セミナー副会長はとにかく巻き込まれたくない   作:ピンク髪大好きニキ

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はい、閑話良い感じなの書けなかったので今日からパヴァーヌ突入です

あとここで謝罪と修正の報告を。
対策委員会編でヒマリが自分の事を特異現象捜査部と称していましたが…時系列的にあそこで言うのは早すぎた、せめてランに報告書を渡した時点まではヴェリタス所属じゃないとデカグラマトン編とかの流れが変になっちゃう事に気付いてしまった、凡ミスです

なのでこの話を投稿してる段階で修正しました、読んでる方には本当に申し訳ない


セミナー副会長とゲーム開発部
13話「冒険の幕開けとセミナー副会長」


 

 

 

 

 

「来てくれたのね、ラン」

 

「話があるって言ってたからね、重要そうなら聞かない訳がないよ」

 

「そう言ってくれて嬉しいわ」

 

 

ミレニアムの一角、表向きはただのボロアパートであるが……実際のところは、リオが確保しているセーフハウスの一つである。

 

そんな場所に、リオとラン……そしてヒマリの3人が集まっていた。 リオは難しい顔をしているし、ヒマリは余裕そうな笑みを浮かべている。

 

淹れたコーヒーを啜りつつ、リオは徐に口を開いた。

 

 

「……今日は、以前貴女に少しだけ話した事についてよ」

 

「……そっか」

 

「あ、その顔『前になんか話した事あったっけ?』って顔ですね」

 

「ソンナワケナイジャン」

 

「……」

 

「……」

 

「何か言ってよ」

 

 

嘘である、本当は完全に忘れていた。 しかしこうしてリオが呼んだ以上重要な話を忘れていたと正直に言ってしまうと申し訳ないので嘘を貫くしかなかった。

 

なおリオとヒマリはランが忘れていることを察知したし今もなお笑みを浮かべてランを見つめていた。 控えめに言って地獄である。

 

しかしこのままでいると何も話が進まない。 ヒマリは咳払いをして空気を変えることにした。

 

 

「コホン……まずは私が特異現象捜査部の部長となった所から話は始まるでしょう。 ランちゃんは知っていますか?」

 

「リオちゃんが珍しく頼み込んだって認識しかないかな?」

 

「珍しくって……いえ、間違ってはいないけどももう少し言葉を選ぶことはできなかったのかしら」

 

「そんな事を言われても……事実だよね?」

 

「……科学的に証明し難い事象の追及、捜査を目的とした部活よ。 主にオカルトや、オーパーツの捜査や研究のために、私はヒマリに頼み込んだわ」

 

「そうですね。 そのおかげで……先日、興味深い事象に遭遇しましたし」

 

「? 何かあったの?」

 

「ふふ……いえ、今はまだ語るべきではない、と言ったところですね」

 

 

何やら含みを持たせた笑みでランを見つめてくるヒマリだが、その背後ではリオが何とも言えない表情で見つめている。 見ろよヒマリ、そういうとこやぞ。

 

ランの記憶が正しければ、元は和泉元エイミが一人で運営していた部活のはずだ。 それを何故かは知らないがリオがヒマリに頼み込んで、急遽部長へ転向させた……それが特異現象捜査部の本格的な始動、そのはずだ。

 

あのリオが、それもヒマリに頼み込んでいる時点で普通の話ではないのだろう、頭を下げる場面をほとんど見ない人間が、よりにもよって一番頭を下げなさそうな相手に頭を下げているのだから。

 

 

「調査の過程で、ミレニアムに存在する廃墟に……オーパーツらしきものの存在を、確認したわ」

 

「何だか要領を得ないというか……断言しないんだね」

 

「判断に困るのよ。 でも明らかにおかしい何かがあることも確か」

 

「確認しようとはしたのですよ? でも私達には『資格』が無かった」

 

「資格? そんなものが必要なの?」

 

 

廃墟と言えば、廃棄場とか下水道とか言われるキヴォトスでも有数の忘れられたものが流れ着く場所のはずだ。 そもあの場所は連邦生徒会が管理していたはずだし、そのようなものがあるとすれば……

 

 

「事と次第によっては、危険性もある」

 

「そうよ、セミナーとしてもいち生徒としても……ミレニアムに害が及ぶ可能性があるのであれば、見過ごすわけにはいかない」

 

「リオは心配性ですね」

 

「貴女が能天気なだけよ」

 

