ブルーアーカイブ ポケットの中の戦争   作:龍角散ガム

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社会人になって初めてガンダムシリーズに手を出し、どハマりしてしまいました。

ファースト→逆シャア→閃光のハサウェイ→Z→ジークアクス(劇場版)→ZZ(Gジェネ)→SEED→ジークアクス(地上波)→Destiny→Freedom→UC。

そして、ついに手を出してしまった“ポケットの中の戦争”
戦争の虚しさ、小さな子供の葛藤と成長、けれども続いていく宇宙世紀の戦争。

もうガンダムを見るのが辛くなり、一時視聴を中断。
未だにバーニィロスが心を締め付ける中、妄想が進みに進んでしまったので初投稿です。


勇者の冒険までは何マイル?

 

誰もが眠り静まったミレニアム。

ゲーム開発部の一員である天童アリスは、ゲーム開発で疲れ果てて眠っているモモイ、ミドリ、ユズを横目に窓の外を一人眺めていた。

 

窓の外では、その存在を示すかのように、しかし、決して人々の眠りを妨げないように小さな光が輝きを放っていた。

 

最先端の科学技術を持つミレニアムサイエンススクール。ゲヘナ学園やトリニティ総合学園と比べると治安は良く、政治的問題もさほど起きていない。

発明品やそれらによって引き起こされて発生される事件は多々あるものの、キヴォトスの中では平和な地域であった。

勇者を夢見るアリスは、そんな平和な日常に小さな退屈を覚えていた。

 

魔王軍によって平和を脅かされる市民たち。

そんな魔王軍に対抗すべく、勇者が立ち上がり、世界を平和にしていく。

そんなゲームのような日常が訪れることを願っているのだ。

 

 

瞬間——

 

 

ミレニアムタワーのさらに上空で、空間が歪んだ。

 

まるで何かが世界そのものを削るように、鋭く、静かに。そしてその裂け目からは、鮮やかなピンク色の光がじわじわと広がりはじめた。光は柔らかくも強烈で、見る者の目を奪う。

 

光は次第に輝きを増し、やがて、爆ぜた。

 

轟音とともに、眩い閃光が空を塗り潰す。

アリスはその光景に、奇妙な既視感を覚えていた。

 

——そうだ、これはまるで、あのゲームの冒頭。

 

平和な世界に突如現れる黒い靄。空を覆うように響く魔王の声。裂け目から次々と溢れ出す魔物たち。絶望の中で叫び声を上げる人々。そして、彼らを守るため、勇者が立ち上がる。

 

そう、まるでゲームの導入のような出来事。

心の奥底で願っていた非日常の到来だ。

アリスの瞳が輝きを増す。手に取ったのは、自らの武器、光の剣『スーパーノヴァ』。廊下には異常警報のサイレンが鳴り響いていたが、彼女は迷うことなくその音の中を駆け抜け、外へと飛び出した。

 

再び空を見上げた。

さきほどのピンク色の爆発は、今や遠く、星のように小さくなっていた。魔物が現れる気配もなければ、魔王の声も聞こえない。

 

 

——なんだ、結局は、いつものように誰かの発明品が巻き起こした事件ではないか

 

 

アリスは肩を落とし、明らかに落胆した様子でゲーム開発部の部室へ戻ろうとした。

 

——そのとき、再び空気が揺れた。

 

強烈な風圧がタワーを包み込み、ミレニアム内の建物が、まるで地震に襲われたかのように軋み、揺れる。

だが、窓は一枚も割れず、壁のひとつも崩れはしなかった。

流石はミレニアムサイエンススクールと言ったところか。

 

アリスは再びミレニアムの上空を見上げた。

 

先ほどのピンク色の爆発は、その役目を終えたかのように、光の粒子を残しながら静かに消滅しかけていた。けれど、その中心から最後の意志が絞り出されるように、何かが吐き出された。

 

——閃光。

 

それは彗星のように、音もなく光を放ちながら弧を描き、ミレニアム地区の外れへと落ちていった。

 

 

「アレは・・・・・・まさか、本当に魔王軍の到来ですか!?」

 

 

アリスの胸が高鳴る。

彼女は手にした光の剣《スーパーノヴァ》をぎゅっと握りしめ、駆け出した。

 

ミレニアムの整然とした街並みを抜け、かつて自分が眠っていた廃墟を超え、やがて人工の影すら消えた密林地帯へと足を踏み入れる。

 

既に夜が開けており、木々の隙間から太陽の光が差し込んでくる。鳥のさえずり。虫の羽音。風に揺れる木々の葉擦れの音。高層ビルと鉄の世界だったミレニアム地区とは対照的な、自然に満ちた世界。澄んだ空気がアリスを心地よく染み込ませる。

倒れた丸太を軽やかに飛び越え、絡みつくツタを払いながら、アリスは一歩ずつ確実に進む。

 

周囲の空気が変わった。

 

空気はどこか濁り、先ほどまで感じていた清らかな自然の気配が失われている。これは、自然のものではない。誰かの、あるいは「何か」の意図によって生じた異変。

 

高鳴る胸を押さえつけるようにして、アリスは森の奥へと足を進める。

 

 

「わぁっ……!!」

 

 

突然、視界が開けた。

木々は根こそぎなぎ倒され、大地は抉れ、むき出しになった土が熱気を帯びて湯気を立てている。その中心に、それは存在していた。

 

全高およそ18メートル、重量56.2トン。

全身をくすんだグリーンの塗装に覆われた、圧倒的質量を持つ人型機動兵器。まるでロボットアニメやゲームから飛び出してきたかのような物。

 

アリスは息を飲んだ。

 

それは魔王ではなかった。けれど、それ以上に異質だった。少なくともキヴォトスには存在していない、いや、存在してはならないはずの“物”。

 

だからこそ、アリスの心は抑えきれないほどに震えていた。

 

「すごい……すごいです……!!」

 

それは話題のカイテンジャーのようなポップな外見ではなかった。

 

むしろ無骨で、実戦的だ。

 

腰から延びる露出したチューブ。背中には大型のブースター。右肩には盾のような装甲、左肩には異形の突起物。傍らには、巨大な銃と、斧を模した近接戦闘用の武器。

 

明らかに“戦うため”に作られた兵器だった。

 

抑えきれない衝動のまま、アリスはその倒れた機体へと歩み寄る。

 

 

「熱っ!?」

 

 

機体の足に触れた瞬間、手のひらに熱が走った。火傷を負ったかと思うほどの高温。しかし、それは全体から放たれているわけではなかった。熱源は、主にブースター部分——

 

つまり、落下時に稼働していた証拠。

この機体は、まだ“生きている”。

 

軽度の火傷に顔をしかめながらも、アリスの目は好奇心に満ちていた。恐怖よりも知りたいという欲求のほうが、ずっと強かった。

 

アリスは、倒れているロボットの上へとよじ登ろうとした。そのとき——

 

 

「動くな」

 

 

背後から鋭い声が響いた。

反射的に体がこわばる。ゆっくりと振り返ると、そこには一人の男が立っていた。

 

金髪。瞳は鋭く、警戒心に満ちている。全身にぴったりとフィットしたパイロットスーツ。そして、その手には黒光りする拳銃。

 

銃口は、確かにアリスに向けられていた。

 

 

 

——これが、この物語の始まり。

 

アリスの人生を、大きく、大きく変えることになった出来事。

 

そして。

 

一生忘れることのない、大切な“友達”。

 

バーナード・ワイズマンこと“バーニィ”との、運命の出会いだった。

 

 

 





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