日は昇り、日は墜ちる。そしてまた…   作:お労しや兄上

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初投稿です。
台本形式でいきます。
文学は苦手ですので、温かい目で見ていただければと思いますが、よろしくお願いします。


第一話 日輪

 

しのぶ「日柱様!?」

 

しのぶが目の前の人物の敬称を叫ぶ。

その人物は振り返り、しのぶに向き直る。

しのぶの顔は焦りと絶望が入り混じったような荒れ果てた顔をしていた。

だが、それとは対照的にあまりにも落ち着いたゆったりとした声で、日柱はしのぶに言葉を託す。

 

日柱「カナエを連れて逃げなさい。ここは(ぼく)に任せてください。」

 

そう微笑みかけた。

その微笑みは、しのぶの中の焦りや絶望の感情を拭い取る。

だがそれも完全ではない、しのぶの肩には姉である胡蝶カナエが抱えられている。

既に満身創痍で自力では歩くことすらままならない。

彼女を戦線離脱させるためには、誰かが目の前の敵を足止めしなければならない。

しのぶはその役割を自身が担おうとしていた。

だが、それを止めたのが彼だった。

彼であればもしかしたら…そんな淡い期待を抱くも、それと同じように彼が殺されてしまうかもしれない可能性を湧き上がってしまう。

そんな悩みの途中に、彼女の目の前に何かが迫りくる。

喉元に、金色の何かが迫りくる。

それが何かを理解する前に、その金色の何かは日柱の黒刀に受け止められる。

大きな金属音を立てて金色の何かは動作を止める。

その音の大きさからとてつもない大きな力の衝突であることは簡単に理解できた。

 

???「へぇ、速いね。さっきの柱よりずっと速い。」

 

日柱は黒刀を水平に振りかざし、敵の喉元に刃をかざすもそれは回避される。

敵は日柱を見ながらも常に女性二人に目を向けていた。

だが、それは先ほどの攻撃によって覆る。

敵の首元から血が噴き出す。

敵は目を丸くして、首をなでる。

斬られた。

回避したはずの斬撃が、敵の喉に届いていたのだ。

それには驚きを隠せない。

敵は初めて、男の様子を正面から見つめる。

先ほどまで戦っていた柱とは次元が違う。

それを体感し、考えを改める。

日の出までは時間もない、後ろの女を喰いたいがそうも言っている余裕はない。

直感的にこの男を殺さなければならないと、敵の目つきから油断が消える。

それに呼応するように、日柱の目を据える。

 

日柱「大丈夫、日の出までもそう長くない。君たちを追わせるようなヘマはしないですよ。」

 

そう一声かけると、日柱は一歩で敵の目の前まで迫りくる。

黒刀と金の扇、互いの武器がぶつかりはい激しい衝撃が巻き起こる。

しのぶは先の敵の攻撃に反応ができなかった。

今の自分では時間を稼ぐどころか、足手まといになる。

そう実感した、実感してしまったしのぶは、自身の無力さをかみしめながらカナエを抱えて戦線を離脱する。

日柱の帰還を心の底から願いながら。

 

【日は昇り、日は墜ちる。そしてまた…】

 

鬼殺隊の柱。

鬼殺隊の中でも最高の実力を持つ剣士の呼称だ。

その中でも岩柱と日柱の2人は長年鬼殺隊の柱として戦い抜いてきていた。

故に、鬼殺隊のトップである【お館様】と岩柱である【悲鳴嶼行冥】そして日柱である【小鳥遊輪道】は鬼殺隊の中でも、真に最高位の3人であると認識されていた。

そんな3人は柱合会議の時のみならず、3人で会談することもあった。

今日もそのような集まりであった。

 

お館様「2人とも、よく来てくれたね。任務も忙しいだろうにありがとう。」

 

昨今の鬼の状況の確認であった。

鬼による被害報告は後を絶たず、むしろ増加傾向になってすらいるとのことを聞き、柱2人は顔をしかめる。

簡単な会話を済ませると、2人は屋敷をあとにする。

そして、互いに岩柱な屋敷の庭へと移動する。

お互いに大きく深呼吸をして意識を研ぎ澄ませる。

深く、深く。

意識を水の底に沈み込ませるかのように深くまで巡らせる。

互いにゆっくりと目を開ける。

悲鳴嶼行冥は目が見えない。

が、それでも彼らはある世界に入ろうとしていた。

 

