ゾンビが全滅し終わった世界【あべこべ】   作:耳野笑

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第4話 待ち人、隣にあり――ヒバリ視点

 晴天だ。空には薄い水色が広がっている。

 

 私とつばめは、今日も畑の整地作業を進める。

 

「うわっ!」

 

「つばめ? どうした?」

 

 つばめが突然大きな声を出したので、心配して近付く。彼は草の中を指し示した。

 

「ゾンビの死体あった」

 

 落ちていたのはゾンビの死骸だった。乾燥しきって、骨と皮だけになっている。

 

「私が運ぶよ」

 

「ひとりでだいじょうぶ?」

 

「この状態の遺体なら、ひとりでも運べるよ」

 

「そっか、ありがとう、ヒバリ」

 

 私はゴム手袋と軍手を付けて、死体を運んだ。

 

 力仕事は、女らしさをアピールできる数少ない機会だ。もっとも、処女バレした状態では、あまり格好もつかないけど。

 

 死体を近くの林まで運び、ふたりで埋葬した。

 

 一度家の中に戻って休憩する。水分補給をしていると――。

 

「水、なくなっちゃった」

 

「私のをあげるよ」

 

「ありがとう」

 

 私はペットボトルを差し出した。つばめは受け取り、水を飲む。

 

 か、間接キスだ……。こんな可愛い男子と……。

 

 と、考えていると――。

 

「間接キスだね」

 

「っ……!」

 

 ビックリした。

 

 つばめは妖しく微笑んでいる。掌の上で転がされているような感覚がある。

 

「そういえば、ヒバリと出会ってから一回も雨降ってないね」

 

「そうだね。一回でも降れば、大量に水を確保できるんだけど」

 

 庭には、大量のバケツと傘を用意してある。雨水を溜めるためだが、今のところ役に立ってはいない。

 

 今は洞窟の真水をペットボトルに溜めて飲んでいる。けれど、余裕はない。

 

「もっと水があれば、お米研いだり、お湯を沸かしたり、インスタント食品食べたりできるんだけどね」

 

「意外と降らないものだね、雨って」

 

 ふたりで外を眺める。風もないので、何の音もしない。静けさに満たされた世界だ。

 

「ヒバリって年齢=彼氏いない歴の処女なわけだけど」

 

「なにいきなり!?!?!?!?!?」

 

 何の前触れもなくディスられた。唐突すぎる。

 

「仲間のうちの誰かと恋人にはならなかったのかなって。今の僕たちみたいに、一緒に暮らす内に仲良くなったら、ワンチャンあったんじゃない?」

 

「……」

 

 私はテーブルへと視線を下げた。色々と、悲しい思い出が脳裏に浮かぶ。

 

「ヒバリ? もしかして聞かない方がよかった?」

 

「………………つばめに問題だ」

 

「えっ、うん」

 

「人が五人いる。内訳は、女性が三人、男性が二人。カップルは何組できると思う?」

 

「二組だけど……え、ま、まさか……」

 

「5わる2は、2あまり1。その『あまり1』が、私だ。四人はお互いにカップルになり、私だけがあぶれたんだ」

 

「ぶふっ!!!!!!!!!!!!!(笑)」

 

「笑うな!!!!!!!!!!!!!!!」

 

「今のは笑わせに来てたでしょ!!!!!」

 

「こっちは切実に悩んでたんだぞ!!!!」

 

 つばめは爆笑している。心底楽しそうだった。

 

 くそっ……! こっちは本気で悲しんでるのに……!

 

「しかも、私たち五人は同じ教室で寝てたんだが……彼女たちは、時々抜け出して他の教室でS○Xしてたんだ」

 

「えっ、ゴムは?」

 

「私が知らない間にコンビニから持ってきていたらしい。私だけ知らなかったけど」

 

 私が語る間も、つばめは必死で笑いを堪えていた。口角がピクピクと動いている。

 

「私もS○Xしたかった。切実に、S○Xしたかった。でも……! 相手がいなかったんだ……!」

 

「ぶはっ!!!!!!!!!!!!!!!(笑)」

 

「だから笑うな!!!!!!!!!!!!!!」

 

