セミナー副会長はとにかく巻き込まれたくない 作:ピンク髪大好きニキ
アンケートもしたんで理解しているとは思いますが、今後は文字数を重視して更新頻度少し下げます。 代わりに文字数多いんだから許して……
気が向いたら天海ランのプロフィールとか、もし依頼したらランのビジュアルとか貼っていこうと思うんで把握しといて
対策委員会のメンバーは、少数ながらも各自が一定以上の実力を持った精鋭ともいえる部隊だ。 しかし、いくら実力があると言っても数の暴力と言うものには抗えない物がある。
カイザーPMCの大部隊、いくら増援を頼んだとしてもその数の前に苦戦は必須……本来ならば、そうなるはずだった。
「おのれ……」
そこには正義実現委員会とシスターフッド、それに救護騎士団の精鋭が待ち受けていた。 最大戦力である剣先ツルギはいないものの、精鋭である羽川ハスミと仲正イチカ、それに蒼森ミネと歌住サクラコと言う錚々たるメンバーの前には、PMCと言えどただでは済まされなかった。
「おのれ……」
そこにはC&Cがいた。 最大戦力である美甘ネルを筆頭にしたフルメンバー……たった4人に相当数の部隊が壊滅状態になったのは言うまでもない。
「おのれおのれおのれ……」
そして、本来ならばいるはずのなかったであろう、そんな増援を集めて理事の悉くを打ち破った大本の生徒……
「天海……ランッ!! 貴様さえいなければ!!!!」
────────天海ランが、今まさにカイザー理事に引導を渡そうとしていた。
少し考えれば分かるものだった。 別に特記戦力でもない一会社役員である理事に各校の最大戦力を相手にしろと言う方が酷と言うものだろう。
虎の子であったゴリアテも、限界まで強化された自慢のボディも、個の暴力であるランの前には焼け石に水であった。 ゴリアテはパイルバンカーによって粉々に破壊され、理事自体の右腕と両足も半ばから千切れ飛んでいる。
体中から火花が散り、機能停止も時間の問題……それでもなお、理事は憎悪に満ち溢れた双眸をランへと向けていた。
「ありとあらゆる、策を講じて来た……懲らしめ、徹底的に苦しめた!!」
「……」
「終わった、終わるはずだった!! それをお前は……お前はぁ!!」
「……見苦しいって言うのは、こういうことを言うんだね」
しかしランの目には何の光も灯っておらず、ただただ冷たい視線を理事に向け続ける。
興味がないのだ、理事の計画にも、言葉にも。
「他者から搾取することでしか悦を得られないんだね、哀れだ」
「それの何が悪い!! 搾取されるほうが悪いのだ!!」
「なら今まさに他者に潰されてるお前も悪いよね」
「暴力に訴えることしかできない屑が……!」
「その言葉、そっくりそのまま返すよ」
既に対策委員会は銃を下ろし、憐みの籠った眼で理事を見下ろす。 先生ですらも理事に対して何とも言えない視線を向けていた。
その視線に、理事の怒りは募る一方だ。 何か一発でも復讐しなければ収まりが付かないが、残念ながらそれを成し遂げるための腕も足も、もう動かない。
「これまでやってきた自分の行いを後悔しながら生きればいいと思うよ。 それで反省するかは知らないけど」
「覚えておけ……この恨みは、必ず」
「そんな機会は来ないよ。 もうお前の行いは全て明るみになったんだ……お前の行きつく先は、矯正局の中か、それとももっと酷い場所か……」
「ぐっ、うぅ……!」
「悪には相応しい末路って言うものがあるんだね。 あぁ、私もこうならないように気を付けないと」
理事と会話をし始めてからの様子が怖い、対策委員会と先生の認識は一致していた。
怖い、ただ淡々と言いたいことだけを言って理事を冷たく見下ろすランが怖い。 今後あるとは言いたくないけどランを怒らせるようなことだけはしないようにと心の中で誓った。 直近で怒ったランを見ているためか、そんな思いが強かった。