「話が進まないから、睨み合うのはやめてね?」

 

 

睨み合う二人を他所に、ランは思案を巡らせる。 彼女達が自分に直前まで伝えようとしなかったのは、それだけ危険性がある。 もしくは不確定要素が多すぎて判断に困ったと言ったところだろうか。

 

何だかんだ言って優先順位では有象無象より身近な身内を助ける二人だ、下手に伝えてもしもランに何かあったら……そう考えていても、おかしくはない。

 

 

「話は分かったよ。 それで? このタイミングでこうして密会のように私達を集めて話をしたんだから何かしらの進展があったんじゃないかな?」

 

「そう、ね。 まず資格についての仮説を立てたのよ」

 

「何をもって資格を有しているのか、ですね」

 

「……そもそも、資格を持ってたのって誰なの?」

 

「今一番可能性が高いのは、連邦生徒会長よ」

 

 

成る程、確かに管理下に置いていた場所だし彼女が持っていても何ら不審な点はない。

 

 

「それを踏まえて次に可能性が出てくるのが、シャーレの先生よ」

 

「? それは何で?」

 

「連邦生徒会長から直々に呼ばれたキヴォトスの外から来た大人。 極め付きに謎の多いオーパーツでもある『シッテムの箱』の所有者……ならば、先生が資格を有していても違和感はありません」

 

「なる、ほど。 確かに」

 

「シャーレの先生の噂は聞いているわ。 それに対策委員会との一件も、ランの録画から確認しているわ」

 

「その録画後で消してね?」

 

「彼女の性格は善性、少なくとも目の前で困っている生徒を放っておくような人間性ではないわ」

 

「ねぇ聞いてる? 録画消してね?」

 

「なので如何にか先生をミレニアムまで誘導して、ついでに廃墟の調査もしてもらおうかと思いまして」

 

「話聞けよ」

 

 

録画の段階でリオとヒマリの視線はランから逸らされており、少なくとも悪いことをしている自覚はあるらしい。 でも改めようとしないその姿勢にランはあきらめの境地に達した。

 

 

「……それで、どう誘導するの? まずはそこからじゃないかな?」

 

「案はあるわ、ゲーム開発部よ」

 

「騙して行かせようなんて話なら私は反対だよ」

 

「違いますよ? 偶然、そう本当に偶然ですが……『G.Bible』が最後に確認された場所が、この廃墟なのですよ」

 

「じー、何だって?」

 

「まあ簡潔に言えば凄いゲームが作れるようになるアイテム、でしょうか?」

 

「急に胡散臭くなったね」

 

「胡散臭いのは重々承知ですが、少なくとも噂ではその様に広まっています。 ただ単に噂、と言い捨てるのは時期尚早でしょう」

 

 

そんなものがあるのなら名作はバンバン出てるだろう。 更に廃墟になんて流れ着く暇もないのでは?

 

良い話には絶対に裏がある、この話だってきっと明るみになっていない部分があるに違いない。

 

 

「話は聞いてるわ、ゲーム開発部は今現在存続の危機らしいわね」

 

「セミナーとしては知っててほしい情報を面と向かって知らなかったみたいな発言するリオちゃんにがっかりだよ」

 

「……う、グスッ

 

「あーあー、ごめんって私が言いすぎたから」

 

「ゲーム開発部は既に先生へ手紙を送っているようです。 ですので予めヴェリタス経由でG.Bibleの話を伝えておきました」

 

「なら後は実行に移すだけってことか。 二人は動かないの?」

 

「私達は表立って動くつもりはないですね。 実際に確認して、そこから対応を考えて行こうかと」

 

「私も、今は必要以上に動いていることを知られたくないわ」

 

 

この二人が動かないとなると、残るは自分一人ではなかろうか? 要は私をこき使いたいわけだ、とランは溜息を吐く。

 

 

「まあゲーム開発部の件に関しては前にユウカちゃんから少しだけ聞いてたから協力するのは良いんだけど……」

 

「だけど? 何でしょうか」

 

「もし、本当にそれがオーパーツで、本当に危険性があったとしたら……私は、それを壊すよ

 

「ランちゃん、それは」

 

「私に危険なことはしてほしくないって気持ちは、正直嬉しいよ。 でも私はさ、ミレニアムの……セミナー副会長なんだよね」

 

「誰かに責任押し付けて自分は安全圏で、なんて虫のいい話はしちゃいけない立場でしょ?」

 

