また、全ての話にフレーバーテキストを記載する予定で、今回よりも以前の話にも後書きにフレーバーテキストを追加しました。
ご興味があれば、以前の話の後書きをご参照いただけますと幸いです。
(防御魔法を覚えた魔族とか、厄介過ぎる!)
クヴァールは『
フリーレンは身の丈を超える大鎌を携えているのにも関わらず魔法使いにあるまじき敏捷性で『
フェルンは二人に負けじと自身に出来うる限りの『
「ほう……中々の速射速度だな。20年も生きていないのにこの練度とは、凄まじいな」
「……それを平然と防いで、なおかつ反撃もしてくるあなたは何なんですか?」
「『
「防御魔法は自分の
「何か言ったか、フリーレン?そういう、お主は魔法使用後の魔力感知が……」
「うっさいな!」
「まあ、それ以外の技量が凄まじいのだが、な」
クヴァールはそう言うと、今いる崖の上一帯を覆い尽くすような全方位範囲攻撃を仕掛けてきた。
フェルンはクヴァールと距離があるので防御できるが、フリーレンには距離が全く無い。
しかし、フリーレンは防御魔法を使うことなく、全てを紙一重で避け切った。
(私も魔力感知で『
そして、フリーレンは死の光弾の隙間を駆け抜け、あの大鎌で攻撃をする。
クヴァールはフリーレンの攻撃を防御魔法で防ぐが、青い障壁には薄っすらと
「ふむ、魔力で腕力を強化しているのか?」
「さあ、どうだろうね?『
フリーレンが放った雷をクヴァールは全て『
フェルンはフリーレンが作った眩い雷の光や魔力に紛れ込ませるように、『
「フェルンと言ったか?狙いは悪くないぞ」
(ああ、もう!あの時、フリーレン様が攻撃を止めなければこんな激戦をしなくて済んだではありませんか!)
『
(恨みますよ、フリーレン様!!)
(フェルン、怒ってるよね……)
フェルンからの視線を感じながら、フリーレンは思考を巡らせる。
またクヴァールもフリーレン同様に思考を巡らせる。
(クヴァールは大魔族で天才だ。あれほど洗練された術式構造はあと100年……いや、1000年は世に出てくることはない。
(実際に使ってみて分かったが、この防御魔法は『
(そう、物理攻撃に対する耐性はそこまでではない。そもそも攻撃魔法に同調して威力を分散する仕組みだ。だから現代魔法は大質量攻撃が主流になっている)
(しかし、儂は防御魔法を除いて、『
(クヴァールは、必ず『
(『
クヴァールは深い笑みを浮かべながらフリーレンに向けて『
しかし、その右腕に込められた魔力は今までの『
フェルンはクヴァールがこれからやろうとしている事を予測がついたが、自分が予想した内容に驚きを隠すことが出来なかった。
(まっ……まさか!?)
