推しのアイドルの赤ちゃんとして、奇妙な世界に転生してしまった雨宮吾郎先生こと星野アクア君、度重なる誘拐未遂にキレてしまった保護者の2人は予定よりも早く入院を切り上げ、ミヤコが話していた東京の新居に身を寄せていた。
「(何LDKだよ?海外のVIPが日本に訪れた時に泊まりそうな部屋じゃないか家賃もアイの年収以上じゃないのか?こっちのアイは向こうより売れているってことか)」
彼が驚くのも無理はない出入口には警備員が立ち、エントランスに入るには網膜と指紋認証登録が必要となりコンシェルジュも存在している。誰かの後ろについてきて侵入することは不可能だ
「この地域なら治安も悪くないし宮崎のように誘拐される心配は無いわ」
「でもミヤコさん油断は禁物だよ!アクアはこんなに可愛いから誘拐犯をおびき寄せるかもしれないよ」
双子を抱えるアイは少し困ったような顔をして部屋を紹介してくれたミヤコに意見すると
「この世界に100%なんて存在しないわ、でも1つ1つの可能性を潰して限りなく近づけることは出来る。それよりも移動で疲れたでしょ少し休みなさい。2人の面倒は私と壱護が見ておくから」
「(壱護?確かアイの隣にいたチョイ悪風のおっさんだよな、そういえば何で宮崎には居なかったんだ?事務所の運営で忙しかったのか)」
アイから双子を受け取ったミヤコは2人の顔を互いに見てニッコリ笑い
「壱護~手伝ってくれる~」
「今行くから、ちょっと待って」
別室から現れたのは気持ち悪い物体だった金髪サングラスは同じだが短髪ではなく先端が肩に届くほど伸びていて綺麗にキューティクルもされている。しかもフリフリのピンク色のエプロンを着用しているからキモさ100倍である
「私はアクアの面倒を見るからルビーをお願いね」
ミヤコから姉のルビーを受け取ると大事そうに抱えると本体であるサングラスが奪われアタフタしている。それを遠くで見ながら微笑むようしている彼女はアクアを優しく抱きしめる。ミルクのような香水の匂いは心地よく母のアイより大きい胸に身を預けるのは安心してしまう
「ホント可愛いわね。あと10年早く出会っていたら私の隣に立ってもらいたかったわ」
「お~いそれ、旦那のいる奥さんが言っちゃいけない台詞だ」
「冗談よ!」
本体を無事に取り戻した壱護はミヤコにツッコミを入れた。なおルビーは彼の髪の毛を引っ張って遊んでいる
「(頭痛が痛い)」
間違った日本語だがアクアの心情を的確に表すにはこれ以上の表現は存在しない。煌びやかな豪華な部屋にフリフリエプロン姿のオッサン、いったいこの世界はなんなんだ!というツッコミしか起きないが2人の会話を耳にしているといくつかの情報を聞き取ることが出来た
・この世界では男性の人口が割と少ない
・男児は国の財産として、生まれた瞬間から手厚い保護が約束される
・強制ではないが男子は18歳までに伴侶を定める(無論複数人いても構わない)
・結婚しない場合は35歳まで遺伝子提供者として従事し隔月で一定量を納めなければならない
なお壱護は1番下に当てはまり、遺伝子提供者の務めを終えた後に現在の伴侶であるミヤコと出会い入籍した。現在は社長業を営む妻を支える夫として家庭のことを切り盛りしている。彼が従事していた提供の仕事も人口を増やす為に必要なことであり十分な報酬が銀行口座に蓄えられている
「(これってセントサイモンの悲劇が起きるんじゃないの?)」
その辺は大丈夫!提供された遺伝子は政府直轄の管理センターに集められ、地域ごとに偏らないように厳正に割り振りを行っている。また純度の高い日本人のモノは海外でも高値で取引きされ外交カードとしても使われて、結婚を望まない(出来なかった)が赤ちゃんは欲しい女性はセンターに登録し提供してもらうのが当たり前の世の中である
「(アイに夫が居ないってことは遺伝子提供を受けたってことか、そもそも未成年を妊娠させるってどんな倫理観してんだよ!)」
