自称“凡人”の人生譚   作:飢堕天

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 お待たせしました。


32話 英雄と憧憬

 

 甲高い金属音と地を穿つような衝撃音が響く広間(ルーム)に、一人の少年が白髪を振り乱しながら入場した。

 

 「はぁ……はぁ……っ」

 

 膝に手をついて肩で息をする少年、ベルは額から噴き出る汗を拭いながら、音の発生源へと目を向ける。

 

 そこには、二つの影が土煙を立てながら勢いよく交差していた。

 

 一つは、ベルの背丈ほどはあろう戦斧を振り回すミノタウロスの姿。

 

 (ど、どうして上層にミノタウロスが?!)

 

 遠目からでも分かる異様な存在感に、ベルは思わず尻込みする。

 

 本来、このような浅い階層に出現することはあり得ない。

 ハーフエルフの受付嬢に教えてもらった知識を呼び起こしながら、ベルは目の前の異常さに絶句する。

 

 そんな常識破りのミノタウロスは咆哮を上げると、空間を斬り裂くほどの勢いを乗せて戦斧を振り下ろす。

 

 その先には、もう一つの人影────夜だ。

 

 「夜っ!!」

 

 低級冒険者ではまず歯が立たないミノタウロス。そんな怪物を相手取っている自身の友達を目前に、ベルは考えるよりも先にその場を駆けだす。

 

 と、同時。

 

 金属と金属がぶつかり合うような重厚で鈍い音が広間に轟くと、砂塵を巻き上げながら衝撃の波が押し寄せる。

 

 「うっ」

 

 咄嗟にベルは腕で顔を覆い、砂が目に入らないようにする。

 空気を震わす衝撃波が骨に直接響くのを感じながら、仰け反らないように腰を落としてなんとか踏ん張る。

 

 やがて落ち着いたことを肌で感じて視界を開くと、ミノタウロスの斬撃は夜を斬り裂くことなく刀で受け止められていた。

 

 その様子にベルは安堵の息を吐く。その時、ふと視界の端にもう一つの人影があることに気づいた。

 目を向けると、そこには小柄な少女が夜たちの戦いを眺めていた。

 

 灰にまみれた外套に身を包み、祈るように両手を握り締める小人族(パルゥム)の女の子。

 

 (……もしかして、あの子が)

 

 別れる直前に夜が言っていた言葉を思い出しながら、ベルはその少女へと歩み寄る。

 

 

 

 

 「すごい戦いだよね」

 

 ベルが話しかけると、少女はびくりと肩を跳ねながら勢いよく振り返った。

 

 「えっと……あなたは」

 

 少女は突然現れたベルに戸惑うと、身を竦めながら一歩距離を取る。その目は明らかに警戒の色を宿している。

 ベルはこちらに敵意がないことを示すように、優しい口調で話し始めた。

 

 「僕はベル・クラネル。あそこで戦っている人の友達です」

 「……夜様の」

 

 少女は僅かに目を見開くと、独り言のように小さく呟いた。

 

 (この子、夜を知っているの? というか、夜()?)

 

 夜の名を呼んだということは、少なからず少女は夜を知っている。おそらく自己紹介でもしたのだろう、とベルは当たりをつけた。

 

 「それで、君の名前は?」

 「……リリの名前は、リリルカ・アーデといいます」

 

 まだ若干の警戒心は持たれているものの、先ほどよりは肩の力が抜けているように思える。夜の知り合いだと分かって幾分か緊張が和らいだのだろう。

 

 「リリルカさんは夜を知っているの?」

 「知っている、というほどのものでもありません。ベル様が来られる少し前に助けていただきまして、その際にお名前を教えていただいただけです」

 

 リリルカは硬い声で答える。

 その言葉に「そっか」と返したベルは、心の中で夜の言葉が正しかったことを確信する。

 

 (夜が言っていた女の子って、リリルカさんだよね)

 

 もし夜の言う女の子がリリルカなのだとしたら、夜は間に合ったということだ。

 

 (やっぱり夜はすごいや)

 

 夜の頼もしさを改めて実感していると、不意にリリルカが問いかけてきた。

 

 「夜様は、いったい何者なのですか?」

 「え?」

 

 突然のことで驚いたベルはリリルカに視線を向けると、彼女は真剣な表情でこちらを見ていた。

 

 「あの方は、無詠唱で魔法を行使していました。それも二つも。詠唱を必要としない魔法なんて聞いたことがありません」

 

 広間の中央でミノタウロスと戦っている夜を見ながら、リリルカは言う。その声色には関心と好奇心、そして未知に対する微かな畏怖の念が込められていた。

 

 「ベル様なら知っているのではないですか?」

 

 リリルカの質問に、ベルはどう答えたものかと思案する。

 

