セミナー副会長はとにかく巻き込まれたくない 作:ピンク髪大好きニキ
対策委員会編も佳境、戦闘シーンはあまり書くことないんで次かその次くらいで終わる予定です
連日投稿するつもりなかったのに何でか連日投稿してる、不思議
アビドス砂漠に、嘗てこれ程まで人が集まったことがあっただろうか? そう思えるほどに大勢の人影がアビドスの砂を覆いつくしていた。
「総員、配置につきました」
「了解した。 ……しかし何だね、この数は。 聞いてないぞ」
「わ、我々にも何が何だか……」
「うむ……しかし理事に頼まれた以上ここを死守するほかない」
カイザーPMCとして集まった彼らには、上から出された命令に従うしかない。 錚々たるメンバーを前に心が折れそうになるが、しかしやらざるを得ないと気を引き締めていた。
だが残念かな、彼らには折れるはずの心すら無くなるほどの『恐怖』を、まだ知らない。
「……時間ぴったりね。 みんな、準備は良いかしら?」
「良いですけど……良いですけどぉ……!」
「何で私達こんなところにいるんだろう……」
「風紀委員の仕事もまだ終わってない物が多いですし、早めに終わらせるしかないですね」
砂漠の一角に集まっていた風紀委員会。 やる気に満ち溢れたヒナとは真逆に、アコやイオリは目が死んでいた。 しかし彼女達は帰るわけにはいかない。
「先生に頼まれたし、ランにも頼まれた……ここで頑張らなきゃ、顔向けできないわ」
「私もランさんの件がありますし、手助けをするのは吝かではないですが」
「文句を言ってる場合じゃない、私たちの仕事はここの死守。 先生の所に通さないわ」
「……しかし、意外でした。 ランさんが対策委員会と一緒に行動しないなんて」
アコはそう言って端末を眺める。 そこには集まっていたメンバーの位置情報が記されており……ランの姿は、対策委員会や先生の場所から大分離れていた。
「今回の一件は対策委員会とカイザーとの争い。 確かに小鳥遊ホシノとは深い仲だけど……私情を挟んでいいわけじゃない、そう言っていたわ」
「そう言う所は律儀と言いますか」
「……無駄話はおしまい、連中が動き出した」
「了解です、各自銃器の点検は済みましたね? では進軍してください」
アコの一言で風紀委員は進みだす。 その人数は決して多くはなかったが……彼女達の目には力強い光が灯っていた。
流石天海ランの猛攻を凌ぎ切ったメンバーだ、面構えが違う。
『……砲撃部隊はそのまま待機を。 正義実現委員会の皆さんは進軍を……その他の皆様は自由に動いてください、射線にだけは入らないようにしてくださいね』
「随分大雑把な指令ですね、もう少し作戦指揮を学んだほうが良いのでは?」
『ご冗談を、今回の私はあくまでも手助けのみなので……残りは現場の判断に任せます』
また別の一角ではトリニティから来ていた正実とシスターフッド、それに救護騎士団の一部メンバーが集まっていた。 彼女達もここに集まっている理由は同じで『天海ランの救援』である。 本当に救援が必要なのかは不明だが。
「本当はツルギも来たかったようですが……流石にトリニティを空けるわけにはいきませんからね」
「でもかなり気にしてたっすよね。 あれって何か理由があるんすか?」
「……その、ランさんに会うたびに素っ気ない態度でしか話せないので大分申し訳なさを感じてるらしく……」
「あぁ……」
実質的な指揮官であるハスミと、その手伝いの為に来ていたイチカの二人は砲撃を担当する正実メンバーを目で追いつつ雑談に耽っていた。 なおこの時ツルギはトリニティ内で静かに涙を流しており、それを見たトリニティ生徒は「あの剣先ツルギを泣かせるほどの強敵が……!?」と戦慄していたのは誰も知る由がない。
「話もありましたので、我々は独自に動かせていただきましょう……サクラコさんは?」
「ミネ団長と行動させていただきましょうか。 我々の要件はランさんの助けになることですから」
「ええ、それに関しては同意見です。 日頃お世話になっている恩をこう言う所で返さなければ申し訳ありませんからね」
ミネとサクラコが参加した理由は至極簡単であり、日頃世話になりっぱなしのランに少しでも恩を返そうという理由からであった。
なおランとしては厄介事に巻き込まれた結果たまたま助けになっているだけであり、本人に言ったら「えっ、別にそういう意図があってやってるわけじゃないんだけど」と言うに違いない。
「アビドス、ランさんの親友が守ろうとした場所ですか」
「ならば私達も守りましょう。 友人が困っているのであれば、力になるのが友というものでしょう」
