急所柱   作:邪魅魔魅

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モチベがあったら無限列車までいくので
(多分続かない)


鬼の急所

 

5年前。

煉獄杏寿郎が目にしたのは異様な光景だった。

 

山沿いの集落に鬼が発生。討伐へ向かった煉獄は、叫びのする村外れへと急ぐ。

 

「…だずげでえ“え“え“え“え“え“!!!!!ごろ“じでえ“え“え“え“!!!!」

 

まだ距離がある煉獄の所まで響くとても大きい声だ。まずい。人が死んでしまう。

 

建物がある道を抜け、田の脇を走り、そこの先に見える大きい道場らしき建物の中心にいるのが叫び声の主だった。

 

 

血まみれの鬼が、血まみれの人を襲っている。

 

いや、よく見ると逆だった。

 

血まみれの人が血まみれの鬼を襲っている。

 

 

 

異様に()()を蹴り上げながら。

 

 

 

「オラァ⭐︎オラァ⭐︎誰なんだよテメェは⭐︎」

 

「いだい“!!も“うやめでえ“え“え“え“え“え“」

 

「不死身の鬼だって言ってただろうが⭐︎まだ根ェ上げんには速いよなァ⭐︎オラァ⭐︎オラァ⭐︎」

 

 

鬼は四肢に小型の楔で打ち付けられた鎖で、M字開脚を強制的にやらされていた。そこに容赦なく、体格のよい彼の丸太のような足が弾かれたように衝突する。

 

煉獄は日輪刀を引き抜き、躊躇う事なく鬼の首を斬った。

 

「あが…?」

 

「侍⭐︎」

 

地面へ落ちた鬼の首は驚愕の表情となっていた。崩壊が始まっていたが、まだ余力を振り絞り最期の会話を述べ始めた。

 

 

「その隊服…鬼殺隊の…?」

 

「ああそうだ。君を討伐しに来た」

 

「ありがとう…ありがとう…それしかいう言葉が見つからない…」

 

鬼は涙を流し、煉獄に感謝しながら塵となって消えた。

 

塵となって消える鬼を物珍しそうに見ていた少年は、煉獄へ話しかけた。

 

 

 

「なあ、どうしてアンタはあの怪物を殺せたんだァ♡俺が首を鎌で切ってもピンピンしてたんでよぉ⭐︎」

 

「うむ、あの怪物は鬼と呼ばれる。日輪刀という特殊な刀で首を切れば鬼は消滅する。普通の武器では無意味なんだ」

 

「じゃあ拘束するのは正解だった…ってコト⭐︎」

 

「そうなるな。素晴らしい判断だった!ところで、君の家族は無事なのか?」

 

「俺に家族はいない⭐︎俺は捨て子だった⭐︎一人で動物捕まえたり、捨てられた服を縫い合わせたりして作ってる⭐︎俺器用⭐︎」

 

「…そうか」

 

 

自分は恵まれているなと思った。母は逝ってしまったが、父も弟もいる。

最初から自分に家族がいなかったと思うと…

いや、この子も欲しているだろう。人との関わりを。

 

 

「ならば、鬼殺隊へと来ないか?君の体格に筋力は素晴らしいものだ。いつだって歓迎する!」

 

「俺が必要とされる日が来る⭐︎行くしかない⭐︎」

 

 

「そうか!俺の名は煉獄杏寿郎!柱を目指しているものだ!」

 

「俺は神南備⭐︎鬼殺隊♡に入るものだ⭐︎」

 

こうして彼、神南備は煉獄家が引き取る事になった。

 

 

 

 

 

数日後…

 

 

 

 

 

「こんにちはァ⭐︎今日からお世話になります、神南備と申します⭐︎よろしくお願いいたします」

 

「…なんだ、コイツは」

 

煉獄家の縁の庭にて、槇寿郎に頭を下げる神南備。

 

短くすっきりとした黒い頭髪に、紫の瞳。

 

肩幅も広く、上背もあるためこのまま成長すれ岩柱や音柱のような体格になるだろうと杏寿郎は思った。

 

 

「父上!神南備は呼吸も武術も心得ていない中、一人で数時間以上鬼と格闘し無傷で戦い抜いた才のあるものです!千寿郎、神南備と共に継子として稽古に励みます!」

 

 

「…くだらん」

 

 

「神南備、鬼殺隊に入って鬼を殺せれば何十、何百と人を救える事を知りましたァ⭐︎私も人を救うために全力を尽くします」

 

 

「くだらないといっているだろう!ダメなやつはダメなんだ!出来ないものは出来ない!無駄な訓練なんて、ッやめてしまえ!!」

 

 

槇寿郎は怒って襖の向こうに行ってしまった。

 

 

「杏寿郎さんのお父さん、怒らせてしまった」

 

「いや、いい。君が気にするような事じゃない。…母が亡くなってから、あのままなんだ」

 

「そうか、お母さんが……仲直りしたいよね⭐︎」

 

「もちろんだとも」

 

「杏寿郎さんならできるさァ⭐︎」

 

「そうだな!前を向いて進もう!!」

 

 

 

 

一年後…

 

 

 

 

夕暮れの煉獄家に側転をしながら帰ってきた神南備は、真っ先に槇寿郎へと報告しにいった。

 

