『葬送』のフリーレン   作:チャイナドレス先輩

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祝!フリーレン2期アニメ放送!!


フリーレンの『自我』/『鬼神のフリーレン』

【フリーレンの『自我』】

 

勇者ヒンメルの死から28年後。

 

中央諸国ブレット地方。

 

 

柔らかい朝の光が、木々の隙間から差し込む。私はその光が読んでいた魔導書に当たったのを視認して、朝が来たことを改めて認識する。他の魔法使いと比べたら夜目が利くので別に明かりがなくても本を読むことは出来るけど、明るい方が読みやすいのでそのまま魔導書を読み進める。

 

そして、新しく魔導書のページをめくったタイミングでフェルンが体を起こした。今日も早起きだと感心しながらフェルンからの言葉を待つ。

 

「おはようございます、フリーレン様」

「……うん、おはようフェルン」

 

フェルンに朝の挨拶を返しつつ、魔導書を閉じる。

 

「こうも毎朝早起きして朝食の準備をしなくてもいいんだよ?」

「いえ、料理をしていないと忘れてしまいますし……それに、少しでもフリーレン様と一緒の時間を過ごしたいんです」

 

「そう……それじゃあ、顔を洗いに行っておいで」

「はい……フリーレン様は……」

「いつも通り、別の訓練が終わった際に済ませてるよ」

「そうでございましたか……わかりました。それでは、いってきます」

 

ガサガサとフェルンは木々をかき分けながら森の中に消えていった。私はフェルンを待っている間に、後少しだけ読めるかなと考え魔導書を開いた。

 

「………」

 

だけど、私は開いたページを一文字も読むことがしなかった。ふと、ある事について考えてしまったからだ。

 

(今の私は誰なのだろうか?自分は何なのだろうか?)

 

あの『悪夢』の記憶を掘り起こした私が最近こういう事を思う事が増えた。私の自意識は、あの日、あの『悪夢』を越え目覚めた時から始まった。自分という存在が朧げな状態で、自己を確立していった……はずだ。

 

自分がフリーレンという名前である事と、魔法が使える事、ヤーナムの武器や道具を何故か使える事だけを理解した状態で、魔族狩りに明け暮れた。魔族狩りの中で、私の魂が今世で経験した過去(ヤーナム以外)や師匠(せんせい)の事などを思い出していったり、眠らない事をゼーリエに相談したり、マハトと戦ったり色々な事をしていた。

 

「………」

 

そう、そうやって自分という存在を確立した筈なのに、自分の存在を疑うような思考になってしまう。あの『悪夢』を駆け回ったあの魂に私の身体を使う権利や、『悪夢』から解放された後の人生を歩む権利があって、あの魂こそが『本物のフリーレン』なのではないか?

 

今の私という存在は、あの『悪夢』を駆けた魂が抜けた後に収まった何者もなく、あの魂が残した武器や道具を都合が良く使う自分こそが『偽物』ではないのか?

 

「そんな『偽物』の私が存在していいのかな……」

 

そんな風に思うことがある。そう思うと不安で不安で仕方なくなる。

 

「はぁ……1000年生きているのに、私は情けないな」

「……フリーレン様?」

「ん?ああ、フェルン。もう戻ってたんだ」

 

呼びかけられてからフェルンが戻ってきた事に気がついた。

 

「はい……『もう』とは言ってますが、10分ちょっとは時間が過ぎていると思いますが……」

「そうか。それじゃあ、朝ごはん作ろっか」

「……はい」

 

フェルンは何か言いたそうな表情をしたけど、何も言わずに朝食の準備を始める。フリーレンはフェルンの表情が見えておらず、朝食の準備の手伝いを行う。私は食料が入った大きくて重い袋を魔法の鞄から取り出す。そして、重いはずの袋を軽々と持ち上げて、袋の中身をフェルンに見えるように地面に置く。

 

「………」

 

旅をしていて一つ気がついたことがある……私が持てるものはフェルンが持てるとは限らないということだ。どうやら、私は見かけによらず力持ちという事になるらしい。

……普通の人よりも力がないと、魔力強化をしたといはいえ近接武器で防御魔法にヒビを入れることなんて出来ないしね。

 

