セミナー副会長はとにかく巻き込まれたくない   作:ピンク髪大好きニキ

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思ったよりパヴァーヌ編が難産になってる

頑張ってコメディを意識してるんだけど、気を抜くと「やれ、捥げ、吐かせろ」って囁いてくる……だめだ、そんなことはしちゃいけない。

やるなら最高の瞬間にみんなを絶望のどん底に落とすようなシチュエーションでやらないとなぁ!!!!!!


15話「勇者の資格とセミナー副会長」

 

 

 

 

ランは混乱の最中であった。

 

それもそうだ、昨日は機械的な受け答えしかできてなかったアリスが何か昔懐かしい王道RPGのキャラみたいな喋り方で話しかけてきたのだから。

 

それはひょっとしてギャグで言ってるのか? ランは訝しんだ。

 

 

「あ、ラン先輩おはよう!!」

 

「ラン先輩、おはようございます」

 

「あ、ら、ラン先輩……おはようございます」

 

「うん、おはよう。 ……それで、その、モモイちゃん」

 

「どしたの?」

 

「洗脳とかしてないよね???」

 

「してないよ!!?」

 

 

心外だ、みたいなリアクションをして驚いているモモイ。 しかしミドリとユズは「まあそういう反応するよね……」みたいな顔でモモイを見ており、二人的にもこうなるとは思っていなかったようだ。

 

 

「ユズちゃん、私が帰った後に何があったの……?」

 

「その、ゲームをやったんですけど」

 

「アリスちゃんの言葉遣いをどうにかしようと思って、ゲームで学習させようとしたらこうなったと言いますか……」

 

「成る程?」

 

 

ランは唸る。 分からなくもない、ゲームも立派な媒体の一つともいえるし会話だって豊富だ。 言葉を覚えるのなら教材として使えるだろう。

 

惜しむらくは、教材になったらしいゲームは些か学習するには適さない物に思えるという所か。

 

 

「モモイちゃん、学生証は?」

 

「それはばっちり! 朝一でヴェリタスに行ってハッキングしてもらったよ!」

 

「今ハッキングって」

 

「私は何も聞いてないよ」

 

 

本来ならセミナー副会長の前でハッキングしましたなんて問題発言だ、限定的な難聴になってもきっと許してくれるだろう。

 

とは言え、少なからず部員の確保は出来た訳だが……

 

 

(何か忘れてるような気がするけど……何だったっけな)

 

 

何か肝心なことを忘れているような錯覚に陥るラン。 前にセミナーで話を聞いたような気がするが、忘れてしまった。

 

 

「それで、この後はどうするの?」

 

「まずはミレニアムの案内でしょ! アリスも武器持ってないし、これから生活もする訳だしね」

 

「理には適ってるか……なら、エンジニア部かな?」

 

「エンジニア、部?」

 

「ミレニアムにある部活で、機械関連に強い所だよ」

 

「あそこなら使ってない武器とか、作りっぱなしの武器があってもおかしくないよね」

 

「まあ私の武器もエンジニア部で作ったと言っても過言じゃないからね」

 

 

屋内であるため今はリベレーターだが、その重厚さにアリスは目を輝かせている。 RPGをこなしたからか、戦士職の武器にでも見えているのかもしれない。

 

 

「おぉ……! アリス、とても気になります!」

 

「そう来なくちゃ! じゃあ早速エンジニア部に行こう!」

 

「あ、待ってよお姉ちゃんにアリスちゃん!」

 

「……私達も行こうか、ユズちゃん」

 

「あ、は、はい!」

 

 

張り切って部室を出てしまったアリスとモモイ。 そんな二人を追いかけるように、ラン達も部室から出ていくのであった。

 

 

