転生したら『捕食者』だったんだが   作:犬養よわし

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文章って何文字ぐらいが丁度良いんですかね。いつも4000から5000を目安に書いてるんですけど


#2暴風竜ヴェルドラ

 同志が湖の水を大量に取り込んだせいで、気絶した俺だが、目を覚ますと同志の視界が見えるようになっていた。気絶する前は見れなかったのに…。異世界だから不思議なことの一つや二つあるに決まっている。自分をそうやって無理やり納得させて、同志の視界を見てみると、ドラゴンと仲良く会話していた。

 

 ん?ドラゴン?

 

『ふぁ?!何でドラゴン?!』

 

 まだゴブリンとかオークとか、序盤に会うであろう魔物に会うのは理解できる。でも、それらをすっ飛ばしてドラゴン?もっと順序ってものがあるでしょ!何で急にラスボスとか裏ボスみたいな魔物に会うんだよ!しかも何か仲良くなってるし……。スライムがドラゴンと仲良くなるって……これもうわかんねぇな……。

 

 俺は思考を放棄した。

 

《しないでください》

 

『いやだって、寝起きにこんなの見せつけられても…頭が追いつかないよ』

 

《……》

 

 『大賢者』さんも思うところがあるのか黙ってしまった。

 

 その後もドラゴンとのやり取りを見守っていたら、ドラゴンのことを不憫に思った同志がドラゴンの封印を捕食しようとした。しかし、封印は何千年もドラゴンを閉じ込めていた封印だ。更に名前が『無限牢獄』と字面からして強い。当然の如く捕食が弾かれた。ドラゴンを捕食するなんて無理。はっきりわかんだね。後封印なんて食べたらお腹に悪そうだからやめてほしい。

 

 しかし、封印に弾かれたことで俺が封印を捕食することはない。これで一安心だな。そう思って意識を同志から外して、後回しにしていた草を水と一緒に流し込む。ちなみに、水は『大賢者』さんが隔離空間に保存しておいてくれた湖の水だ。うん、苦味が口全体に広がって却って、辛くなった。これからは草と水は単体で食べるとする。

 

『『大賢者』さん…まだ味覚切っちゃダメなんですか?』

 

《ダメです》

 

『ひぃん……』

 

 俺からしたらもうとっくに一ヶ月は過ぎてる感覚だ。それに俺の今までの努力(草食べたり、鉱石食べたり、大量の水を飲まされたり)に免じてちょっとぐらい譲歩してほしい。

 

 その後も『大賢者』さんに粘り強くお願いしていたら、いつの間にかドラゴンを封印ごと胃袋に保管することが決定された。俺の意見は……?捕食するの俺なんですけど……?そんなことを嘆いても、『大賢者』さん以外には俺の声は届かないので、意味がなかった。

 

 別れの前の餞別として、同志がドラゴンとお互いに名付けをして、正式に友達?それともファミリーネームが一緒だから家族?になった。ちなみにファミリーネーム『テンペスト』。同志の名前は『リムル』になった。……かっこいぃ……別に羨ましいなんて思ってないんだからね!!俺には『大賢者』さんがいるもんね!

 

『ねっ!『大賢者』さん!』

 

《……》

 

 『大賢者』さんは照れてるようだ。もう、照れ屋さんなんだから〜。

 

 同志がスライムの体を弾けさせ、『無限牢獄』を包む。『無限牢獄』はドンドンと縮小されていって、最終的には同志こと、リムルの体内に取り込まれた。

 

 俺は最初から咀嚼して捕食するのを諦めて、丸呑みすることにしたので、あまり苦労せずに捕食することができた。俺は学べるスキルなのだ。《ふっ…》……『大賢者』さんには鼻で笑われたが、それでも俺は学べるスキルなのだ。後普通に封印を食べるのは、風船を丸呑みするみたいで、不愉快だったので、これからリムルには捕食するものをしっかりと考えてほしい。でないと、俺がストライキを起こしてしまう。

 

