……てか四人もいたら書き分けムズくないか
「……はあ」
連邦生徒会主席行政官である七神リンはそう、大きくため息を吐く。連邦生徒会長が失踪して何日か経ったが、今日、その失踪した会長が連れてきた「先生」がやってくる日だという。
「せめて連邦生徒会長がいてくださればいいものを……先が思いやられます」
愚痴ばかり言っていても仕方がありませんね、と言いながら、リンは先生が待機している部屋へ辿り着く。
「どうなってやがんだカメ公!」
「僕に聞かれたってわからないさ!」
「見たことない景色やなあ」
「鳥さんたちはいないのかなー?」
(……どなたか先客がいらしたのですかね)
部屋からかすかに聞こえる会話からそう推測したリンは、コンコンと二回、ノックをしてから扉を開ける。
「お話中失礼します。先生へ――」
挨拶をしに来ました、と言うはずであったリンの口は、目の前の光景を見て、パクパクと声が出ずにいた。まあ、致し方ないと言えばそうだろう。
なにせ、先生が待機しているはずであった部屋の中では、人ではないことなど初見でわかるような、赤、青、黄、紫の怪人たちがいたからだ。
なお、この光景を見てストレスがたまったリンは、日頃の疲れも相まってそのまま倒れた。
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「――あ、起きた?」
目を覚ましたリンの眼前にいたのは、そう言った紫の怪人だった。見渡すと、先生を待機させていた部屋のソファの上にいることを確認し、
「……はあ」
「疲れてるの?」
「まあ確かに、起きた瞬間に得体の知れない者を見れば、誰だってそうなるよねえ」
「それはそうとして、ここは一体どこや」
「そうだよ!なんで気づいたらこんなとこにいんだ!」
四人の怪人たちが一斉に喋っているのを見て、もう一度はあ、とため息を吐くリン。
「……一から説明します、聞いていただいても?」
「ここはキヴォトス。数千もの学園が集まり、それぞれが自治を行っている巨大な学園都市です。ここでは銃を持たない者は全裸でいる者よりも少ないと言われるほどですので、あなたたちには一応後で各々に銃を手配します。これから、ある方が先生となる予定だったのですが……」
リンはぐるりと怪人を見渡し、問う。
「誰ですかあなたたちは」
「だーもうなんでそこに戻ってくんだよ!!俺らが知りてぇのはもう一つ、なんでここにいるんだって話だ!!」
「私にだってわかりませんよ、すべて連邦生徒会長が決めたことですし……」
「なら、その人と話がしたいんだけど。今呼ぶことはできるかな?」
赤の怪人がわめき、そろそろ扱いに疲れたリンがそうこぼすと、青の怪人がそれに反応する。だが、リンは青の怪人が言った言葉に対して、
「できません。連邦生徒会長は今、失踪中です。連絡も未だついていません」
と、端的に答える。
「それは……申し訳ない。君は見たところその連邦生徒会長に近しい存在だったんだろう?それなのに、勘づくことができず、野暮なことを聞いてしまったね」
「いえ、大丈夫です。……帰ってきたら、徹底的に問い詰めますから」
鬼の形相とも言える、静かな笑みでそう言うリンに、四人の怪人が少々戦慄したのは言うまでもない。
「それで、ある方って誰なの?」
「それもそうや、もしかしたらその連邦生徒会長が、そいつと俺らを間違えて連れてきてしもうたんやないか?」
紫と黄色の怪人がそう問う。リンは少しずれた眼鏡をかけ直し、説明を再開する。
「ええ、その可能性もありま……あり…………いえ、ですが…………まあいいです、連邦生徒会長が本来連れてくるはずだった方の名前は――」
その言葉の先を紡ぐ前に、リンはあることに気が付き、またもや溜息を吐く。
「……すみません、少々下が騒がしくなってきましたので行ってきます。付いて来て頂いても構いませんが」
「あ!見つけたわよ代行!今すぐ連邦生徒会長を呼んでき……え?」
リンと共にエレベーターに乗り、レセプションルームに降りた四人の怪人。そんな彼らを見た紺髪の少女は、激昂していたはずの感情よりも困惑の方が勝ってしまったようである。
「え、と……そちらの方々は?」
「……私も詳しくは」
気まずい沈黙。それを破ったのは、高身長で羽根の生えて大人びた、これまた少女。
「……主席行政官、お待ちしておりました」
「連邦生徒会長に会いに来ました。委員長が現状に対し、納得のいく回答を要求されています」
「……見る限り、女の子しかいないみたい」