 ベルは、夜の【ステイタス】を知らない。見たことがないからだ。

 ただ【ステイタス】に依らない夜独自の【魔法】に関して言えば、故郷にいた頃から見て知っていた。

 しかし、それは夜の個人情報である。彼の許可なしに教えていいものではない。

 

 だから、ベルはありのまま答えることにした。

 

 「ごめん。その質問には答えられない、それは夜の個人情報だから」

 

 ベルが真摯な態度で断ると、思いのほかリリルカはあっさりと身を引いた。

 

 「いえ、こちらの方こそ無理なことを言ってすみません。【ステイタス】の探り合いはタブーだというのに」

 「ううん、大丈夫だよ。リリルカさんの気持ちも分かるからね」

 

 ベルは生粋の『英雄譚』好きで、年相応の夢見る男子だ。

 当然ながら【魔法】にも強い関心と好奇心を抱いており、いつも夜の【魔法】に目を輝かせていた。そのため夜に教えを請うたことがあったが、習得するには至らなかった。

 

 「そう言っていただけると助かります。それはそうと──」

 

 リリルカはベルから視線を切ると、広間の中央へと向き直る。それに倣うように、ベルも視線を移す。

 

 「あのミノタウロスと互角に渡り合っている。……夜様はお強いのですね」

 

 隣でリリルカがポツリと呟いた。その声音にはどこか突き放すような冷たさと、それでも捨てきれない想いが込められているように聞こえた。

 

 ベルはリリルカの言葉に賛同するように頷く。

 

 「そうだね。夜は強い、僕が知る誰よりも」

 

 その言葉は自信に溢れており、まるで自分のことのように誇らしげであった。

 ベルの力強い口調に僅かな驚きを見せたリリルカは、ちらりと彼に目を向けるも「そうですか」と短く返すとすぐに視線を戻した。

 

 そこで会話は自然と途切れ、二人の間に沈黙が訪れた。

 話題が尽きたからではない。ただ目の前に広がる光景が、無意識に言葉を奪っていたのだ。

 

 

 

 (あれが、夜の本当の実力……)

 

 まるで大岩のような巨躯を誇るミノタウロスを相手に一歩も譲ることなく競り合う夜の戦いを見て、ベルは感嘆の息を漏らす。

 

 ベルは、夜の実力を知っているつもりだった。

 この一月に行われた稽古と探索の中で、夜の戦いぶりは間近で見てきた。当然ながら全力ではなかっただろう。いつも息を切らしていたベルに対し、夜は涼しい表情で飄々としていたから。

 

 素人目線からしても、夜の実力は日に日に増しているように感じられた。

 それは『基礎アビリティ』が伸びているからなどではない。【ステイタス】とは別の、もっと純粋な部分。いわば『潜在能力(ポテンシャル)』の開花だ。

 

 稽古時、ベルは直接対峙することで、その驚異的な成長速度を肌で感じていた。

 

 だからこそ、ベルは知っているつもりだった──いや、知っているつもりでいた。

 

 だが、どうやらその認識は甘かったらしい。

 目の前で繰り広げられる死合いを見ると、その事実を強く痛感する。

 

 巨大な戦斧をいなす夜の剣技は長い月日を経験したかのように洗練されており、歴戦の猛者を彷彿とさせるほどの気迫があった。

 

 夜は稽古をつけてもらっていると言っていた。その相手の正体をベルは知らないが、今の夜を形作っている根幹は、きっとその人なのだろう。

 

 

 夜に()()()()その剣技は鬼人のごとく勇ましく、そして高原に吹き抜ける風のごとく清廉だった。

 

 

 そんな戦闘の余波が押し寄せる最中、ベルたちはただただ、夜の戦いに見入っていた──。

 

 

 *

 

 

 ベルが到着して、少しした頃。

 血と汗が流れる戦場と化した広間に、また新たな者たちがぞろぞろと入場してきた。

 

 「ミノタウロスの雄叫びが聞こえたから駆けつけてみれば」

 「一体はぐれてしまっていたのか」

 

 軽く交わされる言葉とは裏腹に、彼らの間に重々しい空気が張り詰める。

 

 先頭に立つのは、貴公子を思わせる爽やかな金髪と知性を宿した碧眼を持つ小人族の男。その背後には、多種多様な種族の団員たちが続く。

 彼らが掲げる旗印(フラッグ)に刻まれた紋章(エンブレム)は、不気味に笑う『道化師(トリックスター)』──。迷宮都市オラリオにおいて双璧と謳われる【ロキ・ファミリア】だった。

 

 

 「すでに他の冒険者が戦っておるようじゃが」

 

 低く唸るような声で呟いたのは、茶色の瞳と髪を持つドワーフの男──ガレス・ランドロック。

 顎に蓄えた長い髭を指先で摩りながら、広間の中央で繰り広げられる戦闘に目を向ける。

 