「ふふっ……不謹慎ですが、友のために力を貸すというシチュエーションは……そう、ランさん的に言えば燃えると言うものでしょうか」
微笑みを崩さないサクラコとミネであったが、銃を持つ手には力が籠められ続けており……戦う意思は、この場の誰よりも高く強いモノであった。
普段触れ合う機会がない分、ここで目立ってお礼を言われたいなんて不純な動機は、無い、と信じたい。
「はぁ……ったく、リオの奴無茶ぶり言いやがって」
「でも部長も満更でもなかったよね?」
「あ? そりゃ……ここで恩を売っとけば、流石のコイツも話に乗ってくれんだろ?」
「恩着せがましい……」
「何か言ったか?」
最後の場所にいたのはミレニアム……C&Cのメンバーとランであり、少数ながらもこの場のどの陣営よりも特出した戦力と言っても過言ではなかった。
何せミレニアム最強と謳われる美甘ネルに破壊姫や破壊の権化と言われ続けるランのふたりが並び立っているのだ、仮にこの場で全陣営で争った場合確実にミレニアムに軍配が上がるだろう。
「まああたしたちは好き勝手暴れさせてもらうから、お前は好きに動けよ」
「いや、私はネルちゃんたちと遊撃だよ。 対策委員会に近づくPMCは絶対に潰すよ」
「……まぁ、お前がそれでいいなら良いんだけどさ」
「?」
「もう少し我が儘になっても誰も文句言わねぇんじゃねぇか?」
「私割と我が儘してると思うんだけど」
「そう言うんじゃねぇ、セミナーとかミレニアムとかじゃなくお前自身のやりたいことをやっていいんじゃねぇかってことだ」
ネルの一言にランは首を傾げる。 割とやっている気がするが何が違うのだろうか? とでも言いたげな顔だ。
ネルはそんな顔を見て溜息を吐きつつ、また口を開く。
「お前はどう思ってんのか知らねぇけどよ。 ミレニアムで聞く話じゃ結果的にセミナーやミレニアムの利になるものばっかりだ。 お前自身の、別にミレニアムの為にならない我が儘なんてほとんど聞かねぇ」
「……そう、なのかな?」
「今回みたいなのがいい例だな、ミレニアムの為になるか分かんねぇが……お前自身のやってほしいことの割合が多い。 ならそのまま対策委員会とやらについて行って最後までやっちまえばいいのに」
「……そうもいかないよ。 これはアビドスの問題であって、私達はそれが上手くいくように手助けする立場だから」
「……めんどくせぇ女だな」
「え゛」
「テメェの親友が守りたかった後輩が! 碌でもねぇ奴に唆されて捕まってんだろーが!! ならお前も行ってやらなくてどーすんだよ!!」
「……ッ」
「理屈だとか筋だとか七面倒な話は抜きにして、我が儘突き通せよ!! テメェは親友に何を託された!!」
「……」
────────ホシノちゃんをお願い、ホシノちゃんって……冷たく思うかもだけど……
「ホシノちゃんは本当は凄く優しくて、とても大切な後輩だから……そうだったよね、ユメちゃん」
「……はっ、良い面になったじゃねぇか」
「ネルちゃん、ごめんだけど」
「行けよ、この程度でどうにかなるようだなんて思ってねぇだろ」
ネルの獰猛な笑みに、ランは大きく頷いて走り出す。 目指すは最前線の、対策委員会の下へだ。
「おら、お前らも気合入れろよ。 これだけ啖呵切ったのに失敗しましたじゃ笑えねぇぞ」
「あははっ! 部長もたまにはいいこと言うね!」
「たまにってなんだよ」
銃を構え、C&Cの面々は敵を見据える。
ミレニアムとして、そして積み重ねてきたC&Cとしての実績的にも……彼女達には、失敗の文字は見えていない。
────────────────
「おい、アイツが抜けたぞ! 誰か迎撃に!!」
「無理だって周りを見ろよ!! 誰が手ぇ空いてるんだよ!?」
「邪魔だから……退いてっ!!」
まだワラワラと湧いて出てくるPMCのロボットを、アドミちゃんでぶち抜いたり叩き潰したりして前へと突き進む。
ロボットはいい、遠慮なく潰してもボディとデータが残っているから後で幾らでも復元されるからね。 直近のデータまでは復元できるか不明だが、まあそこは気にしない。
しかし結構進んだはずだけど、まだ対策委員会の姿は見当たらない。 それほど前に進んでいるのか、はたまた私が見当違いな方へ進んでいるだけか。
「今は時間を浪費してる場合じゃないのに……」
焦りで少しだけ視界が狭くなってしまった、そんな時だ。
『──────、──────ん』
懐かしい声が、聞こえた気がした。
「………この、こえは」
空耳だろう、彼女は既にいなくなった後で……もう二度と会えないはずなのだから。
でもこの声は間違いなく彼女で、ユメでもいいから聞きたかった、そんな声だ。
『─────ね、──────ん』