(そう理解すると私とフェルンとの力の違いは、アイゼンとヒンメル、ハイターのようなものか。ハイターのドン引きした顔が懐かしいな……それにしても、私にもあの超パワーがあればなぁ)

 

『悪夢』の中で使えていた超パワーは、獣化後に手に入れた獣の膂力と強化の上限に達した筋力、そして魔力強化によって出来ていたものだった。今の私には獣の膂力も無いし、筋力もヤーナムの世界でいうところの30〜40程度だ。

 

他の魔法使いよりも力はあるけど、アイゼンのような『戦士』や『将軍』と比べれば非力な方になるので、力比べなど出来るはずもない。もしも、あのパワーが今の私にもあればクヴァールの時も足も折ったりなどの苦戦をせずに済んだのにと思わないこともない。

 

(でも、周りからゴリラって言われるのは勘弁かな)

 

1000年は生きたけど、それでも私は女の子だからね。

……別の次元から悪口が聞こえてきた気がするけど、気のせいだろう。

今の私には、他の世界の狩人達と交信する能力は無いのだから。

 


『鬼神のフリーレン』

60周目の悪夢にて

悪夢の辺境

 

帯電する獣や岩を投げてくる巨人がいる程度の寂れた場所に、今は沢山の狩人が集まっていた。

 

「1番になりたいかぁー!!」

「「「おおぉー!!」」」

「相手をぶっ殺したいかぁー!!」

「「「おおぉー!!」」」

「大(Die)3回狩人最強決定戦開会の宣言をする!!みんな、丸薬(ヤク)キメろ!」

「「「うおぉぉー!!」」」

「「………」」

 

大声をあげて盛り上がっている狩人たちから少し離れた場所に冷めた視線を向ける人物が2人いた。片方は小柄で長い銀髪で狩人の装束のフリーレンと、もう片方は長身で教会の黒装束で身を包んだ男だった。フリーレンは視線は集団の方を向けたまま、長身の男に話しかける。

 

「ねえ、この場所に誘ってもらって悪いんだけど……何あの馬鹿ども?」

「暇と元気を持て余した頭のおかしい夢の狩人ども」

「まるで頭のおかしくない狩人がいる様な言い方はやめてもらおうか?」

「困ったな。頭のおかしくない狩人がいない事について否定できない」

 

何度も『悪夢』を繰り返したある時、わたしは他の世界のヤーナムで夢の狩人と『交信』することができるようになっていた。他の世界の狩人から効率的な狩り方や聖杯ダンジョンに使う聖杯文字を教えてもらったりしていた。

 

そして、最近知り合ったこの長身の狩人に誘われてこの場に来ていたのだが……誘われてやってきた手前言葉にし辛いけど、もう正直帰りたい。

 

わたしの気持ちを察したのか、長身の狩人は申し訳なさそうに口を開く。

 

「すまないね、フリーレン君。聖杯ダンジョンに篭ったり、通常のヤーナムを周回する君に少しでも別の刺激をと思って誘ったのだけど……私もこの集まりについて詳細は知らなかったんだ……」

「……それは、あんたの様子を見れば嫌でも分かるよ。あいつら、あんた達と明らかにレベルが違うしね」

 

この場合のレベルとは、実際のステータスの話ではなく重心や視線などの体の動かし方や纏っている狩人としての雰囲気などのことだ。実際の数値に現れない強さが、この狩人と目の前にいる集団とでは違いすぎる。

……というか、あの集団は本当に狩人達なのか?