 その傍らでは、翡翠色の長髪を持つハイエルフの女──リヴェリア・リヨス・アールヴが、なにかに気づいた様子で声を上げた。

 

 「フィン、あの少年は」

 

 視線の先にいるのは、戦場の只中でミノタウロスと対峙する一人の冒険者。(カラス)のような黒い髪と瞳を持つ、見覚えのある少年だった。

 

 先頭を歩く小人族の男──フィン・ディムナも同じく気づいたようで、安堵したような笑みを浮かべた。

 

 「ああ、夜だね」

 「なんじゃ、おぬしらは知っておるのか」

 

 フィンの口から出た人名を聞いて、ガレスが問う。

 

 「例の漆黒のゴライアスを倒した少年だ。話しただろう?」

 「ああ、なるほどのぅ。あの小僧が」

 

 フィンの言葉に感心したように「ほう……」と唸りながら、観察するように夜を眺める。

 

 「どうする、フィン」

 「んー、そうだね。とりあえずは彼が戦闘を終えるまで待っていようか。あのミノタウロスは僕たちの失態が生み出したものだからね。その説明はしないといけない」

 

 団長の指示により一先ずは待機、という形で彼らの方針は定まった。

 

 苦戦を強いられているならまだしも、夜は接戦を()()()()()様子。ここで加勢する形で割り込むことは、“獲物の横取り”とみなされる場合がある。それは冒険者の間ではルール違反とされているのだ。

 

 

 その時、アマゾネス姉妹の妹──ティオナ・ヒリュテが声を上げた。

 

 「ねえ、ミノタウロスってあんなに大きかったっけ?」

 

 言われて見てみると、確かに大きい。──一回りは大きいだろうか?

 

 背丈は通常よりも頭一つ分は高く、全身の発達した筋肉は長い年月を経てようやく手に入れられるほどの密度に増している。

 体表の色は茶から赤へ、一対の角は淡黄から黒へと変色している。

 片手に持つ巨大な戦斧は、通常個体が持つものよりも禍々しさを増していた。

 

 

 知り合いの夜に気を取られていたが、どう見ても通常個体ではない。

 

 「──『強化種』か」

 

 リヴェリアが硬い声で呟く。

 

 「おいおい、あの漆黒のゴライアスも突然様変わりしやがっただろ」

 「『変異種』の次は『強化種』か。彼はつくづくダンジョンに愛されているらしい」

 

 この場にいる夜を知る面々は、揃って同情と憐みの混じった眼差しを送るしかなかった。

 

 そうして彼らが会話に興じる間も、夜たちの戦闘は激しさを増していく。

 

 

 互いの武器同士がぶつかり合う音。

 空気を割き、地面を穿ち、岩の破片が飛び交う音。

 

 巻き上がる土煙。吹き荒れる突風。押し寄せる衝撃。

 

 雄牛の咆哮。少年の雷鳴。

 

 勝敗を競り合う力の波動。生殺を奪い合う命の鼓動。

 

 

 内耳を超え、骨の髄まで震わせる一人と一体の死合いは、次第に彼らから言葉を奪い、視線を奪っていく。

 

 

 その時、ティオナがふと呟く。

 

 「ねえ、夜くんまた強くなってない?」

 「……そうね。二週間前よりも技の切れが増している」

 

 隣のアマゾネス姉妹の姉──ティオネ・ヒリュテも同じ意見のようだ。その目は夜の実力を見定めるように鋭く細められている。

 

 「フィン、どういうことじゃ」

 

 夜を知る者たちが次々とざわめきを上げる中、ついに痺れを切らしたのか、ガレスが急かすように問いを投げる。

 

 フィンはもったいぶるように一拍置いた後、口を開いた。

 

 「ティオネの言った通りだよ。以前よりも彼の剣技が洗練されているんだ」

 「それだけじゃねぇ。足の運び、間合いの把握、体の使い方……。戦闘技術そのものがあの時よりも飛躍的に向上してやがる」

 

 フィンの言葉に付け足すように、狼人(ウェアウルフ)の男──ベート・ローガが視線を鋭くしながら言った。

 それに対し、ガレスは珍しいものを見たかのように僅かに目を見開く。

 

 「ほう、おぬしがそこまで言うとはのぅ」

 「……るせぇよ。くそじじぃ」

 「ガハハハ、素直になるのは良いことじゃ!──まあ、しかし」

 

 ガレスは今一度少年を見据える。

 

 「おぬしらが関心を寄せる少年か……、それは儂も興味が湧いてくるのぅ」

 

 そう言って、ガレスは不敵に笑う。老兵とは思えないほどに生き生きと、新たな強者との出会いを歓迎するように。

 

 

 

 それにしても。

 

 

 ──この二週間ばかりでここまで化けるのか。

 

 

