葉沼櫂 ダーザイン入隊前夜   作:バッセの鼻セレブ

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オフの姿みたいなのばっか書いてる


専用武器が欲しい

特に任務も何もない完全オフの日、その日の鼻セレブ隊の面々はいつものように事務所に集まっていた。

 

皆一様に暇そうに全力でだらけ切っているが、中学生バースセイバー葉沼櫂こと俺はと言いますと、こういう時にこそ溜まった報告書やら事務仕事やらのあれこれをさせられるので謎に忙しい。

 

驚くなかれ、これだけの面々が揃いながらも揃いも揃って社不の佃煮の我らが部隊は雑仕事を全部最年少の俺に放り投げてくるのだ。にわかには信じがたい話である。

 

こんなカス部隊にはさっさと三行半を叩きつけて出来るだけ女性比率の高いキャッキャウフフ系の部隊に行ってモテモテハーレム空間でやれやれ系主人公みたいなムーブをかましてやりたい気持ちがドッと湧いて来ることもある。毎年死者が出る激しい祭りみたいな勢いで湧いて来る。

 

「これ、この前の任務の報告書?凄いじゃん!内容もわかりやすいし流石センスあるねー!尊敬しちゃうなー!」

 

「フフ…任せてくださいよハルさん。このぐらいなら全力の60%ってところっスかね。3分でこの書類の山を平らにしてみせましょうか」

 

「にひひ、君は見込みがあるな」

 

現実はこれですわ。

こんな人を褒める時のさしすせそフル活用のハンコで押したような言葉につい格好つけて強者オーラバリバリの初登場時の◯愚呂みたいなセリフを言いながら働いてしまう。

 

そう、俺はこの低賃金でこき使ってくる銭ゲバエコノミックアニマルの雇い主に逆らえないのだ。理由はひとつ。彼女の胸が大きいから。あと顔が良いから。やべぇふたつだったわ。クソッ…好きだ!

 

「あー、この任務なぁ。この時はっつぁんとこの人員を何人か回してもらったんよな」

 

作った書類を興味無さそうに眺めながらテツさんが口を開いた。

戦闘の事しか頭に無さそうだが、どこにヘルプを頼んだとかは覚えているらしい。

 

「そうっすね。ユニオンの繋がりでヴァイオレットフィズの方々に手伝って貰いました」

 

「あん時、任務終わりのタイミングで東雲の大将が持ってるでっけぇ武器の解説始めてよぉ」

 

「あの人、白夜の事になるとたまにスイッチ入りますよね」

 

「思ったんだわ。俺も専用武器欲しい」

 

「うわめんどくさ」

 

めんどくさい事言い出した。

俺はテツさんが武器を使って戦うところを見たことがない。この人はポケットに財布とタバコを入れる以外は面倒なので荷物を持ち歩かないという頭の悪そうな理由で武器を携帯しないのだ。

しかも財布の中身も金無さすぎてドングリ3個とかだったりする。げっ歯類かと思った。狂ってる。

 

「考えてみれば…はっつぁんも左腕に専用武器あるだろ」

 

「あれは…専用武器って言って良いモノじゃなくないすか」

 

「李白も笛持ってたろ」

 

「多分モテを意識してるんじゃないすかね」

 

「ネビュラのお嬢も鳥投げるだろ」

 

「シンプルに人の心案件すね」

 

「ってわけで今から俺の専用武器の仕様考えてよぉ、本部に報告書と一緒に投げろ。実現可能でコストもそんなにかからなきゃワンチャン作って寄越してくるかもだろ」

 

何故このクソ忙しいタイミングで思いつきで指示を投げてくるのか。というか仕様は自分で考えろよと。こんな人任せなパワーアップイベントある?ワンチャン賭ける?

 

「普通に買うとかじゃダメなんすか。テツさんならメリケンサックみたいな」

 

「普通すぎる…専用感がねぇ。お前のましらみたいなのをなんか考えろ」

 

「何すかその投げっぱなしのジャイアン。ましら様は武器じゃないすよ…」

 

「ワイの屁とか参考になるんちゃうんか?」

 

「普通じゃ無さすぎる…俺にもたまに武器でドヤらせろ」

 

普段から素手で戦うゴリラに何を持たせれば良いのか。森の賢者に相応しい武器の案を部隊の面々から出していく。

 

「専用武器…ワシのパンツみたいなモンじゃな」

 

「お前の武器は金棒だろしっかりしろ」

 

「アタシの剣も専用武器っちゃそうなんだけど、これ盗品なのよねぇ」

 

「返して来い…もしくは俺のためにもう一本パクって来い」

 

驚く程に参考にならない。カスの問答を経てこのままでは埒が明かない事を知り、少しでも話を前に進めるためにそれらしい案を出してみる。

 

「専用武器なんすから、欲しい機能を考えてそれを盛り込んでみたらどうすか?」

 

「ハハァ…冴えてんじゃねぇか」

 

「例えばハルさんの剣は可能性の力を使って光刃を展開して自由に刃渡りを変えれる、でしたよね」

 

「点でなく面で制圧する兵器らしいよ。知らんけど」

 

「知れや…」

 

「白夜もそうですけど、可能性の力を使うってとこがミソですね。ダーザインに頼んだらそういうT軸高めの技術でやってくれそう。なんか希望ないですか?」

 

まずは本人がどういう機能が欲しいかを深掘りしない限りこの不毛な話は終わらないのではないか。どういう機能があったら良いかという問いを投げかけられたテツさんは煙草に火を付けて、天井を虚な目で見ながら思考を巡らせている。

 

「俺の代わりに借金とか返してくんねぇかな」

 

「専用武器に!?」

 

「ファーwwwお前借金あるんかww」

 

「パチンコ行ってんじゃないわよカス」

 

「タレ目はダメ男という奴じゃな」

 

総叩きである。

他にも代わりにタバコ買ってきて欲しい等、武器に付ける機能の話が出てこないのでテツさんから意見を取るだけ無駄、という空気が形成されてきた。

 

「ドリンクバー付いとったら嬉しいで」

 

「専用武器に!?」

 

「これ俺のタバコ買って来るのと発想のレベル変わんなくねぇか」

 

「戦闘中に水分補給したくなる時も…確かにあるんじゃない?」

 

「指から◯ァンタとか出す姿を想像するとまぁまぁ面白いのぉ」

 

代わりに口を開いたアザラシさんの案はドリンクバーをつけて欲しいというものだった。今欲しい物を言う時間じゃねぇ。

 

「Wi-Fiの機能付けてよ」

 

「専用武器に!?」

 

「よその《世界》に行ったとして役に立つんかよそれ」

 

「バッグとか安いのよねぇ」

 

「人の武器使ってメ◯カリ見ようとしとる?」

 

「あとはパンツ奪う機能が欲しいのぉ」

 

「専用武器に!?」

 

・・・・

 

・・

 

 

こうして俺はダーザインに報告書を送るのと一緒に、可能性の力を使う事で

 

・借金返してくれて

・タバコを買ってきてくれて

・ドリンクバーが付いてて

・Wi-Fi付いてて

・道すがらパンツを強奪する

・武器として使うとめっちゃ強い

 

何かを作って欲しい旨の依頼を出した。

 

 

………

 

「天文学的な予算と可能性があれば作れん事ないみたいっすよ」

 

「ハハァ…マジで作ろうとしたんかよ。バカじゃねぇの」

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