「で、もう言いたいことは言い終わったかな? なら早めに終わらせよう」
「ま、待て……まさか」
「ご名答、このまま叩き潰すよ」
「ふ、ふざけるな……そんなことが許されて言い訳が」
「あるんだよ。 ロボットの利点はバックアップとスペアボディが容易に出来るってところなんだから。 ましてや理事ともなれば数段上の性能で用意されてるよね?」
「……」
「直近のデータまでは反映されないかもしれないけど、今となっては無用の長物だよね? だって復帰すればすぐさまヴァルキューレか連邦生徒会に引き渡されるんだから」
「お、のれぇ……!」
「それしか言えないの? ならもういいや、じゃあね」
”あ、ランちょっとま”
悲しきかな、先生の制止の声が終わる前にランのアドミが振り下ろされる。 ぐしゃりという虚しい音と共に、今度こそ理事のボディは物言わぬスクラップとなってしまった。
「……コイツ、心底最低で同情の余地もない奴だったけど……」
「最後がこんなだと、少しだけ哀れに思えますね」
「悪にはふさわしい末路」
”……先生と言う立場的には、とどめを刺すって言うのは止めたいところだったかな”
「それで対策委員会のみんなが納得できるんだったら、止めてましたよ」
「でも、コイツはこうだった。 こうでもしなければどうしようもなかった。 ……引導を渡して、その程度の奴だったって思うしかない」
苦言を呈した先生にそう言い返すラン。 根本的な部分では善良で優しい彼女だが、やらなければいけないことはきっちりとやる。 セミナー副会長としての何か、とまでは言わないがそれに準ずるものがあるのだろう。
「……コイツの事はもういいでしょう。 今は一刻も早くホシノちゃんを探してください」
”分かったけど、ランはどうするの?”
「……ふふ、一番最初にホシノちゃんにお帰りを言うのは対策委員会のみんなに任せました。 私はここで邪魔が入らないように警戒しておきます」
「分かった、すぐに見つけるからランもお帰りを言う準備をしておいて」
「うん、ホシノちゃんをお願いね」
ランの言葉に頷き、シロコたち対策委員会は奥へ奥へと向かって行く。 その後ろ姿が見えなくなった頃に、ランは深い溜息を吐いてその場に座り込んだ。
「……はぁ、疲れた。 もう動きたくないぃ……」
『ふふ、お疲れさまでしたランちゃん』
「私今回すんごい頑張ったよね? 途中から巻き込まれたんじゃなくて自分から首突っ込んじゃったし……本来なら部外者な私は介入するのも危ないと思ったけど」
『小鳥遊ホシノさんはランちゃんの大切な親友なのでしょう?』
「……そうだね、大事な親友だよ」
『私を差し置いて』
「差し置いてないしそんなに嫉妬しなくてもいいじゃん」
『嫉妬ではありません、単に事実を申しているまでです』
「じゃあこのままアビドスに転入してもいい?」
『どうしてそんなことをいうの……』
「ごめんて、そんなに泣かなくてもいいじゃん」
ヒマリの泣き声をBGMに、ランはゆっくりと体を寝かせる。 アビドスの空は澄んでおり、雲一つなくその雄大さを見せつけている。
彼女が最後に見た景色も、こうだったのだろうか。 最後に見た彼女の心の中は、どうだったのだろうか? 今はもう知る由もない思いに、思考を巡らせる。
(……ユメちゃん、約束守ったよ)
今はもう会えない彼女の、笑ったような声が聞こえたような気がした。
────────────────
私の背後が俄かに騒めき立つのを感じ、救出が終わったんだろうと思わず笑みが零れる。 さて、私も出迎えてあげようかなと上体を起き上がらせた瞬間────背中に衝撃を受けそのまま前方へと吹き飛ばされる。
「ぶぇっへぇ!!!????」
「あっ!!! 大丈夫ランちゃん!!?」
今まさに大丈夫じゃなくなったんだが???? 口の中砂で一杯なんだが????