「これは笑わせてよ流石に!!!!!!!!!」

 

 私はテーブルに顔を突っ伏した。悲しい気持ちがぶわっと湧き出して、涙が込み上げてくる。

 

「しかも、彼女たちは気持ちよくS○Xできるのに、私はオカズがないから満足にオ○ニーもできなかったんだ」

 

「そうなの?」

 

「つばめ、君に分かるか? エロ漫画もインターネットもない状況故に、なんのオカズもなく、満足なオ○ニーもできない処女の気持ちが」

 

「いや、分かんないけど」

 

 本当に辛かった。気持ちよさそうにS○Xしているカップルと、オカズなしでオ○ニーするしかない自分。虚しさと惨めさに満ちた、辛い毎日だった。

 

「ねえ、ヒバリ」

 

「なんだい」

 

「ちょっとだけサービスしてあげる」

 

「えっ……?」

 

 私はガバッと顔を上げる。

 

 つばめは立ち上がり、窓を開け、物干し竿に掛かったままのウェットスーツを取り込んだ。

 

「今から川へ魚獲りに行くところだし、ここで着替えてあげるよ」

 

「マジ!?!?!?!?!?!?!?!?!?」

 

「声でかっ」

 

 え、え、え!?

 

 マジで!?!?!?!?!?

 

 生着替え、見れるの!?!?!?!?

 

 いいの!?!?!?!?!?!?!?!?!?

 

 つばめはジャージの上を脱ぐ。肌にピッチリくっつく黒インナーだ。特に胸の形が、淫猥に浮き出ている。

 

「エロっ……!」

 

「ヒバリ、目やらし~(笑)」

 

 さらに、つばめはジャージの下に手を掛ける。私はゴクリと、生唾を飲み込む。

 

 ――つばめはジャージを脱いだ。黒のパンツだった。

 

 パンツ!!!!!!!!!!!!!!!

 

 現役男子高生の、パンツ!!!!!!!

 

 えっろ!!!!!!!!!!!!!!!

 

 私はつばめの生着替えをガン見する。一瞬たりとも見逃せない。今、この一秒一瞬は、私の人生で最高の価値がある時間だ。

 

 つばめはウェットスーツに脚を通し、腕を通し、最後に背面のジッパーを上げた。

 私は最後の一瞬まで、彼の生着替えを堪能した。

 

「どうだった?」

 

「最高でした!!!!!!!!!」

 

 こんな可愛い男子の下着姿を見れた。夢のようだった。

 

 よかった……最高だった……。

 

 つばめはジャージの上下を手に取る。川に行くので、ついでに洗濯するのだろう。と思いきや――。

 

「はい、あげる」

 

「えっ」

 

 何を言われたのか、理解できなかった。つばめは私にジャージを手渡してくる。

 

 そして、蠱惑的な(かげ)のある笑みを浮かべ――。

 

「先に魚獲ってるから、ゆっくり来ていいよ?」

 

 といって、つばめは出ていった。

 

 手の中にあるジャージは、まだ温かい。

 

 心臓がバクンバクンと爆音を鳴らす。頭が熱く、意識が飛びそうなくらい興奮する。

 

 ゴクリと、生唾を飲み込む。

 

 私は、つばめのジャージ上の中へ、顔を埋めた。まだ人肌の温かさが残っている。

 そして、鼻腔いっぱいに満たされる、男の子の甘い香り。

 

 脳味噌が幸せになり、同時に、むくむくと性欲が込み上げてくる。

 

 心臓が痛いくらいに興奮する。

 

 私は、ジャージ下の中を覗き込む。

 

 正直、こっちはちょっと罪悪感が咎める。そんなことをしていいのか、と。

 

 でも、つばめが……つばめが、渡してくれたんだから……いいよね……? 何されるかも、全部分かってるよね……?