「……」

 

「それは、そうですが」

 

 

止めたい、リオとヒマリはそう考える。 しかし同時に今しがたランの言った言葉に、何も言い返せない。

 

もしもがあれば簡単に他者の命を左右できる立場である以上、軽い気持ちで答えてしまってはいけない発言なのだ。

 

 

「……大丈夫だって、まだ危険だなんて決まったわけでもないからね。 予め対策してればそうそう危ないことになんてならないよ」

 

「何かあればすぐに動くわ、だから一人で突っ走らないように」

 

「ごめんだけど、普段から私に何も言わないで動いてるリオちゃんには言われたくないセリフかも」

 

「うっ」

 

「ふ、そんな女の行動なんてたかが知れてますよ。 ランちゃんは私のアシストがあれば十分です」

 

「何も言わなくても私の行動をチェックしてるヒマリちゃんも大概だからね?」

 

「うぐっ」

 

 

困った、まともなのがいない。 普通なら切り捨てるものだが、なまじ実力がある分性質が悪い。

 

 

「兎に角話は分かったよ。 私達の目的を察知されず、先生とゲーム開発部を廃墟へ誘導。 それでオーパーツらしきものの正体を見極め、今後の対応を考える……これでいい?」

 

「そうね、まずはそこまで持っていくことが大事かしら」

 

「先生が手紙を確認してミレニアムへ向かうときは事前に連絡いたします。 それまでは普通に業務に勤しんでいただいて構いませんよ」

 

「分かった、なら私はもう行くね。 業務が滞ればユウカちゃんに怒られちゃうから」

 

「ほら、言われてますよリオ」

 

「何の事か分からないわね」

 

「貴女セミナーの会長でしょう?」

 

「……まあ、いいや。 喧嘩も程ほどにしてね」

 

 

ランはそう言ってセーフルームを後にする。

 

ランが立ち去った後、ヒマリはリオに視線を向けて口を開いた。

 

 

「私が言い出した事ですが……本当に良かったのですか?」

 

「何の事か、分からないわね」

 

「恍けなくてもいいのですよ、わざと話していない部分もあるでしょうに」

 

「……ランには、知らせなくても良いと思っただけよ」

 

「その選択が、本当に正しかったのかは分かりませんがね」

 

 

難儀な性格だ、とヒマリは溜息を吐く。 しかしヒマリが言った事は正しく、リオはランに物事の半分以上を話していなかった。

 

本来ならば、ヒマリはヴェリタス所属のまま動くことが無かったはずなのだ。 それが対策委員会の一件でアビドスとカイザー周りの事をリオが調査した際に知ったのだ────────『デカグラマトン』と言う、明らかに異質な存在を。

 

ビナーと呼称していただろうか? 砂漠にあんな存在がいるとは知らなかったとともに、もしあのような存在が他にもいて、尚且つミレニアムに牙を向けたとしたら……その予想は、最悪の展開として訪れた。

 

 

「ハブの話は、セミナーとしても重要だと思いますが?」

 

「ヴェリタスと特異現象捜査部で話は止めたわ。 アレも知っている人物は少ない方が良い」

 

 

ミレニアムの技術の結晶と言っても過言ではない通信ユニットAI『ハブ』、それが先日ハッキングを受けたのだ。 これをリオはデカグラマトンの件と関わっていると判断し、ヒマリに頭を下げて特異現象捜査部へと転向してもらった。

 

今はまだハブのハッキング以外で問題は起こっていない、が……それはこれ以上何もないという話にはならない。 むしろこれからが本番ともいえるだろう。

 

しかし、ミレニアムにまたもや問題が起こった。 それが廃墟で観測されたオーパーツらしき反応だった。 これも、連邦生徒会が撤退してしまった以上放っておくわけにもいかない。

 

 

「表立って動くつもりはない、ではなくデカグラマトンの一件を放っておけない、が本音でしょう」

 

「そういう貴女も、似たような理由でしょう」

 

 

ゲーム開発部の件が済めば、次はデカグラマトン。 先生とランには申し訳ないが、少しの間忙しくなってもらうしかない。

 

今後の対応を考え、リオとヒマリは深い溜息を吐くのであった。

 

 

 

 


 

 

 

 

「え? ラン先輩も行くんですか?」

 

「うん、私もちょっと用事があってね」

 

 

