【第三章 滅んでしまった未来に愛を込めて…… 更新中!】宇宙の神秘を詰め込まれてオカルト探偵になった 作:初雪空
ブレザーの上を脱いだ俺は、目を開けた。
(……ひとまず、相手の様子を見るか)
離れている見学席で心配そうに見ている
この場にいる最上位、つまり生徒会長の
「では、これより2人の模擬戦を始める! スキルの使用を許可するが、相手に致命傷、または後遺症を残すような攻撃は禁じる! どちらかが戦闘不能か降参、または、我々が判断した時点で終わりだ!」
長方形で、平らな床が続くトレーニングルーム。
それゆえ、ギャラリーの掛け声はない。
「始めっ!」
俺の正面で立っている伊田が、開いたままの片手を向ける。
「食らえっ!」
次の瞬間に、火炎放射器を思わせる噴射が行われ――
バシバシッと、銃弾が当たったような音。
俺の手前で止まり、予めかけておいた、不可視の防御を削る。
(少なくとも、拳銃ぐらいの威力か……。おっと!)
ほぼ同時に、俺の視界は広がった炎だけに。
しかし、俺を避けるように進み、周りで回転したあとに実行者へ戻っていく。
「やった! ……えっ?」
伊田の叫びは、疑問の声へ。
こちらは、風の魔術によって奴を後ろの壁へ叩きつけるつもりだった。
その準備段階としての風が、結果的に俺がウェルダンになることを防いだのだ。
つまり、後ろの壁へ背中から衝突するはずだった伊田は、火炎旋風で黒焦げになるわけで……。
「うわぁああああっ!?」
ここまで、数分も経っていない。
(仕方ない……)
人差し指を含む2本を伸ばした片手を振り、時間経過の魔術を行使した。
風の魔術を消しても、すでに加速した炎は消えないから。
見る見るうちに勢いをなくした風と炎はゲームのように消えていき、人を殺せるだけの高温になった空気は伊田の肺を焼くことなく、かび臭い空気となって押し寄せた。
「……えっ? ゲホゲホッ!」
両手をクロスさせて立ちすくんでいた伊田は、おそるおそる、腕を下ろし――
「お前、いい加減しておけよ?」
俺の独白と共に、風の壁がやつの正面から迫り、それで両足が浮かんだ後に、その勢いのまま、後ろの壁に叩きつけられた。
「ガハッ!?」
伊田は、訳の分からないまま、どさりと前に倒れる。
一方的に消滅させた直後で、動いている風は機嫌が悪そうだ。
それを消しながら、見守っていたギャラリーのほうを向く。
(ずいぶんと、手の内を見せたな……)
予想通りというか、
我に返った良高が、宣言する。
「模擬戦は、水鏡くんの勝ちだ! しかし、まいったな……」
伊田は、明らかに俺を殺そうとした。
炎の魔法か、火遁の術か知らんが、どう考えても致命傷か、命は助かっても重度の火傷や肺を焼いただろう。
嗾けてきた副会長の
そーっと、部屋を出て行こうとするが――
「待ちたまえ、夢咲くん! これは、君の責任でもある……。水鏡くん? 彼らについて、どうしたい? 言った通りにするとは限らないが、今回は発言する権利がある」
良高が、断罪を始めた。
全員の視線を集めたまま、息を吐く。
「正直なところ、伊田は殺してやりたいですね……。夢咲先輩についても、同罪です! ただ、無理に編入した俺が2人も退学にさせれば、こっちが悪く言われるのは目に見えています」
「ふむ……。それで?」
「俺とアレーテが魔法学校で過ごしやすいように、働かせてください! そのほうがいいです」
首肯した良高は、顔が引きつっているアリアを見た。
「では、君が水鏡の兄妹を担当したまえ……。伊田くんにも、必要があれば指示を出せ! 何かあったら責任をとってもらうので、覚悟しておくように」
「ちょっ!」
アリアは、笑顔のままで震えている。
「い、今のうちに、実力を見ておきたかっただけで――」
「残念だよ、夢咲くん……。どうやら、君によく似た女子が客をとることで暮らしていくようだ! きっと、予約で埋まるだろう」
マナーモードになったままのアリアが、涙目で答える。
「2人の面倒を見まにゅ……」
「よろしい! 副会長がいれば、伊田くんは不要か……。
頷いた
「承知しました、若さま」
何なんだよ、この学校……。
生徒会の権限が強いというより、生徒会長がラスボスだ。
そう思っていたら、オシャレな眼鏡がこちらを向く。
「ご苦労だった、水鏡くん! 言いたいことは色々あるだろうが……。後日に改めて、お互いの自己紹介としよう」
「あ、はい……。お疲れ様でした」
頷いた良高は、生徒会室で給仕した女子を見る。
「
「は、はいっ! あの……私も水鏡くんの相手を?」
「その意味はない……。何かあれば、私に言いたまえ」
呆れたように答えた、良高。
その会話を聞きながら、俺の評判、すごいことになっているなあと思う。