【第三章 滅んでしまった未来に愛を込めて…… 更新中!】宇宙の神秘を詰め込まれてオカルト探偵になった   作:初雪空

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室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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第7話 淫紋が刻まれたヒロインと、その実行犯についての推理

 水鏡(すいきょう)アレーテは、新しい友人に紹介してもらう形で、1年4組にいる綾ノ瀬(あやのせ)奈々美(ななみ)と会った。

 

 あまり使われない外階段の踊り場で、向き合う。

 

 底辺に近い本川(ほんがわ)高校から浮いている、ザ・お嬢様といった風貌。

 よく手入れされた長い黒髪は、ストレートのまま。

 

 知的な美人といった顔のペール・ブルーの瞳は、困惑ぎみだ。

 

 お行儀よく、体の前で降ろした両手を重ねたままで、問いかける。

 

「1年2組の水鏡さん……。お兄様からの頼みで?」

 

「ええ! わたくしの兄も、じきに転入してきますわ!」

 

 色っぽく息を吐いた奈々美は、首を横に振った。

 

「帰ってください! これ以上、巻き込むわけには……。私は、生徒会長の古波津(こはつ)さん、あなたの担任でもある浅岡(あさおか)先生と連携しています。今日の夜に、駅の近くの公園のトイレへ行って行方不明の女子と会う予定で――」

 

 キリッとした表情で話す奈々美だが、正面から近づいたアレーテがセーラー服の上下の隙間から入れた片手でお腹をなぞられ、腰砕けになった。

 

「ふっ! くうぅうううっ……。やめてください!」

 

 ダウン寸前のボクサーがリングロープにつかまるように、手で体を支える奈々美。

 

 そのせいで、アレーテが差し込んだ手を払えない。

 

 ニタァッと笑ったアレーテは、その片手を動かしながら、指摘する。

 

「こんな状態で? よく、これで日常生活を送れる……。1回いって、楽になりなさい」

 

 お腹の上からさすり続けたら、奈々美が大きく鳴いて、ズルズルと女の子座りに。

 

 ハアハアと息を荒げつつ、時折、ピクッと肩を震わせる。

 

 マラソンを終えたランナーのようになった奈々美に対し、正面でしゃがんだアレーテは奈々美のセーラー服を上下に開き、下腹部を覗き込む。

 

「やめ……て」

 

 弱々しい抵抗の奈々美だが、アレーテは真剣な表情になった。

 

(リアルで淫紋を見たのは、さすがに初めてですわ……)

 

 奈々美の下腹部には大きなハートマークが意匠的に描かれ、プログラムのような古語による条件式もあった。

 

(魔術……ですわね?)

 

 今は奈々美がたっした直後だからか、ネオンのように薄いピンク色に輝いている。

 

(術式は、増幅、解除までの人数? 何ですの、これ?)

 

 アレーテが困惑したのは、淫紋があったからではなく、技術レベルに対して遊びが過ぎるから。

 

 近所のスーパーへ行きたいから、戦闘機に乗るようなもの。

 自転車か、バイク、車で行け! という話だ……。

 

(女子を発情させるだけなら、こんな術式はいらない)

 

 考えられるのは、奈々美の心を折りたい。

 

 抵抗できる状態を残しつつ、ジワジワと堕落させるつもり。

 

(であれば、奈々美はまだ処女! これで経験済みだったら、本当に意味が分からない)

 

 おそらく、本人が言ったばかりの、今夜のトイレ訪問が本命だった。

 

 奈々美のセーラー服の中に頭を突っ込んでいたアレーテは、ようやく顔を出した。

 

「いつから?」

 

 文句を言おうとした奈々美は、整ってきた呼吸のままに思案する。

 

「分かりません……。もしかしたら、この高校で公園のトイレを知っている女子と話した時かも?」

 

「わたくし、この手の問題に詳しいのですよ? その下腹部のマーク、応急処置をしておきます?」

「できるんですか!?」

 

 食い気味に答えた、奈々美。

 

 頷いたアレーテは、笑顔で答える。

 

「ええ! ただし、あくまで応急処置……。本格的な処置は、時間ができてから」

「……お、お願いします!」

 

 鬼気迫る表情の奈々美に対して、アレーテは再び片手を差し込み、淫紋に条件をつけ加える。

 

”ただし、この者が発情する相手は水鏡(さい)だけとする”

 

 これにより、男なら誰にでも股を開くことはない。

 

 下手に術式を崩せば、何が起きるか不明だ。

 追加条件によって無力化するのが、一番。

 

(我ながら、完璧ですわ!)

 

 しかし、すぐ我に返る。

 

「今日の夜に公園のトイレを調査する件は、わたくしが代わりに行います」

 

 目を見張った奈々美は、反対する。

 

「でも!」

 

「あなたの状態は、一時的なもの……。すでに、負けたんです! それより、念のために他の男子に近づいて、ムラムラしないかのテストを」

 

 羞恥の色が残っている奈々美は、アレーテに助けられて、立ち上がった。

 

「わたくしがそのマークを無力化したことは、誰にも言わないでくださいまし! 生徒会長や教師にも! あなたは体を持て余して、今にも転びそうな演技を続けなさい。むろん、実際に抱かれる必要はありません」

 

 アレーテの顔を見た、奈々美。

 

 そのアレーテは、毅然と告げる。

 

「このルールを守れなければ、力づくであなたを回収して終わります」

 

 うつむいた奈々美は、やがて同意する。

 

「分かりました……。テストで問題がなければ、今日はもう早退します。我慢し続けて辛いし、替えのパンツがないですから」

 

 廊下に戻り、近くの男子で色々なテストを行うも、全て異常なし。

 

 ホッとした奈々美は、一気に疲労を感じたらしく、早退を告げた後で、呼んだタクシーに乗って自宅へ向かう。

 

 テストに付き合わされた男子は、勘違いした。

 

 綾ノ瀬は俺に惚れているんだぜ? と友人に自慢しまくったあとで彼氏面になるも、まったく相手にされない結果に……。




過去作は、こちらです!
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