リオちゃんとヒマリちゃんとの話から1週間くらい経った今日この頃。 ヒマリちゃんからメッセージが届いて私は先生がミレニアムに向かっていることを知った。

 

ゲーム開発部からの手紙を確認したんだろう、ならば私も行動に移さないといけないよね。

 

 

「それで、ユウカちゃんはモモイちゃんたちに最後通牒を叩きつけたの?」

 

「最後通牒って……まあ、確かに伝えるべきことは伝えましたけども」

 

「それでシャーレまで巻き込んでしまうなんて予想外でした……本当に、モモイは面倒事ばかり増やして」

 

「ああ、カジノとか襲撃とかしたんだっけ」

 

「そうなんですよ! アレのせいで仕事がどれだけ増えたと思って……ッ!」

 

 

ユウカちゃんが思った以上にキレてる、ここまで怒らせることが出来るって言うのもある種の才能じゃないかな? まあ誇れるような特技ではないんだけどもね。

 

個人的には嫌いじゃないんだけどなぁ、作ったゲームにはキレたけども。

 

 

「でもまさかラン先輩まで動くとは思いませんでした。 以前の話は覚えてますけど、そこまで肩入れする意味があるんですか?」

 

「うーん、そう言う言い方をされると別にそこまで? って感じかな」

 

「なら何で……」

 

「でもね、ミレニアムに所属する生徒はみんな大事な後輩だし同級生なんだよね。 だから困っているのを見ちゃうと、どうにかしてあげたいって気持ちになるんだよ」

 

「はぁ……そうなんですね。 その精神をリオ会長も持ってくれれば」

 

 

リオちゃんも持ってるんだよ。 でも私と違ったベクトルだから理解されないってだけでね。 もう少し柔らかく接することが出来れば人気も出ると思うんだけどね……何だビッグシスターって、何でみんなに恐れられてるのにそんな良い感じの異名がつくんだよ。

 

こちとら破壊姫や破壊の権化だぞ、こんな超絶高身長巨乳美麗少女がそんな可愛さの欠片もない二つ名付けられるって、この世界は狂ってるよ。

 

今誰か自業自得って言ったか? お前夜道には気をつけろよ?

 

 

「そろそろ部室……って、この声は」

 

「外にまで聞こえるくらい大声だね、先生もいるみたいだ」

 

 

よく見たら部室の扉が少し開いてて、そこから先生の後ろ姿も見えてる。 今は先生にゲーム開発部の現状を説明しているらしい……

 

そのまま聞いておこうかと思ったら気にせずユウカちゃんが入っていった、キミ度胸あるね?

 

 

「そこから先は私が説明するわ、モモイだけに任せてたら自分の都合のいい所しか話さないでしょ?」

 

「げぇっ!!? 出たぁ!!」

 

「何そのリアクション……あ、お疲れ様です先生」

 

”ユウカ? それにランも……こんにちは”

 

「はぁ、先生とこうして会うことになるとは思いませんでした」

 

 

オーバーリアクションをするモモイちゃんに、大きく溜息を吐くユウカちゃん。 そこに目を見開いたミドリちゃんに頭に氷を当てている先生か……何だこの光景。

 

 

「先生、その頭は?」

 

”あー、その。 頭上からゲームが降って来た、かな?”

 

「モモイちゃんが降らせたんですね」

 

「え、何で分かるの!!?」

 

 

当たってたのかよ、あり得そうな話だと思って言うだけ言ってみたら……台パンくらいはするからモモイちゃんなら投げそうだなって思ったけどさぁ。

 

 

「モモイね……貴女そんなことをして」

 

「そ、それもこれも全部ユウカが悪いんだよ!」

 

「私のせいにしないで頂戴! それに元はと言えばモモイたちが何もしないからでしょ!」

 

”えっと、どういうことかな?”

 

 

どうやら先生はまだ肝心な部分を聞いていないらしく話についていけてない。 ふむ、内容も知らないままに先生を動かすのは危ないだろうから説明してあげることにしようかな。

 

 

「先生は、今のゲーム開発部の現状は聞きましたか?」

 

”ううん、私はまだ廃墟がどうのこうのとしか……”

 

「なら最初から説明したほうがいいですね。 ゲーム開発部は今現在廃部がほぼ決定してます」

 

「規定人数に達するか、部としての結果を残していればセミナーとしても特に文句はなかったんですが……まぁ、その状態のまま何か月も経過してる状態でして。 そろそろ私も大目に見てあげてとは、擁護出来なくなったと言いますか」

