【第三章 滅んでしまった未来に愛を込めて…… 更新中!】宇宙の神秘を詰め込まれてオカルト探偵になった   作:初雪空

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室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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第5話 進行する濡れ場と生徒会の訴え

 本川(ほんがわ)高校への通学ルートの1つ。

 

 最寄駅から近い公園がある。

 誰も気に留めず、ボール遊びができそうもない狭さ。

 

 最近の都心は、行政が責任を問われないよう、遊具を撤去している。

 子供は家の中でスマホをいじっていろ! という無言のアピール。

 

 ついでに、ホームレスを排除するためにベンチの真ん中に肘掛けを作るなどの嫌がらせも欠かさない。

 

 ベンチで横になれないように……。

 

 ともあれ、街灯でぼんやりと照らされる地面は、どこかの舞台のようだ。

 

 スマホをもっている本川高校のセーラー服が、チラリと見える。

 

 こそこそと近づいた男に話しかけられ、スマホを見せ合うも、やがて女子だけ公衆トイレへ入った。

 

 遅れて、話しかけた男も。

 

 暗がりを伝うように、男たちが集まってきた。

 

 行儀正しく、公衆トイレに入っては出てくる。

 

 たまに、別の女子も……。

 

 どうやら、駅のトイレが掃除か故障中のようだ。

 

 せまい空間で、くぐもった声が響く。

 グチュグチュという水音も。

 

 着古したジャージ姿のおっさんが、夜に賑わう公園に近づいた。

 

 順番待ちの男たちは緊張するも、汚らしい中年男に興味をなくす。

 

 ここで見張っている地回りは、そいつが割り込まない限り、声をかける気はない。

 

 スケベそうな中年男は、髭が生えている顔で、公衆トイレのほうを見た。

 

 ジッと眺めていたが、サンダルを引きずりながら、立ち去る。

 金がないのか、時間がかかるのを嫌がったのか?

 

 誰も、おっさんを気にしない。

 

 立ち止まった中年男は、一度だけ振り向いた。

 

 けれど、どこかへ消えていく。

 

 

 ◇

 

 

 水鏡(すいきょう)アレーテは、昼の本川高校で外を歩く中年男に気づいた。

 

 着古したジャージで、首に汚れたタオルを下げている。

 

 一緒にいた女子が、その視線をたどり、すぐに教える。

 

「ああ、用務員の人だよ!」

「……私、嫌い」

「別に、話す必要はないのだし」

 

 ずっと見つめているアレーテに気づいたのか、おっさんは卑屈な笑みで頭を下げた。

 

 彼は外にいるため、すぐに歩き出し、視界から消える。

 

「あの人は、やっぱり住み込みですの?」

 

 アレーテの質問に、立ち止まっていた女子グループがざわついた。

 

「えっ!? や、やめておいたほうがいいって!」

「アーちゃん、うちで人気があるんだよ?」

「好みの男子と話したら、正気に戻りそう……」

 

 ピンポン、パンポーン!

 

『生徒会より、お知らせです……。1年2組の水鏡さんがいましたら、すぐに生徒会室まで来てください』

 

 いきなりの校内放送。

 

 女子グループは、アレーテに生徒会室の場所を教えた。

 

 

 ――生徒会室

 

 水鏡アレーテは、ノックをしたあとに招かれた。

 

 公立高校としてよくある、小会議室を立派にしたような間取り。

 

 引き戸をガラガラと閉めた女教師が、アレーテに言う。

 

「2組の担任をしている浅岡(あさおか)あいか……。さすがに、覚えているわね?」

 

「ええ、もちろん……」

 

 20代だと、見ただけで分かる。

 

(ずいぶん、若いですわね?)

 

 女物のスーツを着ていても色気があり、男好きのする顔だ。

 

 長い髪をストレートにしている。

 

 ゆきは、窓がある上座のほうを示した。

 

 中央にある長机を並べたテーブルの奥には、長い黒髪をした、いかにも清楚で優等生に思える女子が座っている。

 

 赤が強い茶色で、興味深そうにアレーテを見ていた。

 

「生徒会長をしている、3年の古波津(こはつ)百合(ゆり)……。うちで続いている行方不明、知っているでしょ?」

 

 アレーテは出すべきカードが分からず、守りを選んだ。

 

「スマホで、11人ぐらいが失踪したと……」

 

 立ち上がった百合は、電気ポットとお茶のパックなどが置かれたスペースに歩み寄る。

 

「コーヒーと紅茶、どっちにする?」

「すぐにできるほうで……」

 

 あいかは、適当な椅子に座った。

 

 返事をしたアレーテも、2人と距離を置いた席へ。

 

 紙コップでコーヒーを置いた百合は、上座の定位置に。

 

「それでね? 失踪した女子の一部は、駅の近くにある公園にいたの!」

「警察に通報しては?」

 

 当たり前の指摘に、百合は首を横に振った。

 

「相談したけど、相手にされなくて……」

 

「いつも見つかるわけじゃないし、警察も気が向いたら見回るぐらいだわ! 私も見回ったけど、いつも汚れている場所」

 

 呆れたように言ったのは、あいか。

 

 コーヒーを口にしたアレーテは、安いインスタントに特有の焼いたイモのような甘さを感じつつ、問い直す。

 

「わたくしは、ただの転入生ですわ! 怖い話ですが、何をしろと?」

 

 顔を見合わせた2人のうち、百合が訴える。

 

「うちで住み込みの用務員、木佐久(きさく)さんが、公園にいる女子と会っていたようで……。いつも暗がりに突っ立って、ジトーッと見たままで、怖いの! 何を考えているのか、分からない」

 

「それこそ、警察に言うべきですわ! 何でしたら、わたくしが――」

「待って! 証拠がないと相手にされない! 木佐久が拘留されても、誘拐などで立件できないと逆に危険! 仲間がいないとも限らない。木佐久に聞きたくても、古波津さんが言ったように見ているだけで」

 

 あいかが、叫んだ。

 

 さらに、ジッと見てくる。

 

「水鏡さん? あなた、綾ノ瀬(あやのせ)の依頼で来たのよね? 心配しないで! そちらの筋から連絡があったの! 1人では危険だから、捜査に協力してくれって」




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