 週刊誌が平積みにされている。日付は、1年以上前のもの。ちょうどゾンビパニックが起こった週の日付で止まっている。

 

「ヒバリ、すごいこと気付いちゃった」

 

「なんだい?」

 

「僕たち、これタダで読み放題だよ」

 

 私たちはそれぞれ、好きなマンガを読むことにした。

 

 つばめが離れたことを確認してから、真っ先にエロマンガを手に取った。

 

 1時間後。ヤバい、楽しすぎる。ページをめくる手が止まらない。

 

 2時間後。猛烈にオ○ニーがしたい。でも、ここを離れるのはな……。

 

 3時間後。無限に読んでいられる。エロマンガは最高の娯楽だ。

 

 そうして、夢中になってスケベなシーンを読んでいると――。

 

「あ~! えっちなマンガ読んでる~!」

 

「なっ、なっ……!?」

 

 真後ろにつばめがいた。私は慌ててマンガを閉じて背中に隠す。

 

「うわっ、顔赤っ! もしかして興奮してた?」

 

「し、してないがっ!?」

 

「ごめんね(笑) お楽しみ中のところ邪魔しちゃって(笑)」

 

「別に楽しんでないし!!!」

 

「そういえば、前にオカズなくてつらいって言ってたね。せっかくだからお気に入りのやつ持って帰れば?」

 

「ぐっ……!!! ぐっ、ぐぅっ……。まあ、そうするか……」

 

 素直に従う。ネットがない世界において、エロマンガ1冊は宝物になる。これからお世話になりそうだ。

 私は厳選したマンガをリュックに入れた。そして、書店を出た。

 

 ホームセンターへ向けて歩き続ける。が、残念ながら、日が沈んできてしまった。

 

 ホテルを見付けたので入った。

 

 サイドテーブルにランタンを置き、夕食にする。タッパーを開けると、蒸しジャガの量はあと3食分くらいだった。

 

 大島探検は3日間の予定だったが、食料があるので延長もできる。焦る必要はない。

 

 そして、夕食と体の清拭を済ませた後――私は勝負に出た。

 

「つばめ、ボードゲームをしないかい?」

 

「いいよ~」

 

 私はカードゲームを取り出した。そして、話を切り出す。

 

「せっかくだし、何か賭けないかい?」

 

「賭け? どんなの?」

 

「敗者は勝者の命令に必ず従う、というのはどうだろうか」

 

 すると、つばめはニマニマと笑みを浮かべる。

 

「あ~(笑)♡ ヒバリ、えっちな命令しようとしてるでしょ~(笑)♡」

 

「っ……!」

 

 私は目を逸らす。もちろんその通りだ。

 

「すけべ心丸出しすぎてウケる~(笑)♡ えっちな命令してやる~って顔に書いてあるよ~(笑)♡」

 

 つばめは私の鼻先をちょんちょんっと人差し指で触ってくる。瞬間的に、強烈な屈辱感が湧き上がる。

 

「ぐっ……! か、書いてないっ……!」

 

 私は、つばめの人差し指から逃れるように身を引いた。

 

「それで、ヒバリはどんな命令にするの?」

 

「私が勝ったらおっぱいを触らせてくれ」

 

「ぶふっ……!!!!!!!!!!(笑) あははははははははっ! やっぱりえっちな命令じゃん! もしかして、昨日おっぱい見れなかったのそんな悔しかったの?(笑)♡」

 

「う、うるさい。それで、勝負はしてくれるのか?」

 

「いいよ~。ヒバリが勝ったらおっぱい触らせてあげる」

 

「よしっ!!!!!! 絶対勝つ! 絶対勝つからな!」

 

 やる気が燃え上がる。性欲が身体の中に渦巻いて、とんでもないパワーとなる。

 

 山札をよく切り、お互いに7枚の手札を配る。盤面はあっという間に進む。そして――無事に勝利を収めた。

 

 よし!!!

 

 よし!!!!!!

 

 よし!!!!!!!!!

 

「負けちゃった~」

 

 無言でつばめに近付く。

 

 私にはおっぱいを触る権利がある!!!

 

「じゃあ、ベッド上がろっか」

 

「あ、ああ」

 

 私たちはベッドに上がった。つばめは服とインナーを脱ぐ。上半身を覆うのは、スポブラだけだ。

 

 世紀の瞬間を逃すまいと集中し、凝視する。

 

 つばめはスポブラに手を掛ける。が、焦らすように、そのまま動かなくなってしまう。

 

「ちょ、ちょっと待ってね」

 

「ああ」

 

 私はつばめの胸から一切視線を切らずに返事をした。

 

 つばめはゆっくりと、スポブラを上へまくり上げていく。胸の下部分が露わになる。そして、中央部で一度止める。もう少し、あと少しで、乳首が見える。

 

 最後の一線だ。

 

 私は、生唾を飲み込んだ。

 

 そして――つばめはスポブラをめくり上げて、おっぱいを晒した。

 

 白く輝く肌。程よく鍛えられて膨らんだ胸板。その真ん中に立つ、ピンク色の乳首。

 

 男子のおっぱいだ。

 

 本物のガチおっぱいだ。

 

 感動で、息を呑む。

 

 うぉおおおおおおおおおおおッ!