 

~~~~~

 

 

 

「ふむ、成る程。 話は大体分かったよ」

 

「新しい仲間に、より良い武器を……そう言うことなら、喜んで協力しようじゃないか」

 

 

所変わってエンジニア部。 事情を話したモモイ達に、ウタハは快い返事を返した。

 

その言葉にモモイやアリスは喜んでおり、そんな二人を見てランも笑みを浮かべていた。

 

 

「私達が試作した武器は向こうに置いてある。 是非自由に見て行ってくれたまえ」

 

「やった! アリスも早く行こう!」

 

「はい、アリスも武器を探します!」

 

「……ありがとうね、ウタハちゃん」

 

「なに、これが巡り巡ってランの助けになるのであれば構わないさ。 ……訳アリだろう?」

 

「それはノーコメントで」

 

 

どうやらウタハなりに何かに気付いたらしいが、ランは敢えて何も答えない。 しかしウタハはそんな反応に気を悪くした様子はなく、むしろ面白そうな表情でランを見ていた。

 

 

「まあ、試作したまま埃を被るよりは余程マシと言うものだよ。 因みに今日はあの二人はいないみたいだね」

 

「理由は分からないけど、今は忙しいみたいでね。 盗撮はされてないよ」

 

「いや、普通盗撮されないのが当たり前なのだがね」

 

「あの二人に普通を求めても……」

 

「すまない、私が間違っていた」

 

 

あんな別ベクトルで天才な二人に常識とか普通と言ったものを求める方が野暮と言うものだ。 また何か変なことをしていなければいいが……と、ウタハと二人で溜息を吐くラン。

 

そんな二人の様子に、恐る恐ると言った形でユズが話しかけて来た。

 

 

「あの、一つ聞いても良いですか?」

 

「何かな? 私で答えられることなら良いんだけど」

 

「リオ会長って、昔ラン先輩に入学早々殴られたって聞いたんですけど本当なんですか?」

 

「………………本当、だよ」

 

「もしかして、聞いちゃいけない話でしたか?」

 

「ある意味そうかもしれないね、何事も物理で解決するヤバい奴と言う認識はあそこから始まったからね」

 

「次ゴリラって言ったら殴るぞ」

 

「うん、一言も言ってないね」

 

 

そんな話をしていた時だった。 モモイ達が向かって行った先で何やら盛り上がりが起こり、一体どうしたものかとラン達は向かうことにしたのだが……

 

 

「やあ、何か面白いモノでも見つけたのかい?」

 

「あ、ウタハ先輩。 アリスちゃんがアレに釘付けになっちゃって」

 

「アレ? ……あぁ、アレか」

 

 

一体何の事かとランが指さされた方向に目を向けると……そこには、巨大な、少なくとも初見で銃と呼ばないような代物が鎮座していた。

 

ミドリやユズは不思議そうな顔をしていたが、それが何なのか知っているランは納得と言った声を出した。

 

 

「出たね、エンジニア部のイカレた発明品」

 

「い、イカレたって……何なんですか?」

 

「エンジニア部の下半期の予算の大半を注ぎ込んで作られたレールガンだよ」

 

「おっと、そこは訂正させてもらおうか。 正しくは下半期の予算70%を注ぎ込んだ『宇宙戦艦搭載用レールガン』だ」

 

「宇宙戦艦……!?」

 

「そう、宇宙戦艦に搭載することを、大気圏内でも運用可能な物を作り上げた、のだけど」

 

「これだけでも予算の70%を使ったのに宇宙戦艦本体を作るのに幾らかかるんだって突っ込みをしたんだよ」

 

「いや、ダメじゃん。 何で誰も止めないで造り上げちゃったの!?」

 

「分かってないね、モモイ」

 

 

至って当たり前な突っ込みを入れたモモイに、何を言ってるんだと言った様子で言い返すウタハ。 ウタハは握りこぶしを作り……ただ一言

 

 

「────────ビーム砲は、ロマンだからだよ」

 

 

とてもいい笑顔で、ただ一言、そう宣言した。

 

 

「ば、バカだ……頭良いのにバカの集団がいる!」

 

「セミナー全員で『馬鹿でしょ』って突っ込んだの悪くないよね? ノアちゃんですら『あの、もしかして皆さんバカなんですか?』って真顔で突っ込んでたよ」

 

「う、うーん……」

 

「流石にロマンを優先して他の事に目が向かないのは……」

 

「ふむ、理解されないのか。 少し残念だ」

 

「それで何て言ったっけ? このレールガンの名前」

 

「あぁ、この武器の名前は『光の剣:スーパーノヴァ』だ」

 

「……!」

 

 

レールガンの正式名称を聞いた瞬間、アリスの表情が変わった。 まるで……そう、勇者が伝説の剣を見つけたかのような、そんな表情だ。

 

 

「……これ、欲しいです!」

 

「え、これが欲しいの?」

 

「……偉大なる鋼鉄の職人よ、あの龍の息吹が欲しいのだ」

 

「う、うーん……そう言ってくれるのは嬉しい限りなんだけど」

 

