【第三章 滅んでしまった未来に愛を込めて…… 更新中!】宇宙の神秘を詰め込まれてオカルト探偵になった   作:初雪空

42 / 48
室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
https://hatuyuki-ku.com/?p=707


第42話 人生いろいろ、非合法の被験者は言うまでもない(後編)

 最後の1人。

 

 女子小学生のメティスが、口を開いた。

 

「状況が状況だけに、正直に言う……。私は、ここにハッキングを仕掛けて逆探知された!」

「ハッカーかよ! すっげーな!? ……あ、すまん」

 

 また口をはさんだケンイチに、メティスが口を閉じて、ジト目を向ける。

 

 近くに立っているマリナが、自分の腕を組んだまま、ため息をついた。

 

 俺は、リーダーとして仕切り直す。

 

「続けてくれ」

 

「OK! レトゥス製薬会社の傭兵だかエージェントに捕まって、ここへ放り込まれた。すぐ動くとしたら、必要なのは私の働きだよね?」

 

「拘束した警備員のIDと、ここの責任者の認証によって、俺たちの移動を他のブロックへ自然なものに見せられるか?」

 

 ハンディタイプの端末をいじったメティスは、画面を見たままで訊ねる。

 

「So...(えーと……) 最長でも、警備員の次のシフトで交代が来たらバレます! サイは、どうしたいんですか? 脱出を目指すなら、全体マップでルートを決めつつ、外までのアクセス権をハックしますけど」

 

「このブロックだけ誤魔化して、まっすぐ脱出する場合の難易度は?」

 

 俺の質問に、メティスは息を吐いた。

 

「ここの権限で行けるところまで行って、警報が鳴ったら強行突破しかない……。海外の軍事施設と同じだと考えて! 警備室にある銃火器、ありったけ持っていこう! 警備員の制服は逆に怪しまれると思うけど」

 

 ケンイチが、手を上げた。

 

「俺は、警備員に成りすます! とりあえず、着替えるぜ」

 

 いそいそと物陰に行った奴に構わず、メティスに答える。

 

「俺たちは、ケンイチに連れられている体にしよう! 現場責任者と予備でもう1人のIDを持っていけ」

 

「Gotcha!(りょーかい!) このブロックから映像や音声、定時連絡は、もう細工したから……。外のブロックの権限をハックする必要はないんだよね?」

 

「必要ない……。むしろ、異常を検知されるだろ?」

 

 肩をすくめたメティスが、頷いた。

 

「うん……。ここのシステムも分からないし、不自然にアクセス権を求めた途端に、精査されると思う」

 

「全員、銃をもて! 自信がない奴は、無理にしなくていい」

 

 警備員の制服に着替えてきたケンイチを含めて、全員が銃を手に取る。

 

(黒のポリマーで、セミオートマチック……)

 

 警備員に支給されているらしい。

 

 下にライト、上にはドットサイト。

 

 ぴったりと嵌まるホルスターから抜いて構えると、サイトの明るい点が見えた。

 

 右手でグリップを握ったまま、左手で上のスライドを半分だけ後退させる。

 

(装填済み……)

 

 左手を離すと、シャッと小さな音を立てて、スライドが戻った。

 

 グリップの下からマガジンを落とせば、小さな穴を埋めている弾丸で残弾が分かる。

 

 すれる音を聞きつつ、マガジンを嵌め直す。

 

 予備マガジン2つなどの装備をベルトごと、自分の腰で締めた。

 

 他の3人を見ると――

 

 マリナは、手慣れた様子でチェック。

 

 誰もいないほうへ両手で構えたまま、しきりにドットサイトを覗き込んでいる。

 

「ま、仕方ないわね……」

 

 俺の視線が気になったのか、こちらを向いたまま、人さし指を伸ばしたままの片手によるホルスターへの収納。

 

(爪が短い?)

 

 同じく、腰にベルトを締めている。

 

 流れるように動いたマリナは、俺に向き直った。

 

「何かしら?」

 

「実弾なのに、手慣れていると思ってな?」

 

「エアガンが趣味なの……。海外旅行でも、観光客向けの射撃場へ行くわ」

 

 ケンイチが、割り込んできた。

 

「俺も、銃は好きだぜ! 映画みたいに――」

 

 格好つけたドロウを披露したケンイチは、うっかりボタンを押しこんだのか、拳銃のマガジンを落とした。

 

 ゴンッと、重そうな音。

 

「おっと――」

「止まれ! 人差し指をトリガーから離しなさい!」

 

 一呼吸で銃を抜いたマリナが、すぐに銃口を向けられる姿勢のまま、警告した。

 

 中腰で見上げたケンイチは、慌てて言う。

 

「落ち着けって! ほら、これでいいだろ?」

 

 トリガーにかかっていた指を離したケンイチは、立ち上がる。

 

「マガジンは、ないんだぞ? あんまり神経質に――」

「上のスライドを後ろへ引いてみて」

 

 ケンイチが言われた通りにしたら、弾丸が飛び出して、ゴンッと鈍い音。

 

「あ……」

 

「チェンバーに一発! 紛らわしい行動をしたら、警告せずに撃つわよ? いっそ、あなたは銃を持たないべき」

 

 慌てたケンイチは、俺を見る。

 

「サイ、勘弁してくれよ!」

 

「銃の携行は、それぞれで決めろ! ただし、『仲間を撃つ』と疑われる行動をしたときの結果も自己責任だ。ホルスターから抜くなら、覚悟しろ」

 

 ブンブンと首を縦に振ったケンイチが、愛想笑い。

 

「お、おお! 分かってるさ!」

 

 弾丸とマガジンを拾い、セミオートマチックに詰め直した。

 

 余計なことを言われないよう、すぐに腰のホルスターへ収める。

 

(また、トリガーに指がかかってやがる……)

 

 俺は、人差し指と中指をそろえて伸ばしたまま、空中で振った。

 

 メティスが、両手で端末を持っている。

 

「私は、銃を持たない……。どうせ当たらないし、私が発砲する時点でもう終わっているから」

 

 それも、そうだ。




過去作は、こちらです!
https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。