【第三章 滅んでしまった未来に愛を込めて…… 更新中!】宇宙の神秘を詰め込まれてオカルト探偵になった   作:初雪空

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室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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第45話 自宅に帰るまでが潜入任務

 何にせよ、ついに化け物を確認した。

 

 キーンと耳が鳴っていることに構わず、突き出したままの両手で握るハンドガンを握り直す。

 

 人差し指でトリガーを引いていき、パアンッ! という発砲音、銃口が跳ね上がるリコイルが――

 

 ドオオォンッ!

 

 対物ライフルを思わせる轟音が響き、俺の横で連射していたマリナも動きを止めた。

 

 俺の一発は、空薬莢を斜め上へ飛ばしつつ、銃口の先にあった壁の一部をくり抜きつつ、開いたドアから迫ってきた人型のクリーチャーどもを消し飛ばした。

 

 人差し指をトリガーから離して、両手持ちの銃口を下げたマリナが叫ぶ。

 

「なっ! そ、それ、何なの!?」

 

「言ったはずだ……。俺は、魔術師だと」

 

 ワンハンドにした銃口を広くなった入口のほうへ向けて、もう一発。

 

 5体いたゾンビが、再び消し飛ぶ。

 

 あまりの音に、マリナは俺に近いほうの片耳を押さえ、他のメンバーは両手で耳を押さえている。

 

(さて、どうするか……)

 

 魔術的な付与をした弾丸による面制圧をしたが、レトゥス製薬会社は俺たちを脅威に感じたらしい。

 

(海外で時差がある本社の上層部が決断するには、早すぎる! 日本支社のトップも、まだ状況を把握してないんじゃないか? ここの管理AIの独断か、あるいは、このブロックは研究者、警備員、出入り業者を巻き込んで破棄することが前提……)

 

 ブロックごと破棄するにしたって、豪快すぎる。

 

(捕まった経緯はともかく、マリナは専門家だ……。そこは間違いない!)

 

 彼女が真剣に検討している以上、その研究は本物だろう。

 

 しかし――

 

(全て、ダミー! 実験データとサンプルだけ別のブロックで保管すれば、丸損にはならんし)

 

 メティスから受け取った物資の搬出入のリストを見た。

 

(俺は、隠語であるグレープフルーツの調査だな……)

 

 この製薬会社に、用はない。

 

 だいたいの謎が解けた。

 

(世界的な大企業が、オカルトに傾倒した……。いや、オカルトはまだ解明されていない科学にすぎないってか?)

 

 内部から膨れ上がって変形した実験体の後続は、やってこない。

 

 へっぴり腰で銃口を廊下のほうへ向けていたケンイチが、脱力しながら両手を下げる。

 

「あ、諦めたのか?」

 

 すかさず、マリナが警告する。

 

「気をつけて! もう、ここの奴らに知られたのよ!?」

 

 俺のほうを見た。

 

「移動するなら、その威力で外壁に穴でも――」

 ビ――ッ!

 

 ブロック全体に響き渡る、警報音。

 

『Alert: Anomalous activity detected. Full lockdown override initiated, including restricted research zones. All personnel are advised to evacuate to designated shelters immediately, or leave a final message via terminal. This is not a drill.』

 

 英語だ……。

 

 俺がマリナを見たら、端的に答える。

 

「重点区画を含め、ロックを全て解除したって! 今みたいな化け物をぶつける気ね……」

 

 呼吸によって肩を上下させたマリナは、マガジンの残弾をチェックする。

 

 彼女が廊下へ突っ走らないうちに、宣言。

 

「全員、俺の傍に集まってくれ! 脱出する!」

 

 それを聞いて、ワラワラと集合する面々。

 

「どうするの?」

「よく分からねえが、ヤバいんだろ!?」

「……私は戦えないですよ?」

 

「いいから、荷物を持て! 忘れ物をしても、知らんぞ?」

 

 拳銃をホルスターに収納しつつ、全員がバタバタと動き出した。

 

 すぐに、再集合。

 

 パニックになっているケンイチが、叫ぶ。

 

「ど、どうするんだ? 今の壁を吹っ飛ばした攻撃で、外へ逃げるのか?」

 

 俺は、靴底をつけたままで、床をする。

 

 次の瞬間に、俺たちを中心に円が輝いた。

 

 そして、久々に思える市街地に立つ。

 

 街頭のモニターや店から、様々な声とBGM……。

 

「はあっ?」

 

 周りを見たケンイチが、間抜けな声を上げた。

 

 俺は、これが現実か悩んでいる連中に言う。

 

「正真正銘の外だぞ? あとは解散するが……。銃を持っているやつは、忘れずに処分するか捨てておけよ?」

 

 背中を向けた俺は、周りの視線を集めつつ、足早に歩道を進む。

 

(ホルスターが、腰の横で剥き出しだ……)

 

 予備のマガジンのホルダーもあり、警察官のような状態。

 

 しかし、日本のモデルガンは、本物に近いのだ。

 実銃を持っているとは、夢に思わない。

 

 堂々としていれば、サバゲー、コスプレ好きで自己完結するだろう。

 

 後ろの連中も、大慌てで散っていく気配。

 

(外に出るまで……だったからな?)

 

 今日は、俺の運勢が悪い日のようだ。

 

 国家権力と出会った。

 

 パトロール中の休憩なのか、警官2人は立ち止まり、話している。

 

(怯えたり、向きを変えて逃げたりすれば、余計に目立つか……)

 

 慌ててホルスターを隠すのも、怪しすぎる。

 

 前を向いたまま、道端にいる彼らの横を通りすぎた。

 

「ベルトにホルスターがある人! 君だよ、君! そこで止まりなさい!」

 

 仕事熱心だねえ……。

 

 周りの注目を浴びつつ、足を止めた。

 

 声をかけられたほうへ振り返るのを利用して、歩道に靴底をする。

 

 その動きで魔術のゲートを発動させたら、ムワッとする湿気に包まれた。

 

 綾ノ瀬(あやのせ)奈々美(ななみ)が、俺を見上げる。

 

『お、おかえりなさい……』

 

『ただいま』

 

 とっさにしゃがみ、正面で両手をクロスしたままの奈々美は、恥ずかしそうに指摘する。

 

『あの……今度から、こういうのは止めてくださいね?』

 

『悪い! 少し、場所がズレた』

 

『いえ、土足で入られると困るので……』

 

 そっちかい!




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