「けど? 何か問題があるの?」

 

 

ウタハの悩ましい表情に、一体何がダメなのかとモモイが問いかける。 自由に見て行っていいと言った以上、この武器もその候補の一つのはずなのである。

 

単純に金額の問題か? ならば自分のゲームを売ってでも……と、モモイが考え始めた時ウタハが口を開く。

 

 

「金額とかそういう問題じゃなくてだね……単純に、個人携帯用には大きくて重すぎるんだ。 本当、バカ重い」

 

「基本重量だけで140㎏、更に光学照準器とバッテリーを含んだ上での砲撃を行うと、何と瞬間的な反動は200㎏を超えるんです!」

 

「にっ……!?」

 

 

予想以上の重量と反動に、モモイは思わず目を見開く。 何だその重量は、いや確かに宇宙戦艦に搭載すると言った目的で作ったのであればそのくらいはするのかとは思うが……

 

そんな事を考えていたモモイに、ウタハは更に予想外の言葉を放った。

 

 

「因みにランはこれを持てるし撃てるよ」

 

「ええっ!!???」

 

「まあそうだけどさ……私の戦闘スタイルだと武器の半分以上の利点を無駄にすると言うか。 近接で殴るのも重要視してるから幅が大きすぎても困るんだよね。 と言うか持てはするし撃てもするけど、ただそれだけ。 個人で運用するとしたら動きが非常に鈍重になっちゃうから戦えるかと言われたら難しいと言うよ」

 

「いや、肝心なのはそこじゃないと思うんだが」

 

 

140㎏の重量と200㎏の瞬間的な反動に一応と言いながらも耐えられるなんて、ランはどんな身体能力を有しているのだろう? この時モモイを始めとしたゲーム開発部の心は一つになっていた。

 

 

「気に入ってくれたことは、素直に嬉しい。 ……これを持っていけるのであれば、喜んで提供するのだが」

 

「……! 汝、その言葉に一点の曇りもないと誓えるか?」

 

「何を……ッ!? まさか、持てると?」

 

「流石に持てるとは……この場合、ラン先輩が異常なので」

 

「オイそこ」

 

「ヒエッ……でも、事実じゃないですか!」

 

「ふんぬぅ……!」

 

 

アリスの力む声に、周りのみんなが反応する。

 

何と、ラン達が話をしている間にアリスが光の剣を持とうと挑戦をしていたのだ。 ……しかも、徐々に徐々に持ち上がっている。

 

ラン達が驚愕で目を見開いた直ぐ後には、アリスは光の剣を危なげなく持ち上げ終わった後であった。

 

 

「も、持ち上げました!?」

 

「これは驚いた……まさか、ラン以外に持つことが出来る者がいたとは。 彼女、もしかしてランの親戚とかじゃないよね?」

 

「今誰かゴリラって言ったか?」

 

「言ってない言ってない」

 

「アリスちゃん、持てたのは凄いけどまだ何も押さないでね。 勇者は説明もなく行動を起こさないでしょ?」

 

「? 分かりました」

 

「良かった……下手にボタンを押したら、射撃が飛んでたよ」

 

「部室の天井が吹き飛ばなくて良かったと言いますか……」

 

「で、でも流石にこれは……部の予算を注ぎ込んでますし、出来れば他のものに」

 

「……いや、先程の言葉を撤回するのは失礼だろう。 持って行ってくれて構わないよ」

 

「良いんですかぁ!? だってこれは……」

 

「どの道宇宙戦艦を作るには予算が足りないし、持てる人だって限られている。 なら持てる人が有効活用してくれた方が、この子も報われると言うものだ」

 

 

何処か誇らしげに、ウタハは光の剣をみて微笑む。 部の予算やらで悩まし気な顔をしていたヒビキやコトリも、部長が言うならばと言った感じで渋々と納得することにした。

 

「しかし」と、それまでの表情から一変して難しい顔をするウタハ。

 

 

「ハイどうぞ、と言う訳にはいかないね」

 

「え、もうそういう流れじゃなかった?」

 

「折角戦闘データが採れそうなんだ、機会は有効活用させてもらうよ。 コトリ、処分要請が出ていたドローンやロボット、全部出してくれ」

 

「了解です!」

 

「あの、それって……」

 

「ふっ、勇者が光の剣を持って行こうとするんだ。 真に資格があるのか見極めると言うのも、大事なことだと思わないかい?」

 

「! 成る程……!」

 

「あ、ランは参加しないでね。 正確なデータが採れなくなるからね」

 

「流石にそれくらいは弁えてるよ。 ……アリス、これは所謂勇者の最初の第一歩、と言えばいいかな?」

 

「勇者の……」

 

「刻み付けるんだよ、勇者の足跡をね」

 

 

そう言って、ランは後ろへと下がる。 ……けたたましい警報音が鳴ったと思えば、アリス達の目の前に複数のドローンやロボットが出現し始める。

 

アリスは光の剣を構え、敵を見つめる。 ……その後ろ姿は、まさに勇者と言っても過言ではない逞しい背中であった。

 

 

 

