Black Archive   作:アストラ連合学園中央生徒会

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3話

 

 

 コンテナの陰から近付いてくる規則正しい足音を盗み聞く、4体のロボット兵だ。

 

 頭部のセンサーを光らせ、近未来銃を構えている。さっきの無警戒な奴らとは違い、明らかに警戒モードだ。

 

 

「4対1か」

 

 

 分が悪いな、どうするか。

 

 コンテナの陰に身を隠し、周囲の遮蔽物を確認しておく。

 

 射線管理は重要だ。銃で撃たれても即死しない体になった訳だが、流石に4体からの集中砲火を受ければ……どうなることやら。

 

 

「まぁ楽しもうや」

 

 

 コンテナの隙間から覗き、サイトのない近未来銃で2連射。

 

 マズルフラッシュが瞬間的に照らし、1体目の胸部に2発命中。

 

 頭を狙ったつもりだったが、次からはやや上方を狙おう。

 

 問題は胸部から散った火花がダメージではなく、跳弾だった事だろう。

 

 

「……おいおい、ライフル弾だぞ?」

 

 

 至近距離だったとは言え、ライフル弾を使用している近未来銃で貫通しない?

 

 しかしライフル弾のこいつで弾かれるとなると……装甲の素材か、弾の相性か? なんであれ胴体は良くないな。

 

 しかしこの銃、サイトがないから感覚頼りになるが、反動は思いの外軽い。

 

 銃弾を弾いた1体目が此方を視認し射撃、銃弾がコンテナを削り、金属の不協和音を奏でる。

 

 

「むっ」

 

 

 その内の1発が肩に当たり、ドローンにガトリングで撃たれた時より強めの衝撃が走る。

 

 通勤中に肩がぶつかったような鈍い痛み、ただ痛みよりもぶつかった衝撃の方が強い。

 

 なるほど、口径によって軽減されるダメージが変わるのか。痛みは酷くないが集中砲火浴びるのオススメ出来なさそうだ。

 

 そんな事を考えていると、3体目が側面から回り込もうとする。

 

 俺はコンテナの反対側に移動し、移動中の奴の脚部に2連射。

 

 左脚に命中し、つんのめる様に倒れた3体目を尻目に近くの機械の後ろへ移動。

 

 遮蔽物を切り替えて射線を乱す。こういうのは相手が嫌がる事をするのがセオリーだ。

 

 1体目と2体目がコンテナに近づく。チェストリグのポーチからフラッシュバンを取り出し、ピンを抜いて投擲。

 

 甲高い音と共に爆燃し100万カンデラの閃光と衝撃が、1体目と2体目を包む。2体は頭部センサーが点滅、動きが完全に止まっている。

 

 ロボット兵相手に効くか賭けだったが、問題なく効いているな。

 

 機械の壁から半身だけ露出させ近未来銃を1体目の頭部に2連射。今度は跳弾する事なくバイザーを貫通し粉砕。

 

 まるでおもちゃの人形の様に銃を構えた姿勢のまま後方に倒れ停止。これで残弾は14発。

 

 

「ワンダウン」

 

 

 そうこうしている間に2体目が復帰し、即座に射撃。遮蔽に隠れるが、間に合わず弾が腕に当たる。

 

 無視し機械の後ろから飛び出して、別のコンテナを遮蔽物にする。

 

 コンテナの陰に身を潜め、弾の当たった腕を確認するが、当然の様に出血どころか打身にもなっていない。

 

 何処かにぶつけた程度の感覚だ。

 

 2体目のロボット兵が放つ近未来銃の銃撃がコンテナの表面を削り、火花を散らす。

 

 時折、銃弾が貫通しコンテナに穴を開けていく。

 

 2体目は正面から接近しながら、散発的に射撃を繰り返す。

 

 3体目は脚部を撃たれ倒れたままだったが、4体目が体を起こし、4体目と共に近くのキャットウォークへ移動を始めた。

 

 高所からの挟撃を狙っているのは明らかだ。

 

 放置すれば、立体的な攻撃にさらされることになる。

 

 なんとかしないといけないが……。

 

 コンテナを遮蔽物として活用し、2体目との銃撃戦を展開する。

 

 近未来銃を構え、遮蔽から半身をだして2連射。

 

 胸部に命中したが、装甲が銃弾を弾き、火花が散る。

 

 お返しとばかりに2体目が射撃し、弾がコンテナを削る。

 

 俺は身を低くし、反対側へ移動しながら応射。

 

 2連射を加え、バイザーを狙うが、感覚頼りでは狙った所に当てるのが難しい。

 

 弾は命中せず残弾は10発となった。

 

 その間、3体目と4体目がキャットウォークに到達。高所から射撃を加えてられ、弾が上空から降り注ぐ。コンテナの天板を貫くものもある。

 

 このままではまずい。

 

 2体目を先に排除しなければ、状況はより悪化する。

 

 意を決してコンテナの陰から飛び出し、接近、近未来銃を連射する。

 

 何発もの銃弾を2体目に叩き込み、その内の1発がバイザーに命中、粉砕。2体目は銃を構えた姿勢のまま停止する。

 

 

「ツーダウン!」

 

 

 そのまま走り込んでコンベア近くに滑り込み、機械の裏に身を隠す。

 

 だが、2体目への接近中に高所から銃弾の雨に晒された。割と痛い。

 

 

「ま、残業よりマシだな」

 

 

 軽口を叩きながら近未来銃で応射を試みるが、キャットウォークまでの距離が離れているため、正確に射撃するのが難しい。

 

 それに命中したとしても弾が装甲に弾かれることも多く、これでは埒があかない。

 

 最後の1発だったのかコッキングボタンが浮き出てトリガーが引けなくなる、なるほどこれが残弾ゼロの合図か。

 