こんな事をしやがったのは何処のどいつだ……なんて、こんなことをするのは一人くらいだと分かってるので、私はゆっくりと後ろを振り返った。
そこにいたのは……目に涙を溜め込んだ、ホシノちゃんの姿。
「っふふ……ほ、ホシノちゃん、変な顔」
「な、何さ……私、本気で心配して」
「それを言うなら私の方なんだけど」
「う゛っ」
「何も相談しないで一人で突っ走って」
「うぅ」
「挙句の果てに騙されて、こんなところまでみんなをひっかきまわして」
「う、うぅ……」
「心配した。 ……また、誰かが目の前からいなくなっちゃうのかもしれないって、苦しくなった」
「……」
私が手を挙げたからか、ホシノちゃんは目をぎゅっと瞑る。 きっと怒られると、叩かれるとでも思ったのだろう。
……振り上げた両手をホシノちゃんの背中に回し、力強く抱きしめる。 突然の事にホシノちゃんは驚いていたみたいだけど、されるがままになっていた。
「……もう二度と、いなくならないで」
「うん」
「もっと私を頼って」
「……うん」
「もう、だれもわたしのまえからきえないでよぉ……」
「……ッ! ごめん、ごめんねランちゃん……」
二人して、子供みたいに泣きじゃくって。 恥とか立場とか気にせず大声をあげて泣いた。
両手に、そして体全体で感じるホシノちゃんの体温が、今はただ嬉しくて仕方なかった。
~~~~~
”う、うぅ……”
「ん、先生メイクが崩れて酷い顔、ウケる」
”ごめん、その一言が何よりもキツい”
「でもこれで一件落着ですね!」
「もう、本当に迷惑ばっかり!! ……心配したんだから」
私とホシノちゃんが一通り泣き終わった後、お互い見つめ合って笑ってた時。 そろそろ見ているだけでは飽きてしまったらしいみんなが近寄って来た。
「みんな……本当にごめんね」
「違いますよ、そこは……ありがとう、ですよ?」
「……ありがとね、みんな」
”みんな心配してたんだからね?”
「うん、本当に反省してる」
「悪いことしたって思ったら今後の行動でしっかりと返していくんだよ?」
「分かってるよぉ……」
ああ、これだ。 みんなが笑って、和気藹々としたこの空気。 ……この光景が見れただけで、私がやってきたことは無意味じゃなかったと嬉しく思う。
やるべきことはやったし見たいものも見れた。 ……私は、残っている仕事を済ませないとね。
「じゃあ、私はもう行くよ」
「え、もう行っちゃうんですか?」
「現場の後始末が残ってるからね。 ……私がお願いしたところには、頭を下げに行かないと」
「そうなんですね……私達に、何かできることはありませんか?」
「みんなでアビドスに帰って、そしてみんなで話をして。 もっとしっかりホシノちゃんを叱ってあげて」
「うへ、私はもうたくさん怒られたからさぁ」
「いや、まだ足りないからね?」
うへうへ言ってるけどこの程度で済むはずがないだろう、もっとこってりと絞られてしまうといいさ……へへへ……
「じゃあね、ホシノちゃん。 今度は二人で遊びに行こう」
「あ、なら水族館に行かない? ブラックマーケットにあるって聞いたんだ」
「あぁ、あそこか……うん、予定合わせて行こうね」
「絶対だよ? ……それと、ランちゃん」
「なに?」
「えっとぉ……そのぉ」
何か急にモジモジし始めたな、言いづらい事でもあるのかな?
「その……ね? ランちゃんって確かに親友だけど」
「うん」
「シャーレ所属でもないのにこうして他校の問題に介入してまで私を助けに来てくれたわけで……」
「まあうん、そうだね?」
「だからね? そのぉ……わ」
「わ?」
「わ、私の事……そんなに、好き、なのかなぁって」
乙女か? いや乙女か。 年齢的に乙女だな、うん。
しかし好き、かぁ……それはもう
「…………いっぱいしゅき……」
「うへへ……私もいっぱいしゅき……」
「……何だろう、すっごい口の中がざらざらする」
「ブラックのコーヒーが欲しくなりますね」
「うわ、ノノミ先輩のあんな真顔初めて見た」
”青春、なのかなぁ?”