「おいカメ野郎、お前絶対ナンパとかすんじゃねえぞ」
「しないよ、ハナさんにバレたら怖いし」
リンがこの短時間で既に三回も吐いている溜息をこれまた吐くと、先ほど連邦生徒会長の話をしていた時と同じような笑顔を貼り付けて話を始める。
「こんにちは、各学園からわざわざ訪問してくださった生徒会、風紀委員……その他時間を持て余した皆さん。皆さんがここへ来た理由はこちらも把握しています。現在キヴォトスに起きている混乱の責任を問うため……でしょう?」
「そうよ!というか、把握済みなら何とかしなさいよ!数千もの自治区が混乱に陥ってるのよ!?この前はうちの風力発電所がシャットダウンしたんだから!」
「矯正局で停学中の生徒が一部脱走した、という情報もあります」
「トリニティでも、不良たちが生徒を襲う頻度が増えていて治安維持が難しくなっています」
「出所の分からない武器の不法流通も2000%以上増加しました。正常な学園生活に支障をきたしてしまいます」
リンの言葉に、各々が現状についての苦言を呈する。それを静かに聞いていたリンは、「連邦生徒会長に会わせて」と言う青髪の少女やその他ギャラリーに対して、怪人たちに言ったことをもう一度言う。
「連邦生徒会長は、現在席におりません。行方不明となっています」
え、と驚きざわつくギャラリーをよそに、リンは説明を続ける。
「結論から言いますと、『サンクトゥムタワー』の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失っています。認証を迂回できる方法を探していましたが……未だそのような方法は見つかっていません。ですが、何とかなる可能性もあります」
「では、その方法を教えていただけませんか。主席行政官」
高身長な少女の言葉を聞き入れたリンは、四人の怪人の方へと視線を向ける。
「……おい、まさオレたちがそうだって言わねえよな」
「話が早くて助かります、
「冗談じゃねえ!いきなり先生になれって言われてわかりましたってなると思うか!」
「それに関しては僕もセンパイに同感かな」
「本来連邦生徒会長が連れてくるはずであった先生がやってくるまでの代理、ということですのでご心配なく。もちろん、タダでとは言いません。“先生”は元々、連邦生徒会長が立ち上げたある部活の担当顧問としてこちらに来ることとなっていました。その名は連邦捜査部“シャーレ”、単なる部活ではなく一種の超法規的機関です。連邦組織であるため、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを際限なく加入させることすら可能であり、各学園の自治区で、制約なしに戦闘活動を行うこともできます。言い換えれば、ここでいう“先生”の所属するシャーレは、この学園都市内の全ての情報を手に入れることができると言っても過言では……いえ、少々過言でしたね。そしてこれは代理先生として活動していただくあなたたちにも言えることです。悪い話ではないでしょう」
「確かに、僕らにとってここがどんな場所かはわからないからこそ、その情報源を手に入れられるというのはかなりのメリットになる。でもメリットばかり提示して、デメリットを言わないっていうのはいささか気になるね。デメリットはどんなのがある?」
「書類仕事が面倒、というだけかと。なにせ、キヴォトスに存在する全学園の書類を捌かなければなりませんから。それでも、現在
「ふーん……なるほど」
青の怪人は少しの間考えこんで、やがてこう言った。
「いいね、せっかくだし釣られてみよっか」
「なーに勝手に決めてんだこのカメ野郎!」
「いった!殴るなんて酷いな、よく考えてみなよセンパイ。それとも、先生の代理を務めることによる僕らへのメリットの大きさがわからないほど頭が悪くなったの?」
「まあ桃の字は頭が固いからなあ」
「納得してんじゃねえよクマ!」
「……とりあえず、皆さんを先生代理として連邦生徒会が正式に認めます。ですので今からシャーレの部室に向かっていただきます。部室はここから約30km離れた外郭地区にあり、連邦生徒会長の命令で地下に“とあるもの”を持ち込んでいます。モモカ、シャーレの部室に直行するヘリと……例のアレと、銃器を四つ用意して」
リンが通信機でそう連絡すると、向こう側のモモカと呼ばれた生徒から返事の連絡が入る。
『シャーレの部室……外郭地区のあそこ?今大騒ぎだよ、そこ』
「大騒ぎ?」