 まぁ、そんな俺の声なき想いは届く筈がなく……。

 

『オエ゛ー!!味感じないけど…オエ゛ー!!』

 

『ほんまいてこましたろかな。このスライム』

 

 見るからに不味くて、ダメそうで、お粗末。略してマダオな蛇を食わせられる。転生してからずっと思っていたが、何の躊躇いもなく、草とか鉱石、挙げ句の果てにはマダオな蛇を食うとか、お前精神状態おかしいよ…。

 

 蛇の肉についてだが、ある国では普通に食べていて、鶏肉みたいな味がして美味しいらしいが、それは調理済みの話だ。俺の口の中にあるのは生で血抜きをしていない蛇だ。上手い筈がない。

 

 実際に噛んでみる。うん、まずい。まともな食べ物を最近ずっと食べてないせいで、感想がそれしか出てこないが、味覚がある分リムルが喰らったダメージの2乗ぐらいはダメージを喰らった。

 

 次、またマダオなものを食わせたら俺はストライキをするだろう。いや、する。昔のアメリカの5倍過激なストライキをする。具体的にはリムルが触れた物を全て捕食してやる。

 

『いや〜『捕食者』まじ使えるな!』

 

 ……やっぱ三度目の正直とかって言うし、ストライキするのはもうちょっと後にしようかな……。

 

《ちょろ》

 

『聞こえたからね!?』

 

 別にちょろくないし!ただ自分のことを褒めてくれる人が好きなだけだし!誰だって自分のことを褒めてくれる人を邪険に扱わないだルルォ!?

 

 ……てか《大賢者》さんスキルなのに感情あるんだ……。

 

《ありません》

 

『嘘つけ絶対感情あるゾ。感情のない奴はちょろとか絶対言わない!』

 

《ありません》

 

『スキルに感情があるわけないであろう』

 

『ん?』

 

 『大賢者』さんを問い詰めていたら、聞き覚えのある声が聞こえる。その声はついさっき、リムルと感動の別れをしたはずの

 

『アイエエエ!?ドラゴン!?ドラゴンナンデ!?』

 

『何だ、我のことを知っているのか』

 

 確かに捕食して胃袋に保管したから、ワンチャン話せないかなって思ってたけど、まさか本当に話せるとは思わないじゃん。てか地味に今ピンチじゃない?リムルとの会話を聞いてたところ、うっかりで国を滅ぼせるんでしょ?暴れられたら俺が消滅するかも……スキルが消滅するかわかんないけど……。

 

『我が名は暴風竜ヴェルドラ・テンペスト!封印の解析が終わるまで世話になるぞ!』

 

『頼むから暴れんなよ…暴れんなよ…』

 

『暴れるわけないであろう!……さっきからお主は何処で話しておるのだ?姿が見えんのだが?』

 

『俺はスキルだから体ないんですよ。だから見えなくて当然です』

 

『ちなみに、お主のスキル名は?』

 

『捕食者ですけど?』

 

 俺がそう言うとヴェルドラが頭を傾げた。

 

『ふむ、不思議だな。会話をできるスキルはあるにはあるが、『捕食者』はそのようなスキルではない』

 

 会話をできるスキル…?『大賢者』さんとかのことかな?まあ、俺が喋れる理由は十中八九転生者だからだろう。転生者と言うイレギュラーな存在なせいで『捕食者』も変質したんだと思う。別に俺がいてもいなくて『捕食者』の重要な部分は変わらないけどね!ただ喋れるスキルって言うオプションが付いただけだけどね!自分で言ってて悲しくなってきた……何で俺『捕食者』になったんだろう……。

 

『さっきから黙ってどうした?何か心辺りがあるのか?』

 

『多分ですけど…俺が転生者なのが理由かなって……』

 

『人間が転生してスキルになる…か。今まで聞いたことがないな。転生者は大体人間だったり、魔物だったり、己の体を持っておる。何故だかわかるか?』

 