 その驚愕に満ちた思いを、満場一致で皆が抱いた。

 

 

 その時。

 

 

 「────【アガリス・アルヴェシンス】」

 

 不意に聞こえた、火が灯る音。

 

 その瞬間、夜が握る刀に赤く燃え盛る炎が咲いた────。

 

 

 

 「あれは……!」

 

 夜が発動した炎属性の付与魔法(エンチャント)を見たガレスは驚愕に目を見開く。

 

 

 ガレスは知っている、その魔法の名を。

 ガレスは知っていた、その魔法の(あるじ)を。

 

 なぜあの少年が彼女の魔法を使えるのか、その理由を知っている人物に当たりをつけたガレスはすぐに問いつめる。

 

 「フィン、なぜあの小僧が【アストレア・ファミリア】の娘の魔法を使える?!」

 

 五年ほど前。まだ【アストレア・ファミリア】が存命であった時代、ガレスたち【ロキ・ファミリア】は【アストレア・ファミリア】と良好な関係を築いていた。

 

 だからこそ知っている。夜が発動した魔法、あれは間違いなく【アストレア・ファミリア】の団長──アリーゼ・ローヴェルの魔法であると。

 

 

 「んー、僕も詳しくは知らないんだ。ただ、彼は他者の魔法を行使することができる。それは間違いないだろう」

 「ふむ……なるほどのぅ。つまりうちのレフィーヤと同系統の魔法を持っているということか」

 

 そう言うと、ガレスは一人のエルフの少女へと目を向けた。それに釣られるように、周りの団員たちもまた一斉に彼女へと視線を移す。

 

 突然の注目にエルフの少女──レフィーヤ・ウィルディスは、「え……わ、私ですかっ?!」と目に見えて分かるほどに狼狽し、紺碧色の瞳が忙しなく揺れる。

 

 そこへ彼女の師であるリヴェリアが叱咤の声を上げる。

 

 「落ち着け、レフィーヤ。こんなことでいちいち心を乱すな」

 「あ、あぅぅ……。申し訳ございません、リヴェリア様」

 

 叱られたレフィーヤは悲しげに俯いた。エルフの特徴である尖った耳も心なしか垂れて見える。ちょっと可哀そうである。

 

 そんな可哀そうなレフィーヤを横目に、リヴェリアが自身の見解を述べる。

 

 「他者の魔法を使えるという意味で言えば、確かにレフィーヤの召喚魔法と同じだ。だが彼の場合、肝心の召喚魔法の詠唱をしていない」

 「それは、確かにのぅ」

 「もし魔法でないとしたら、スキルの可能性が最も高い。が、それも所詮は憶測にすぎん」

 

 結局のところ、彼自身に直接聞いてみる他ないだろう。そうリヴェリアは締めくくった。

 

 そこへ、なんとか立ち直ったレフィーヤが声を上げる。

 

 「あの人は、ヒューマンですよね」

 「ああ、そうだが。それがどうした?」

 「……ヒューマンなのに、私と同じようなことができるのですか」

 

 それは独白のように呟かれた。

 しかしリヴェリアの長い耳にはしっかりと届いていた。

 

 「レフィーヤ、お前の気持ちも分からんでもない。だがあまり他の種族を偏見の目で見るな。お前の知るすべてが世界のすべてではないのだからな」

 

 今度は怒るのではなく、諭すように柔らかい声音でリヴェリアは告げた。

 

 「それに……彼は少々特殊が過ぎるからな」

 

 最後にそう零した彼女の声色には、少しの躊躇いが見えたような気がした。

 

 

 

 

 複雑な思いや考えが巡る中、しばしの沈黙が訪れた。

 

 その間、彼らは一様に夜たちの戦いを眺めていた。

 

 

 ミノタウロスの攻撃は一撃一撃が必殺のように強力だった。魔石を食べたことで強化された腕力は、容易く地面を砕き割る。その破壊力は凄まじく、夜の耐久値では一撃食らうだけでも致命傷となるだろう。

 

 推定能力値は、Lv.3中位。

 

 『基礎アビリティ』に置いて言えば、その能力値は夜を上回っていた。──ただし、それは【魔法】による強化が施されていない場合である。

 

 

 「『力』はミノタウロスの方が上か」

 

 ふとベートが呟いた。

 

 「そうだね。だけど、『敏捷』は夜の方が上みたいだ」

 「あの雷属性の付与魔法が彼の『速度』を向上させているのだろう」

「じゃが、それだけではあのミノタウロスとは張り合えん。あの小僧はLv.1なのだろう?」

 

 フィンたちは口々に夜たちの戦いを実況し始めた。

 

 彼らは、夜が『ランクアップ』した事実を知らない。遠征で深層にまで潜っていたのだから当然ではあるが。

 