 リリースパドルを押しながらマガジンを引き抜き床に捨てる。

 

 チェストリグからマガジンを取り出し装填、コッキングボタンを叩いてチャンバーに送り込む。

 

 リロードはしたが近未来銃でロボット兵を倒すのは正確に頭部を狙わなければ難しい。

 

 グラッチに持ち替え、アイアンサイトでしっかりと3体目を狙う。

 

 2連射は左脚部に命中し、元々被弾していた脚部が機能停止したのか、バランスを崩しキャットウォークから転落。

 

 地面に叩きつけられ、火花を散らす。

 

 

「まだ動いてやがる」

 

 

 そこそこの高さから無防備に落下したと言うのにまだ動く、だが銃を手放し、無事な手脚を出鱈目に動かしている。

 

 ひとまず戦闘継続能力は無くなったものとして思考から外す。

 

 その間も4体目から猛烈な銃撃を浴びせられる。隠れてはいるが数発はコンテナを貫通し、体に当たる。

 

 まぁ直に当たるよりは痛みは少ない。

 

 風通しの良くなったコンテナから、キットウォークを覗き見る。

 

 どうやら弾切れを起こしたらしく、太腿の側面の装甲が開き予備のマガジンを取り出した。

 

 

「あんな所に隠してたのか」

 

 

 隙を晒しているのだから攻撃すれば良いものを、思わず見続けてしまった。とは言えこれ以上、奴の好き勝手はさせない。

 

 4体目のリロード最中に右腕部へ2連射、リロードの為に片手を離していた所に銃撃され、近未来銃が手から抜け落ちる。

 

 勢いよく手から落ちた近未来銃は、キャットウォークの足場を跳ね、手摺りの隙間から下へと落下して派手に音を立てた。

 

 武器を失った4体目に照準を合わせ撃つ、弾丸は狂いなく奴のバイザーに吸い込まれ粉砕した。

 

 4体目はガクンと膝が落ち、そのまま機能を停止した。

 

 

「ふぅ……」

 

 

 周囲の警戒もそこそこに息を吐く、やはり数の暴力というのは強い。しみじみとそう思った。

 

 あぁそういえば、キャットウォークから落ちた奴がまだ動いていたな。

 

 落下したロボット兵は今だに手脚を出鱈目に動かしていた、如何にもエラーを吐いた機械といった具合である。

 

 こうなると下手人である俺ですら哀れに思えてしまう。

 

 哀れなロボット兵のバイザーを撃ち破壊する。

 

 工場の駆動音の中、薬莢が地面に落ちる甲高い音と共に、出鱈目に動いていた手脚はゆっくりと止まり、機能を停止した。

 

 

「オールクリア」

 

 

 それはそれとしてロボット兵の脚部を弄り、僅かな切り欠きを手で無理やりこじ開ける。

 

 先ほどキャットウォークの奴が見せていた収納場所━脚部弾薬ポーチとでも言うべきか━に未使用のマガジンが2つ入っていた。

 

 反対の脚部弾薬ポーチには3つ入っていた、どうやらスペース的には片脚3つ、両脚で6つ、計120発を携帯しているのか。

 

 装填済みであれば140発……。マガジンの本数で言えば現代的な軍隊での平均所持数だな。

 

 コイツも気づかない内にリロードしていたのか、取り敢えず貰っていこう。

 

 5本のマガジンをチェストリグのポーチに仕舞い、グラッチもマガジンに弾丸を補充する。予備の9ミリ弾は残り4発。

 

 補充を終わらせ、立ち上がる。体の調子を確認するが痛みはない、回復力も高いらしい。

 

 確か、こっちか。とロボット兵が来た道へと進む。

 

 工場区画から別の通路へと移動したが、ここも薄暗く散乱したコンテナや機械の残骸で視界が悪い上に死角も多い、足元に注意しながら歩を進める。

 

 歩きながらチェストリグのポーチを確認する。

 

 近未来銃の予備マガジンが増えたのは心強い。例え胴部装甲や当たりどころによっては有効打に成りにくいとしても。

 

 通路の先、薄暗い中に見えてくるのは、2体のロボット兵だ。

 

 しかし先程と違って捜索する様な素振りは見せない、通常モードって事なのか?

 

 肝心な時に遮蔽物になりそうな物がない。地面に伏せ腹這いになり、近未来銃をしっかりと握り構える。

 

 距離は40〜50メートルくらいか。なんとなくの当て感で頭部センサーを狙い、トリガーを引き続ける。

 

 連続した炸裂音が通路に響き、同じく連続したマズルフラッシュが周囲を照らす。

 

 何発かが装甲に弾かれるが、気にせず連射、着弾箇所をみて狙いを調整して頭部センサーに当てる。

 

 1体目がこちらに銃を向けた所で頭部センサーに命中し粉砕。2体目が射撃してくるがトリガーを引き続けたまま、2体目を狙う。

 

 これまた弾かれるが、その内の何発かが頭部センサーに命中、粉砕し2体目も倒れる。

 

 

「弾幕は正義だな」

 

 

 20発そこらで弾幕というのも可笑しいが、まぁいい。

 

 敵がロボット兵で近未来銃を持っている限り、弾切れの心配がないのは良い。

 

 補給の切れめは命の切れめ。まぁ、既に事切れているんだが。

 

 近未来銃のマガジンには、まだ数発入っていそうだがリロード。

 

 交換したマガジンを床に捨て、ロボット兵から新しいマガジンを鹵獲する。

 

 全部持っていきたい所だが、これ以上は嵩張る。

 

 それに未使用マガジンが6本もあるなら、補給を前提に動いたとしても十分だ。

 

 それに足りなくなったら、戻ってくればいい。このまま進むとしよう。

 

 

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