男女比がおかしい世界に産まれました   作:大気圏突破

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ツクヨミの口調、高校生バージョンが難しい


番外編〜銀髪美少女ツクヨミ爆誕〜その4

 有馬がアイドルの道に踏み切った夜、アクアは事務所に呼ばれ壱護たちと対面した。既に鳴嶋メルトの関係者は去っていて机の上には見舞いの品が置かれている。

 

 

「示談ですか」

「詳細に関しては弁護士を挟んでやり取りをするが手打ちにした。初犯だと不起訴になる可能性もあった。裁判で争うよりも時間と金の無駄はなくなる」

 

 今回のことに関して双方のトップが話し合い示談という結果に収まった。しかし意外だったのは向こう側が刑事罰を望んでいたことで、今までトントン拍子で人生を謳歌していた彼に司法の鉄槌を下してほしいと願っていた。

 

 

「でも、刑務所に入らないってことは仕返しにくるんじゃ?」

「この場合は少年院だ!」

 

 アイの指摘に壱護が答えると、ミヤコが口を開き

 

 

「私たちもそれを危惧したわよ、でも向こうは絶対にさせないって」

「そんなこと信じるなんて、ミヤコさん変だよ!」

「アイ…受け入れて、法律に感情は通じないの」

 

 

 彼女も今回の件に関しては思うことはあるが、下手に長引くとアクアの時間を無駄に浪費させてしまう。アクアがこれを機に役者として見切りをつけてしまうのを嫌がった。彼が医者になることを応援しているが、心の奥底では役者になってほしいと1割ほど思っている

 

 

「話はそれだけですか」

「あぁすまんな、こんな時間に呼んで」

「送っていくわ」

 

 

 ミヤコの車に乗り込むと助手席にいたアイが沈黙を破るように口を開けた

 

「アクア、嫌になってる?」

「何に対して?」

 

 母親の意図は知っているが敢えて知らないふりをする

 

「役者を続けていたら、他人から恨まれて昨日みたいに殴られてしまう。頑張っているのに何でこんな目に遭わなければって」

「別に一般人で生きていても殴られる。全世界から愛されてヘイトを買わない人なんて存在しない!」

 

 その問い掛けに自分の考えを返し母親の返答を待つ、アイは脳内の少ない語群から、単語をかき集めて息子を役者の道に留めておきたいと思うが、良い言葉が浮かばない

 

 

「アクア、今回のようなことは滅多に起きないわ」

「それは理解してる」

 

 ミヤコが助け舟を出す形でアイの言いそうなことを代弁する

 

「事務所では言わなかったけど、裁判所に接近禁止命令を申請するわ」

「それって効果あるの?無視して突撃してくることだって」

 

 こういったことをしても効果は薄い、下手をしたら無敵の人になって襲ってくることもあり得る。そもそも今回のように感情的に行動する奴に法の力は無意味に等しい

 

 

「事務所のSNSに今回のことを発表するわ、接近禁止命令も下れば周りの人達の目が監視カメラの役割りになるのよ」

「抜け目ないですね」

 

 お飾りではなく、事務所の副社長として所属するタレントを守る為に知恵を絞り即行動する姿にアクアはミヤコには母親以上に信頼し心を開いている

 

 

「しかし有馬さんがアイドルって、アクアどんな魔法を使ったの?」

 

 場の空気を切り替える為にミヤコは彼に尋ねる

 

「別に、昔ルビーが有馬の曲をYoutubeで聴いていた時に『良い曲だな』って思っていたから」

「それだけ?」

「金田一さんが言ってたけど”有馬には実力がある”って、役者1本だと頭打ちになるだろうしカンフル剤になってくれれば、ひと皮剥けると思う」

 

 

 現場における有馬の評価は低いが実力は備わっている。干されたことで自分の能力に蓋をしてしまい『今日あま』のように関係者を落胆させてしまったが、彼女の殻を破り環境を整えることが出来れば光は彼女に差し込むと考えている

 

「ところで俺のジャージが無くなっていたんだけど」

「家電用品の搬入をしているときに有馬さんが着てたわね、返してもらってくる?」

「いいよ、新しいのを買う口実になるから」

「ねぇアクア、髪伸びたんじゃないの?帰ったら切ってあげようか?」

 

 

 若干蚊帳の外だったアイが話に加わろうとして、アクアに話し掛けるが

 

「土曜日に行ってくる。ミヤコさん日曜日の収録は行きますんで」

「分かったわ、先方にも伝えておくから」

 

