【第三章 滅んでしまった未来に愛を込めて…… 更新中!】宇宙の神秘を詰め込まれてオカルト探偵になった   作:初雪空

48 / 48
室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
https://hatuyuki-ku.com/?p=707


第48話 「現代医学が気づかないわけがないんだよ、そもそも」

『以前に報道しました、大学教授を含めた10名を超える失踪者が最後に訪れたであろう村が、消滅した模様! 住人が消えたことで地元警察が立ち入っていますが――』

 

『Retus Pharmaceuticals' storage facility was targeted in an attack, leading to the loss of some materials and sensitive data, according to reports.』

 

 終わった……。

 

 振り返ってみれば、単純な事件だったが。

 

「まあ、知らないと無理ゲーだな?」

 

 独白した俺は、観察特区にある魔法学校の敷地へ足を踏み入れた。

 

 通りがかった生徒が、ギョッとした表情で足早に立ち去るか、周りの友人と固まる。

 

(すっかり、恐れられた……)

 

 生徒会室で、警察の女捜査員にいきなり発砲した男子だ。

 

 面構えが違う。

 

(おまけに、特区の外でJKビジネスの幹部だったと?)

 

 むしろ解決したほうだが、他のやつらは面白ければいい。

 

 みんなが言ってるから。

 

 俺、私に、責任はない……。

 

(アホらし! 衆愚政治が、唯一のベターか! 大事なのは後援者だけ)

 

 政治家の気分を味わいつつ、顔に縦線が入った(いずみ)佳乃(よしの)を引き連れた天城(あまぎ)梨理香(りりか)と向き合う。

 

 梨理香は、俺を見上げたまま、ポツリと呟く。

 

「ニュースを見ました……。私の中で結論は出ましたが、みなさんには説明が必要でしょう」

 

 私も、詳しい話を聞きたいです。

 

 付け加えた梨理香に対して、佳乃が呟く。

 

「春を売るクラブに続き、世界的な製薬会社への襲撃ぃ……」

 

 警官への銃撃もあるぞ? 忘れるな!

 

 心の中で突っ込みつつ、生徒会室を目指す。

 

 やがて、海外ドラマか、ベンチャー企業がありそうな生徒会室へ。

 

 

 すでに、全員が集まっていた。

 

 生徒会長の安倍(あべ)良高(よしたか)が、テーブルの上座で言う。

 

「よく来てくれた……。とりあえず、座ってくれ」

 

 思っていたよりも、穏やかなスタートだ。

 

 俺が銃撃した警官である(いな)真夕(まゆ)は、顔が引きつっている。

 

「今日は、銃を持っているの?」

「……次にやるなら、発動したことも分からない魔術です」

 

 口元がピクピクしている真夕は、指摘する。

 

「あなたを収容した警察署が、いきなり崩壊したんだけど? 物理的に」

「コンクリの経年劣化でしょう! 拘置所に入れた市民を製薬会社の違法実験に売り飛ばす警察署があるはずない。だったら、俺がそんな報復をする必要もない。……違いますか?」

 

 黙り込んだ真夕に、付け加える。

 

「先に言っておきますが、俺を再起不能か、殺せば、妹の水鏡(すいきょう)アレーテが無差別に暴れるでしょう。物理的な攻撃では、こいつを止められません。あと――」

「疑わしい殺傷であれば、私も許しませんよ?」

 

 綾ノ瀬(あやのせ)奈々美(ななみ)も、釘を刺した。

 

 すかさず、梨理香が告げる。

 

「私も、(さい)さんの肩を持ちます……」

 

「ハイハイ! 黙れば、いいんでしょ!?」

 

 ため息をついた、真夕。

 

 その隣に座っている京本(きょうもと)香穂(かほ)が、説明する。

 

「ここでの銃撃だけど、警視庁は書類送検をせず、検察もだんまり!」

「……世界的な製薬会社を殲滅できるやつ、どこも敵に回したくないわよ」

 

 真夕が、不貞腐れた声でかぶせた。

 

 香穂は、話し続ける。

 

「結論から言うと、私たちは不干渉! 銃撃事件がなかったことにされたの! 君を売ったことがバレれば、うちもタダでは済まないし」

 

「警察の上層部は保身第一で、自分の命がヤバいとなれば、こんなものよ! 君1人でやったとは思えず、背後関係を怖がっている感じ……。どうせ特区にいるなら、わざわざ刺激する必要はないってこと」