 今の夜はLv.2。しかし『ランクアップ』を果たして以降、一度も【ステイタス】を更新していない。つまり『基礎アビリティ』はオール0。

 いくらLv.1時の貯蓄があるとはいえ、さすがに強化されたミノタウロスには敵わない。

 

 しかしその絶対的数値の差を覆すのが、夜の【魔法】だった。

 

 「おそらくだが、彼の付与魔法は“能力値の補正”もあるのかもしれない」

 「ふむ……。だが、だとしても【魔法】一つであそこまで渡り合えるかの」

 「それは…………難しいだろうな」

 

 熟考の折、リヴェリアは一度思考を休めるように息を吐く。

 

 これ以上は考えても分からない。もとよりすべてが憶測なのだ。可能性は無限に出てくるが、果たしてそれが答えなのかは当人にしか分かり得ない。

 

 とはいえ、リヴェリアの推察は概ね正しかった。さすがは魔法に長けた種族といえよう。

 

 夜の【魔法】──【神速(カンムル)】は、雷属性の付与魔法と無属性の身体強化魔法の『融合魔法』である。

 つまり、夜は二種類の【魔法】を同時発動しているということになる。その難易度は極めて高く、相応の技術がなければ成立しない。神業に近い人技である。

 

 ゆえに、今もなお夜の【魔法】はすべてが発展途上。完成しているものなど一つもない。

 

 現在進行形で、夜は成長を続けている。そして、それは()()()()()()であった────。

 

 

 

 

 

 「ヴォォオオオオオ──ッッ!!!」

 「はぁあああああああ──ッッ!!」

 

 

 両者の武器が衝突し、激しい火花を散らす。

 ギシギシと金属が削り合う音を上げながら、互いに譲るまいと押し合う。

 

 息がかかるほどの距離で睨み合い、相手を射殺さんとするほどの殺意をぶつけ合う。

 

 

 ミノタウロスは大岩のようなその巨躯を活かし、まるで大砲のように一直線に夜へ突進する。

 対する夜はその身に稲光を迸らせ、電光石火のごとき速度でミノタウロスを翻弄する。

 

 

 まさに、拮抗。

 

 

 両者の実力は競り合っていた。

 しかし速度で勝る夜が、その鋭い技の切れをもって着実に手数を叩きこんでいた。

 

 相手の死角を突いて懐に潜り込み、斬撃を見舞う。

 大戦斧による斬撃を逸らし、叩撃を躱し、その隙を狙って攻撃を繰り出す。

 

 主導権は、間違いなく夜が握っていた。

 

 

 そして、戦闘開始からおよそ十分が経過した頃────。

 

 

 明確な“変化”が現れ始めた。

 

 

 (……こいつ、俺の動きを視切り始めている?)

 

 先ほどまで夜の動きを完全には捉えきれていなかったミノタウロス。

 しかし、ここにきて夜の速度に対応し始めた。

 

 ミノタウロスの双眼は確かに夜の姿を捉え、振るわれる攻撃を凌いでみせた。

 

 偶然ではない。

 

 明らかに夜の動きが見えている。

 

 読み始めているのだ。

 

 

 (このミノタウロスは成長──いや、()()し始めている……!)

 

 

 知性を有さないはずのモンスターが、人間の動きを()()している。

 

 そんなことはあり得ない、そう否定するのは簡単だ。だが、その思考回路に意味はない。

 

 

 ──目の前で起きている事実から目を逸らしてはならない。

 

 それは紛れもなく真実であり、そして乗り越えるべき壁なのだから。

 

 

 むしろ敵がこちらに適応してくるというのなら、

 

 (その適応すらも喰らって、俺はさらに強くなる)

 

 たった今、肉体と精神は正しく統合された。

 

 後は、“本能”のままに殺し合うのみ────。

 

 

 「いくぞ──ッッ!!」

 「ヴォォオオオオオオオオオオッッ!!!!」

 

 

 *

 

 

 戦場はさらに激しさを増していく。

 広間の至るところに斬撃の痕が刻まれ、巻き上がる土煙が二人の姿を包み隠す。

 

 鳴り響く金属の音色は高く、時に低く奏でられる。

 

 鮮血が飛び散り、汗粒が弾き飛び、咆哮が轟き渡る。

 

 

 それはまるで『英雄譚』の一ページのように、闘争に満ちた勇壮なる戦いだった。

 

 刀が舞い、斧が吠え、(いかずち)が走り、炎が荒ぶり、雄と雄の咆哮がぶつかり合う。

 

 見る者たちは皆、いつの間にか手に汗を握り、固唾を飲んで見守っていた。

 

 純然たる殺意だけで語り合い、勇猛たる闘志だけで殴り合う。

 

 

 それはとても熱く、とても恐ろしく、とても雄々しく、とても尊くて────。

 

 

 

 それはまるで────。

 

 

