【第三章 滅んでしまった未来に愛を込めて…… まで完結!】宇宙の神秘を詰め込まれてオカルト探偵になった   作:初雪空

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室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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第38話 初依頼は特捜と本庁が絡む大事件!?

 ノートパソコンに表示されていた画面で、撃破された演出。

 

 機動兵器のコックピットから見た視点だから、疑似的なFPSだ。

 

 飼い猫のように隣でそれを見ている天城(あまぎ)梨理香(りりか)が、呟く。

 

「これで、10回目……。ギブアップしますか?」

 

「少し待て」

 

 コントローラーを握ったままで、目を閉じる。

 

 全体を把握する魔術を呼び出し、実行。

 

(頭痛が酷いから、使いたくないんだよな……)

 

 あらゆるプレイが、頭の中の加速された画面で進む。

 

(これは……)

 

 目を開けた俺は、隣で寄り添っている梨理香を見た。

 

「お前、クリアさせる気がないだろ?」

 

「どうして、その結論に?」

 

 ネコのように首をかしげた、梨理香。

 

 それを見たままで、告げる。

 

「ゲームバランスがおかしい! 途中でエネルギーや弾薬が尽きるんだよ! お前なら、もっとユーザーフレンドリーにできるだろう?」

 

 それぞれで楽しんでいた男女がこちらを見るも、何のゲームをしているのかを知った瞬間に興味をなくしたようだ。

 

 つまり、理不尽なほどに難しいと周知されている。

 

 同人ゲームとは思えないほど作り込まれていて、お金を取れるだろう。

 

 それなのに、梨理香はクリアさせる気がない。

 

 俺の思考を説明せずに、ただ問いかける。

 

「なぜだ?」

 

「クリアしてください」

 

 息を吐いた後で、梨理香に告げる。

 

「アルカディアを吹き飛ばすしかない! あるいは、この状況になる前に解決する」

 

「これ、ゲームですよ?」

 

 あたま大丈夫ですか? という声音に、ただ答える。

 

「お前は、内輪だけでも教えたかったんだろ? それに大きな意味がないと知っても、なお……」

 

 梨理香は、金色の瞳を見開いた。

 

 構わず、独り言のように続ける。

 

本川(ほんがわ)高校の事件を解決したのは、俺だ……。探偵部に依頼するのなら、話ぐらいは聞いてやるぞ?」

 

 考え込んだ梨理香に、立ち上がった俺が言い残す。

 

「これだけ作るのは、尋常じゃない……。であれば、クリエイターには伝えたいことがあるはず。そもそも、完全なフィクションにしては説得力がありすぎる」

 

 俺が見た光景には、現実と変わらないシーンもあった。

 

 実写のようだったから、たぶん実際に起こったこと……。

 

 そこに言及せず、俺をジッと見ている梨理香に片手を振る。

 

「じゃ、帰るわ!」

 

 

 ――数日後

 

 俺は、生徒会室に呼び出された。

 

 端正な顔にメガネを光らせた生徒会長が、席に着いた俺に言う。

 

水鏡(すいきょう)くん……。探偵部への初依頼を祝いたいものの、話が大きくてね? 私たちも、参加させてもらう」

 

「はあ……。天城が探偵部に来たことまでは、把握してますが」

 

 安倍(あべ)良高(よしたか)は頷き、全員が集まっているテーブルに両肘をついた。

 

「君へ依頼するのは警視庁……いや、警察庁と言うべきか?」

 

「は!?」

 

 俺の叫びに、良高は片手を向けた。

 

「落ち着きたまえ……。天城くん、説明を」

 

「はい、会長……。ここだけの話にして欲しいのですが、私には未来予知のスキルがあります。それで警察庁に交渉しました」

 

 言葉を切った天城梨理香は、場違いな大人の女を見た。

 

 まだ若く、新社会人といったスーツ姿だ。

 

 全員の視線を感じた女は、自己紹介をする。

 

「警視庁、生活安全部にいる(いな)真夕(まゆ)です! 階級は巡査部長……。表向きは、水鏡くんの監視というか指導のため。で、本当は天城さんの情報による秘密捜査よ!」

 

 上下に開いた警察手帳を見せた真夕は、片手でスッと閉じた。

 

 俺が良高を見たら、再び頷く。

 

「天城くんが予知したのは、近い未来に世界が滅ぶほどの事件が起きること……。残念なことに、今の東京での動きが原因らしい」

 

 真夕が、それに続く。

 

「ややこしくてね? 都知事と、そのバックにいる与党の一部も絡んでいるの……。大手の製薬会社と癒着しているらしく、特捜もマークしている」

 

 俺は、すぐに指摘する。

 

「高校生と接するなら生活安全だろうけど、政治的な不正だったら特捜に任せては? それから、危険分子に対応するのは公安だと思います」

 

「もっともな指摘だけど、私は本庁の代理人として来たの! 公安警察は監視と情報収集がメインだから、表に出てこないわよ?」

 

 息を吐いた俺は、真夕を見る。

 

「何をさせたいんで?」

 

 しかし、梨理香が答える。

 

(さい)さんは、以前に警察がお手上げだった事件を解決した実績があります。正直なところ、まっとうな手段では無理だと思います。その製薬会社で開発している新薬が未来の地球を滅ぼすのですが、今の私が言っても相手にされません」

 

 真夕が、すかさずフォロー。

 

「天城さんの未来予知は、うち……警視庁で確認済み! ずっと協力してもらいたいけど、今はこの製薬会社に集中したい」

 

「特捜が張り込んでいる、大物の政治家と仲良しの製薬会社に? 肝心の特捜は?」

 

 俺の質問に、真夕は肩をすくめた。

 

「あっちはあっちで捜査して、うちも勝手にするだけ」

 

 現場で、もろにぶつかるパターンだ。

 

 息を吐いた後で、質問する。

 

「目的は?」

 

「その新薬の開発をやめさせることです! 物理的に……」

 

 梨理香の可愛い声が、生徒会室に響き渡った。




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