 

 真夕は、俺をジッと見ている。

 

「もみ消してくれた礼に、1つだけ教えます! レトゥス製薬会社の日本支社に、超常的な連中が収容されていました。俺が暴れたことで、そいつらを解放して、結果的に支社が滅びた流れ……。USにある本社がやられたのも、その仕業だと思います」

 

 表情を変えた真夕が、質問する。

 

「大丈夫なの?」

 

「たぶん……。俺と戦う気がないから、USへ行ったんじゃないですか? あとは、そいつらに聞いてください」

 

 ここで、生徒会長の良高が言う。

 

「水鏡くん! 警察が許しても、うちの判断がある……。君の話を聞いたあとに決めるつもりだ! バラバラに返事をすれば、かえって混乱する。結論を述べた後で、時系列に沿って説明したまえ」

 

「分かりました……」

 

 息を吐いた後で、用意されたコーヒーを飲む。

 

「結論から述べると、天城の依頼は完了しました! レトゥス製薬会社の日本支社に何があったのか? それは、人を化け物に変える薬品の研究でした」

 

 俺に注目している全員の雰囲気が、変わった。

 

「さっき話した、超常的な存在……。天城の未来予知が合っているとしても、前提が間違っていた。月面に建設される『アルカディア』で開発されたんじゃなく、そもそも地球上にあっただけ! 因果関係は、逆だった」

 

「そんな!?」

 

 思わず立ち上がった梨理香に、視線が集まる。

 

「秘密が漏れずに隔離できる場所で研究したかったから、月面へ運んだ……。未来のレトゥス製薬会社がどうなったか知らんが、正直に言っても信用されんだろうし、戦犯として会社や告発したやつの人生が終わるだけ」

 

「ですが!」

 

「現代医学を舐めるな! お前は『アルカディアからの帰還者に対し、徹底した防疫、隔離をした』と言ったよな? 未知のウイルスでも、既存とのパターン不一致か、怪しい挙動をしている細菌なりがあると判明しなければ、おかしいんだよ! それで、『彼らは安全です』と言うわけないだろ?」

 

 盲点だったらしく、梨理香はポカンと口を開けた。

 

 なまじ頭がいいだけに、こういう話には弱いらしい。

 

「あああぁ……」

 

 脱力した流れで自分の席に座りつつ、両手で頭を抱えた梨理香。




過去作は、こちらです!
https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ドルオタゴリラ呪術師とリアルロシアンルーレットチンチクリン(作者:カフェイン中毒)(原作:呪術廻戦)

 東堂葵の性格以外が全てストライクな一般ワイルドvs彼女の見た目以外が全てストライクな東堂葵 ファイッ!


総合評価:12038/評価:8.76/連載:32話/更新日時:2026年04月09日(木) 18:13 小説情報

ロック・リー転生伝(作者:六亭猪口杯)(原作:NARUTO)

▼別作品の息抜きがてらに今更初めてNARUTOを読んだため初投稿()です。▼よくあるいつの間にか転生憑依もの+独自解釈、設定を含みますので苦手な方はブラウザバック願います。▼主にチャクラ・スタミナ周りとロック・リーの才能周り、忍術の解釈等に独自設定、捏造がてんこ盛りになってますのでご容赦頂けますと幸いです。


総合評価:26908/評価:8.83/連載:30話/更新日時:2026年05月14日(木) 07:23 小説情報

ワイ「やろうと思えば何でもできる不思議パワーが使える種族に転生したから色んなモノ模倣してみるわ」(作者:rikka)(原作:葬送のフリーレン)

目が覚めたら身体が小さくなっていた▼目が覚めたら頭に角が生えていた▼目が覚めたら『魔法』が使えるようになっていた


総合評価:34332/評価:8.8/連載:30話/更新日時:2026年05月12日(火) 19:04 小説情報

落第騎士の英雄譚 意識低い系風味(作者:一般落第騎士)(原作:落第騎士の英雄譚)

いかなる分野においても、上に立つ者は強靭な意思を持ち、血の滲むような努力を重ねている。▼―――そんなものは幻想だ。▼真の天才には努力など必要ない。▼


総合評価:73984/評価:9.38/連載:25話/更新日時:2026年05月03日(日) 23:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>