 

 私は、つばめのジャージ下の中へ顔を突っ込んだ。温かさと、男子特有のエロい匂いがする。

 

 さっきまで、つばめの履いていたジャージ。

 

 私は今、つばめの衣服に顔を突っ込んで、思いっきり匂いを嗅いでいる。

 

 幸福ホルモンがドバドバと放出される。脳味噌が幸せだ。女としての本能が喜んでいる。

 

 そして、身体全体が異常な熱を帯びる。

 

 あ、ヤッバ……。

 

 私はつばめのジャージに顔を突っ込んだまま寝転がった。

 

 ついさっきの生着替えが、鮮明に脳へ焼き付いている。オカズ不足だった1年間の後、突如与えられたエロすぎる光景。

 

 ――理性は彼方に吹っ飛んだ。

 

 *

 

 昼食として焼き魚と蒸しジャガを食べ、洗濯と水浴びを済ませた。

 

 午後。洞窟に寄って、空のペットボトルと満杯のペットボトルを交換した。

 

「今日も死体探しする?」

 

「ああ、そうしよう。地元の人から見て、目ぼしい場所はあるかい?」

 

 つばめは数秒考えこんだ。

 

「神社だね。この島には3つ神社があるんだけど、3つ見て回ると、ちょうどよく一周できるよ」

 

「分かった、案内は頼むよ」

 

「うん、任せて」

 

 つばめ曰く、この島には、K神社、E神社、Y神社の計3つ神社があるらしい。近い順に、KEYの順で回ることにする。

 

 車道を歩いていると――。

 

「ヒバリって五人の中で唯一カップルになれずS○Xもできなかったんだよね?」

 

「そ、そうだけど」

 

 なんかまた急にディスられた。なんで……。

 

「四人のこと、どう思ってるのかなって」

 

「仲間だと思っている」

 

 即答した。

 

「半年間を共に過ごした。たくさん助けられた。何より、彼女たちとの思い出の中には、楽しい記憶が多い。だから、大切な仲間だ」

 

「ヒバリ……」

 

「――という気持ちと、私にもS○Xさせろよという気持ちを天秤に掛けたとき、ギリ前者が勝る」

 

「あ、ギリなんだ」

 

 嫉妬と羨望は抑えきれなかった。私だってS○Xしたかったんだ。

 

 それでも四人を仲間だと思えるのは、彼ら彼女らの善良な人間性故だ。みんな、オタクにも優しいタイプの陽キャだった。

 

 だから、感謝している。死に別れてしまったけれど、せめて弔ってあげたい。

 

「ヒバリのそういうところ、好きだよ」

 

「……そ、そうか」

 

 好き……。好き、か……。

 

 男子に、初めて好きって言ってもらえた……。

 

 恋愛的な意味ではないけど、それだけで嬉しい……。

 

 学校でシャベルを回収した後――K神社にたどり着いた。林の中にポツンと立っている、寂れた神社だった。拝殿の中と裏の倉庫を確認したが、死体はなかった。

 

 次に、住宅街を少し通り過ぎて、E神社を訪れた。真っ赤な鳥居。石畳と、砂利の敷き詰められた境内。拝殿も社務所も真新しい。

 

「大きいね」

 

「うん、元日は、毎年ここに来てたんだ」

 

 なんとなく、拝殿の前に立つ。つばめは、縄を揺らし、鈴を鳴らした。

 

 つばめは目を閉じ、両手を合わせる。私も彼に倣う。

 

 ……仲間がみんな見つかりますように。安らかに眠ってくれますように。

 

 あと、早くつばめとS○Xできますように。できれば一回だけじゃなくてずっとヤらせてくれますように。

 

 そして、私は目を開ける。

 

「何をお願いしたの?」

 

「仲間が早く見つかりますように、と」

 

「ふふっ、そうだと思った」

 

 嘘は吐いてない。こっちも本心だし。

 

 拝殿の周りと社務所には、何もなかった。

 

「あ、おみくじ引いてこうよ!」

 

「いいね」

 

 六角形のおみくじ箱を振り、逆さにすると、おみくじが出てきた。

 

「あ、大吉!」

 

「私もだ」

 

「え、すごい!」

 

 こういうのはあまり信じないが、めでたい結果なら素直に受け取っておく。

 

 細かいところも読んでみる。――恋愛、兆しあり。

 

 ……恋愛、兆しあり。

 

 えっ、これ、期待していいのかな。やっぱり私の青春、始まってる?