────────────────

 

 

 

(あぁ~~~!!! やってしまったぁ~~~!!!!)

 

 

選択を間違えた。 多分持たせちゃいけない存在に持たせてはいけない武器を持たせた! 身体能力ですら危険なのに更に危険な武器だ、アリスちゃんの危険度は跳ね上がってしまった。

 

コングにゴジラの背鰭で作った斧を持たせたらどうなるか知っているか? 機動力と攻撃力を兼ね備えたゴリラが出来上がるんだ、危ないにも程がある。 ……けど、流石にあんなに嬉しそうな顔をしているアリスちゃんを見てしまうと、取り上げると言う選択肢はなぁ。

 

 

「……本当に驚いた。 まさか持てるだけじゃなくここまで戦闘が出来るとは」

 

「ね、私もこれは予想外だったよ」

 

「本当にランの血筋とかじゃないんだよね?」

 

「本当に違うんだって。 ……多分、アリスちゃん以外の血縁者もいないと思う」

 

 

同型のアンドロイドみたいなのがいないとも限らないけど、アリスちゃんレベルのボディを量産できるとは思えないしね。

 

そう言う意味合いで言ったんだけど、どうやらウタハちゃんはそういう意味で捉えなかったらしい。 深刻そうな顔で「そう、か……踏み込みすぎてしまったね」なんて言ってる。 ちゃうねん、そういう意味じゃないんや。

 

 

「あ、戦闘が終わったね。 結果は……言わずもがな、かな」

 

「物の見事に殲滅してくれたね。 コトリ、データは採れたかい?」

 

「ばっちりです! 想像以上の結果ですね」

 

「それはそうだろう、アレを個人が持ち運んで使うなんて想定してないからね」

 

 

そんな話をしている間に、アリスちゃんたちは喜びを隠せないと言った感じで私達の所へ戻って来た。 先頭のアリスちゃんなんて目をキラキラさせて私を見つめてくる。

 

う、そんな純粋な目で見つめないでほしい。 私は貴女を危険視してて、もしもの事すら考えてるんだ。 ……私は、キミが考えてるような良い人じゃ、ないんだよね。

 

 

「実力を十分に見せてくれたんだ、アリス……改めて、その光の剣はキミのものだ」

 

「わぁ……! アリスは、光の剣を入手しました!」

 

「よかったね。 でも、それを充分に使うならもう少し手を加えないとね。 持ち手や紐の部分を補強しようか、こっちに来てね」

 

「はい!」

 

 

ヒビキちゃんと一緒に、アリスちゃんは整備台の所へと歩いていく。 モモイちゃんやミドリちゃんが嬉しそうに話をする中……スッと、ウタハちゃんが私の隣に並び立ってきた。

 

何か話があるのだろう、その表情は喜ばしい……と言うより、少し険しく見えた。

 

 

「ラン」

 

「何かな?」

 

「少し、聞きたい」

 

「最低1トンの握力に、発射時の安定した体幹バランス。 強度や出力は勿論の事、肌全体に傷すら見当たらない肉体、いや、機体」

 

 

少し険しいだけだった顔が、徐々に険しさを増していく。

 

 

「アレは、最初から厳しい環境下での運用を目的とされている、ナノマシンによって自己修復も行う体だ。 ……ここまで言えば、分かるね?」

 

「戦闘用、だね」

 

「ああ、そうだ。 ……アリスは、一体何なんだ?

 

「……その質問には、私も明確な答えを出せないんだ」

 

「そう、か」

 

「でも、どんな目的であれ……」

 

 

進むべき道を、私達が定めてあげられれば。 きっと彼女は大切な仲間になってくれるはずだ。 ……それが出来なかった場合は。

 

 

「言うまでもないと思うが」

 

「?」

 

「早まった真似だけはしないでくれ。 ……頼りないかもしれないけど、私はランの親友だからね」

 

「……安心して。 そんなつもりは毛頭ないから」

 

「その言葉を信じることにするよ」

 

 

腑に落ちないと言うか、私の言葉全てを信じ切っているとは言えないような表情で、ウタハちゃんは頷く。 敵わないな、私が何を考えてるのか何となくでも察せられてるみたいだ。

 

 

「ともあれ、これでやるべきことは全て終わった。 何かあったら遠慮なくエンジニア部にまで来てほしい」

 

「やった! ありがとうウタハ先輩!」

 

「礼には及ばないよ。 私達としても得るものがあったわけだからね」

 

「メンテナンスはお任せを! 万全の状態にして見せますからね」

 

「ラン、キミもね。 メンテナンスはきちんとするように」

 

「そうだね。 でも前回からそんなに時間が経ってないからまだ必要ないと思うけどね」

 

「そう言って怠ると本当に必要な時に取り返しのつかないことになるんだよ」

 

 

それが怖いからメンテナンスはするけど、まあ流石に今は必要ないでしょ。

 

ウタハちゃんたちにお礼を言いつつ、私はアリスちゃんたちを引き連れてゲーム開発部へと戻ることにした。

 

 

 