「お父様ァ⭐︎お父様ァ⭐︎鬼殺隊に正式にィ⭐︎入隊⭐︎」

 

「うるさい!俺はお前の父親じゃない!」

 

槇寿郎は縁側で酒を飲んでいた。

 

 

ある日千寿郎とお父様に酒を注いでみようと計画し、息も呼吸も止めて酒を注いでみたら、案外反発してこなかった。

 

『やはりお酒で仲良くなれるゥ⭐︎』

 

『神南備、ありがとうございます。父様と仲良くなれる日が来るかもしれません!』

 

『敬語はやめてくれないのか⭐︎俺たちはァ、家族⭐︎」

 

 

 

神南備は正式に鬼殺隊へと入隊した。

 

藤の花でぐるりと囲まれた森で夜明けまで生存するという試験だった。

 

その中には鬼が存在しており、もちろん襲ってくる。

 

試験の中でアオイという水の呼吸を使う女性がいた。なんでも、花柱の継子の一人らしく、同期の中では一層強かったが、手強い鬼と戦闘し戦意喪失。

 

アオイを守りながらの戦闘だったが、神南備は戦い抜いた。

 

「…俺にとっては父親です⭐︎住む場所も、シミつきハエがたかるような着物も、ゴミの入っている食事もウジの湧いた肉もない。以前の俺からすれば喉から手が出るほど欲しかった生活です」

 

「…」

 

「だから、俺をここまで育ててくれてありがとうございます。千寿郎くん、杏寿郎さん。お父様。いなかった家族になってくれて、…ありがとうございます」

 

 

神南備は両手を地面につけ、深々と頭を下げた。

 

「…お前、家族は」

 

「…いません。捨て子だったのでしょう。気がつけば一人で生きていました」

 

 

「…」

 

槇寿郎はまた襖の向こうへ行ってしまった。

 

「…ちょっと仲良くなれたァ…かな」

 

 

 

数ヶ月後…

 

 

 

杏寿郎と任務に出かけていた神南備は、近辺に上弦の鬼が出現したと伝令を受け全速力で向かう。

 

鍛え抜かれた二人の体は街頭や提灯を後ろにすっ飛ばして駆けて行く。

二人とも実力は柱に及ぶ、とさえ言われている。

 

「カァー!カァー!!上弦の弐!上限の弐!花柱ガ交戦中!イソゲフタリトモ!!イソゲイソゲ!!!!」

 

 

「急ぐぞ神南備!!」

 

「花柱⭐︎花柱⭐︎まんじゅうのお礼まだしてない⭐︎」

 

 

 

数分後…

 

 

 

「あれが…」

 

「二番目⭐︎」

 

カナエと上弦の交戦場所へ到着した。

発展している城下町だった。

 

当たりは凍てつき、まるで冬のような気温だった。

助太刀に入らねば、と二人は思った。

 

だが、カナエの範囲攻撃と上弦の範囲攻撃、同じ広範囲攻撃と真正面からの戦闘に特化した炎の呼吸とは相性が悪い。

しかし彼らには策があった。

 

「…神南備。お前の型でいけ。神南備の初撃の後に俺が続く。上手くいけば首をとれるだろう」

 

「でもあの型嫌いって言ってたじゃないですかァ⭐︎」

 

「上弦の鬼ならば…慈しみの気持ちの跡もない」

 

 

煉獄は刀を握る腕に力が入る。

 

 

「了解。炎の呼吸…」

 

 

神南備は両手を地面につけ、腰を上げて呼吸を練り上げる。

 

地面の砂粒がびりびりと震え、側の建物は小さな横揺れを開始する。

それは神南備だけでなく、煉獄も型を繰り出そうとしていた。

 

「炎の呼吸!玖ノ型ァ!」

 

煉獄は刀を上段に構え、突撃の姿勢へと入る。

ゴォォォォォという彼の呼吸は、あたりを陽炎へと変貌させていた。

 

 

「弐ノ型!昇り…」

 

 

そこで神南備は───

 

 

弾かれた。

 

 

「炎天⭐︎ッ!!」

 

 

現代で言われるクラチングスタート。その構えから発射された神南備は、地面を割りながら上弦の鬼へと突撃する。

 

本来の武ノ型ではない。彼は戦闘において、刀を持たない。

 

幼少期より自然と身についた近接格闘術、それに炎の呼吸の型が合わさり、全く新しい炎の呼吸の型へと変貌を遂げた。

 

 

上弦の鬼へと迫る神南備。

 

「あれぇ?援軍の鬼殺隊かな?刀を持ってないの?まるで猗窩座殿みたいだn」

 

神南備は上半身、下半身と力を抜き、地面へ両手を左足の横に置く。

 

 

そこから右足を上方向へ振りぬき───

 

 

 

神南備は童磨の股間を蹴り上げた。

 

 

 

「ガッ…!!あっ、あああああああああ!!!!!!!」

 

童磨は股間を押さえてのたうち回る。

彼の血気術で作られていた小さい童磨のような人形は塵となって消え、凍てつく空間は弾け飛んだ。

 

 

「あなたは…!」

 

「花柱⭐︎花柱⭐︎ここで倒すよ上弦の弐⭐︎」

 

 

「あああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」




童磨にも金玉はあるんだ。
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