 

 その時、つばめが「えっ」と声を上げた。

 

「どうかしたのかい?」

 

「ううん、なんでもない」

 

 なんだろう、何か気になることでも書いてあったのかな。

 

 私は他の項目も見る。

 

「学問、大いに実る、だそうだ」

 

「ふふっ、もう関係ないね」

 

「ああ、全くだね」

 

 そして、E神社を出て、北上する。Y神社にたどり着いた。境内中央に、細長く尖った奇岩がそびえ立っている。

 

「安産祈願の岩なんだって」

 

「へえ」

 

 私は岩に触れてみた。

 

「産む機会はあるのだろうか」

 

「なんで僕見ながら言うの」

 

「S○Xしてくれる可能性のある相手が、つばめしかいないからだ」

 

「そうだけど」

 

「本当に、切実に、頼むよ」

 

「必死でウケる(笑)」

 

 つばめの態度は軽薄なものだった。クラスの陽キャギャルみたいだった。

 本当に約束を守ってくれるのか、不安になってくる。

 

「ほ、本当にS○Xしてくれるのか? 冗談とかじゃない?」

 

「ゴムはするけど、ちゃんとしてあげるよ」

 

「そ、そうか……ありがとう……」

 

 生でできないのは残念だが、約束はちゃんと果たしてくれそうでホッとする。

 

 私は岩から手を離した。そのまま拝殿の方へ歩く。

 

「実際、病院もないし助産師もいないし、出産は危なくない?」

 

「そうだね。出産は母体への負担が大きい。さっきはああいったけど、リスクを考えると避けるべきだろう」

 

「うん、だから、生えっちはしないよ。ちゃんとゴム付けるから」

 

「ああ、もちろんだ」

 

 残念だが仕方ない。状況が状況だ。

 

 それに、本来、私はこの島にひとりきりで、処女のまま老いて死ぬしかなかったのだ。それが、こんな可愛い男子とS○Xして処女を捨てられる予定ができた。奇跡としか言いようがない。望外の幸福だ。

 

 拝殿の中を覗いてみる。特に何もない。

 

「今思ったんだけど、神社巡りも修学旅行っぽいね」

 

「そういえばそうだね」

 

 旅館に泊まって恋バナ、神社巡り。期せずして、修学旅行っぽい体験が連続している。

 

 けれど、もしゾンビパニックが発生せず、本物の修学旅行へ行けたとしても、私は女子のいつメンと喋っているだけで終わりだっただろう。

 

 こんな可愛い男子とお喋りしながらあちこち回れるなんて、ありえなかった。つばめには感謝しかない。

 

 拝殿の裏側へと回る。――死体があった。

 

「っ……!」

 

 朽ちたゾンビたちと比べて、比較的新しい死体だ。

 

 念のため、慎重に近づく。動く様子はなかった。

 

 男子の制服と、おおよその顔かたち。一目で井出くんだと分かった。

 

「ヒバリ、これって……」

 

「……井出くんだ」

 

 私たちは軍手をした状態で、彼の遺体を持ち上げた。重いのでつばめにも手伝ってもらって運ぶ。

 

 不思議な気分だった。

 

 生きている間は、絶対に触れることができなかった井出くん。

 

 可愛くて、明るくて、いい人だった。

 

 井出くんと後藤さんがS○Xしている時、彼がとんでもなくエロい声を出していて驚いたことがある。私の知らない声だった。男子って気持ちいいとあんな声出すんだ、と処女の私が知った瞬間だった。

 

 過去のことを思い出すと、暗黒面に飲まれそうになる。よくない。今は、彼の冥福を祈る時だ。

 

 境内の地面は硬すぎたので、参道の脇にある地面に埋葬した。

 

 両手を合わせ、黙祷する。

 

 ありがとう、どうか、安らかに眠ってほしい。

 

「きっと、井出くんも喜んでるよ」

 

「ああ……」

 

「あんなところに野晒しなんて、可哀想だもん」

 

「そうだね」

 

 つばめの優しさが心に沁みる。なんだか泣きそうになった。

 

「ねえヒバリ、ライター持ってる?」

 

「ああ、持ってる。使うのかい?」

 

「うん、キャンプファイヤーしようよ」

 

