【第三章 滅んでしまった未来に愛を込めて…… 更新中!】宇宙の神秘を詰め込まれてオカルト探偵になった   作:初雪空

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室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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第12話 明日の昼すぎまでは平和

 綾ノ瀬(あやのせ)奈々美(ななみ)の自宅は、高級マンションだった。

 

 俺の魔術によるゲートで移動して、水鏡(すいきょう)アレーテを含めた3人での話し合い。

 

 ポカンと口を開けている奈々美が、俺を見ての一言。

 

「本当に……魔術師なんですね?」

 

「特区に住んでいるのは、伊達じゃない! 言うほど便利じゃないぞ? 代償も大きい。……悪いが、すぐに本川(ほんがわ)高校の連続失踪を振り返る! 今後の対応もな?」

 

「はい! お弁当を買ってきたので、良かったらどうぞ」

 

 女子らしいパステルカラーの家具を見つつ、示されたラグに座る。

 

 リラックス用らしく、背の低いテーブルやクッションがあった。

 

 テーブルの上には、名店の持ち帰り弁当が積まれている。

 

(さすが、金持ち! 金銭感覚が違うな……)

 

 そう思っていたら、台所へ行った奈々美が慌ててドリンクの準備。

 

 彼女の姿を確認してから、語る。

 

「おそらく、禁書がある! 禁書は、いわゆる魔術書で――」

 

 魔術の方法や、様々なモンスターの召喚や使役といった説明がある。

 ただし、禁書を読むことで正気がなくなり、読んだだけでアウトの場合も。

 

 禁書そのものが自我を持っていることも、珍しくない。

 

「具体的に、とは言うなよ? 今の説明も、あくまで簡易的だ! とにかく、本川高校にいる誰かが禁書を手に入れたか操られて、連続失踪につながったと……。別の高校にも、被害者がいるよな?」

 

 奈々美は、頷いた。

 

「はい! 2つか、3つほど……。でも、うちと比べれば、比率が少ないです」

 

「な? それこそ、本川が震源地だって証拠だ! 怪しい人物は、この連続失踪に首を突っ込んでいる奴ら」

 

 アレーテから話を聞いた俺は、結論を言う。

 

「さっきのファーストフード店で、俺は3年の炭八馬(すみやま)佳守(かず)からこう言われた! 『生徒会長と一緒に連続失踪を解決してくれたら、綾ノ瀬を君の彼女にしよう』とね?」

 

 場の雰囲気が変わった。

 

 アレーテは、ピリピリした口調。

 

「どういう風に?」

 

「自信たっぷりに! その前には、『僕は生徒会長と釣り合わないだろう?』ともあった」

 

 弁当を食べているアレーテは、断言する。

 

「決まりですわね? その炭八馬が禁書を持っているか、または、使いました!」

 

「だろうな……」

 

 しみじみしている俺たちに、奈々美が騒ぎ出す。

 

「なっ!? でしたら、すぐ生徒会長に――」

「お前、今の気持ちは偽物ですと言われて、納得する?」

 

 スマホを手にした奈々美は、固まる。

 

「そ、それは……。だけど、放っておくわけには!」

 

「俺たちが受けた依頼は、『綾ノ瀬奈々美の回収』だ! ついでに、本川高校の犠牲はどうでもいいと言質をもらっている。……禁書については持っているやつを倒し、無効化する予定だ!」

 

 シュンとした奈々美は、スマホを置いた。

 

「あなたに従うと決めました……。生徒会長は?」

 

「んー? たぶん、なあ……。炭八馬はもう生徒会長を抱いたというか、抱いてもらっただろうし」

 

「手を出さない理由もないですからね? 綾ノ瀬さん! あなたは、知らないほうがいいですわ! おそらく、いい気分になりません」

 

 アレーテの警告に、俺のほうを見た奈々美は息を吐いた。

 

「分かりました……。水鏡くん? 私は、どうしましょう?」

 

「俺とアレーテで、明日の夜から売春の線で追ってみる! 仕切っているヤーさんと、それを取り締まっている警察、一枚かんでいる政治家の先生が一気に怒りだす……。明日に登校したら、心の中で別れを告げておけ! 忘れ物もしないように! お前の事情は話すなよ? 放課後に直帰したら、貴重品だけで特区へ帰れ。明日の夜からは、お前の安全を保障できん」

 

「承知しました! 兄に相談しておきます……」

 

 

 ◇

 

 

 同じくゲートで仮の自宅へ帰り、俺と水鏡アレーテは同時に息を吐いた。

 

「生徒会長と一緒にいた浅岡(あさおか)あいか……。魔術師は、あっちだよな?」

 

「憧れの生徒会長で童貞を捨てた陰キャの炭八馬佳守よりは、可能性が高そうですわね?」

 

 それぞれに、就寝する準備を始める。

 

「ゆっくりできるのは、明日の昼過ぎまで! 綾ノ瀬が特区にたどり着くか、兄が派遣した護衛がエスコートするまで張り付け」

 

「分かっていますわ……。明日は綾ノ瀬さんを見送るのと、情報収集ですね? 浅岡先生に『淫紋のせいで疼く』と相談しても?」

 

 少し考えたあとで、アレーテに返事をする。

 

「いいぞ! あいつも売春に噛んでいそうだし、探りを入れてみるのもいいだろう! 俺も、あの高校で女子を買っている男子に接触してみる」

 

「あら? わたくしがいるのに?」

 

「からかうな……。お前らでは、女を買うわけにもいかんだろ? これまでの情報を整理すれば、連続失踪と売春は明らかにつながっている」

 

 ニヤッとしていたアレーテは、真面目になる。

 

「公園トイレの売春は、いかにも場末……。警察もマークしていたでしょうし――」

「この街のどこかに、もっとハイクラスの売春がある! 政治家や社長とか、金を出せて立場のある奴らだけの」

 

 アレーテの外見なら、公園の便所ではなく、会員制クラブでHをさせるだろう。

 

 奈々美も、ハイクラス向けだが……。

 

 綾ノ瀬のイメージを失墜させるため、あえて公衆便女にさせるつもりだったと思われる。

 

 浅岡あいかが主犯の1人でアレーテに食いつけば、会員制クラブに潜入して、そこの幹部から情報を得るだけ。




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