 「『アルゴノゥト』…………」

 

 二つの声が重なった。

 

 

 アルゴノゥト。

 それは一つのお伽噺。

 英雄になりたいと夢を持つただの少年が、牛人によって迷宮(ラビリンス)へ連れ攫われたとある国の王女を救いに向かう物語。

 

 

 「私、あの童話好きだったなぁ……」

 

 ティオナは柔らかく目を細め、大切な宝物を眺めるように柔らかく微笑んだ。

 

 「だけど、確かあれって、なし崩し的に英雄になってしまった滑稽な少年の物語よね」

 「そうだね。非力で軟弱な只人(ヒューマン)が、不相応な望みを持ち、幾多の思惑に翻弄され、それでも愚者を貫いた、一人の道化が紡いだ『喜劇』だ」

 

 そう。アルゴノゥトと呼ばれた少年には才能など欠片もなかった。『英雄』とは程遠い実力だった。ゆえに、

 

 「あの子の実力は、アルゴノゥトとは真逆じゃないかしら」

 

 ティオネの指摘はもっともだった。

 

 

 “英雄史上最弱”と謳われたのがアルゴノゥト。ならば、夜は────。

 

 

 「夜は、いわばアルゴノゥトの“理想形”と呼べるのかもしれないね」

 

 雷を身に纏い、炎を武器に宿して、猛牛と戦う。

 確かに“戦術”は似ているのかもしれない。しかし根底的な力は全くの逆だった。

 

 

 すると、ベートが鼻を鳴らして厭味ったらしく言う。

 

 「ハッ、あのガキが英雄の理想形だぁ? ちっとばかし似ていて、強さがあるからって、その資格があるってのか?」

 

 それを聞いたティオナがむっと顔を顰める。気分を害されたようだ。

 

 けれどベートの言葉は、もしかしたら真理を突いた一つの問いなのかもしれない。

 

 英雄と似ているから英雄になれるのか。

 英雄よりも強いから英雄になれるのか。

 

 

 ────『英雄』とはなにか。

 

 その問いに答えを用意することは、今の彼らにはまだできない。

 

 けれど。

 

 「いや、それは少し違うんじゃないかな。確かに夜の武力には目を見張るものがある。その“強さ”も英雄となるための『資質』の一つだろう。けれど、本質はそこではない────」

 

 そう言って、フィンは広間の中央を挟んだ向かいにいる二人のうち、小人族の少女へと視線を向けた。

 

 

 

 

 「──夜は、僕の()()なんだ」

 

 不意にベルが呟いた。

 

 宝石のように輝く深紅の瞳は、まるで遠いなにかを見るように細められている。

 

 「強くて、格好良くて……そして優しい。普段は少し冷たいところがあるけど、誰かが助けを求めていたら、夜は必ず駆けつける」

 

 僕の時もそうだったんだ。大切な思い出を懐かしむように、ベルはそう言った。

 

 「夜は誰かのために戦うことのできる優しさを持っている」

 

 その言葉に、リリルカの心臓がドクンっと強く打つ。

 

 「今は、君のために戦っているんだよ」

 「リリの、ですか?」

 「うん、君のためだ」

 

 ベルは確信するように頷いた。

 まるでそれが当然であるかのように、一切の疑念を持つことなく、ベルは断言した。

 

 その力強い瞳を直視することができず、リリルカは思わず目を背ける。

 胸の奥には重く苦しい感情が渦巻く。

 

 それは不安であり、戸惑いであり、拒絶であり、喜びであり、嫌悪であった。

 

 純粋に人を信じることのできるベルを羨ましく感じ、同時に自分を助けてくれた人でさえ信じることのできない己の薄汚さにリリルカは自己嫌悪する。

 

 ベルみたいに誰かを信じることができれば、きっとそれは幸せなのだろう。

 

 

 ──もっとも、今の自分にそんな資格なんてありませんが。リリルカは心の中で自虐する。

 

 

 心が深く沈んでゆく。

 善性を捨てた空っぽな心が、底なしの沼へと溺れてゆく──。

 

 

 その時、再びベルの声が聞こえた。

 

 「今の夜を見ているとね、『アルゴノゥト』を思い出したんだ」

 

 ベルはそう言うと、リリルカを見る。

 その眼差しはどこまでも柔らかく、包み込むような温もりを湛えている。

 

 「一人の女の子を救う、一人の少年の物語。──まるで、今の二人みたいだなって」

 「────ぁ」

 

 その瞬間、胸の奥がきゅっと締め付けられるように息苦しくなり、リリルカは思わず胸元を押さえつける。

けれど不思議と痛みはなく、むしろ涙が零れてしまいそうな温かさがあった。

 

 そんな込み上げてくる感情を必死に抑える中、ベルは広間の中央へと向き直る。

 

 