『矯正局を脱出した、停学中の生徒が騒ぎ始めたの。連邦生徒会に恨み抱いて、地域の不良を先頭に周りを焼け野原にしてるんだって。巡航戦車まで手に入れてるみたいだよ。それで、シャーレの建物を占拠しようとしてるの。そこに何か大事なものでもあるみたいな動きだけど?まあでも、もうとっくにめちゃくちゃなんだから大したことないんじゃ――あ、お昼のデリバリーきたからまた連絡するね!例のアレと銃は今向かわせたよ~』
ブツッと途絶えた通信、ブルブルと怒りで身体を震わせるリン。黄色の怪人が心配するも、リンは「大丈夫です」の一点張りである。そこで、何かをひらめいたのかリンは先ほどまで騒いでいた生徒たちを見る。
「……な、何よ」
「ちょうどここに、各学園を代表する立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです」
「えっ」
「キヴォトスの正常化のため――お力添え、お願いしますね?先生方、申し訳ありませんが早速仕事となります。そうですね……この中で一番、指揮に長けている方は?」
困惑する紺髪の少女を横目に、リンは怪人たちに尋ねる。各々が各々を見合ったのち、やがて青の怪人が前に出た。
「では、あなたには戦闘指揮をお願いします。他の御三方は、この方の指示になるべく従ってくだ「ぎょ、行政官!お待たせいたしました!」
「……早かったですね」
リンの説明を遮るように、連邦生徒会の一人が台車に銃とケースをもって走ってくる。リンは指示を出してから到着までの時間が早く、少し驚いている。
「こちらは一応の銃火器です。初心者でも扱えるよう、拳銃にしておきました。そして、このケースに入っているものが、連邦生徒会長から『先生が来たら渡して』、と言われていたものです……どうぞ」
青の怪人が慎重にケースのロックを外し、開ける。そして、なるほどね、とつぶやいてからリンに問う。
「銃社会って話だけど、人に向かって発砲していいものなの?死なないよね?」
「ええ、私たち生徒相手であれば、ある程度の銃弾なら痛いだけで済みます。……このように」
リンは懐から取り出した銃を何のためらいもなく腕に撃つが、そこには何かが当たったような跡もなく、発言が事実だということを物語っている。
「ですが、一般市民の方々はこうはいきません。くれぐれも発砲しないよう、ご注意を」
「へえ……なら、これはリュウタが持つべきかな。リュウタ、これあげる」
ケースから取り出したソレを、リュウタと呼ばれる紫の怪人へと投げる青の怪人。それらをしっかりキャッチした紫の怪人は、ソレを見てかーなーり驚く……というか喜ぶ。
「ベルトだー!」
「はっ!?」「なんやて!?」
「おいカメ、なんでオレじゃねえんだよ!」
「そりゃあ、この中で一番銃の扱いに長けてるのはリュウタだし。元の世界では一般人に発砲なんてご法度だけど、ここじゃ生徒相手ならあまり傷にならないみたいだからね。少なくとも、剣や斧で切りつけるよりは安全だと思うよ」
「それもそうやな……よし桃の字、俺らはサポートに回るとしよか」
「サポートなんて地味なこと……!」
「今は我慢しとき、いつか俺らにも出番は来る」
「……しゃーねえな、だけどイマジンが現れたら絶対俺が変身するからな!いいな!」
「はいはい、それじゃ行こっか。リンちゃん、案内お願い」
「誰がリンちゃんですか」
そうして、リンの案内の元移動している最中、指揮が滞らないようにと各々で自己紹介を済ませる。
外に出れば、銃撃音と爆発音がとどろき続けている。相手は見てわかるほどに暴れており、D.U.は建物の瓦礫や炎、またその引火元である車が十数台倒れていたり壊れていたりしている。
「これより戦闘指揮を行っていただきます――ウラタロス先生」
「了解、っと」
亀を連想させる見た目をした青の怪人、ウラタロスはリンの呼びかけに呼応する。そのウラタロスから「相手の武装や乗り物を狙って攻撃するように」、と指示を受けているのは鬼のような赤の怪人モモタロスと、熊を連想させる黄色の怪人キンタロス。そして、
「リュウタ、お願い」
「おっけー!」
ベルトを腰に巻き、パスを持ったリュウタと呼ばれる紫の怪人、リュウタロス。ウラタロスの要望を了承し、ベルトにある紫色のボタンを押す。一度ダンスを踊るように、ふんふふ~んと鼻歌を歌いつつステップを踏みながらクルッと回ったら。パスをベルト中央にかざし、その合図の言葉を言う。
「変身」
《ガン フォーム》
am〇zon prime電王の映画全部レンタルか購入なのマジか、TTFC入らねえと
ウラちゃん書くの難しいッピ