 

「まあ、我々のような上位者に成れた者や廃人、地底人などと言われる者がいないのに、最強決定戦とか言われて失笑する話なのだが」

「………?」

 

上位者に成れた者?そして、今、しれっと私もその上位者に成れた枠組みに入れなかった?などの疑問をわたしは口に出す事は出来なかった。

 

疑問を口にする前に、わたしたちの前に大会参加者と思われる狩人2人が出てきたからだ。『ルドウイークの聖剣』を鞘付きで肩に担いだ男と、『爆発金槌』を持った男だった。

 

「……さっきからこんな所でコソコソ話してるけど、お前ら何なの?この大会に参加するの?」

「ん?いいや、参加しないよ」

 

どうやら集団で離れた場所にいるわたしたちのことが気になって話しかけてきたようだ。特にこの程度の連中と相手しても得るものは無いと判断していた私は参加はしない事を決めていたので、その旨を伝える。

 

「あ、そーなんだ」

「それにしても、こんなチビでも狩人やっていけるんだな」

「それ思った!お前の世界のゲールマン達は随分と弱いんだなって」

「「あはは!!」」

 

ゲールマン達への侮辱を認識したと同時にわたしの体が動いた。たまたま近くにいた『爆裂金槌』持ちの鳩尾に軽くパンチをくらわせる。自分的には軽めの攻撃だったが、相手は悶絶し蹲る。

 

そして、丁度いい高さになった肩に手を置いて軽くジャンプし、肘を思いっきり頭に叩き落とした。すると、侮辱をした奴の体は勢いよく地面に叩きつけられてそのまま絶命した。

 

「「「……え?」」」

 

地面に叩きつけられた轟音に驚いたのか、この男が瞬殺された事に驚いたのか分からないけど、ガヤガヤと騒がしかったのに今はシーンと静まり返った。霧のように消えていくたった今自分が殺した狩人の姿を横目にもう1人に話しかける。

 

「……おい、お前も笑ったよな?」

「は……?」

 

わたしは『ルドウイークの聖剣』を鞘付きの状態で実体化させ右手一本で横なぎに振るう。重い金属音が鳴り響いた後に、上下に両断するつもりだった相手が勢いよく吹き飛ばされていった事を理解する。

 

「……チッ、防御されたか」

 

30メートル以上吹き飛ばしたが、わたしはすかさず追撃を入れる。地面にヒビを入れながら、勢いよく地面を蹴って走る。

 

「わたしが……わたしの世界の狩人達が弱いのか、その身に教えてやる」

 

そんな呟きが吹き飛ばされた相手に聞こえるはずもなく、吹き飛ばれた男は静かに体を震わせていた。

 

(う、腕が……いや、体全身が衝撃で痺れている!)

 

咄嗟に肩に担いでいた『ルドウイークの聖剣』を正面に構えたおかげで、俺は今生きている。もし、防御をしていなかったら、体を両断されていた事を理解して背中から嫌な汗が吹き出し、心臓はドッドッドッと早鐘を打っている。

 

「生きてるな?これからは教育の時間だ、覚悟しろ」

 

そう言って俺を吹き飛ばしたチビ女は、俺から5メートル先の地点で足を止めた。チビ女の後ろに見えるひび割れた地面はできるだけ見ないようにすることを心がける。

 

「クソっ、お前何なんだよ!!」

 

隣にいた男が瞬殺される中で、ぎりぎり俺の目で捉えられたこの女の動きには絶望しかできない。パワー、スピード、技術……どの部分をとっても勝てない事を心底理解させられた。同じ狩人、いや人間とは思えない……こいつは、まるで……

 

「人の形をした獣かッ……」

「おや?おかしいな……あの『悪夢』を経験した者なら誰でも理解しているだろう?」

 

チビ女はゆっくりと『ルドウイークの聖剣』の切先を俺に向けながら子供に言い聞かせるように優しく言った。

 

「『人は皆、獣なんだ』」

 

そう言った後に、チビ女は軽く、本当に小さな動作で地面を蹴り……軽く蹴ったとは思えないスピードで突っ込んできた。

 

(クソ速ぇ!?)

 

しかし、直線的な動きかつ距離があるので何とかチビ女を認識することができた。『ルドウイークの聖剣』を右手だけで持って振りかぶっている様子から、俺を袈裟斬りにするつもりだ。

 

何で、『ルドウイークの聖剣』を片手で持つ事が出来るのか、俺もカンストしているのにそのスピードは何だなどの疑問が尽きないが、ボス相手にスピードや力で対抗できないのはいつもの事だと割り切って対処をする。

 

俺は自分の『ルドウイークの聖剣』から直剣を抜き、前に出る。相手の攻撃が当たる前に自分の攻撃を当てて、攻撃を無力化すること。

 

(相手は獣に変態していない狩人……つまり人間だ。もっというと少女。いくら獣の様なパワーを持っているとはいえ、腕や足などの各部位は普通の少女と同じはずだ)

 

何もかもが自分より優っている相手に飛び込むのは、まさに死中に活を見出す行為。

 

(狙うは剣を持っている右手首!!出来たら勝つ、出来なければ一回死ぬ!それだけだ!!)