 「僕にとって、夜は憧れの英雄(ひと)なんだ」

 

 まるで夜空に浮かぶ月を眺めるような眼差しで、

 

 「だから僕は、いつか夜みたいに強くなって、隣に立ちたい」

 

 静かに、けれど確かな熱を帯びた()()だった──。

 

 

 *

 

 

 「状況を見るに、おそらく夜はあの少女を助けたのだろう」

 

 フィンに釣られて、皆が小人族の少女へ目を向ける。

 

 「もし同じパーティならば、あの子があそこまでボロボロになっているはずがないからね」

 

 確かに、夜が一緒にいる状況でボロ雑巾のような姿になるほど追い込まれるとは考えづらい。

 

 「それがどうしたってんだ」

 

 ベートが苛立たしげに声を上げる。

 

 「二週間前も、今のように彼は一人の女の子を助けるために戦っていた。どうやら今回は同格の相手みたいだけど、きっと彼なら相手が遥かに格上だろうと戦う選択肢をしただろうね」

 「ハッ、つまりなんだ。他人のために命を懸けられるから英雄の資格があるってか?」

 

 ベートは馬鹿にしたように鼻を鳴らす。

 けれどフィンは特に気にした様子もなく、首を横に振る。

 

 「少し違うかな」

 「あぁ?」

 「本当に必要なのは、自分の意志を貫ける心の強さなんじゃないかな」

 

 自分の意志を貫くというのは案外難しいものだ。

 いつだって思考には感情が付き纏い、自分が歩きたいと思った道は私利私欲によって逸らされる。

 

 感情も欲望も、すべては頭の中にある記録から湧き出た過去の経験だ。つまり結局のところ、その道を選択したのは自分自身というわけだ。

 

 「出会って数時間の人間のために、彼は文字通り命を懸けて戦かった。それは誰もが真似できるものではない」

 

 人間とは、基本的に自己中心的な生き物だ。

 自分の欲求を満たすことが最優先。それが普通だ。そして、その生き方は別に悪いことではないし、他者から咎められることでもない。

 他者の生き方を愚弄するほど、人間は賢くはないのだから。

 

 そんな誰もが自分の世界に入り浸る中、唐突に世界は暗転した。そして目を焼くほどの眩い光が照らした。──それが夜だった。

 

 「彼のあり方は物語に出てくる英雄そのものだ。誰もが目を輝かせ、奮い立ち、──そして希望を託してしまう」

 

 夜はどんな時でも臆すことなく立ち上がり、退くことなく前へ進む。

 敵がどれだけ強かろうと、局面がどれだけ悪かろうと、彼は決して逃げなかった。

 

 それは鋼のような精神で、理想とする心だった。

 

 

 

 

 「──けれど、それは見方を変えれば、危ういほどの“高潔さ”ともいえる」

 

 

 強さとは、時に狂気へと変貌する。その恐怖を持っておくべきだと、最後にフィンは言った。

 

 

 *

 

 

 ────どうして、あんなに強いんだろう。

 

 

 二週間前、夜はLv.1だと言っていた。【ステイタス】を刻んでまだ二週間しか経っていないと言っていた。

 

 それなのにLv.5相当のゴライアスの『変異種』を倒して見せた。それも誰の力も借りずに、たったの一人で。

 

 

 ────どうしたら、そこまで強くなれるの?

 

 

 強さを追い求めるアイズは、夜の強さの根源を知りたいと思った。

 

 

 だから観察した。夜の一挙手一投足を見逃さず、自身の糧とするために。

 

 すると、またも驚くことがあった。

 

 二週間前よりも技の切れが増していたのだ。それも比べ物にならないほどに。

 たったの二週間で一体なにがあったのか。なにをすればそこまで飛躍的な成長を果たせるのか。

 

 別に身体能力が向上していたわけではない。むしろ二週間前よりも『力』も『速度』も劣っていた。

 けれど、そこには以前にはなかった鋭さがあった。

 

 剣線の歪みがなくなり、一直線に淀みなく振るわれる。

 力は入りすぎず、絶妙な力加減で柄を握り、剛と柔が正しく成立していた。

 

 まるで歴戦の猛者を彷彿とさせる佇まいで、夜はミノタウロスと渡り合う。

 

 劣っていても、決して弱くなったわけではない。

 むしろ基礎技術が向上している分、力の方向が正しく向いており、以前よりも強く感じられた。

 

 

 

 戦いが激しさを増していく中、ティオナが言った。

 

 ──夜は、英雄(アルゴノゥト)みたいだと。

 

 

 怪物に立ち向かう少年の本質を見定めながら、フィンが言った。

 

 ──夜は、一人の少女を助けるために戦っていると。

 

 

 アイズは見る。

夜の背に護られる、一人の灰被りの少女(シンデレラ)を。

 

 

