【第四章 かわらぬ挨拶をもう一度のスタート!】宇宙の神秘を詰め込まれてオカルト探偵になった   作:初雪空

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指名手配となった室矢重遠は、どこへ!?
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第51話 俺にとってはエピローグの会話

「妹がご迷惑をおかけしてしまい、深くお詫び申し上げます……」

 

 クラウディア・マルガレータ・エルデルと名乗った女は、頭を下げた。

 

 ダークブラウンの瞳で、同じ色の髪を清楚な雰囲気のショートボブ。

 最初に見かけた印象の通り、20代半ば。

 

 その妹、女子高生のルイゼ・マルガレータ・エルデルは、うんざりした様子だ。

 

 ライトブラウンのボブだが、全体的に丸みを帯びた感じ。

 同じ色の瞳は、俺をジトッと見たまま。

 

(ゲーム屋で、いきなり俺に銃口を向けた犯人でもある……)

 

 私服ではあるが、護身用の拳銃を持っている可能性が高い。

 

 今は綾ノ瀬(あやのせ)奈々美(ななみ)の自宅である、高級住宅街の戸建て、そのリビングだ。

 

 応接セットを兼ねたソファに座っており、この姉妹と、それ以外でグループ化。

 

 俺と水鏡(すいきょう)アレーテ、さらに奈々美とその兄。

 綾ノ瀬一京(いっきょう)が、リーダーとして発言する。

 

「事情は、そこにいる水鏡くんから聞きました……。ここが観察特区であろうと、いきなり銃口を向けられたことは、警察に通報するべき話です。あるいは、US軍や大使館への抗議」

 

 クラウディアは、畏縮する。

 

「お言葉、ごもっともです! どのようにお考えですか? こちらは、それに合わせます」

 

 全員の視線が、俺に集中した。

 

(まあ、当然か……)

 

 色々な思惑が絡まった視線を感じつつ、発言する。

 

「最初にハッキリさせておきたいのは、ルイゼさんが俺に銃口を向けた理由です。発作的に銃を抜くようでは、軍人失格どころか、銃を取り上げるべきだと思います」

 

 俺の提案で、今度はルイゼに視線が集まった。

 

 座ったままで身を縮めた彼女に、姉のクラウディアが庇う。

 

「ル、ルイゼは、ある事情で不安定になっており――」

「いいよ、お姉ちゃん! 水鏡くんは、どうすれば納得するの?」

 

 笑顔を作ったルイゼは、首をかしげた。

 

 俺は、その隣に座っているクラウディアを見てから、ルイゼに視線を移す。

 

「取り上げるべきだと――」

「Please, don't! I'm begging you!!(やめてっ! お願い!!)」

 

 絶叫したルイゼが、隣のクラウディアに抱きつく。

 

 理解できない面々は、対応に困ったようだ。

 

 横から抱きつかれたクラウディアは、ソファで座ったまま、妹を抱きしめる。

 

 その視線を感じつつ、言い直す。

 

「なら、ルイゼさんが俺とデートしてください!」

 

 あまりの落差に、全員の顔が不安定になった。

 

 向かい合って座る姉妹も、それぞれに困惑する。

 

 姉のクラウディアが、代表して質問する。

 

「あ、あの……。理由を説明していただいても――」

「お姉ちゃん? 私は、それでいいから」

 

 再び笑顔になったルイゼは、俺に言う。

 

「早く言ってよ? とりあえず、アプリの連絡先でいいかな?」

 

 全員が悩む中で、ルイゼは自分のスマホを取り出した。

 

 

 ◇

 

 

「お待たせ!」

 

 ルイゼ・マルガレータ・エルデルが、私服でやってきた。

 

「今日は、暑いな……」

 

 数回目のデートで、だいぶ慣れた。

 

 別の女の声が、割り込む。

 

「こんにちは……。毎回、私が付き添うのは――」

「お姉ちゃんも、楽しいよね?」

 

 何とも言えない表情のクラウディアは、息を吐いた。

 

「ルイゼ……。いい加減にして! 水鏡くんと付き合うなら、自分で向き合いなさい」

 

 姉の腕に抱きついたルイゼが、首を横に振る。

 

「嫌だよ! お姉ちゃんも、一緒!!」

「ハアッ……」

 

 頭痛がするように首を振る、クラウディア。

 

 俺は、提案する。

 

「次は、2人で遊びに行きます! エルデルさんにご迷惑をおかけしました」

 

「こちらこそ、妹が迷惑をかけました……。ルイゼ? 分かったわね?」

 

 正面から向き合った姉の説得に、ルイゼはしぶしぶ頷いた。

 

「うん……」

 

 

 ――大型のテーマパーク

 

 老若男女で賑わう、広大な場所。

 

 陽気なBGM。

 

 いつもより豪華な服であるルイゼが、くるりと一回転。

 

「すごいね! 今日は、楽しもう?」

 

「そうだな……」

 

 順番待ちの行列がいたる所にあるが、パスを追加購入したことで、どんどんアトラクションに乗っていく。

 

 クラウディアはいないが、ルイゼに気にする素振りはない。

 あっという間にランチタイムで、楽しそうな彼女と食事をする。

 

 こちらでも、お金を気にせずに特別席だ。

 

(遠くから、視線を感じる……)

 

 気にしないように演技をしつつ、ウキウキしているルイゼと食べさせ合う。

 

「楽しい! もっと早く、こうしていれば良かったな……」

 

 遠くを見たままで息を吐いたルイゼが、こちらを見た。

 

「ねえ、(さい)? 私の恋人になってよ! それなら、みんな幸せ……」

 

「いつまで、続ける気だ?」

 

 俺の指摘に、ルイゼの表情にドロッとしたものが混ざる。

 

「お姉ちゃんと才がいれば、それでいい……。正直なところ、同じ反応ばかりで飽き飽きしていたんだ! これまでは、ずっと君を警戒していたし、邪魔されたけど」

 

 ニパーッとした彼女は、あっけらかんと言う。

 

「私たち3人で、いつまでも幸せに過ごそ? それ以外だったら、好きにしていいよ? 才も、本当はやってみたいことがあるんじゃない? やりたい放題だよ!」

 

 立ち上がったルイゼは、俺の耳元で囁く。

 

――どうせ、全てなかったことになるんだし




過去作は、こちらです!
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