 

そして、この判断や蛮勇は功を制しフリーレンは右手首を切り落とした。剣を持っていた右手がなくなったことで、『ルドウイークの聖剣』も一緒に飛んでいってしまった。

 

「……ふうん、やるじゃん」

 

わたしは純粋に感心した。

 

「攻撃をして活路を見出す姿は、まさに狩人……だけど、及第点ってところかな」

 

私の左足が相手の腹に埋まっている。右手首に剣が当たった次の瞬間には左足を突き出したのだ。

 

「おごぉ……」

 

始めの男と同じく、何が起こったのか分からずに悶絶している様子だ。

 

「わたしも狩人なんだよ?カウンターのカウンターは想定して動け……あとーー」

 

フリーレンは追撃を入れようとする、しかし、右手は使えない。回復、再生させるにしても時間がかかったり、隙が生まれる。

だからーー

 

「……は?」

 

左手で相手の頭を掴みつつ、手首を切断された右腕で顔に近づけた。

 

「動きを止めるな」

「があぁ!?」

 

右腕の切断面がちょうど相手の目の部分にあたり、骨の周りの肉が眼窪に阻まれてメリメリと骨だけが目に入っていき、そして骨が脳に達する。ビクン、ビクンと男は痙攣するが、まだ生きている。仮にこのままの状態だったとしても、生きていれば狩人は染みついた動作として無意識下で輸血瓶で回復を図ろうとするだろうと、フリーレンは考える。

 

しかし、回復を許すフリーレンではなく、彼女は左手をフリーにさせて、喉、心臓、鳩尾の3箇所を左手で殴る。やっと男の体力が無くなり体が霧のように消え始める。

 

「思ったより動けたけど、メンタルや戦闘思考がまとも過ぎる。お前のところの『悪夢』はとんだぬるま湯だったんだな」

 

そう言いながら、フリーレンは輸血瓶を使用し回復をする。

 

「……さて、参加者を倒してしまった穴埋めに、このトーナメントに出場するとするよ。別に構わないよね?」

「「「………」」」

 

狩人2人を瞬殺したフリーレンの言う事を逆らうことができる者はいなかった。そして、当然の如く、フリーレンは大会で優勝する。

 

この出来事により、夢の狩人達の間で白髪のエルフの狩人の事が認知された……『鬼神のフリーレン』という名前で。

 

その異常なパワーと、自身を鑑みない精神性。

そして、回復よりも攻撃をして相手を倒すという超攻撃性。

まさに、『夢の狩人』としてあるべき姿を見せつけた。

 

「……素晴らしいですよ、フリーレン君」

 

フリーレンをこの場に誘った長身の男は静かに呟いた。

長身の男はフリーレンの姿を視界に収めながら、自分の考えは間違えていなかったことを悟る。

 

夢の狩人には2種類いる。

ゲームのようにあの悪夢をクリアしていき、遊び感覚となる者。

悪夢の中で地獄という言葉が生ぬるいほどの体験をし、まさしくあのヤーナムで生きていきた者。

 

今、この大会に集まった者たちは前者で、後者の者たちと比べて実力や精神性などが劣っているんだよ。彼らはそういうゲームをしているような認識だろうからね。もしかしたら、フィルター、あるいは画面を通した別世界やフィクションの出来事として認識しているのかもしれないね。

 

恐らく、彼らは獣化を経験することもないし、上位者に成ることも無いだろう。それどころか、啓蒙を得た時のあの独特な脳が広がっていくような感覚も体験したことがないだろう……羨ましい限りだが。

 