 一人の少年が、恐ろしい怪物から女の子を護る。

 

 それはまるで、『英雄譚』の一(ページ)ように。

 

 

 ────あぁ、羨ましい……。

 

 

 あの子()()には自分を護ってくれる英雄が現れたのに、

 

 どうして私の前には現れてくれないの。

 

 

 ずっと、ずっと待っていたのに。

 

 

 どうして。

 

 どうして、あの子たちだけ。

 

 

 

 私も、英雄(あなた)が欲しいのに────。

 

 

 その時。

 

 彼女の美しい金色の瞳の奥で、ほんのわずかに()()()()()

 

 

 *

 

 

 十数分にわたる激戦の果て。幾多の傷が刻まれた広間は今、思わず息を止めてしまうほどの静寂に沈んでいた。

 

 鳴り響いていた金属音は途絶え、地を揺るがす衝撃音も鎮まっている。

 

 通路の奥から吹き込む風が木霊する。その微かな風音に混じり、規則正しい二つの呼吸音が、己の存在を証明するように息を吹いていた。

 

 

 広間の中央。

 死闘の熱気が渦巻くその中心で、夜とミノタウロスは対峙する。

 

 夜は激戦で刃こぼれした刀を握り締め、ミノタウロスは根元から失われた右腕の断面から絶え間なく鮮血を滴らせていた。

 

 

 ────彼我の間合い、およそ十M(メドル)

 

 それが、彼らの命運を分かつ距離だ。

 

 

 

 「ブルルル………」

 

 決死の炎を灯すように熱い呼気を吐き出し、ミノタウロスは真っ赤な瞳に狂おしいほどの闘志を宿す。

 残った左手を地に振り下ろし、頭を低く沈める。臀部を高く突き出し四つん這いになるその姿は、まさに猛牛のそれだ。

 

 己の最大の武器たる角で攻撃するための突撃体勢。

 

 猛牛たるミノタウロスが持つ、必殺の切り札。

 

 ただ一直線に駆け抜け、立ち塞がるすべてを粉砕せんとする渾身の一撃。

 

 ミノタウロスは、その一撃に己のすべてを懸ける。

 

 

 

 対する夜は、その覚悟に応えるように笑みを浮かべると、右手の指先をゆっくりと刀身に滑らせ、

 

 「【花開け(アルガ)】────」

 

 紅蓮に染まる炎を咲かせる。

 

 前後に足を大きく開き、重心を深く落とす。刀の切先をミノタウロスへと定め、右手を刀身へ添える。

 

 その構えは、敵の体に風穴を開けるための刺突体勢。

 

 ただ一突きで敵を屠る、無慈悲な一撃。

 その威力を極限まで高めるべく、夜は刀に灯した炎へさらなる魔力を()べる。より熱く、より重く、より鋭く──。

 溢れ出そうとする膨大なエネルギーを圧縮し、一切の淀みなく刀身へと集束させる。

 

 夜もまた、その一撃に己のすべてを懸ける。

 

 

 

 息の詰まるような沈黙が、場を支配していた。

 視界から雑音は消え、ただ目の前の敵だけが網膜に焼きついている。相手の一挙手一投足に神経を尖らせ、一筋の隙も逃さぬよう、すべての意識を注ぎ込む。

 

 精神を極限まで研ぎ澄ませば、全身を巡る血潮は猛り、加速する。

 

 燃え滾る闘争心は、余すことなく己の武器へと一極に凝縮させる。

 

 好機は一度。外せば死。

 互いの実力を認めればこそ、その一撃に全霊を賭し、殺し尽くす。

 

 

 両者、万全の極みへ。

 

 

 時が凍りついたかのように、周囲の空気が限界まで張りつめた。

 

 

 その瞬間。

 

 

 「はああああああああああああッッッ!!!」

 「ヴヴォォオオオオオオオオッッッ!!!!」

 

 

 爆ぜるような咆哮とともに、地を砕く音が轟いた。

 

 瞬く間に距離は消失し、死の間合いが重なる。

 

 夜は刹那の踏み込みとともに刀を振り抜き、ミノタウロスは巨体を捻り上げるようにして一角を突き出す。

 

 そして。

 

 「【炎華(アルヴェリア)】ッッッ!!!」

 「ヴォォオオオオオオオオッッ!!!!!」

 

 激突。火花が散り、力の均衡が世界を静止させる────。

 

 その直後。

 刀身に極限まで圧縮されていた炎が一気に臨界を超えた。

 解き放たれた膨大な熱エネルギーは、炸裂ではなく“収束”へと転じる。

 

 それは抵抗を許さぬ圧倒的な指向性を持ち、ミノタウロスの剛角を瞬時に融解させると、一閃の収束砲(レーザービーム)と化してその頭部を無慈悲に撃ち抜いた。

 

 

 

 

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