小鳥遊「【透き通る世界】認識できましたか?」

 

悲鳴嶼「…いいえ、まだそういった様子は見れなさそうです。」

 

悲鳴嶼は首を横に振りながら、再度小鳥遊の身体を見つめる。

だが、彼には普段通りの小鳥遊の姿が感じられるだけであった。

小鳥遊は、息をつきながら木刀を持っ立ち上がる。

それに気がついた悲鳴嶼も特殊な形状をした木製の武器を手に持って立ち上がる。

一礼。

次の瞬間、悲鳴嶼は持っていた右の手斧を小鳥遊に向かって振り下ろす。

小鳥遊はその手斧木刀で受け止める。

小鳥遊の武器は刀1本、対する悲鳴嶼は手斧と棘付き木球の2つ。

もう一つの木球を小鳥遊の腹部めがけて叩きつける。

が、その木球が当たることはなかった。

木球は空を裂き、手斧もいつの間にか空を裂いていた。

悲鳴嶼が上を見上げるとそこには、跳んだであろう小鳥遊の姿があった。

飛び上がったはずなのにその動きは、あまりに軽やかで力強さを微塵も感じさせない。

その小鳥遊に向かって手斧を投げつける。

当然のごとく、それを木刀で弾き着地する。

悲鳴嶼は木球につながる鎖を力強く引くことで、手斧を自らの手元に引き戻す。

その隙を見逃さないのが柱だ。

手斧が戻るとほぼ同時に、小鳥遊が木刀を振り下ろす。

 

小鳥遊「日の呼吸 拾弐ノ型 炎舞。」

 

木刀が業火を纏いながら、悲鳴嶼に襲いかかる。

悲鳴嶼は隊服に掠めながらもその攻撃をかろうじて回避する。

だが、小鳥遊の炎舞は斬り下ろしと斬り上げの2連撃である。

その二撃目が再び悲鳴嶼に迫りくる。

2つの武器を攻撃の軌道に合わせることで防御する。

凄まじい衝撃が、悲鳴嶼の両腕に伝播する。

2mを越える巨体が中に舞う。

そんな体制を崩した悲鳴嶼にも容赦なく小鳥遊は迫りくる。

 

小鳥遊「日の呼吸 壱ノ型 円舞。」

 

息づく隙もなく、業炎の斬撃が迫る。

前の斬撃から次が放たれるまでの間には全く隙がなく、まるで一つの型のようにまで感じられる。

だが、悲鳴嶼もこの時代最高クラスの剣士であった。

それにやすやすとやられるような男ではない。

 

悲鳴嶼「岩の呼吸 弐ノ型 天面砕き!」

 

鎖を右足で思い切り踏みつけ、木球を小鳥遊に向けて叩きつける。

2人の攻撃がぶつかり合い、互いに反動で吹き飛んでいく。

着地をして最初に動き始めたのは悲鳴嶼だった。

 

悲鳴嶼「岩の呼吸 壱ノ型 蛇紋岩・双極!」

 

手斧と木球を同時に投げつけて、回転しながら小鳥遊へと襲いかかる。

小鳥遊は身を翻してその攻撃を躱すと、相手に向かって駆けていく。

もちろん悲鳴嶼もそれを良しとはせずに、鎖を巧みに操り、手斧と木球を操り四方八方から小鳥遊に攻撃を仕掛ける。

小鳥遊はその三次元的な攻撃を、的確に躱し、捌き、防御をし悲鳴嶼に迫りくる。

 

小鳥遊「日の呼吸 陸ノ型 日暈の龍・頭舞い。」

 

岩の呼吸の攻撃を躱しながら、小鳥遊は次の型を繰り出す。

流麗な動きはまさに流水のようでありながらも木刀が帯びる業炎は、火竜の如し。

 

悲鳴嶼「岩の呼吸 参ノ型 岩軀の膚!」

 