しかし、我々のような『悪夢』の中を駆け回り生きてきた者たちもいる。

あの悪夢での経験が己の血肉に変えて、心を痛めたり、心を壊したり……そして、月の魔物を狩り上位者となって、上位者としての特殊な力を行使できるようになった者。

 

やはり、フリーレン君……彼女はやはりこちら側の狩人だったか。あの異常なパワーは……恐らく上位者となった事で発現した異能だろう。

 

「自力であのエンドにたどり着くとは、将来有望だ……私たちと同じ仲間が増えて嬉しいよ」

「上位者に成れても、『悪夢』や『夢の狩人』という枠組みからはから解放されないのだ。ならせめて、同じ境遇の者と一緒に喜びも苦しみも分かち合おうじゃないか」

「ありがとう、私たちに同じ経験をした者がもう1人いると教えてくれて……そして、安心してくれフリーレン君……君は1人じゃ無いんだよ」

「……何で泣いてるの?怖い……」

 

こうして、狩人時代のフリーレンは、先輩狩人達から『月の魔物』はすでに倒したと勘違いされて、エンド分岐条件を教えられずに周回を重ねた。

 


 

勇者ヒンメルの死から28年後。

 

北部高原

ドラフェ地方

 

人間にとって恐ろしい竜が群れで空を飛んでいる。

ぐるぐると旋回しているおり、どうやら獲物が見つからない様子だった。

 

「まるで御伽の話♪終わりを迎えた証♪」

 

そして、そんな竜の群れに気づいていないとばかりに呑気に歌っている1人の女性がいた。

 

「長過ぎる旅路から〜切り出した一節(いっこと)♪」

 

小柄な体に落ち着いた服装。

長く綺麗で明るい緑色の髪。

そして、可愛らしく柔らかい微笑みを浮かべる。

 

しかし、他の人間と違う点がある。

その手に持つ麦わら帽子で隠せるほどに小さいが、彼女の額には魔族特有の角が生えていた。

 

「ああ、なんて素敵なのかしら!!」

 

歌い終わった魔族――『無名の魔族ソリテール』は嬉しそうに1人で話し始める

 

「愛した人のために、自分の幸福を鑑みず生きている間も、死んだ後の事も考えてあそこまで献身的になれるなんて!」

「それに比べて、フリーレンは酷いわ……そんな彼の大きな愛を理解できず、応えてあげられなかったなんて……だけど、ヒンメルもそれはわかった上で未来に残そうとしたなんて……フフフ、あはは!!私もヒンメルの事が好きになりそうだわ!」

「魔族に理解できない愛を、人類にも理解できる人が少ない方法で愛を貫き通す!!魔王様を倒した勇者だからこそ出来たのかしら?……いいえ、きっとヒンメルだから出来たのね」

「フフフ、ファルシュならそう言うわ。ああ、こんなにも他者を理解しているんだなって実感できるのは幸せよ。それに、教えてもらった歌もとっても素敵。1000年や1万年経っても、こんな歌詞は魔族(私たち)には絶対に思いつかないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ああ、そういえば、この世界の歌ではなかったんだっけ?」

 

それなら、この世界の人類にも思いつくことはできないだろうと考え落ち着きを取り戻すソリテール。

 

「『悪夢』を経験したファルシュの話は他の人間とも魔族とも視点や思考が違っていていつも面白いなぁ。次は何を話してくれるんだろう……あぁ、もっとあなたの話が聞きたいわ。次に出会えるのはいつになるの?」

「彼女は……いいえ、彼だったかしらね?今はどこにいるのかしら?『断頭台のアウラ』の話を聞いた後に、行方を眩ませて……妬けるわね」

「……この言葉の使い方は合っているのかしら?今度、ファルシュに会った時にでも確認してみましょう」




【ソリテールの麦わら帽子】
友人であるファルシュからプレゼントされた
手製の麦わら帽子
ソリテールは生きていて初めてのプレゼントなので
とても大切にしている

プレゼントされてから半世紀が経とうとしているが
ソリテールは修繕を何度も繰り返しているので
長年使い続けることができる

ソリテールは初めて思い出の品というものを手に入れ
この麦わら帽子を通して様々な気持ちを経験した
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