数多の忘却との出会い   作:獄華

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 日本人・東研作はゴルゴの出生にまつわる話で一番好きなエピソード。
 


新天地を目指して

 

 2020年、日本京都府……。

 美しい植物農園の近くには名家である『(あずま)家』が佇んでいた。

 一人息子の東研作(あずまけんさく)は当時齢まだ10歳の物静かな子だった。

 研作の両親もまさかこの子が恐ろしい事をしでかそう等考える余地もない程に……。

 

 「貴方。研ちゃんは今日も銀鉄砲で遊んでるわ」

 

 「へぇ。珍しい子だな。スマホには一切見向きもせずに」

 

 研作の遊ぶ銀鉄砲は彼の祖父が使っていた物だ。

 研作は宿題や勉強が終わると銀鉄砲片手に木に向かって弾を撃っていた。

 風の日も、雨の日も。

 

 「勉学も優秀で友達もいるみたいだけれど……もう少し打ち解けて欲しいわね。鬼ごっこや隠れん坊とか……」

 

 「構わんじゃないか。研作は研作なりに日々成長してるんだから」

 

 

 

 

 ―――――翌日

 研作は人を殺した。

 相手はチンピラ崩れの20代前半の男で死因は溺死で目を両方共失明していた。

 研作が市民のプールに両親と一緒に訪れていた際、その男は高校生ぐらいの少女と口論になってるのを見かけたのだ。

 男は激昂し少女は怖気づいてただ身体を震わせていた。

 

 「……お前ガキのクセに何見てんだよ」

 

 男の目が研作を捕らえるが研作は怯まない。

 

 「チッ……!生意気なガキだな!」

 

 「ガフッ……」

 

 男は研作の腹に拳を入れた。

 研作は男の拳を食らってしまうが幸い水中で威力は激減していたので大したダメージにはならなかった。

 

 

 「やめてよ貴方!その子は関係ないじゃん!!」

 

 「あぁん!?黙れ!このガキがムカつく目をしゃあがってたから悪いんだ!」

 

 「…………」

 

 研作は言葉を発さず防水性に優れたポーチから祖父の遺品の銀玉鉄砲を取り出した。

 

 「なんだよガキ。そんなんで俺に………ぎぃッ」

 

 研作の放った弾はまず男の右目に直撃し右目を潰した。

 しかし研作は銀玉鉄砲を下ろそうとしない。

 右目を押さえ焦点が定まらない男が顔を上げたタイミングと同時に……研作はまた引き金を引いた。

 

 響き渡る男の悲鳴……。

 暗闇と激痛の中男はパニックで水を飲み込み、程無くし動きを止めた。

 研作はその様子を無表情で見つめていた。

 その後、警察により研作は事情聴取を受けるが……事情も事情だし幼い子供の事なので研作が罪に問われる事は無かった。

 

 この一件を受け両親は研作の行動は正義から来た物だと信じたい一方で……自分達が研作を正しい方向に進められるのか不安になった。

 

 「父さん、母さん」

 

 「け、研ちゃんどうしたの?」

 

 ある日研作はスマホの画面を見せながら両親に話しかけてきたのだ。

 

 「東京で今回の俺の事件を知って……俺を鍛えたい人がいるらしいんだ。だから俺この人の元に行こうと思うんだけど……」

 

 「行くって言っても研作。その人は信用出来る人なのか?」

 

 「……分からない。元陸自で帝国陸軍の大佐を曽祖父に持つんだって。俺としては新たな事に挑戦し強くなりたいんだ。ただでさえあんな事しでかしたんだからもう二人には迷惑掛けられないよ」

 

 「そんな……研ちゃん」

 

 「因みに家元は伊藤家って言うらしい。うちの遠縁だとか」

 

 「聞いた事がないがな」

 

 「怪しかったらすぐ帰ってきます」

 

 「いつ発するの?」

 

 「明日の朝」

 

 「そう………」

 

 研作と過ごすかもしれない最後の日、両親は研作をたくさん可愛がった。

 その日は久しぶりに両親に挟まれる形で研作は寝た。

 心地よく懐かしい寝心地だった。

 朝は早く来てしまった。

 両親は研作を駅まで見送る。

 

 「忘れ物はないわね」

 

 「はい。母さん」

 

 「……話が違かったらすぐ帰って来いよ」

 

 「はい。父さん……二人共行ってきます」

 

 「行ってらっしゃい」

 

 駅に着いた新幹線に研作は乗ると窓の外へ向け手を振った。

 母は泣きながら手を振り、父も寂しそうな顔をしながら手を振る。

 

 その後、研作は東家に帰ってないと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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