急所柱   作:邪魅魔魅

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キャラ崩壊注意です
こんなお館様が居てもよかったんだ…


笑う耀哉に腹痛来たる

 

 

産屋敷耀哉は怒りを忘れ爆笑していた。

上弦だけでなく、あらゆる鬼へ対しての弱点が発見出来た、という鬼殺隊にとって破格の情報はさておき。

 

耀哉は品のない会話とは無縁な生活を送ってきた為、そういう内容へ耐性がないのである。

知ってはいるが、同世代とそんな会話をした事がない。

 

つまり、ウ○コやチ○コだの子供でも笑うような言葉を言われた時点で耀哉の腹は限界を迎え、腹部がつってしまう。

 

 

耀哉は悟った。

急所だのと言った会話を聞いていれば、いずれ笑って死んでしまうと。

まさに笑死。

 

耀哉は聞き耳をやめ、みんなのお館様であろうと切り替えた。

 

 

 

 

 

 

 

「む…」

 

杏寿郎は目を覚ました。具体的に言えば起きるタイミングを見失っていた。

杏寿郎は何故か麻酔の効きが薄く、少し増して注入されたというのは隠の間でしか知らない。

 

「杏寿郎⭐︎おはよう⭐︎」

 

「ああ。おはよう…」

 

と、杏寿郎は目を擦りながら上体を起こす。

そして正座しているあまねを見て目を見開いた。

 

「あ…あまね様…」

 

「お久しぶりです。杏寿郎隊士」

 

「…!お久しぶりです、あまね様」

 

と、杏寿郎は正座をし両手をついて頭を下げる。

それに続いて神南備も頭を下げる。

 

「これにて二人ともお揃いになりましたね。お館様、産屋敷耀哉がお待ちです。案内致します」

 

あまねたち三人は立ち上がり、耀哉の待つ部屋へと向かう。

 

 

煉獄家は鬼殺隊結成以来、長らく炎柱を輩出し続けてきた名家だ。

それゆえに大層大きな屋敷を持っている。

 

 

だが、産屋敷邸はそれを遥かに上回っていた。

それでいてどこまでも手入れが施されているのだから、神南備からすれば逆に不気味だった。

 

 

(妻が死んじまって…参っちまうよなぁ)

 

 

「…?杏寿郎、何か喋ったのか?」

 

「いや、一言も発していない!お庭がとても綺麗だと見惚れていた!」

 

あまねは杏寿郎の言葉に内心喜んでいたが、表情を押し殺さねば。

と、ビジネス無表情を貫いていたが、上がった口角は下がらず。

後に子供達に見破られた。

 

「そうか…」

 

「どうしたんだ神南備?」

 

「なんでもない⭐︎」

 

 

 

 

 

「お館様。神南備隊士、杏寿郎隊士が参りました」

 

「…ありがとう、あまね。神南備、杏寿郎。入っておいで」

 

 

扉の奥から聞こえるその声に二人は謎の感覚に襲われた。

 

足が浮くような、少しぼーっとしてしまう感覚になってしまった。

背中を指で一本線を引かれるような気持ちよさ。

 

 

神南備は膝から折れて寝てしまいそうになったが、なんとか気合いで持ち堪えた。

 

杏寿郎は少しの緊張で目が泳いでいる。

後に「ギョロギョロ目ん玉!」と呼ばれる事になるのはまた後の話。

 

 

 

あまねが襖を開け、その部屋の中心部の座布団にお館様は座っていた。

 

首あたりまで伸ばされた絹のような黒光りする髪の毛に穏やかな瞳。

 

額から片目にかけて、湖に反射する山のように、痣のような水脹れのようなものがかかっていた。

 

「お初にお目にかかります。煉獄杏寿郎と申します」

 

「お会いできて光栄です。神南備と申します」

 

「二人とも初めましてだね。そんなに畏まらなくていいよ」

 

「しかし、敬意を表さずにはいられません!今の鬼殺隊があるのはお館様あってこそだと私は思います!」

 

