数多の忘却との出会い 作:獄華
悩ジャンのキャラの年齢設定は森園の学園祭終了後です。
「……朝か」
スマホのアラームを止め私は学校へ行く準備をする。
東京でチャンスを掴む為に私は熊本から上京してきた。
だけど……ここは私が想像していた以上に数多の怪物がひしめき合う所だ。
Ave Mujicaが解散する前、私は本物の怪物が人を魅了する様とその間に隔てられたどでかい壁を思い知らされた。
若葉睦と言う怪物の存在を。
厳密に言えば……彼女の中の
どれも若葉睦である事には変わりないのだが、この2つはその中でも特に若葉睦を若葉睦足らしめる活躍と破壊をばら撒いた。
私をゾクゾクさせた睦、バラエティ番組で場の空気を掌握してしまうモーティス。
神様は実に不公平だ。
……あ、そういやAve Mujicaにも神がいたな。
こちらはお嬢様で気が強すぎる自称神だが……しかしその神は今私達を引っ張ってくれる大切な存在だ。
「サキコ。今度はAve Mujicaがどんな目になってもあたしはあんたの手を絶対離さない。あんたと一緒に成り上がったるたいね」
この場に居ない神へ激励。
睦とモーティスが消えても
これからも私は何度もこの天才に苦汁を舐めさせられるだろう。
「上等たい。食らいつくから覚悟せい!」
今度はこの場にいない天才へ宣戦布告。
扉を開け今日も怪物ひしめく戦場へと乗り出した。
―――――
「うへぇ……マジきつい、夢叶える道はつらか〜」
学校からの帰り、私はこのまま天才の家へと向かう。
今日はAve Mujicaの練習があるのだ。
近日のロケやら動画投稿で私の注意力が散漫してたのもあったかもしれない。
「きゃっ!」 「わわわっ!」
前から来たサングラスを掛けてる子に気付かず、ドンと音を立て正面からぶつかってしまったのだ。
「痛た……大丈夫?」
「ごごごごごめんなさい…!ぶつかりました!すいません!」
身長の大きな子だ私も164あるがこの子は一回り大きい。
174、5はありそうだ。
外れたサングラスがかつてAve Mujicaのライブでアモーリスの仮面を外した時の私を不思議と思い返すと同時におどおどした様子で目の前で私に頭を下げる少女に驚いた。
吸い込まれるような黒く長い髪で、大きな目をした美しい少女、この少女を私は知っている。
2年程前から徐々に売れ出したこの少女を。
「もしかして……ジャンクの蕪木那伽?」
「は、はい!そうです!認知されてて嬉しいっす自分!」
思わずふきそうになる。
ジャンクと言えばモデル界では結構有名なブランド。
そこに所属する人気モデルがまさかこんなに熱血的な子であんなお淑やかな顔で色んな表情を出してモデルをやってるとは思わなかった。
「ふふふっ……!そうなんだね……っ!」
「そう言うお姉さんもどこかで……あ!、にゃむちでAve Mujicaのアモーリス!まさかこんなところで会えるなんて!」
「気づかれちゃったか。ナカちゃん私もっと貴女の事知りたいな。連絡先交換しない?」
「いいよ!」
私はスマホをナカちゃんに見せる。
「よし。ふふ、ナカちゃんいつもそんな食い気味なの?」
「生まれつきなんだ!ありがとう祐天寺さん!」
「ちょっと、ちょっと〜。私達タメなんだから下の名前でいいじゃん」
「じゃあ……にゃむちゃん」
「ん、それでよし」
「本当にありがとうにゃむちゃん!私今から碧の撮影があるからまたね!」
「頑張ってね〜。ナカちゃん」
ふふふ……本物にも色んな形があるんだな。
ムーコのような天才肌、ナカちゃんのような努力型。
私は―――。
「負けられんたいね」