「チッ」
フリーレンは咄嗟に防御魔法を三重展開したが、全て貫通し左腕全体に大ダメージを受けた。
そう、クヴァールはフリーレンに
「フリーレン様!!」
「大丈夫だよ、フェルン」
フリーレンは空になった瓶を捨てながらフェルンに語り掛ける。
どうやら、すでに輸血瓶は使用しているようだ。
フリーレンの左腕の怪我がまるで逆再生するかのように回復を始める。
「やはり、
「流石は
「クックック、そもそもの術式構造が単純なのでな。改良も容易よのう」
「いや、その場で、魔法を改良すんなよ」
確かに『
しかしながら、その場の思い付きで魔法の効果を変えるのは難易度が高く、実戦の中で思いつき実行するのは並大抵の実力や才能ではない。
フリーレンと会話をしていたクヴァールは突如、防御魔法を二重に展開。
青い障壁が展開されたと同時にフェルンが放ったゾルトラークが命中し、障壁を1枚目を壊しただけでクヴァール自身には傷一つ付けることはできなかった。
「当然、お主らも高圧縮したゾルトラークで対抗する」
「防がれた!?高圧縮したゾルトラークを!?」
「だから、その場で改良すんなって!」
自分が今しがた作った魔法の対抗策を、次の瞬間には組み上げた
フリーレンは口で文句を言いつつ、頭の中では冷静にクヴァールが行ったことを分析する。
(恐らくは物理防御耐性を犠牲に対高圧縮ゾルトラーク対策の防御魔法を作ったな……そしてさっきの防御は魔力感知ではなく、フェルンならあのタイミングで攻撃すると判断したな……)
牽制の為『
(本当にさっさと殺しておけばよかった)
フリーレンは自分の行動に後悔をしている時、クヴァールは二人に対しての戦略を考える。
(既存の防御魔法に使う魔力を増やすことで高圧縮ゾルトラーク対策も視野に入れたが、それだと魔力消費が激しくパフォーマンスが悪い……2人の魔力量的に儂の方が圧倒的に有利であるが、わざわざ余計に魔力を消費することもなかろう)
そして、これは魔法使い同士の戦い……つまり、魔法戦。
(ならば、魔法使いらしい戦い方をしようではないか)
フリーレンの攻撃手段に対する儂の対抗策は以下になる。
①あの大鎌での攻撃をしてきた場合、通常の防御魔法を使う。
②『
③圧縮した『
④仮に大質量攻撃をしてきたとしても儂の実力ならゾルトラークで迎撃できる。
魔法使い同士の戦いは、ジャンケンに例えられる。
手数が無数にあり、複雑で難解なジャンケン。
相手の手を読み、対処をしていくのが魔法使い同士の戦い。
(その相手の手を読み切って、対処出来たりできなかったり……その戦いの果てに掴んだ勝利と達成感といったら……)
クヴァールは無意識に笑い声を零す。
「くっくっく」
「楽しそうだね、クヴァール」
「楽しい?楽しいとも!!儂ら魔族にとって自身の魔法を鍛えるのが人生の目標の様な物だ!」
「知ってるよ。つまらないよね」
「儂の開発した魔法がここまで進化をし、そしてこんな防御魔法まで生まれた!今まで魔法とは自分だけで研究するものだったが、まさか他者の存在によりここまで発展するとはな!!」
「この泥仕合はフリーレン様の所為ですからね」
「ごめんて」
「大変勉強になったぞ!ありがとう、フリーレン!今後の参考にさせてもらうぞ」
「ああ、そう!」
再びフリーレンは大鎌で攻撃をするが通常の防御魔法で防がれてしまう。
そして、クヴァールは防御魔法の裏から『
大鎌での攻撃で罅が入った障壁は通常の『
フリーレンは冷静に防御魔法を展開するが、新しい戦術を出し始めた賢老に苛立ちを見せ始める。
「そんな単純な攻撃が通じるものか、フリーレン!もっと儂を楽しませろ!」
「チッ、面倒な」
「今、この場にいるのは、あなた方二人だけではありません!」
「ほう、黙って攻撃をすれば良いものを……フリーレンを守るためにあえてか。美しい師弟愛だな……ん?」
クヴァールは今までのフェルンの攻撃なら間に合うように防御魔法を展開した。
しかし、クヴァールの防御より一瞬早く『
(これは……いったい?いや、なるほど)
「『
「………」
「己の才覚を自覚し、良い改良をしたな。お主のレベルなら同じ速度で高圧縮ゾルトラークも撃てるだろうな。よくそこまで研鑽をしたな」
「……どうも」
「そこのエルフの反応を見るに……」
「ねえ?名前を伏せてわざわざ話す意味あるの?……なあ、おい?」
フリーレンの怒りを表すように圧縮された
「他のエルフや長命種族達、もちろん魔族達もまだ反射的にゾルトラークに反応できないらしいな」
「……なんで私が黙ってること、言うかなぁ。『
「弟子の前で数々の弱点を指摘するのは儂も心が痛むが……」
「
「フリーレン様……さっきの魔力感知の件といい、なんで今まで言って下さらなかったのですか?」
「……だって、恥ずかしいし」
「さて、フェルンよ」
「はい」
「この攻撃速度は500年以上生きた大魔族達も反応できず通用するだろう」
「あれ?私がフェルンの師匠だよね?なんでぽっと出のクヴァールが師匠面してるの?なんでフェルンも素直にそいつの話を聞いているの?」
「正直、フリーレン様より話が通じ……あとはゾルトラークに関しては大変参考に……」
「……うおーん」
「泣きながら高速近接戦闘をするでない……だがフェルンよ、惜しいな。儂はこの『
クヴァールがそう言い切ると同時にフェルンは膝をつく。
フェルンは今までの戦いで魔力を出し惜しみをせず全力で戦っていたが故に、魔力を使い切ってしまった。
(20年も生きていないのにも関わらず、よくぞ儂らの戦いについて来れた)
クヴァールから見たフェルンの魔力量は自分とフリーレンと比べてとても小さく感じていた。
クヴァールはフェルンに向けて静かに右手を向ける。
(その研鑽、その健闘を讃え、今止めを――待て、何故フェルンはあの脆弱な魔力量でここまで戦えていたのだ?)