~~~~~

 

 

 

「……いやぁ、これで廃部の心配もなくなったから安心してゲームが出来るよ!」

 

「今日はパーティーで遊びます! レイド戦は勇者の得意な事です!」

 

「これはレイドって言うのかなぁ……」

 

 

部室に戻った私達は、早速と言っていいほど素早くゲームの準備を進めていた。 今は某マルチプレイ可能なモンスターなハンティングゲームをやろうとしている真っ最中だ。

 

このシリーズよくやったなぁ、最近は出来てなかったけど。 最新作はランク上げをあんまりしてないから私はモモイちゃん達とは別でプレイすることにした。

 

 

「来ました! 人数が揃ったので早速狩りへと向かいます!」

 

「よーし、私も頑張っちゃうぞぉ!!」

 

「ふふ、二人とも頑張ってね」

 

 

直ぐにマッチングが済んだらしい二人は狩りへと向かった。 さて、私の方は……

 

 

【Koutyadaisuki:さんが入室しました】

 

【Ran×Mika♡:さんが入室しました】

 

【Sorasaki_Hina:さんが入室しました】

 

【人数が揃いました、出発します】

 

 

……おかしいな、顔が見えないはずなのに顔が見える。 と言うかお前らは仕事をしろよ。

 

 

「お、お姉ちゃん気を抜きすぎじゃない? と言うかユウカには言わないの? 部員が規定人数になったって」

 

「もう言ったよ。 それで午後になったらアリスの資格審査に来るって言うのももう聞いてる! あ、アリスそれブレスの予備動作だよ!」

 

「! ブレスの予備動作を検知、ガード後攻撃を開始します!」

 

「資格審査ぁ!? 聞いてないけどそんな事!! その資格審査に私達の部の存続がかかってるんじゃないの!?」

 

「大丈夫だって! そのための準備はもう済んでるんだし」

 

 

余裕の表情で、モモイちゃんはコントローラーを操作している。 まあ確かに、先程までのアリスちゃんの口裏合わせは聞いていた。

 

でも「私はアリス、この世界になっても私は生きている」とか「カルロスは死んだ、クレアやレオンを探さなければ」とか「ガンランスは正義です、貴女もガンランスは正義と言いなさい」は絶対に間違っている。 何とか修正させたが、果たしてユウカちゃんの質問から逃げることは出来るのか……?

 

 

「モモイ、ラン先輩いますか? 入りますよ」

 

 

と、そんなことを言っていたらユウカちゃんが入って来た。 入る最中も「ゲーム開発部に部員が入るなんて……あり得ない」なんて言ってるけど、まあその気持ちは分からんでもない。

 

 

「ふふふ……ところがぎっちょん!! 事実なんだよユウカ!」

 

「……まあ、そこにいるのを見る限り本当なんだろうけど。 ラン先輩?」

 

「不正はしてないよ、彼女達の努力の結果だからね」

 

 

そう、(私は)不正してない。 何も嘘は言っていない。 彼女達の(ハッキングや廃墟探索での)努力の結果だ

 

 

「うーん、ミレニアムの生徒の情報は全て網羅しているつもりだったけど……私がこんな可愛い子の事を知らなかったなんて、ちょっと信じられないわね」

 

「ユウカちゃん、流石にその発言は事案だと思う」

 

「ちょ、ラン先輩そんな言い方しないで下さい」

 

