黒川あかねと共に『あじさい』で演技を学び続けたアクアは久しぶりに動画投稿を再開させた。内容は以前から口にしていた家庭で出来るトレーニングであり撮影場所は住んでいるマンションに備わっているトレーニングルームなので凸される心配も無い
「あれ?投稿した動画が消されてる」
なお1本目に投稿した動画だが半袖ハーフパンツ姿で時折見えるヘソチラや腕立て伏せをした時に隙間から露出した乳首がセンシティブな内容に含まれるということで運営元から消されてしまったが投稿から消されるまでの2分間のことを『最も偉大な2分間』とまで言われてしまった。再編集した動画を2時間後にアップすると24時間で83万回再生を記録し彼の復帰を待ち望んでいた女性が数多くいることを再認識させられた
「予想はしてたけど結構来てるわね」
「こっちはトレーニング用品とサプリメントにプロテインもこんなに、アクアをムキムキにでもするつもりかね?」
アクアの復活に業界も動いた。彼が休止してから芸能活動をする男の子は1人も現れていないのもあるが、家族が押し寄せてくるマスコミを恐れてしまい極端に過保護となっている風潮も相まって群がってくる量が斉藤夫婦の想像を超えていた
「ミヤコさんこっちにはサウナスーツに家庭用のサンドバッグって世界チャンピオンでも目指すの?アクアのカッコ良さは世界1位だけど」
「お見合い写真も沢山来てる。29歳漫画家ってママより年上だ」
子供以上青年未満の破壊力は抜群でアクアに魅了され惚れ込んだ女性がこぞって事務所に渾身の1枚を送り『我こそは妻に相応しい』と写真の中からアピールをしている。中にはDVDで送りつける猛者もいて事務所内は魔窟となっている。そして渦中の人物は
「また私の勝ち~」
「5連敗って!なんでこっちの行動が読まれているの?」
黒川あかねと自宅でポケモンをやっていた。別に遊んでいる訳ではなく生配信の為の訓練である。アクアのチャンネルは『楽しく面白く』をモットーに、トレーニング動画を投稿するだけではなく視聴者からの質問に対して『あじさい』のメンバーを使って教室風のスタジオで先生と生徒の立ち位置にして答えるようにしている。そして生配信ではゲーム実況や対戦ゲームで視聴者たちと交流することを考え壁を無くそうと画策中である
「旅パを使うアクア君の考えなんてお見通しなの」
「顔に出やすいのかな?」
「心が通じ合っているの」
彼女は中学1年生になり『あじさい』を退団した。劇団の規定では小学校卒業までがリミットでありルールに則ったにすぎない、当初は京プロに所属しようと思っていたがミヤコたちがNGを出した。自分たちの持つコネクションでは黒川あかねを活かすことが出来ないと発言し、『あじさい』の講師が勧めた芸能事務所に加入した。肩書は女優であるが仕事はまだしていない
「じゃあ勝者にはご褒美が必要だね」
「過激なことは無しの方向でお願いします」
その言葉を聞くと彼女は部屋に置いてある耳かきをとって自身の太ももを軽く叩いてアクアに寝るように指示した
「動かないでね」
「奥までいれるなよ」
「大丈夫、アクア君のことを傷つけることなんてしないから」
程よい肉付きの感触を確かめるように彼は身を預けていくアイとは違う温かさ、未成熟特有の甘い香りが鼻をくすぐるように刺激する。この世に生を受けてから甘えられることはあっても誰かに甘えることが無かったアクアにとって彼女は聖母のような存在で優しく触られ心地良い感覚に段々と瞼が重くなる。意識が飛んでゴロンと頭が動くが寸前で耳かきを抜いていたので問題は無かった。しかしうつ伏せになってしまい顔が下を向いている
「ちょっとアクア君?」
彼女の呼び掛けに応じることもなく彼の寝息が太ももや女の子の大事な所に吹きかかる
「あん…うぅん、ぁぁん」
初めての感覚に戸惑う、もしここでアクアが目を開けてしまったら自分穿いている勝負下着が見られてしまう。もちろん彼になら見られても構わないが大人の雰囲気を味わいたいお年頃である
「もうちょっとだけ」
今なら少し動かせば無防備な彼の唇を奪うことは出来るが、そんなことはしたくない!アクアから自身の唇を奪ってほしい願望はあるが心の中で葛藤する
「(唇を奪ってしまいなよ!誰も見ていないからバレやしないさ)」
「(駄目よ!もし目が覚めたら確実に距離を置かれてしまうわ、これまで積み重ねてきた信頼関係を一気に崩してしまう)」
「(大丈夫だって!見なよこんなにもグッスリと寝ているんだキスぐらいしても起きることなんてないさ、なんなら舌を絡めてもイケるって)」
「(そうよね!それに未来でやることを今ここでするだけなんだから、ちょっとだけ早いだけなんだし)」
「(やっちまおうぜ!)」
「(やりましょう今すぐに考えている暇なんてありませんわ)」
心の中の天使と悪魔は欲望に忠実で一致団結して黒川あかねの背中を押した。彼女はアクアの向きをうつ伏せから仰向けに回転させる。
「う゛〜〜〜ん」
「あぁっん!」
彼がぐずるように体をよじらせてしまい彼女は悶えて嬌声をあげてしまう、奥歯を強く噛み込んで耐えようとしたが体が”ビクンッ”と牝の反応をしてしまう。全身を快楽という名の電流が駆け巡る!