魔法使いとしてあり得ない可能性が頭をよぎる。
その可能性を考えた事と、その可能性を強く否定する思考で、クヴァールの動きが一瞬止まる。
(戦っているフリーレンも魔力総量にまるで変化が……まさか――)
そして、その隙を見逃すフリーレンではない。
「気付いたね」
そう言うと、フリーレンは魔力制限を解除して彼女本来の魔力がさらけ出される。
フリーレンの魔力が一気に膨れ上がり、まるであたり一帯を覆うように錯覚する。
そして、フリーレンを雷の光が包み込む。
(戦闘中の魔力制限による、総魔力量の偽装だと!?そして雷!?)
「――フリーレン!!」
「その隙を待ってたよ、クヴァール!!『
視界が青白い光に塗りつぶされるが、クヴァールは魔力の反応からフリーレンの動きを把握する。
フリーレンは、超高速でクヴァールに近づいていることを理解していた。
(雷の光で目くらましをさせて自身は加速し近接攻撃、あるいは離脱するための魔法か!!)
先ほどから何度か使っている『
(魔力偽装や魔法から近接戦闘への戦法の切り替え……さらには意図して意識させた攻撃に慣れた頃に別の攻撃を織り交ぜてくる)
クヴァールは死の気配を明確に感じつつも、楽しそうに笑みを浮かべる。
(戦法や意識させた攻撃に慣れた頃に攻撃方法をがらりと変えて意識の隙を奇襲する……つまり、フリーレンの基本戦術は相手を騙し続けて相手を自分に慣らさせないこと!)
フリーレンの近接攻撃力では通常の防御魔法を破ることが出来ないことを理解しているクヴァールは冷静に防御魔法を展開をする。
防御魔法を展開されたら、フリーレンの近接攻撃では一手足りなくなるのだ。
(仮に今の速度が加わった近接攻撃により防御魔法が破られたとしても、儂の命にまで届かない!選択を誤ったな!お主は一手……)
「なら、脚を足すまでだよ」
クヴァールは雷光の中で気付く。
フリーレンが脚を犠牲にして防御魔法を破って目の前にいる事を。
咄嗟にクヴァールは相打ち覚悟の『
結果は――
「な、何故だ……フリーレン……」
「私の勝ちだ……賢老」
クヴァール決死の攻撃はフリーレンの右腕を欠損させるだけに終わった。
そして、クヴァールはフリーレンに心臓部を切り裂かれたことで致命傷を負う。
クヴァールは何故自分の攻撃でフリーレンを殺せなかったのかという疑問を抱えたまま膝をついた。
【防御魔法】
対『
攻撃魔法に同調し威力を分散させる仕組みにより、魔法攻撃自体には高い耐性をもっている
しかし、同調し分散させるという複雑な術式により他の魔法や『
また、物理防御に関しては80年前から変わりはなく、圧倒的な質量攻撃、あるいは上位の戦士や魔族の将軍などによる強力な物理攻撃であれば防御魔法は突破できる