 

 うひょぉおおおおおおおおおおおおおッ!

 

 おっぱい!!!!!

 

 リアル生おっぱい!!!!!

 

 おっぱいだぁああああああああああああッ!!!

 

「な、なんかいってよ」

 

「さ、最高だ……触ってもいいだろうか?」

 

「うん、いいよ……」

 

 心臓がバクンバクン!と爆音を鳴らしている。

 

 私はつばめの胸に手を伸ばした。指をピンと伸ばし、五指と手のひらで、彼のおっぱいに触れる。

 

「うっわ……これが男子のおっぱい……! うわ、わっ、わ~っ……!」

 

 なっ、なん、なにこれ……!!!!!

 

 幸せすぎっ!!!!!!!!!!!!

 

 私、幸せすぎる!!!!!!!!!!

 

「やっば……生おっぱいすごっ……! 私、今、おっぱい触ってる……!」

 

「ふふっ、よかったね」

 

「ああ、ありがとう、つばめ……!」

 

 私はつばめの目を真っすぐ見てお礼を伝えた。

 

 そして、つばめのおっぱいを触り続ける。手のひらと指で、感触を堪能する。

 

「ヒバリ、顔くっつけてもいいよ」

 

「えっ」

 

 一瞬何を言われたのか分からなかった。

 

「寝転がった方がいいかな、あ、僕の上乗っていいよ」

 

 つばめは寝転がる。私は体勢を変え、彼の腰に乗るような形になる。騎○位だ。

 

 いいの? おっぱいに顔くっつけていいの?

 

 呼吸が苦しい。興奮しすぎて心臓が痛い。私はゆっくりと、姿勢を低くして――ぴとっと、おっぱいに顔を着陸させた。

 

「あははははははっ! 鼻息くすぐったいっ!」

 

「ふぅ~ッ!!! ふぅ~ッ!!!」

 

 つばめのエロすぎる匂いが鼻から肺に入り、脳髄へと直撃する。

 つばめの身体のあったかさが、顔全体に、ダイレクトに伝わってくる。

 

 私はつばめのおっぱいに、左頬と右頬を交互に押し付ける。

 

「エロすぎっ! 最高すぎっ!! ありがとうつばめっ!」

 

「ふふっ、どういたしまして」

 

 私はつばめのおっぱいに頬擦りする。幸せな感触だった。天国だ。ここが天国だったんだ……!

 

 私は欲望の赴くまま、つばめのおっぱいを堪能し続ける。

 

「ま、まだするの?」

 

「もうちょっとだけ……」

 

「また触らせてあげるから」

 

「うぅ……」

 

 私は起き上がり、手のひら全体でおっぱいに触れ、再び頬擦りし始める。

 

「離れたくない……」

 

「こら、もうおしまい」

 

 つばめはスポブラを下げて、おっぱいを隠してしまう。

 

「そ、そんな……」

 

「どうせえっちする時いっぱい触れるんだから、今日はここまでね」

 

「わ、分かった……」

 

 そっか……S○Xするのか……。その時いくらでも触り放題なのか……。うへっ、うへへっ……幸せすぎ……。

 

 私はつばめの上から降りて正座した。そして、深い感謝を表すべく、頭を下げた。

 

「つばめ、改めて、本当にありがとう。普通に生きていたら絶対男子に触れないはずだった処女に、おっぱいを触る機会を恵んでくれて、ありがとう」

 

「あははっ、ガチすぎてウケるけど、どういたしまして~」

 

 私は立ち上がり、洗面所へ歩いていく。

 

「ごめん、ムラムラしすぎて襲いそうだからオ○ニーしてくる」

 

「あ、うん」

 

 ――めちゃくちゃ気持ちよかった。




【キャラクター】

『小野つばめ』
 中島生まれ中島育ちの男子。高2相当。黒髪黒目。ボブカット。背が低い。可愛い。高校時代はヨット部、中学時代は吹奏楽部に所属。
 ヒバリのことをカッコよくて優しくて博識で誠実で頼りになる女性だと思っていた。処女をからかって遊ぶことにハマる。
 ヒバリにおっぱいを触らせてあげた。

『西園ヒバリ』
 大島生まれ大島育ちの女子。高2相当。黒髪黒目。ポニーテール。背が高い。
 何が何でもS○Xしたい処女。つばめからの好意と信頼を勝ち取るため、頼りになる女を演じていた。処女であることがバレて、つばめにからかわれて遊ばれることに。
 つばめにおっぱいを触らせてもらった。

【進捗】

『後藤アンズ』発見済み。

『来栖ミユ』 未発見。生死不明。

『馬場ジュン』未発見。生死不明。

『井出ハジメ』発見済み。

【雑記】

『小島』
 無人島を指す俗称。中島からヨットで行き来できる距離。

『中島』
 T島を指す俗称。人口は200人程度だった。小島の10倍以上の面積がある。T高校が位置する。大島とは陸繋砂州で繋がっているため、干潮時のみ徒歩で行き来できる。

『大島』
 O島を指す俗称。N県の全人口の半数が暮らしていた。N県最大の島。中島の約40倍の面積がある。
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