無惨様ニコニコで草   作:カラ硝子

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 人間牧場の構想が固まったので投下。

 やっぱり主人公視点書きやすいわ。

 槙 秀人さん、20ルピーさん、エクスプローラーさん、柚子檸檬さん、虗さん、みやともさん誤字報告ありがとうございます!


人間牧場計画始動

「……あれ、人間牧場ってまだなかったの……? なのに無惨様に僕を管理人にするように言ったの?……お兄さんってもしかして阿保なの?」

 

 累君から放たれた悪意の無い純粋さゆえに辛辣な言葉が、無限城の歪んだ空間に突き刺さる。

彼の白い瞳には、非難ではなく、心の底からの疑問が浮かんでいた。

 

 彼の前には、俺がお腹を空かせているだろうと気遣って用意した動物の肉と、稀血の傀儡から集めた血は累君が何度か口に含んだものの、そのまま置かれている。本物の家族を自らの手で失ったという事実を思い出した今、彼にとって食欲は二の次なのだろう。

 

隣に座す鳴女さんは、顔の向きひとつ変えない。しかし、その背中から「全くです」という無言の圧力がひしひしと伝わってくるかのようだ。気まずい沈黙が、ただでさえ重く感じる異次元の城の重力となって俺の肩にのしかかる。

 

「い、いや、違うんだ累君! 構想と計画は既にある! けどあまりに壮大すぎて、俺一人の手には余るというだけで……!」

 

慌てて取り繕うが、累君の白い瞳は疑わしげに俺を捉えたままだ。これはいけない。俺は一つ咳払いをして覚悟を決め、二鬼に向き直った。

 

「んんっ!よし、じゃあこれより『人間牧場』計画の具体的な段取りを決めるか。そのためにもまずは、課題の共有が必要だな」

 

俺は指を折り、計画の核心に触れていく。

 

「一つ目、人間を生産するに当たって元となる人間の調達だ。仮に人間を無闇に攫ってしまえば、人が消えたと騒ぎになり鬼殺隊を呼び寄せる。だから狙うのは、戸籍がなく、消えても誰にも探されない者たちになる。浮浪者、孤児、犯罪者……といった足のつかない人間を、俺が傀儡達を通して探す。で、見つけ次第、鳴女さんが俺をそこに送ってもらって傀儡にすればいい」

 

 以前まで傀儡にした人間は俺がその時に命令した内容を無意識になぞるだけで、連絡もこちらからではなく、向こう側のみだった。しかし今回、無惨様から大量の血を得たことにより、血鬼術が進化したのか、血鬼術の血が体に残っている者達に指令を送れるようになったのだ。

 

 なぜそれが出来るのか分かったのかというと、きっかけは些細なことだった。

 俺が無限城から帰還した際に体中が血まみれになってしまい、帰ったら風呂に入りたいと願ったところ、傀儡が既に風呂の準備を完璧に整えていたのだ。

 

 傀儡になぜわかったのか聞くと、頭の中に俺の声が響いたかららしい。俺は疑問に思い、近くにいた他の傀儡を意識してこちらに来るように試してみた。すると、なんと俺が今住んでいる家に本当に来たのだった。その後も何回か実験をしてみたが、やはり俺の血が残っている者はきちんと指令ができるようで、傀儡にした鬼殺隊士や隠も操作できるようになった。

 

 既に以前、刀鍛冶の里に行くよう命じた隊士によって刀鍛冶の里の場所は把握済み、あとはこれで産屋敷邸が見つかれば時間の問題だった。さすがに人間の視界などで景色を見たり、五感を感じる事は出来なかったが、これでだいぶ血鬼術に幅が効かせられるようになった。

 

 日本全土に蜘蛛の巣のように張り巡らされた、自分だけが感じられる神経網と言えばいいのか。数えきれない傀儡たちの存在が、常に意識の片隅で微かなノイズとして響いている。この力があれば、青い彼岸花も見つかる日もそう遠くはないだろう。

 

 遠のいていた意識を目の前に戻し、次の話題へと移る。

 

「次に二つ目、そして最大の課題が()()だ。どこで人間らを管理し、繁殖させるか」

 

 一応以前から考えていた三つの案を提示する。

 