 

言いたくもなるでしょ、目をつぶれば小学生に迫る中年のおじさんみたいな絵面が見えるぞ。

 

 

「よ……」

 

「よ?」

 

「妖怪です、妖怪が出現しました……!」

 

「妖怪ィ!!? 初対面の子に妖怪呼ばわりされるのは頭に来るんですけど!!」

 

「ユウカちゃん、直前までの自分の言動を考えてみてよ」

 

 

こんな可愛い子を……何て言って近寄ってくる人物を不審者や妖怪呼びしたって誰も文句言わないと思う。 私も少しだけ引いたぞ。

 

 

「兎に角! これで部の規定人数は揃ったんだからゲーム開発部は存続だよね!? もうこれ以上は文句言わせないよ!」

 

「……まあ、良いでしょう。 規定人数は満たしているので、ゲーム開発部を改めて正式な部活として認定。 部として承認します」

 

「やったぁ!!」

 

「今学期までは、ね」

 

「…………え?」

 

「え?」

 

 

あれ? 急に流れが変わったな? と言うか今学期まで?

 

 

「何でラン先輩が困惑してるんですか」

 

「えっ……え?」

 

「……その反応、もしかして本当に忘れてるんですか?」

 

「え、いや、あの」

 

「……はぁ、ここ最近は業務の量が多くて大変なのは知ってますが。 やはりもう少し休息を増やした方が良いですよ。 と言うか本気で休憩してください。 ラン先輩が倒れたら悲しむ人が一杯なんですから」

 

「え、何で今学期までなの!? ラン先輩嘘ついたの!?」

 

「ラン先輩を悪く言わないであげて、最近は徹夜も多くて時間間隔も多分狂ってたんだし。 寧ろその状態でゲーム開発部の問題にまで手を伸ばそうとしてたんだから正気を疑いますよ。 何ですかこの前の『私は限界を超える! 業務の鉄人って呼んでよあはははは!!』って。 私達の制止も聞かずにぶっ通しで20時間以上デスクの前で書類作業して死んだように寝たのまだ覚えてるんですからね」

 

「ラン先輩……そんな状態で、私達を?」

 

 

いやその、確かに最近は徹夜とか半日休憩なしで書類作業とか、後半はテンション上がりすぎて限界に挑戦して28時間くらい起きっぱなしで書類作業とかしたけど。 もしかしてその中で何かあった? それともその前か?

 

 

「今は規定人数を満たすだけじゃなく成果も証明しなくちゃいけなくなったのよ」

 

「まあ、これは急に決まったことだから猶予が設けられているわ。 それが今月末まで」

 

「う、嘘だ……私達を騙そうとしてる!」

 

「嘘じゃないわよ、ちゃんとこの前全体の部長会議で説明したわよ」

 

 

あ、あぁぁぁぁぁぁッ!!! 聞いた、確かにユウカちゃんから聞いた気がする! 書類作業に集中してたから会議系はユウカちゃんに頼んでたから報告でしか聞いてない!

 

 

「ユズは出てなかったから知るはずもないわね。 要は────────あなた達のミスでした、って訳」

 

「ぐっ……卑怯者ぉ……ッ!」

 

「何でよ。 本当なら今すぐにでも退去を要請しても良かったんだからね」

 

「でも、死んだような顔して書類の山と戦っていたラン先輩が書類以外に興味を持ってくれたから、休息の意味も兼ねて目を瞑ってあげるわ」

 

 

う、嬉しくねぇ……! モモイちゃんたちの頑張りに、じゃなくて私が理由なんてちっとも嬉しくない! 私そんなに元気そうな顔してるの? 寧ろユウカちゃんにそこまで言わせる私の顔ってどんなだったんだ???

 

 

「それに、最初に言った事を反故にするつもりもないの」

 

「ミレニアムプライス、それで結果を出しなさい。 ……折角部員が増えたんだから、最後まで諦めない事ね」

 

「それでは私はこれで。 ……あとラン先輩は本気で休んでくださいね」

 

 

ユウカちゃんはそう言って部室から去っていく。 最後まで心配そうな顔で私を見るって本当にどんな顔をしてたって言うんだ、そんなに酷い顔をしてたの? 泣きそうだよ私。

 




多分みんな気付いてると思いますがあらすじの部分変えました

もうこれ見た人みんな「お前は勘違いされる可哀想な子じゃない、ゴリラだ」って口揃えて言うだろ、俺は悲しいよ


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