青春なんだよ、これも一つのね。
────────────────
対策委員会との別れを済ませたランは、協力を仰いだ学校へ挨拶回りを行っていた。
残念ながらC&Cはとっくの昔に帰ってしまっていたが、彼女達は学校が同じなので後でもいいだろう。
「ハスミちゃん、それにイチカちゃんも……今回は本当にありがとう」
「いえ、お礼なんて……」
「私達は日頃の恩を返すために来ただけっすから……そういう点だと、ランさんの普段の行いに感謝すべきと言うか」
「こうして来てくれただけでもう嬉しいんだよ……ああそうだ、コハルちゃんはどう?」
「ランさんの発破がやる気を引き出してくれたみたいですよ。 あの日から訓練を頑張って……その分を勉強にも充ててくれれば文句はないのですが」
「コハルちゃん勉強できないんだ」
ハスミの困ったような顔に苦笑しつつ、ランは傍に控えていたミネとサクラコにも目を……目を、向けたいのだが。
近い、とにかく近い。 人を束ねる立場の人は物理的にも距離が近いのが当たり前なのだろうか? 何故真横に控えているのだろう。 肘がぶつかる距離で一体何をしようと言うのだろうか。
「……み、ミネちゃんもサクラコちゃんもありがとね」
「いえ、私も日頃の恩を返すために参戦したまでですので」
「ええ、本当に何時も手伝っていただいて……あ、また今度お茶でもいかがですか?」
「いいね。 予定を合わせてまたやろうか」
「その時は私もご一緒しても? 美味しい店を見つけたんですよ」
「いいよ、ハスミちゃんも一緒に行こうね」
『……あの、そろそろお話をしても?』
和気藹々としていた空間に、困惑したような声が響く。 ランの傍を飛んでいたドローンからであり、その声はナギサのものであった。
「あ、ごめんねナギサちゃん。 何かあった?」
『いえ、あったと言う訳ではありませんが……今回の件についての、お話になります』
「私の無茶ぶりを聞いてもらったもんね。 何でも言ってよ」
『では……今すぐと言う訳ではありませんが、ランさんにはトリニティでやっていただきたいことがありまして』
「その口ぶりだと……この場では言えない事、みたいだね」
『ええ、察しが良くて助かります。 後日日程を合わせて、またお話させていただきます。 これに関しては少しだけ長くなると思われますので、リオさんたちともお話をさせていただくかと』
「分かった、帰ったらリオちゃんにも伝えておくね」
『お願いいたしますね。 ……それでは、今回は本当にお疲れさまでした』
ナギサとの通信も終わり、各自自由に解散する。 少し前とは違い疎らに影を映した砂漠を見渡し、ランは深く息を吸った。
熱気の籠った空気が肺に行き渡る。 暫くはこの空気を吸うことはないんだろうなと若干名残惜しさを感じつつ、吸った分だけ息を吐き出してその場を後にする。
彼女の愛した砂漠を、そして彼女が愛した後輩が今もなお残り続ける砂漠を。 彼女は脳裏に深く刻みつけていた。
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……その後の顛末は、ランの考えていた流れとほぼ一緒であった。
今回の事態を引き起こしたカイザー理事は、バックアップとして用意していたボディにデータをインストールした直後にヴァルキューレによって身柄を拘束、間もなく矯正局へと送られたらしい。 あそこは主に問題行動を起こした生徒が行く場所だと思っていたが……連邦生徒会長の失踪から起きた一連の騒動によって、重大犯罪を起こした犯罪者もまとめて収監するようにしたらしい。
ヒマリ経由でモモッターに投稿、そして拡散されたカイザー系列の不祥事も、大部分が事実と判明して大本であるカイザーコーポレーションは少なくない被害を被ったらしい。
しかしただでは転ばないというべきか、不祥事の大半をカイザー理事の責任と会見で公言し責任の転嫁を図った。 実際何割かは本当に理事の指示したものだったらしく、理事の前科は重くなってしまったようだ。
同時にカイザーローンも違法な金融取引が明るみになったらしく、連邦生徒会によって調査の手が入ることになったらしい。 トリニティが報告をしたのもあるだろうが、情報の大半はミレニアムの会長が情報源となっている……らしい。
アビドスの借金は残念ながら目に見えた減少をすることはなかったらしいが、月々の返済額は減ったようだった。 利子だけではなくきちんと借金分も返済できているらしく、完済までには時間がかかるだろうが以前よりはましと言えるだろう。
しかしながらアビドスの土地自体は戻ってこなかったらしい。 契約自体は違法でも何でもなかったらしく、変わらずアビドスの土地を取り戻すために、対策委員会は借金を返していくことになるだろう。
そんな中、ランは何をしていたかと言うと……
「ユウカちゃん、今日の業務はこの辺りで終わらせよう。 ちょっと私、この後用事があってね」