 青信号になりアクセルを踏み込む彼女に伝えると、窓の外に視線を向けて無言になってしまう。彼は今後のことを思いつつ自宅まで目を閉じるのであった

 

 

「(私とミヤコさんに対する態度、違わない?)」

 

 

 

 

 翌朝のマンションまで送ってもらったアクアはミヤコに礼を述べて部屋に戻った。身支度済ませて登校しようとするとチャイム音が鳴り、スコープを覗くとジャージ姿のアビ子が立っていた

 

 

「どうしたんですか鮫島先生?」

「大丈夫ですかアクアさん」

 

 徹夜していたのか目の下には隈が色濃く浮き出て充血もしている

 

「大丈夫だから今から学校に行くんですよ」

「もし痛みがあったら教えてください!凄く腕の良いお医者さんのいる病院を教えますから」

「心遣いありがとうございます」

 

 彼女の優しさに心が温かくなり頭を下げて感謝の意を述べると

 

「だって、アクアさんに何かあったら誰が私のご飯を作るんですか?吉祥寺先生も料理出来ないんですよ!」

 

 その言葉に尻餅をつきそうになり、さっきの言葉を前言撤回しようと思うアクアであった。

 

 

 

 

「おはようアクア君」

「おはよう」

 

 通学路で黒川あかねと合流した彼は、病院で頼んだ言伝を団員に伝えてくれたことに関して礼の言葉を述べた。自身も金田一に今回の件を伝えると珍しいことに慰めてくれた。とりあえずララライに復帰するのは水曜日となっている

 

 

「やっぱり心配してた?」

「うん、特に姫川さんなんて”カチコミだー!”って、ハチマキと白い特攻服に木刀持って外に出ようとしていたから、これがその写真」

「似合っているのが何とも言えないな」

 

 

 何をやらせても主役になってしまう姫川大輝、なお未だにマイカー購入の決心がつかずパンフレットとにらめっこする日々が続いている

 

 

「なんでアクア君を襲ったのかな?」

「犯罪者の心理なんて理解したくはないが恐らくは怨恨だな」

「でも面識は…」

「ドラマ版とララライ版で比較されて、俺が鳴嶋と同じ役をやったことで視聴者側がアイツのことをボロクソに叩いた!」

「たったそれだけの理由で襲ったの?」

 

 あかねは某Z戦士のように戦闘力を倍加させる赤いオーラを身に纏い、拳には血管が浮き出ているが

 

「ってい!」

「あぁん」

 

 アクアのデコピンによってオーラは霧散してしまう

 

「俺の為に怒ってくれるのは嬉しいが今回の件は示談で手打ちになった。これ以上は無駄な時間の浪費だ」

「前から思ってたけどアクア君ってドライじゃない?」

「そうか?」

「うん、化野さんはスマホの電話帳に『ドライもん』って登録してる」

「あかね、姫川さんの特攻服ある?今日から復帰する」

 

 

 

 あかねと別れた彼は教室に入ると質問攻めに遭ってしまい自分の椅子に座るのに5分以上要してしまった。ぐったりとするアクアに女子が【ポリンキー】を差し出し労ってくれた

 

「今日転校生が来るんだって!」

「こんな時期に珍しいな」

「ただ…」

「ただ?」

「さっき職員室に行ったんだけど、その転校生遅刻しているみたいで」

 

 油が付着した指をティッシュで拭きながら1時間目の準備をする彼は、転校生のことよりも妹達のことや週末の収録に向けてトーク内容の見直しに、心配を掛けてしまった団員たちに持って行く差し入れについて思案するのであった

 

 

 

「(何でここに星野アクアがいるんだ‼まさか妹もここに…いやアイツは馬鹿だから絶対に受からない、天地がひっくり返っても有り得ない)」

 

 転校生の”天音ツクヨミ”は朝のホームルームが終わる直前に姿を現し自己紹介をした。慌てて来たのか制服は乱れ、輝く銀髪はボサボサでアホ毛が飛び出している。

 

 

「天音さんは家庭の事情で一人暮らしをしています。慣れない土地で苦労すると思いますので困っていたら手を差し伸べましょう」

 

 彼女の挨拶が終わり担任の一言が添えられると、ツクヨミは空いている席に座ったが隣がアクアだった。自ら話しかけても言葉少なく社交辞令のような返事に怒りを覚え、この世界に来る前のことを思い出してした

 

 

 

「触ってみる?どこにでもある子供の躰さ!」

 

 映画の撮影途中に自身の頬っぺたを人差し指で突き、弾力さをアピールする彼女はアクアをおちょくるように問いかけた

 