 

「え゛、ラン先輩そんなことしてくれてたの?」

 

「そうよ……ラン先輩も後輩に甘いとは思ってましたけど、流石に私も見過ごせなくなったわ」

 

「ゲーム開発部を廃部にして、その分浮いた部費を他の部に回した方が余程有益だと思わない?」

 

「な、何でよ! 私達だって頑張って……」

 

「頑張っても、その結果が認められなきゃ意味ないでしょ」

 

 

喚くモモイちゃんに頭を抱えるユウカちゃん。 モモイちゃんの肩を持ってあげたいところだが、セミナー側の立場故にあまり下手なことを言えない。

 

まあ、これからやることを考えればゲーム開発部の肩を持つことに変わりはないんだけどね。

 

 

「でもそんなゲーム開発部を見捨てられなかったのがユウカちゃん」

 

「ちょ、何を」

 

「ミレニアムプライス、ゲーム開発部なら知ってるよね?」

 

”ミレニアムプライス?”

 

「ミレニアムで行われる最大級のコンテスト、ですね。 各部活が成果物を出し合って競い合うんです」

 

「そこで受賞できれば、セミナーとしては文句はないんだよね。 ……言われなきゃ、私は気づかないままだった。 それをユウカちゃんは書類と一緒に私に話してきたんだから、ユウカちゃんに感謝しないとね」

 

「そ、そう言うことは言わなくていいんです」

 

「……へ~! ユウカそんなことしてたんだ! 流石太腿が太い!」

 

「あ゛?」

 

「ピギュ」

 

 

あぁ、モモイちゃんが太腿(ギロチン)に締め上げられていく……失言が過ぎたんだ。

 

ユウカちゃんは確かに厳しいかもしれないけど、ちゃんと相手の事も考えて行動してる。 ただの冷酷な生徒だなんてみんなに思われたくないから、私がそう言うことを言ってあげないとね。

 

 

「ユウカちゃん、そのくらいで勘弁してあげて。 モモイちゃんたちも、今の話を聞いてやる気くらいは出たんじゃない?」

 

ゲホッ、ゴッホェッ! ……う゛ん゛、確率は低いかもだけど、起死回生の一手って言うんなら乗るしかないじゃん!」

 

「やりますよ、折角のチャンスですから……ありがとうございます、ラン先輩」

 

「ふふ、お礼を言うならユウカちゃんにね」

 

「「……ありがとう(ございます)、ユウカ」」

 

「心底不本意です、みたいな言い方しないでくれる? ……まあ、ミレニアムプライスまで二週間、どんな結果になるか楽しみにしてるわ」

 

「先生も、日を改めてまたお話でもしましょう。 じゃあ私は伝えることは伝えたから帰るわね、くれぐれもラン先輩に迷惑はかけないように!!」

 

 

ユウカちゃんは若干早足で部室を出て行ってしまった。 恐らく気恥ずかしさに居た堪れなくなったんだろうなぁ。

 

ユウカちゃんが出て行ったことに安堵してるモモイちゃんに、まだ残ってる私の事を不思議そうに見てくるミドリちゃん。 不思議だろうなぁ、セミナーの私が理由も分からず残ってるんだし。

 

 

「……あの、ラン先輩がまだ残ってるのは……?」

 

「今回の件に、微力ながら手伝いをって思ってね」

 

「え、ラン先輩協力してくれるの!? それなら百人力だよ!!」

 

”ありがとうラン。 彼女達の力になってくれて”

 

「お礼なんていいんですよ、私はミレニアムの生徒の為になってあげたいだけです」

 

 

セミナー副会長だからね、なんて言えばモモイちゃんもミドリちゃんもにっこりと笑ってくれる。 でもすまんな、私は私で目的があって行動してるんだ。

 

さて、ここらで話を進めるとしようか。

 

 

「部室に入ってくる前に聞こえてきた会話で話は大体予想できたよ、G.Bibleでしょ?」

 

「ラン先輩もG.Bibleの事知ってるの!?」

 

「ヴェリタス経由で、少しね」

 

 

本当はヒマリちゃん経由だけど、ヒマリちゃんの事だからチヒロちゃんにも話してるだろうしね。 実際その通りだったらしく、モモイちゃんも「チヒロ先輩なら話してても……」なんて言ってる。

 

 

「要は廃墟に行ってG.Bibleを探して、それを用いてゲームを作ってミレニアムプライスで受賞を果たしたいわけだ」

 

「話が飛躍しちゃったけど……結果的には、そうなるはず!」

 

「でもよくG.Bibleの場所が分かったというか、偶然にしては出来すぎな気もするけど」

 

”確かに、何か理由でもあるのかな?”