 

耀哉は微笑む。

 

 

「そう言ってくれてありがとう、杏寿郎。でもね、私自身はさほど重要なことをしているわけではないんだ。あまねや隠、鬼殺隊の子供達がいてこそ私という存在はみんなの役にたてる。私も子供達と同じ歯車の一つにすぎないんだよね

 

 

神南備は内心、お館様についてはよく知らなかった。

どんな人か興味がないし、鬼殺隊の頂点。謎の存在。ましてや会うこともないだろうと思っていた。

 

「まずは私から…二人とも、ありがとう。私の子供を助けてくれて」

 

と、耀哉は手をついて頭を下げた。

 

「お、おお、おっ、お顔をあげてくださいお館様。私たちは鬼殺隊として当たり前の行動をしたまでです」

 

「神南備。人に助けてもらったら礼はするものだろう。私もみんなと同じ人なんだ。特別なんかじゃないよ。ただ私の子供を助けてくれた事について感謝しているだけなんだ。君はその事を受け止めてくれればいいんだよ」

 

 

神南備とは頂点に立つものが分からぬ。

ふんぞり返って命令を出すものだと相場が決まっている。

 

だが目の前にいる男はそれには当てはまらない。

 

対等な存在であろうとしている。

それに応えなければ、と神南備は思った。

 

 

「お礼もした事だし、本題へ入ろうか。まず、二人はここへ来てもらった理由は知っているかい?」

 

「はい!上弦の鬼についての情報だと聞いています!」

 

「話は早いね。それじゃあ、聞かせてもらえるかな?」

 

「はい!ではまず…」

 

 

杏寿郎が上弦の弐について話していく。

外見や血鬼術、口調や謎の宗教の教祖などとあらかた話した所でこちらへ話が投げられた。

 

「戦闘については神南備が話した方がよいでしょう!」

 

「分かった。神南備、話してもらってもいいかい?」

 

 

…まんま話してもよいのだろうか。

いや、もう情報は手紙でいっているんだし、この際話したって構わないだろうと判断した。

 

 

「分かりました。それでは…」

 

 

神南備は上弦の弐についての能力を説明した。

血を氷にし、両の扇で散布する戦い方。反応速度や身体能力もこれまでの鬼の比ではない、など。

 

そして最後に。

 

 

「鬼の弱点は急所です。睾丸に当たる部位に衝撃を加えれば…」

 

「…ふっ」

 

「…お館様?」

 

 

お館様は下を向き震え始めた。

 

 

「ふっ、は、話を遮って悪かったね…っ。続きを話してくれないか」

 

「は、はい。自分は機会を待ち、呼吸を使用して鬼の急所を蹴り上げました。鬼は大絶叫し…」

 

 

「ふ、ふふっ、はっ、ははははははははははは!!!!!」

 

 

「「!?」」

 

 

お館様が爆笑を始めた。

ドン引きする神南備と杏寿郎。

 

「神南備…何を言ったんだ…?」

 

「急所を蹴り上げたって言ったら…」

 

「むう」

 

 

「ひ〜っ、…っふ!ははははははは!!パァっ!?」

 

 

床を叩きながら爆笑していた耀哉はお腹をつった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、二人はすみやかに煉獄家へと帰らされた。

 

訳もわからず二人は頭を傾かせていたが、後日あまねから手紙が来た。

一部抜粋する。

 

『産屋敷耀哉は過度な腹部の運動により体調を崩した』

 

要は笑ってお腹つって運ばれたという事だ。

 

 

「お館様は笑顔が似合うお方だったな!わっしょい!!」

 

「…笑わせれば腹も急所ォ⭐︎」

 

 

…煉獄兄弟は神南備を変なものを見る目で見るしかなかった。




神南備と杏寿郎は刀鍛冶編の炭治郎くらいの強さを想定してます。
1話で童磨と戦いが成り立っていたのはまぎれもない、急所への攻撃によるデバフなんです。
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