「じゃあやるよ」

 

 彼はツクヨミに近づくと両手で左右から彼女の頬を掴み

 

「ひぃたゅいぃぃぃ」

「やっぱプニプニしてるな」

 

 つきたての餅を伸ばすように引っ張った。横方向だけではなく斜めにしながら泣き叫ぶツクヨミを冷笑しながら変化を加えていった。しかも近くで見ていたB小町の面々も参加し、彼女は無限プニプニ地獄を味わってしまった

 

 

 

 

「どうしたの天音さん?」

「えっ?あぁっと、隣の…」

「星野君?ぶっきらぼうだけど悪い人じゃないから、彼ツンデレなの」

「誰がツンデレだ!」

「ツンギレだったかな?」

 

 思考を現実に呼び戻し、自身の前に座る女子生徒からの問い掛けに慌てながら答えたツクヨミは大丈夫だろうと楽観視していたが現実は違った

 

 

「(何なの?この問題、”交雑における遺伝子汚染の影響と対策”ってか、何でみんなスラスラと答えを書いてるの?”セントサイモンの悲劇”誰よっセントサイモンって)」

 

 転校初日に生物の小テストが行われツクヨミの頭は爆発していた。問題が難しく書かれている文字がアラビア語や象形文字のように意味不明で理解することが出来なかった。隣のアクアは既に全部を解き終わり目を閉じて寝ている。また周囲もスラスラとペンを走らせ、裏面の問題に突入している。なおセントサイモンはイギリスの競走馬だ!人ではない

 

 

 

 彼女は失念していた。黒川あかねが通う高校の偏差値が陽東に比べて全然違うことに、そしてアクアも元々は産婦人科医であり知能は高い、自分の放りこまれた場所がとてつもなく過酷であることを実感したのと、上位存在の彼女への恨みを募らせた。

 

 

 

「この問題は2つの公式を使って」

「もう少し分かりやすく」

 

 彼女は他の教科でも悪戦苦闘し、黒板の文字を必死にノートに書き込んだが授業内容を理解することが出来なかった。授業前に話し掛けてくれたクラスメイトが助け舟を出す形でアクアに頼んでツクヨミの勉強を見てもらうことになった。放課後の図書室にいる2人は周囲の邪魔にならないように小声で話しながら問題を解いていく

 

 

「難しい」

「そもそも何でここに入ったんだ?」

「成り行き」

 

 結局2人が最後まで残り図書室の外に出てアクアがドアの鍵を閉めた。ツクヨミは後ろに立って姿を見ていると向こうのことを思い出し、彼の口車に乗せられ映画に出演し幼少期の双子を演じたことを振り返っていた。そして同時にイタズラ心が芽生え

 

 

 

「雨宮吾郎先生!」

 

 

 

 生前の彼の名前を口にした

 

 

 

 

 

 

「雨宮吾郎先生!」

 

 その瞬間アクアは振り返り、今日転校してきたツクヨミを睨みつけた。何故彼女が俺の名前を知っている?言い間違い?そんなはずはない『星野アクア』と『雨宮吾郎』の文字に類似点なんて存在しない。じゃあなんでコイツは雨宮吾郎の名前を

 

「知ってるさ!君の生い立ちを」

「場所を変える」

 

 2人は屋上に向かい鍵を閉めてドアには立ち入り禁止の紙を張り付けた

 

 

「何者だ?何処で知った?」

「せっかちな男は嫌われるよ」

「いいから話せ、どこまで知っている?」

 

 イラつくアクアを嘲笑しながら彼女は口を開く

 

「君が宮崎の病院に勤めていた産婦人科医だったことや女の子と語ったB小町の思い出に、両親の名前は確か父親は」

「ちょっと待て!」

「なんだい?言えって口にしたのは星野アクア、君の…」

「雨宮吾郎に父親はいないぞ」

「えっ?ちょっと」

「それに俺の知る『さりなちゃん』はB小町のファンじゃなかったし、そもそもB小町なんて”俺のいた世界”には存在しなかった」

 

 その言葉を耳にした瞬間、ツクヨミの脳内は小テストを受けたように真っ白になってしまった。父親がいない?じゃあどうやって産まれた?B小町が存在しないって何?だって2人で推していたよね?

 

「お前、何者なんだ?名前は知っているのに経歴が全く違う」

「えっと、その」

 

 背中にじんわりと汗の染みが広がり、吸収できなかった水分が下に落ちていく

 

 

隠さず全部話せ!