 急に質問を振られても……真面目に考えると俺が更に無様になるのでやめてほしい。すでに俺以外は体を持って生まれるって情報で相当なダメージを喰らっているんだ。勘弁してください…。

 

『わからなくても無理はない。お主の世界では超常的な現象は全て科学で証明されていたのだろう?こちらの世界とはそもそもの根底が違うのだ。改めて、転生者が己の体を持つ理由は、体がなければ転生ができないのだ。厳密に言えば転生はできるが、魂の器がなければ魂がすぐ消滅してしまうのだ』

 

『…じゃあその器が俺の場合スキルだったって話じゃ?』

 

『それはない。魂はその魂に見合った規格の体にしか入ることができん。そしてスキルは器足り得ルほどの規格をしていない』

 

『俺の魂の規格がめちゃんこ小さいとか……』

 

『ありえんな。それこそ、神などの影響を受けぬ限りはな。まぁ、ここまでは真面目に話しておったが、別に今魂が消滅してないなら大丈夫であろう!いつでもイレギュラーと言うものはあるからな!クワァーハッハッハ!』

 

 …いや、そんなお前何で生きてんのって言われた後にそんなん言われても…『大賢者』さん、俺って消滅しないよね…?

 

《解。今のところは消滅の兆候は見られません》

 

 よかった……。

 

 俺が安堵するとヴェルドラがまた口を開いた。もうお腹いっぱいなので黙ってほしい…。ヴェルドラが口を開く度に衝撃の事実が発覚して、俺にダメージが入るんだ。

 

『お主も転生者なんだったら仲間ハズレは可哀想だな』

 

『どう言うことですか?』

 

『いやなに、お主も我とリムルのファミリーネームを授けようかと思ってな。それに名前があった方が、魂の定着が安定するのだ』

 

『消滅の可能性が減るってことですか?それなら是非やってほしいですけど…大丈夫ですか?』

 

『何がだ?』

 

『だってヴェルドラさんのファミリーネームってリムルと共通じゃないですか。それをリムルの同意なく使ったら、後でリムルが怒りませんか?』

 

 俺は現状リムルの中に居させてもらってる立場だ。関係はなるべく良好でありたい。出てけと言われたら出ていくしかないしな…。……今の俺の立場って弱過ぎない?まだ前世の方が良かったかもしれない…。ほんと、何で死んだんだろ?

 

 俺がそんな思考をしている間、ヴェルドラは何かブツブツ言いながら悩んでた。

 

いや、リムルも流石にこれで怒りはしないだろう。初対面の我と友達になってくれた優しい奴だし。でも我とリムルの唯一無二が…。封印から出た後の我の価値が低くなったりせぬか?いや、我は世界に四種しかいない竜種ぞ?希少価値は高いはず…でも!

 

『あの…悩むくらいなら大丈夫ですよ?』

 

 俺のその一言でヴェルドラは何かを決心したのだろう。キリッとした目で振り返った。別にその目線の先に俺がいるわけじゃないけど。

 

『たとえ我が唯一無二じゃなくなっても!我は己の力で唯一無二になってみせる!』

 

『そうなんですね?で、結局名前はどうなったんですか?』

 

『うむ!つけてやろう!お主は今日からバアル・テンペストを名乗るがいい!』

 

 俺の中で何かが変わった。前までプールで浮かんでる感じがして、どこか不安定だったが、今は地に足が着いた感じがして、安定している。これが魂の定着と言うものだろうか。今なら、鉱石だって食べれそうな感じがする。食べないけど。

 

『ありがとうございます』

 

『もう我とお主は友人なのだから敬語なんぞ不要だ』

 

 確かに友達に敬語は変だな。今まで竜の威圧感がすごくて、自然と敬語を使っていたが、ヴェルドラとはもう友達だからな。敬語は外すとするか。

 

『ありがとうな!ヴェルドラ!』

 

『うむ!改めてこれからよろしくな!バアル!』

 

 手はないけど、確かに俺とヴェルドラはこの瞬間熱い握手を交わした。

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