【第四章 かわらぬ挨拶をもう一度のスタート!】宇宙の神秘を詰め込まれてオカルト探偵になった   作:初雪空

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指名手配となった室矢重遠は、どこへ!?
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第54話 愛国者

 広いテーマパークで、何事もなかったように楽しむ。

 

 ルイゼ・マルガレータ・エルデルは、上機嫌だ。

 

 午後も、瞬く間に過ぎた……。

 

 やがて日が暮れて、夜のイルミネーションを活かしたイベントが始まる。

 中央にある城のような建築物で、スタッフ用の通路を通って、誰もいない高所へ。

 

 夜空では、ドンドンと花火が鳴って、明るい花を咲かせている。

 

「綺麗だね!」

「ああ……」

 

 隣り合って座ったまま、距離がゼロになった。

 

 上気した顔のルイゼが、まくし立てる。

 

「これから、2人で……お姉ちゃんとの3人で、ずっと幸せに暮らそう!」

「もう、やめないか?」

 

 俺の反論に、ルイゼは笑顔のまま、雰囲気を変えた。

 

「そんなこと、言わないでよ! 私だけじゃ不公平だし、(さい)のやりたいことも叶えて――」

「俺は、1つだけ守っていることがある」

 

 口を閉じたルイゼが、静かに聞く。

 

 それを見た俺は、端的に言う。

 

「比例原則だ……。拳には拳、鉄パイプには警棒、拳銃に拳銃! でなければ、来週には今の文明と人類を滅ぼしているだろう」

 

「すごい! それだけの力があるなら――」

「魔術師である俺にとって、排除するべきは同じ魔術だ」

 

 苦笑したルイゼが、提案する。

 

「私じゃ、足りない?」

「……そういう問題じゃない。あと、1つだけ聞いておきたい!」

 

「ん……。いいよ?」

 

 呼吸を整えた後で、尋ねる。

 

「お前は、USが好きか?」

 

 キョトンとしたルイゼは、やがて頷く。

 

「う、うん……。お姉ちゃんの件はあるけど、私たちの母国だし。悪いのは敵だから」

 

 不思議そうに見つめられた状態で、俺は息を吐いた。

 

 …………

 

 …………

 

(そうか……)

 

 耐えきれなくなったルイゼが、質問してくる。

 

「えっと……。才は、どうしたいの?」

 

「俺は、お前を止める」

 

 至近距離で目を見張ったルイゼが、落胆した表情へ。

 

「本当に、残念!」

 

 ほぼ同時に、パンッ! という音。

 

 けれど、銃口を押し付けられての発砲でも、俺は倒れない。

 

 とっさに後ろへ飛んだルイゼは、両手で握った小型のリボルバーを連射。

 

 パンパンパンッ!

 

 そのどれもが、俺の体にめり込む前に消えた。

 

 英語で何かを叫んだルイゼは、残り一発を撃ちながら、その間に下へ降りられる空間へ逃げ込む。

 

 俺がその後を追えば、残弾がなくなったリボルバーが捨ててある。

 

 反響している足音が、小さくなる。

 

 息を吐いて、背中を向けた。

 

 

 建物の外へ出た俺は、あっさり飛び降りる。

 

 ふわりと降り立ち、驚く周囲に構わず、ルイゼを探す。

 

 ババババと、先ほどよりも重い発砲音が重なった。

 

 同時に、周りの群衆が倒れて、絶叫する。

 

(アサルトライフルで、連射しているようだ……)

 

 夜の暗闇に赤や青の光がぼんやりと照らしつつ、逃げ惑う群衆を照らし出す。

 

 マガジン交換による休憩をはさみつつ、やがて銃撃が止まる。

 

 弾切れと思えば、ドシュンドシュンと、アクチュエーターのような足音。

 

 すでに誰もいない、明るいBGMだけが流れている歩道で、暗がりに、2mぐらいのゴツい人影が近づいてきた。

 

 倒れている客を、手羽先のように踏み潰しつつ……。

 

『ねえ! 考え直してよ!? 才にいて欲しいの!』

 

 この惨状と、軍用と思われるパワードスーツとは真逆の、女子高生の声。

 

 会話だけを聞けば、ただの痴話喧嘩。

 

 装着するように乗り込むタイプで、ルイゼが乗っているとは分からず。

 

「気が済んだか?」

 

 生身だが服すら汚れていない俺が踏み出せば、重厚なパワードスーツが後ずさった。

 

『こ、来ないで! 撃つよ!?』

 

 片腕で構えた、物干し竿のようなロングバレルは、地面に設置するタイプの対物ライフルだ。

 

(しかも、単発式か?)

 

 横に突き出たコッキングレバーも大きく、ボルトアクション式らしい。

 

 本来は、スコープをつけて、長距離狙撃という名の粉砕。

 威力と入手のしやすさで、パワードスーツ用でも使われている。

 

 けれど、ドオオンッ! と大砲のような音を響かせた対物ライフルは、そのビール瓶のような弾頭がやはり俺の前で消滅した。

 

 弾丸の衝撃波だけで、周りの地形を変えながら……。

 

『くっ!』

 

 慌てて、コッキングレバーを後ろに大きく引こうとするパワードスーツは、俺の魔術で片膝、もう片方の膝もつく。

 

 対物ライフルを杖のように立てるも、耐えきれずに後ろへ倒れた。

 

 緊急措置か、バシュッと前面の装甲が開く。

 

 ハアハアッと息を荒げるルイゼは、仰向けのまま、俺をにらむ。

 

「私には、指一本、触れられなかった……。代わりに、お姉ちゃんが酷いことをされたの! どれだけ頼んでも、それを見続けることしか許されなかった」

 

「そうか……」

 

 何も聞かずに相槌を打った俺に、ルイゼが訴える。

 

「それでも、ダメなの!? 私たち姉妹が、うちの部隊が何をしたって言うの? 答えてよ、才! 私には、お姉ちゃんと一緒に過ごすことも許されないの!?」

 

 けれど、何かに気づいたように、ハッとする。

 

 1人で納得して、雰囲気を変えた。

 

「うん……。才なら、いいよ?」

 

 暗いテーマパークの一角で、ドンッ! という重い音が響いた。

 

 

 ◇

 

 

 タンタンッ! パアンッ!

 

 様々な発砲音が響く、野外のシューティングレンジ。

 

 邪魔にならない端を歩いた俺は、上にだけ屋根があるテントへ。

 

 長机とセットのパイプ椅子に座っていた、金髪碧眼でメガネをかけた中年男が顔を上げる。

 

「才! 珍しいな、君がここへ来るとは?」

 

「大尉、用意してもらいたい物がある」

 

 鷹揚にうなずいた大尉は、座ったままで言う。

 

「他ならぬ、君の頼みだ……。言いたまえ」

 

「M型パワードスーツの主兵装にも使われている、ボルトアクション式で大型の対物ライフルを一丁! もちろん、弾丸も! スコープや狙撃システムは不要だ」

 

 俺の発言に、大尉はポカンと口を開けた。




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