確かにツッコミたくなることだが登録自体は未成年でも可能であり、この世界では法的には問題無い。むしろ男児であるアクア君を出産したことで世間から称賛の声を浴びている。小学校なんて1学年全員女子生徒というヤバい学校も存在するから男児が誕生した瞬間に私立の学校が「私の所に来てください!」と懇願しに来る。もちろん授業料など完全無料である
「ねぇ壱護、向こうでアイが言ってたんだけどアクアをアイドルにさせようって」
「社長としての考えは?」
「事務所の稼ぎ頭だったアイが産休とこの先の育休のことを思うと、運営にはアクアの力が必要になるわ」
「俺の今までの蓄えを使えば2年ぐらい仕事がなくても…」
「ダメよ壱護!それはアナタが今まで頑張って来たことに対する報奨なの、事務所の為には使えないわ」
「(やっぱりこっちのアイもB小町でアイドルをやっているのか)」
2人の会話を耳にしながら近くいたルビーが寄ってきたので、頭をナデナデしてあげると光悦した表情を浮かべ抱き着いて顔を胸に埋めてくるので背中をポンポン叩いて落ち着かせた
「それに出産した男装アイドルに需要があるとは思えないわ」
「それもそうだが」
「(男装アイドル?アイが?)」
そうこの世界のアイはソロの男装アイドルとして活動していた。それなりの人気と固定のファンが付いて小さい事務所を運営することは出来たが妊娠・出産で休止してしまい。ファンも新しいアイドルに流れてしまった
1話でも25年振りの男性騎手の誕生とあったように男の社会進出は限りなく少ない。そもそも働く必要が無いというのが根底にある。外に出て働くというのは鴨が葱を背負って来ると同義であり襲われる可能性が高いからだ。しかし女は男を求めてしまう。張りぼてでも構わない偽物でもいい、そんな世間の声が男装アイドル誕生をさせてしまった。一応補足しておくが男性タレントや歌手も存在しているが、とても少ない
「これは大事なことだから生みの親であるアイの判断に委ねましょう」
「そうね―――ごめんなさい壱護、先走っちゃって」
赤ちゃん達の目の前で抱き合う夫婦、そして姉のルビーはガッチリとアクアのことをホールドして離さない。力勝負に持ち込もうとしてもパワー負けしてしまう。お腹の上に馬乗りにされた彼は渾身の力で押し返そうとするが敵わない
「(びくともしないって、いったいどうなっている?)」
推し負けた彼は背中と頭が床についてしまいルビーはニッコリとした表情で両手をアクアの頬に当てて固定する。
「おい!ルビー」
「いただきま~す」
姉の唇が彼の口内目掛けて降りて来るが
「ダメでしょルビー」
キスする直前でミヤコに片手で抱き上げられてしまい彼女はブーブー言いながら暴れている。アクアは壱護が床から拾い上げソファーに座らせた
「赤ちゃんでも本能的に男を求めるなんて」
「もしかして本当にアクアには人を惹きつける才能があるのか?」
「(その前にルビーのやつ喋ってたぞ、まさかアイツも?)」
さっきの出来事を振り返っていると
「ルビー、アクア~少し早いけどお風呂にしようか」
下着姿のアイが現れて姉弟を連れて行こうとするが
「待ってアイ、2人同時にお風呂に入れるのは危険よ!私も一緒に入るからアナタは先に行って準備をしてて頂戴、壱護この子たちの着換えとタオルをお願い」
「分かった」
その場でミヤコも服を脱ぎだし艶やか下着とアイより大きい豊満なメロンが”たゆんッ”と揺れる。アクアは反射的に目を背けてハイハイで逃げようとするが
「捕まえた!駄目よ男の子は綺麗じゃないと」
アイに捕えられたアクアはジタバタして逃れようとするが0歳児じゃあ敵わない。着ているものを脱がされて全裸にされると風呂場に連れていかれてしまい、両者の真っ裸を目に焼き付けてしまう。頑張れアクア!赤ちゃんは親に甘えるのが仕事なんだから今は羞恥心を捨てて愛情を受け取りなさい
劇中のアイですが遺伝子提供による妊娠じゃないんですよ。タグがヒントであり答えですね
原作の流れに手を加えて執筆するのは簡単ですが、1から展開と文面を考えるのは大変です。オリジナル作品を作っている方々は本当に凄いですね
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