【第三章 滅んでしまった未来に愛を込めて…… まで完結!】宇宙の神秘を詰め込まれてオカルト探偵になった 作:初雪空
第26話 大変な問題が残りましたわ……
一連の事件が解決して、無自覚の男子には真綿で首を締める責めが待っている。
それはいいが――
「それは、間違いないので?」
『……はい! さんざん心配をかけたので、兄に秘密にしているのも心苦しく』
恥ずかしそうに告げたのは、依頼主の妹であり、救出対象だった
息を吐いたアレーテは、確認する。
「あなたの下腹部に、まだ淫紋があると……」
『え、ええ……。その、順番はどうしましょう?』
禁書は、全て消したはず。
しかしながら、依頼主に黙っているのは非常にマズい。
「問題が問題だけに、
沈黙が続くも、アレーテの返事。
『淫紋の件は、先に兄へ話しておきます……。ただし、水鏡くんは絶対に同席させないでください。可能なら、顔を合わせないように』
「心得ています」
やがて、メッセージで打診。
それに返信すれば、ちょうど自宅に兄がいたから話す、とのこと。
――数時間後
繁華街の雑居ビルから高級車で送迎され、どこかの応接室へ。
(完全に、事務所へ連れ込まれた感じですわね?)
焼き菓子とコーヒーを出されつつ、向かいに座る兄妹を見た。
「最初に、わたくしの不手際によるトラブルにお詫び申し上げます! 話をさせていただければ、最初から説明いたしますが……」
腕を組んでいる綾ノ瀬
「分かった……。できるだけ、結論と事実でお願いしたい」
「ご理解いただき、ありがとうございます! 発端となった禁書は消したので、わたくしが追加した条件が原因でしょう。許可をいただければ、綾ノ瀬さんの淫紋を魔術的に削っていきますが、影響を最小限にする場合は長くて数年です。こちらの不手際なので、アフターサービス。報酬から引くのであれば、そちらでどうぞ」
アレーテの説明に、一京は呆気にとられた顔。
てっきり、グダグダと感情論や、報酬を引っ張るものだと考えていたようだ。
気を取り直した一京が、奈々美を見る。
「お前は、どう思う?」
「
キッパリと言い切った奈々美に、一京は考え込む。
「こちらが対応できるレベルで教える気は?」
「……悲劇を繰り返す可能性があるため、拒否します」
アレーテは、すぐに補足する。
「魔術の行使には、精神力や代償を伴います……。わたくしが行う分には自己責任となりますが、他の方では発狂するのがオチ! それに、人を自由にできる力は歯止めが効きません」
「なるほど……。報酬については、テロ集団からの人質救出の相場で払おう! そちらは担当者から連絡させるが――」
「お兄様? これだけお世話になって、もう会えないのは……。水鏡くんにお礼を言っても?」
困った一京は、向かい合って座るアレーテを見た。
「そ、そうですわね……。依頼主が良ければ……」
一京が聞きたいのは、才に会わせた場合の影響だ。
しかし、会わせてみないと分からない、という話。
会わせるか、会わせないかの決断だけ。
一京は、ため息をついた。
「分かった……。ただし、水鏡くんと2人きりになることは許さない。例外なく、だ」
「……承知しました」
◇
俺は、帰ってきた水鏡アレーテを見る。
「それで、約束してきたと……」
後ろめたそうなアレーテは、視線を外しつつの返答。
「え、ええ……。ほら? これで会うこともないでしょうし」
「お前、何か隠していない?」
俺を見たアレーテが、ダラダラと汗を流す。
「別に……」
「依頼主の1人だから、いいけどさ? 迎えの準備は、お前がやってくれよ?」
――数日後
ピンポーン
相変わらず、壊れたままのドアチェーン。
インターホンの画面を見ると、余所行きのワンピースの綾ノ瀬奈々美だ。
「いらっしゃい! アレーテ、買い出しに行っているけど?」
『……そうですか。中に入れていただければ、助かります』
水鏡アレーテは、自分が帰ってくるまで開けるな、と言っていたが――
「どうぞ」
『はい、お邪魔します』
昼でも、特区の繁華街は治安が悪い。
目立つ女子高生の奈々美を立たせておくと、余計なトラブルを招く。
ガチャッ ギィイッ
「久しぶり! もう1人は、すぐに帰ってくると思う」
「……失礼いたします」
奈々美を中に入れて、閉めた玄関ドアの内鍵をかけた。
ソワソワしている彼女は、しきりに室内を見ている。
「あ! 魔法学校の写真を見ますか? 手土産もありますし……」
片手で下げている紙袋は、やっぱり高級店だ。
俺に断りを入れてから、簡易キッチンでお茶の用意を始めた。
一応は、探偵事務所。
応接用を兼ねたソファもあり、並んで座った。
自分のスマホで写真を表示した奈々美が、嬉しそうに教える。
「この子は、USから留学している魔法使いで――」
ぴったりと寄り添う奈々美が差し出したスマホを見ると、金髪碧眼のロリのような女子高生が1人。
巨乳で、にこやかな笑顔だ。