「……」
どんな気持ちだったのだろうか。 最後に見た景色は、どんなだっただろうか。
私の事は、どう思ってくれてたんだろうか。 ……私を、恨んではいないだろうか。 色んな思いが浮かんでは消え、懐かしい記憶が呼び起こされる。
でもきっと、そんな悪いことはないんだと思う。 だって……
『────ホシノちゃんをお願いね、ランちゃん』
「……うん、任せてユメちゃん。 絶対に、助けるから」
記憶の中の彼女と同じ、優しさが籠った声だったから。
~~~~~
「─────見えたッ!!」
走り続けて、そして懐かしい声が聞こえてから暫く……私は遂に対策委員会の背中を目視で確認することが出来た。 そしてその傍で対峙するカイザー理事の姿も。
私はその場で勢いよく跳躍し、それなりに空いていた彼女達との距離を一気に縮めた。
「うわっ何……って、ランさん!!」
「来ていただけたんですね……ありがとうございます」
「気にしないで。 私も……ホシノちゃんの事が大事だから」
私の姿を見て安堵の息を吐く対策委員会と、そんな対策委員会を見て微笑む先生。
反対に理事からは怒りのオーラがあふれ出しており、戦いの終わりが見え始めていた。
「天海……ラン……ッ!! 貴様が、貴様さえいなければ!!」
「私、貴方には何もしてない気がするけど」
「何もしてないはずがあるか!! お前には散々辛酸を……」
「……?」
「ブラックマーケットでの一件は忘れたとは言わせんぞ!! アレのせいでどれだけの損害を被ったと思っている!」
「……あぁ、マーケットガードの」
そこまで聞いて私も思い出す。 カイザーローンを牛耳っているのならマーケットガードを壊滅状態にした私は確かに憎い相手に違いない。 でもあれは私も巻き込まれた結果致し方なく出してしまった犠牲であって……私悪くないんだよなぁ。
「今回の件だってそうだ!! 黒服め、旗色が悪くなったからと言って手を引きおって……」
「それはホシノちゃんに手を出した貴方が悪いと思うんだけど」
「ええい、五月蠅い! 死にぞこないが……最早終わりが見えていたアビドスに、何故そこまで肩入れする!? 吹けば飛ぶような学校に、何故だ!?」
「お前には一生分からないよ」
目を閉じればすぐに思い出せる。 三人でバカやったあの日を、指名手配犯を狩りまくったあの頃を、下手な料理で悶絶し合ったあの時を……
お前が思っている以上に、
「────人の痛みを知らない、知ろうともしないお前には、分かるはずもない」
『そうですね。 そして……貴方ももう終わりですよ』
「ッ、誰だ!!」
ふと、ここにいないはずの第三者の声が響く。 他でもないヒマリちゃんなのだが……今回はなぜかアヤネちゃんのドローンから声が聞こえて来た。
「誰だ、貴様は」
『名乗る程のものではありません。 私はただ単に、カイザー理事……貴方に死刑宣告をしに来たまでです』
「死刑宣告、だとぉ……?」
『ええ、貴方が主導で動いていた不正の証拠は既にモモッターにて拡散されております。 アビドスに行った法外なことも……これはグレーゾーンでしょうが、企業の印象を変えるには、十分な証拠でしょうね』
「え、何時の間に……?」
「そんなことをして、ただで済むと」
『ふ、逆に言わせていただきますね。 ……こんなことをして、ただで済むと思っていらっしゃるのですか?』
普段聞かないドスの効いた声にたじろぐ。 ヒマリちゃんってこんな声出せたんだ。
「ぐ、ぬうっ……」
『既にカイザーコーポレーション上層部では貴方の解任が決定しているようですね……見捨てられたようで、誠に残念です。 余程人望がなかったようですね』
「き、貴様ぁ……!」
『さて、私にできるのはここまで。 後は貴女達の仕事ですよ』
『助けるのでしょう、ホシノさんを。 さっさと助けて帰ってくるんですよ』
「……ありがとう、ヒマリちゃん」
……ここまで御膳立てされて、失敗しましたなんてカッコ悪いもんね。
「先生、指揮を」
”うん、分かった。 ……みんな、ここが正念場だよ”
”ホシノを助けて、みんなで帰ろう”
「ええ!!」
「ん!」
「分かりました♧」
「了解です!」
「……了解、立ちはだかる敵を……倒します!!」
待ってて、ホシノちゃん。 ……心配させた分、絶対に謝ってもらうからね。
一応気になったんでアンケートするつもりなんですけど
この作品、連日投稿じゃなくてもいいから一話の文章量多い方が良いか、それとも区切りのいいとこで切っていいから連日投稿したほうが良いか読者の皆様に聞こうと思います
それ次第で今後の更新の仕方も変わってくると思うので
あと感想やお気に入り待ってます