無惨様ニコニコで草   作:カラ硝子

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鬼滅の刃の映画を見たせいで、興奮を抑えられず初心者なのに小説に手を出してしまった。後悔しかない。そんな低クオリティでもよければどうぞゆっくりしていってください。


一章 立志編
罪のはじまり


(寒い。寒い。寒い──)

 

 どれだけ耐えれば、この凍える世界から逃れられるのか。

 気づけば、俺はただ寒さに身をすくめ、歯を鳴らしていた。

 

 眠気がじわじわと意識を侵食してくる。

 目を閉じれば、そのまま落ちてしまいそうだ──それでも、寒さは容赦なく体を締め付ける。

 

 気が付けばそこにいたこの世界で、俺は寒さに耐えていた。

 

 

 ……その時だった。

 寒さ以外何も感じないはずだった鼻先をくすぐる、妙に甘く、濃厚で、抗いがたい匂いがどこかから流れ込んできた。

 

 それに合わせて腹の奥がぐう、と鳴る。

 今まで嗅いだどんな料理にも当てはまらないのに、無性に食べたくなる。

 寒さと眠気に曇った脳が、無理やり覚醒させられる感覚。

 

 匂いを辿ろうと、ふらつく頭で目を開け──思い出す。

 

 

 

「……あれ、俺、何してたんだっけ? 鬼滅の映画を見に行って、その後は……って、うわあああっ!!」

 

 視界に飛び込んできたのは、現実感の欠片もない惨状だった。

 

 若い女性。

 壁にもたれかかり、胸から腹にかけて異様な量の血が、まるで獣に抉られたかのような傷から広がる、

 その血は、月明かりを反射して黒く輝いていた。

 女性の瞳は光を失い、絶望の色を貼り付けたまま固まっていた。

 

 視線を逸らすように後ずさる──その瞬間、俺は気づく。

 両手が、服が、頬にまでこびりついた赤黒い血。

 そして、その血の中に映るのは……鬼のような顔をした自分だった。

 

「……俺が、やった……?」

 

 頭が真っ白になる。

 理解を拒むように、反射的に叫んだ。

 

「違う、違う! 俺じゃない!! これは──!」

 

 必死の否定は、誰に向けた言葉だったのか。

 その時、雪を踏みしめる足音が近づいてくる。

 

「……っ!」

 

 この場を見られれば、どう考えても俺が犯人だ。

 人間に捕まれば、通報されて捕まる未来しかない。

 

 俺は反射的に駆け出した。

 まるで獣のように、地面を蹴るたび加速していく。

 自分の体とは思えない速さ──ここで、ようやく悟った。

 

 

 俺は化け物になってしまったのだと。

 

 

 

 数日後。

 

 山の使われていない廃屋で、俺は蹲っていた。

 初めのうちは空腹と吐き気と恐怖で動けなかったが、やっと冷静に考えられる程度には落ち着いた。

 

 記憶を探ると、断片的な映像が浮かんできた。

 

 そこから得られる情報によるとどうやらこの世界は、鬼滅の刃の世界らしい。そして、俺はその鬼として意識だけが憑依して転生してしまったようだ…。

 

 そしてこの体の主はごく最近鬼になったばかりで、あの女性が最初の犠牲者らしい。

 

 鬼になったばかりのはずなのに、人間の頃の記憶は霧がかかったように抜け落ちていて、人間だった頃の人脈や居場所は何一つ思い出せない。

 

 ……試しに血鬼術が使えるかもと思って使ってみたが、何も起きなかった。

 現状俺に残された武器は、鬼滅の刃の原作知識とこの肉体の身体能力だけだ。

 

 

 どうして、こんなことになってしまったのか。

 

 あの日、映画を見て満足して帰宅していた俺は、信号無視のトラックに正面に迫り、そして──それが最後の記憶だ。その後の寒さの中で目覚めた時には、もう鬼としてこの世界にいた。

 

「……最悪だ。本当に、最悪だ」

 

 

 ーー鬼滅の刃の世界。

 

 推していた物語に来られたこと自体は本来なら嬉しいはずだった。けれど、俺は主人公側ではなく、人を喰らう敵──鬼だ。

 

 

 しかも人殺しをしてしまったことで、遅かれ早かれ鬼殺隊が来るだろう。原作の展開を知っているからこそ、このままでは確実に死ぬことも分かる。

 

 ……しかし、あの寒さを味わってしまった以上、二度と死ぬのは御免だ。

 

 

「俺は生きる……たとえ、許されない命なのだとしても…」

 

 罪悪感も、恐怖も、今は胸の奥に押し込める。

 

 たとえこの命は許されざる存在であったとしても、生き抜くために動く。それが、鬼として転生してしまった俺の、唯一の選択肢なのだと信じて。

 

 

 

ーーその日、世界に1匹の異物の鬼が生まれた。




次からは日記形式で進めていく予定です。

皆さんに参考までに聞きたいんですど、このまま原作に沿ったルートにするか、それとも原作から大きく離れ、鬼側無双RTAみたいに展開を早くするかどっちがいいですか?

  • 今まで通り原作準拠で進める
  • 主人公の血鬼術による鬼側無双ルート
  • その他(ifとして後で作る)
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