かぐや様は告らせたい 〜天才転校生はメイドの心を暴きたい〜   作:ハヤオ

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2話

白銀は蓮を椅子に促すと、机越しにじっと観察するように視線を向けた。

「……朝倉くん。君はなぜ、この秀知院に?」

「転校の理由ですか?」

蓮は口元だけで笑い、答える。

「簡単に言えば、環境を変えたくなったからです。海外の学校も面白かったけど、ここは学問も人も多様だと聞きましたから」

 

「なるほど。だが、この学園は競争も激しい。君のような優秀な生徒なら、きっとどこでもやっていけただろうが……」

白銀は腕を組み、わざと視線を鋭くする。

「その実力を、生徒会で試してみないか?」

 

横でかぐやが微笑を浮かべた。

「生徒会長の提案に異論はありません。むしろ歓迎したいくらいです」

 

「……初対面でそこまで言われるのは光栄ですね」

蓮はあくまで落ち着いた声で応じた。

「でも、生徒会とはいえ、それなりに労力を割く覚悟が必要でしょう? 僕が入ることで何を期待しているのか、少し気になります」

 

白銀は一瞬だけ言葉に詰まったが、すぐに表情を引き締めた。

「君の分析力だ。人を見極める目——それはこの学園で生徒を導く上で大きな武器になる」

 

(……ああ、やっぱり)

蓮は心の中で頷く。

この会長は、自分と同じく人を見抜くタイプだ。だからこそ、互いを早くも“駒”として評価している。

 

「わかりました。お役に立てるなら、喜んで」

そう答えると、藤原が「やったー! 新しい仲間だ!」と手を叩いた。

 

4. 放課後の遭遇

その日の放課後。

蓮は昇降口で靴を履き替えていると、校舎裏の駐車場から黒塗りの車が入ってくるのが見えた。

運転席から降りてきたのは、すらりとした長身の女性——そして助手席から現れたのは、昼間生徒会室で見た四宮かぐやだ。

だが、蓮の視線を引いたのはもう一人。

車の後部から現れた、ブロンドの髪をツインテールにまとめた少女。

整った顔立ちに控えめな表情、だがその瞳の奥には淡々とした光が宿っている。

 

「お迎えですか?」

蓮が近づいて声をかけると、その少女はわずかに驚いたように眉を動かした。

「……はい。お嬢様の専属ですので」

声は礼儀正しく、抑揚が少ない。

 

「朝倉蓮です。今日から転校してきました」

「……早坂愛です。四宮家のメイドです」

短い自己紹介。しかしその間、蓮は確かに感じた——

完璧に整った態度の裏に、別の顔を隠している気配を。

 

「専属メイド、か……なるほど」

蓮は意味ありげに微笑む。

「その割には、少し距離を置いた目をしているように見えますね」

 

早坂の瞳が、一瞬だけ鋭く光った。

「……観察眼が鋭いんですね。ですが、余計な詮索は——」

「しませんよ」蓮は軽く手を上げる。

「ただ、そういう目をする人には、興味が湧くんです」

 

早坂は何も答えず、かぐやの隣に立った。

その背中を見送りながら、蓮は小さく呟く。

「……やっぱり、この学園は面白そうだ」

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