「きゃ、キャンプファイヤー?」

 

「うん、火葬の代わりに」

 

「火葬の代わり、か……つばめは自由だね」

 

 面白い発想だった。でも、それくらいの弔いはしてあげた方がいいのかもしれない。

 

「ダメかな?」

 

「いや、いいと思う」

 

 私たちは、林で枝と枯れ葉を集めて、境内に戻った。それらを地面に置き、火をつける。

 

 キャンプファイヤーとしては小規模だけど、まあいいか。

 

 私とつばめは拝殿前の石段に並んで座り、炎を眺める。

 

「ヒバリ、死なないでね」

 

 突然、強い語気で、つばめがそういった。

 

「もう、ひとりはやだよ。ずっと一緒にいてよ」

 

 つばめはまっすぐ前を見ている。その瞳の奥に、泣き出しそうな幼少年の姿を見た。

 

「……ああ、約束する。ずっと一緒だ」

 

 胸に芽生える、強い感情。

 

 つばめの傍にいたい。つばめを守りたい。つばめとずっと一緒にいたい。

 

 つばめへの想いが、溢れ出してくる。

 

 つばめは私へ近づくように座り直す。肩と肩が触れ合う距離だ。

 

 炎が揺れる。

 

 つばめと、目が合った。

 

 丸い瞳。小動物のように愛くるしく、可愛い顔立ち。

 

「…………」

 

 何も言わず、見つめ合う。静寂の中に、パチパチと火の弾ける音だけが鳴る。

 

 ――恋愛、兆しあり。ヤバい、なんかいい感じ。そういう雰囲気だ。

 

 これ、もしかして、キスされるやつかも……。

 

「…………」

 

 長い間、見つめ合う。

 

 けれど、つばめは微笑しながら目を逸らした。

 

 残念ながら期待は外れてしまった。

 

「ビックリした。キスされるかと思ったよ」

 

「あははっ、僕もそう思ったよ」

 

 えっ、そうなの?

 

「し、していい?」

 

 私は期待を込めて尋ねてみた。けれど、つばめは意地悪な笑みを浮かべながら――。

 

「だめ~。さっきのタイミングが正解でした~」

 

「そんなっ!?!?!?!?!?」

 

 つばめは立ち上がる。既に炎は燃え尽きていた。

 

「帰ろっか」

 

「…………ああ」

 

 ああ~~~~~~~~!!!!!

 

 キスしとけばよかった~~~~~!!!!!

 

 ていうか分かんないよ! キスしてもいいタイミングなんて! 処女なんだからさ!

 

「元気出してよ、これからいくらでもチャンスはあるんだから」

 

「ああ、ありがとう……」

 

 あるといいな……。いや、あってくれ、頼むから。

 

 参道で立ち止まり、井出くんを埋葬した所で、再び黙祷を捧げた。

 

 ――死体探しの旅も、これで折り返しだ。




【キャラクター】

『小野つばめ』
 中島生まれ中島育ちの男子。高2相当。黒髪黒目。ボブカット。背が低い。可愛い。高校時代はヨット部、中学時代は吹奏楽部に所属。
 ヒバリのことをカッコよくて優しくて博識で誠実で頼りになる女性だと思っていた。処女をからかって遊ぶことにハマる。

『西園ヒバリ』
 大島生まれ大島育ちの女子。高2相当。黒髪黒目。ポニーテール。背が高い。
 何が何でもS○Xしたい処女。つばめからの好意と信頼を勝ち取るため、頼りになる女を演じていた。処女であることがバレて、つばめにからかわれて遊ばれることに。

【進捗】

『後藤さん』発見済み。

『来栖さん』未発見。

『馬場くん』未発見。

『井出くん』発見済み。

【雑記】

『小島』
 無人島を指す俗称。中島からヨットで行き来できる距離。

『中島』
 T島を指す俗称。人口は200人程度だった。小島の10倍以上の面積がある。T高校が位置する。大島とは陸繋砂州で繋がっているため、干潮時のみ徒歩で行き来できる。

『大島』
 O島を指す俗称。N県の全人口の半数が暮らしていた。N県最大の島。中島の約40倍の面積がある。
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