「分かりました。 ノアもコユキも、それが終わったらご飯に行きましょう」
「ふふ、了解しました」
相も変わらず、セミナーの通常業務に勤しんでいた。 何をやろうが仕事と言うものは無くならない物であり……山のようになった書類を見つめ、ランは深く溜息を吐いた。
気付いたらリオはいなくなっていた。 どんな事をしているのかは分からないが、もう少しセミナーの方にもリソースを割いてほしい所である。
「それで、ラン先輩はどんな用事なんですか?」
「今日は前々から約束してたホシノちゃんと水族館デートだよ」
「で、デートですか……」
「?」
「女の子同士、ですよね?」
「? うん。 でもリオちゃんやヒマリちゃんと一緒に遊びに行くときもデートって言ってるけど」
成る程、偏った知識はあの二人のせいなのだろう。 今度ランに常識を教え込まなければ、とユウカは心に誓った。
「ブラックマーケットの水族館ですよね? あの付近は治安はいい方ですけど……それでも決して油断はできないので気を付けてくださいね」
「大丈夫だよ、だってあの付近を均したのは私だから」
「……安心はできませんが、分かりました」
何をやったのか想像できてしまう自分自身に頭を抱えてしまうが、気にしたら負けだとスルーする。 思考を変えようと書類の山を……業務を終えたはずなのにまた書類に目を向けてしまったユウカだが、その中に気になる書類を見つけて思わず取り出して目を向けた。
「そう言えばラン先輩。 ミレニアムプライスの件ですけど」
「ああ、もうそんな時期かぁ」
ミレニアムプライス。 ミレニアム中の部活が持ち出した成果物を競い合うミレニアム最大級のコンテストだ。 毎回多彩なものが出されており、ランも楽しみにさせてもらっている。
「今年は何か面白いモノが出るといいけど」
「それもまぁ、楽しみ方の一つでしょうけど……私としては、憂鬱になるというか」
「うん? 何か困った事でもあったっけ?」
「直接関係するわけではありませんが……それに絡むと言いますか」
「……本当に何かあったっけ?」
「ゲーム開発部の件があるんですよ」
はて、何故ゲーム開発部の話になるのだろうかとランが首を傾げていると……ユウカが何やら書類を手渡してきた。
「ランさんはゲーム開発部が実績を出したと言う話は?」
「いや、特にそういった話は聞いてないけど」
「そう、そうなんですよ! 全くないんです!!」
「……あー、部費ね」
「そうですよ。 このままじゃ廃部の末部費だって他の部活に回した方がマシと言うものです」
ゲーム開発部の成果……成果? は色々と聞いている。 少なくとも部活の実績になるようなものは一切ないのだが。
「でもユウカは切り捨てたくない」
「そう言う訳じゃありません。 実績も成果も出さないのであれば……」
「じゃなきゃこのタイミングでミレニアムプライスに絡めてゲーム開発部の話はしないよね」
「……」
「要は最後の手段としたいわけだ、ミレニアムプライスを、ゲーム開発部の存続のための起死回生の一手として」
「……だとしても、受賞できるとは到底思えません」
「分の悪い賭けは嫌いじゃないよ。 やっぱり私が」
「ラン先輩は入部するなんてこと言わないで下さいよ?」
言いたいことを先に言われ、ランは思わず唸る。 前にも一度同じことを言ったのだが、その時はリオとヒマリに止められた、しかもギャン泣き汁ダラダラのガチの奴で。
「……入部はしないけど、面倒は見てもいいよね?」
「まぁ、業務に支障を来さない程度なら何も言いませんけど」
「なら問題ないね」
「ランさん……何か、あるんですね?」
「ノアちゃんはそろそろ深読みするのやめない?」
真剣な顔をしてランを見てくるノアだが、別に深い訳があるわけでも何でもない。 むしろこういうことを言われた時の巻き込まれ率はものすごく高い。
今回も巻き込まれるのだろうか……だとしたら首を突っ込むのはやめようか……そんなことをランは考えるが、まだ時間に猶予はあるのでのんびりと考えるようにしようとランは結論付ける。
「ま、今はいいや。 時間も時間だし私はもう行くね」
「分かりました。 後片づけは私達に任せてください」
「ラン先輩、お土産お願いしますね!」
「お土産……何かあるかなぁ? あったら持ってくるよ」
いつも通り元気溌剌なコユキの様子に笑みを浮かべ、ランはセミナーを後にする。 約束した時間まで残り少ない、急ぎ足でホシノの元へと向かうことにした。
……なお、ホシノと約束した水族館デートの先で案の定厄介事に巻き込まれるのだが、ランはまだそのことを知らない。
これにて対策委員会編は完結です。 お付き合いいただき本当にありがとうございました
今後は何話か閑話を挟んでパヴァーヌ編へと入っていく予定です、閑話の文字数は気持ち短めですが、今後の伏線を……挟むか分からんけど、挟むかも程度に考えといてください
小鳥遊ホシノはキヴォトス最高の神秘ですが、天海ランはキヴォトス最大の神秘です