 

「確か、廃墟だと断言したわけじゃなかったよね?」

 

「ヴェリタスにG.Bibleの場所を探してもらったんだ、『G.Bibleが最後に稼働した場所』をね」

 

「そしたら、普通の地図には載っていない場所だった」

 

「その二つの要素を組み合わせれば、G.Bibleは廃墟の何処かにある! はず!」

 

 

最後の最後ではずなんて使ってしまったからかミドリちゃんと先生が不安そうな顔をしてしまう。 少しだけ補足説明をしてあげないといけないかなこれは。

 

 

「一応補足すると、廃墟はこれまできちんと調査されていなかったんです。 管理を連邦生徒会が担っていたので」

 

「でも、連邦生徒会長の失踪によって警備は引き上げ。 今は放置されています」

 

”そんなことになっていたんだね”

 

「ええ、そうです。 それにヒマリちゃんが言ってました。 『廃墟はキヴォトスから忘れ去られたものが流れ着く、時代の下水道みたいな場所』だと」

 

「今の時代、G.Bibleなんてマニアでもほとんど知らないような代物です。 なら廃墟に存在していても、おかしくはない」

 

「そう、そうなんだよ! だから一緒に廃墟に行ってG.Bibleを探してよ先生!!」

 

 

補足も行って漸く話の全体図が見えたらしい先生。 しかし先生の表情はあんまりいいとは言えない。 何か不安要素があるのだろうか?

 

 

”話は大体わかったよ。 そう言うことなら協力するのは良いんだけど……”

 

「けど?」

 

”流石にそんな厳重な警備をしてたらしい廃墟に、この人数だけで行くのは推奨できないかな……”

 

「ええっ!? ラン先輩がいるのに!?」

 

”ランがいるのは心強いけど、彼女一人に負担をかけるわけにはいかないんじゃないかな?”

 

 

成る程、確かにそれは一理ある。 モモイちゃんの私に関しての信頼は嬉しいけど、先生も言ってる通り廃墟は危険性が未知数……もしもの事態がないなんて断言できない。

 

 

「それじゃ、どうするんですか? ゲーム開発部は私とお姉ちゃんに部長だけだし……」

 

”部長は何処にいるのかな?”

 

「部長は……その、人見知りなので」

 

「それにインドア派だから出ないと思うよ?」

 

”えぇ……”

 

「うーん、一応手伝ってくれそうな人に心当たりはあるので声かけましょうか?」

 

”是非そうしてくれると嬉しいかな”

 

「分かりました、では連絡してみるので席を外しますね」

 

 

先生が頷いたのを確認して、私は部室の外へ出る。 端末からモモトークを開いて……

 

 

『今大丈夫?』

 

『大丈夫よ、何かあったかしら?』

 

『廃墟に行く方向には持ってこれたけど、先生が私達だけだと流石に行くのはって難しい顔してるね』

 

『……想定内の話ね。 AMASを出せばいいかしら?』

 

『ううん、アテはあるからそっちに頼んでも良いかの確認だね』

 

『?』

 

『それは他校の生徒かしら? それともミレニアム?』

 

『他校、かな。 他校って言っていいのか微妙だけど』

 

『歯切れが悪いわね。 その相手は誰かしら?』

 

『えっとね、それは────────』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あら? ランさんから連絡ですか」

 

「成る程、ふふっ……私に、頼み事ですか」

 

「相変わらず人のいい……いえ、それがランさんの良いところ、でしょうか」

 

「ふふ、あははっ! 良いでしょう、貴女がそれを望むのであれば……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────────この狐坂ワカモ、貴女の力となりましょう




書いてて毎回思ってたけど、リオがあんな性格だからパヴァーヌどう足搔いてもアリスの処遇で苦しむんだよな……なまじ優しさが増した分「自我を有した存在を消す」事に対して絶対に悩む

でもそれでランに何かあったら、で決意固めちゃってパヴァーヌがもっと重くなる。 良いぞ、苦しんでくれ。 私は美少女が自分の行いで取り返しのつかない結果になってゲロ吐きながら苦しむ顔見るの大好きなんだ


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