「第一案は『隔離集落方式』だ。人里離れた山奥にこっそり村を作り、そこで人間達で自給自足させる。もちろん無理があれば、俺の傀儡で補助する。傀儡にした医者を地方医として置いて、定期的に血を採取したり、不要な臓器を取り出して食糧にする。それでも足りなければ、村が安定して人間を生産できるとなった後、その村の独自の風習として()()()()()の儀式を創り上げ、月に一度、幾人かの人間を出荷するという制度を確立する。こうすれば村全体が閉鎖された箱庭になるし、仮に外部から人間が来ても情報漏洩の危険は極めて低いと思う」

 

「第二案、『無限城方式』。鳴女さんの力で対象を無限城に転移させ、この城の一角で管理するという方法だ。一応俺が考えた中で安全性は最も高いんだけど……」

 

俺が言い淀んだ瞬間、俺に対する殺意と空気を切り裂くように鋭い琵琶の音が響いた。

 

【ベベンッ!】

 

「……はい、この案は鳴女さんの多大な負担と、何よりその御心を煩わせる。故にこれは最終手段にしたいと考えています」

 

鳴女さんの無言の抗議を受け、俺は即座に次の案へ移る。

 

「第三案は、『地下施設方式』……。だけど、地下世界を作れるような血鬼術を持つ鬼ならばともかく、今はそんな鬼はいない。なので地下に空間を作るっていう大規模な工事を人知れず行うのは現実的じゃないから…さすがに現時点では難しいかな」

 

説明を終え、俺は二鬼の反応を窺う。鳴女さんは静かだ。

そして、累君がぽつりと呟いた。

 

「……村……」

 

琴線に触れたのだろうか、累君が俺の一案に興味を示した。

 

「ーーああ。外部から完全に遮断された、俺達だけの村だ。そこでは君が王であり、家族の長となる予定だよ。」

 

「……家族……」

 

その言葉に、累君の瞳が微かに揺れる。家族との絆を失ってしまった彼が渇望してやまないもの。以前のような恐怖による偽りの絆ではなく、彼が守り、管理することで成立する、新しい関係の形。

 

「累君には管理人として、人間たちが健やかに育ち、数を増やせるよう見守ってもらう。それは、君が求めた()()()()()を、別の形で全うすることになるかもしれない。彼らは君の庇護下で生き、僕たちの糧となる。君は彼らを守る()であり、()なんだ」

 

それは悪魔の囁きだったかもしれない。

しかし、累君の心に燻っていた虚無感に、新たな火を灯したようだった。

 

「……僕が……守る……」

「そうだ。そして君の糸は、侵入者を阻む完璧な結界になる」

 

累君は、こくりと小さく頷く。これで彼の承認は得られた。

どうやら案はこのまま第一案になりそうだ。

 

残るは、この計画の要となる存在だ。俺は鳴女さんの方へ向き直り、深く、深く頭を下げた。

 

「鳴女さん。この計画の始動には、あなたの力が不可欠です。…村の場所が決まった際、初期人員となる人間たちをその地へ転移させてほしい。村が稼働すれば、あとは自給自足で完結させるのでお手数はあまりかけません。…ですのでどうか、お力添えをお貸しください」

 

返事のない、息の詰まるような静寂。諦めかけた、

その時。小さなため息と、短く、しかし確かな琵琶の音が、一度だけ鳴った。

 

「はぁ…【ベン】」

 

──承諾。その音色に、俺は声にならぬ感謝を捧げた。

 

「ありがとうございます……! じゃあ今から計画を始めますね!」

 

俺は静かに目を閉じ、意識を集中させる。脳内に広がる、日本全土を覆う巨大な蜘蛛の巣のようなネットワーク。その無数の末端である傀儡たちへ向け、一斉に指令を送る。

 

──『探せ。地図に載らぬ廃村を。世間から忘れ去られた、山奥の集落を。そして、社会の底辺で誰にも省みられず、消えても気づかれぬ者たちを探し、報告しろ』

 

──『我らの楽園、そして食糧庫となる新たな地を』

 

こうして、無限城の静寂の中、鬼が生きるための基盤として、世界を内側から蝕む悍ましい計画が、今、産声を上げたのだった。




というわけで人間牧場の流れが決まったので裏で進めていきます。
進捗があればまた更新します。次は大量の血によって進化した主人公の成長?を書きたいね

皆さんに参考までに聞きたいんですど、このまま原作に沿ったルートにするか、それとも原作から大きく離れ、鬼側無双RTAみたいに展開を早くするかどっちがいいですか?

  • 今まで通り原作準拠で進める
  • 主人公の血鬼術による鬼側無双ルート
  • その他(ifとして後で作る)
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