「(紛い物と全然違う)」
1度だけ彼が黒川あかねの住む家に遊びに来たことがある。服にジュースを零してしまい洗濯して後日返したが、あれは同じモノを購入して一晩中着込んで自身の匂いを纏わり付かせたモノである。オリジナルはアクアの香りが消されるのが嫌だったから汚れた部分だけを手洗いして乾かした。自室の抱き枕に被せて力強く抱きしめたり襟元の匂いを嗅いでベッドで同衾している気分に浸っていた日々は数え切れないほどだ
「大丈夫だよね?」
それはアクアが起きないことに対してなのか自身のことなのか?
「(襲っちまいなよ!初めてを奪えるんだぜ)」
「(それは流石に駄目よ)」
「(固いな~もっと欲望にまみれてしまいなよ)」
心の中の悪魔が笑いながら天使を睨みつけているが
「(ここじゃ駄目ってことよ、満月の夜に川辺でアクア君を押し倒して星空の下で泣きじゃくる彼の顔を見ながら誰にも邪魔されずに1つになるの。泣いているのに牡の本能が強く反応して戸惑う表情は1回しか見ることが出来ないの)」
「(それがお前の心か?)」
「(えぇだって私たちの本質は同じですから)」
「((お覚悟はよろしくて!))」
もう彼女を止めるモノはいなかった。襲うのは別の機会にすることにして神が与えてくれた奇跡の時間を享受するべきだ!膝枕から頭の下に座布団を敷いて彼を仰向けで寝かせると、あかねはアクアの上に跨り次第に顔を近づけていく
「(あと20センチ)」
段々と近づくにつれて彼の寝息が頬に当たる。こそばゆい感触に心の中で”食べちゃいたい”と思ってしまう
「(あと5センチで)」
このまま勢いをつけてしまえば簡単に愛しの彼の唇を手に入れることが出来ると思った。その瞬間‼
「アクア~入るわよ!」
事務所社長のミヤコがドアを開けて侵入してきた。あかねはドアノブが動いた瞬間に横に動きアクアと隣同士で寝ている演出をすることに成功した
「まぁ仲良くしてるのね」
当人の苦労を知らずミヤコは2人ブランケットを被せて部屋を出ていった。足音が遠くなり再度のチャンスに動こうとしたが、アクアが物音で目覚めてしまい結局失敗に終わってしまったが2人で寝るという最低限のことが出来ただけでも良しと思うのであった。
ここで書かないと筆者が忘れそうなので少し先の話をしよう。アクアの投稿したトレーニング動画により小学生・中学生男子の体力テストの数値が10%程度上昇した。彼を見て強い男になろうと思う人たちが増えたのは喜ばしいことだが女子の数値が前年比で47%以上向上してしまった。特にパワー系の種目では圧倒的な記録を叩き出してしまい、差が大きく開いてしまった。
「(今度は護身術の動画でも投稿してみるかな)」
アクアもルビーやあかねに壁際まで追いやられる日々が続き武術を学ぼうか模索中である
「アクアをドラマに起用したい?いったいどんな役柄で?」
「新年から放送される水曜9時から放送される医療ドラマでして、アクア君には病室にいる患者役として出演してほしいのです」
事務所には番組プロデューサーと監督が訪れ上記のことについて斉藤夫婦に話していた。内容はドジっ子ナースが患者との触れ合いで1人前の看護師として成長していく物語となっていて視聴率次第ではシリーズ化を検討している作品である
「今は動画投稿者として活躍していますが、ゆくゆくは演技の世界に身を置くことを検討されているのでは?」
その質問に2人は腕を組んでしまった。実のところアイと3人でアクアの今後について考えていた。無論今のままでも構わないが役者ということも候補の1つでもあった
「アクアにアイドルをやらせてみたい!」
母親は息子に武道館や東京ドームを満員にするようなアーティストを目指して欲しいが当人のアクアに音楽的なセンスは皆無であり彼も歌に関しては拒否の姿勢を貫いていた
「とりあえずアクアに話を通します。ご返事はいつまで?」
「そうですね今日から5日後までがリミットですね」
「分かりました」
「お前が星野アクアか?」
彼は撮影スタジオでとある人物と出会うこととなる
高校生編まで全然進まない、フリルちゃんとアクアを絡ませたいよ(泣)
とりあえず他の原作キャラをどこで絡ませるかを模索中です。感想を書いていただき誠にありがとうございます。