手斧と木球を鎖で巧みに操り、自身の周囲を攻撃の嵐で埋め付く。

その攻撃回数は凄まじくまさに嵐や攻撃の豪雨とでも呼ぶべきであろう。

そんな攻撃の豪雨の中を、小鳥遊は正面から突き進んでいく。

悲鳴嶼は顔をしかめる。

が、小鳥遊は顔色を一切変えずにその攻撃を掻い潜っていく。

その足捌き、剣捌きで、悲鳴嶼の目の前に踏み込んでくる。

小鳥遊の一太刀を悲鳴嶼が鎖で防ぐ。

しかし、その強力な一撃を鎖が耐えられるはずもなく、砕かれる。

悲鳴嶼の武器の長い鎖が地面に垂れ落ちる。

互いに一呼吸の間をおいた後、お辞儀をする。

これは、2人が時折行なう訓練である。

現在、悲鳴嶼は小鳥遊と定期的に訓練を行います、【透き通る世界】と呼ばれている境地へと辿り着こうとしている。

以前、一度だけその世界に入りかけた覚えがあるという悲鳴嶼の話を聞いてそこから小鳥遊が訓練を行っている。

小鳥遊は【透き通る世界】を認知している。

自分の意志で入ることも可能だとのことだった。

竹水筒で水を飲みながら、今回の特訓の手応えを確認する。

悲鳴嶼は首を横に振り、【透き通る世界】を認知することはできなかったことを伝える。

 

小鳥遊「焦る必要はないですよ。貴方にはまだ時間はあります。」

 

そう言い終えると、咳き込む。

それを見た悲鳴嶼はすぐさま小鳥遊に駆け寄り心配の声を掛ける。

小鳥遊はそれを片手で制し、大きく深呼吸をする。

 

小鳥遊「(ぼく)とは違います。僕は身体も弱い上に、痣も発現してしまった。残された時間は決して長くはないです。」

 

大きく深呼吸を挟みながら、小鳥遊は続ける。

 

小鳥遊「貴方はまだ痣を出してはいません。いや、出さないように出来ている、といったほうが正しいですね。貴方の実力があれば痣がでていてもおかしくはないですから。」

 

そう話すと、小鳥遊の右頬に大きな炎の形をした痣が現れる。

悲鳴嶼がその痣を黙って見つめる。

 

【痣】 出たものの身体能力を向上させる。だが、痣を出したものは25歳までに力尽きてしまう。寿命の前が人でも言うべきだろうか?それが痣と呼ばれる現象だった。

この痣を出したのは現在の鬼殺隊では、小鳥遊のみであった。

そしてその情報は、お館様、悲鳴嶼の2名のみにしか伝えられていない。

痣を出せば避けられない死が待つからだ。

だからこそいたずらに広めるべきではないと小鳥遊は判断した。

小鳥遊は木刀ではなく、日輪刀を取り出す。

そして力を込めて握りしめると、その刀は黒刀から赫刀へと姿を変える。

それを見た小鳥遊は笑みを浮かべて優しく語りかける。

 

小鳥遊「(ぼく)はね、この赫刀と透き通る世界を取得していれば、上弦の鬼にだって負けないと思っているんですよ。」

 

そう言うと、自身の赫刀を見つめながら続ける。

 

小鳥遊「けれども、(ぼく)の赫刀もまだ未熟だと思っています。まだ熱を、色を強く引き出せると思っています。」

 

小鳥遊「まだまだ互いに特訓が必要ですね。」

 

悲鳴嶼「はい。そうですね。」

 

互いに撃ち合った時間はわずかに1分程度だった。

本来であればもっと長く訓練をしたい。

だが、それを小鳥遊は許さなかった。

いや、小鳥遊も長く訓練したい感情はあった。

だがそれを許さなかったのは彼の身体だった。

元々病弱な彼の身体は、現在病に蝕まれている。

その上に元から体力は少なかった。

故に長期戦闘は彼の命そのものを詰みかねない危険な行為であった。

悲鳴嶼は一礼すると一足先に、鬼狩りの仕事をこなしにその場を去る。

一人残された小鳥遊は、すぐに動き出さずに深呼吸をしながら体調を整える。

小鳥遊は、本来であれば戦える身体ではない。

それを可能にしているのが全集中の呼吸であった。

小鳥遊は、常に全集中の呼吸の回復を使用しており、結果的に戦える、動ける身体を維持していた。

30分ほど経ったであろうか?

やがて小鳥遊も腰を上げ、鎹鴉とともに任務へと向かうのだった。

 




日の呼吸の柱がいた世界線の鬼滅の刃ですね。
オリ主タグつけていますが、一応主人公は原作通りの炭治郎です。
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