 

 瞳の星は黒く染まり眼光は全ての生物を殺せるほど強く彼女を貫いていた。

 

 

「お前は俺と同じ別世界からここに来たという訳か」

「そんな世界が存在するのか?」

 

 ツクヨミは彼の威圧感に負けてしまい知っていることを洗いざらい話し、アクアも転生前のことを伝え情報交換をした。

 

 

「カミキヒカル?」

「そうだお前たち双子の父親だ」

 

 父親の名前を口にするとアクアは腕を組んで顎に手を当て

 

 

「ララライにそんな人がいたな、確か金田一さんが交通事故で死んだって」

「頭痛が痛い!何なんだこの世界は?」

「別に変じゃないだろ」

 

 その言葉に苛立っているツクヨミは睨むように顔を向けるが、返ってきた答えは

 

 

「全員をキャスト通りに配置しても同じ展開になることはない、誰かが台本と違う動きをしてしまえば、その瞬間に想定していた未来とは違うことが起きる」

「それはそうだが」

「お前の知ってる星野アクアと、ここにいる星野アクアは同一人物ではない!それだけで歴史は変化する」

 

 舞台役者のように大きく身振り手振りでアクションを起こしながら、アクアは自分の方へ主導権を持っていく、しかし彼女は

 

 

「なら妹の正体を」

「『さりなちゃん』だろ?」

「何故知ってる、まだ…」

 

 ツクヨミは切り札を出してきたが、あっさりと切られてしまう

 

「子供の時に寝言で『ゴローせんせ』って言ってたからな、翌朝に問い詰めたら『さりなちゃん』だったよ」

「じゃあ何故?」

「この世界にいる天童寺さりなは俺の知る『さりなちゃん』じゃない!それに俺は正体を明かすつもりは無い!」

 

 

 断言してしまった事実にツクヨミはたじろいでしまう。自分がいた世界の星野アクアはこんな奴じゃなかった。いや本質は同じだ!転生前の世界と今の環境が目の前にいる星野アクアを作り上げてしまった

 

 

「多分この世界の雨宮吾郎は、もう存在しないな」

「だが君の妹は彼の生存を祈り恋焦がれている。どうする私が事実を伝えたら、きっと」

 

 こんなことを言うつもりは無かった。勢いに任せて口から出てしまった。雨宮吾郎が死んでいてることを伝え誰が得をする?冗談のつもりだった!

 

 

「そうか」

「何をする気だ?」

 

 アクアは端の方へ歩いていき止まると欄干に立ち上がった

 

「お前が不幸を望む疫病神ということが、よ~く分かった」

「おい!よせ、危ないだろ、なぁ降りろ」

「何故止める?お前が好む不幸だろ?」

「違う、私は…こんなこと」

「今さら違うなんてほざくなよ、望んでいるんだろ?人の不幸を肴にして愉悦に浸る。俺がここで死ねばツクヨミお前の望みが全て叶う。俺の夢が潰えてルビーや有馬たちが悲しむ、それをほくそ笑みながら高みの見物出来れば最高だよな?」

 

 漆黒に包まれたアクアの瞳はツクヨミを見ていない、未来なんて見据えていない今ここで全てを終わらせようとしている

 

「待ってくれ!これは…」

「冗談なんて言うなよ、人の幸福や生き死にを『冗談』や『気まぐれ』なんて言葉で片づける気か?他人の人生はお前のオモチャか?」

 

 

 ツクヨミはこの惨劇を回避する為に脳内からアクアを説得する言葉を選び、文章化させていくが途中で瓦解していしまう。どんなことを口にしても否定されてしまうと思った。

 

 

「辞世の句は詠まない!」

「待てッ‼」

「おめでとうツクヨミ、お前の望みは叶えられた」

 

 

 ジャンプするように欄干から足が離れ、星野アクアは彼女の目の前で落ちていった!

 




ツクヨミの口調って本当に難しい(基本アクアと会話している時って煽られてキレている感じだし)フリルちゃんだったら化物語の戦場ヶ原さんをモチーフにすれば簡単に文章化出来るし、とりあえずツクヨミの胸はルビーや有馬より大きく、ジャンプすれば弾むレベルに大きくしようと思う


メルトはまだ登場させますがまた炎上する行動をさせます。しかしやっぱり作中のアクアはミヤコさんに対するマザコン具合が高いな、仕方がない熟女で巨乳でセクシーだもん


感想を書いていただき誠にありがとうございます。誤字訂正もしていただき感謝しています
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