セミナー副会長はとにかく巻き込まれたくない   作:ピンク髪大好きニキ

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今回は特に前書きで語ることはないです




17話「鏡とメイドとセミナー副会長」

 

 

 

 

「んぶっ……うもっ……」

 

 

アラームの音が鳴ったから起きようと思った、が……顔面がものすごい柔らかな感触で一杯だ。 と言うか良い匂いがするし視界が暗い、これデジャヴでは?

 

手探りで視界を遮る何かをどかそうと手を動かし、ぽよんぽよん。 ハナコちゃんのたわわな果実をどか……どかないっ! 圧倒的重量感ッ!!

 

 

「は、なこちゃ、胸、胸ェ!!」

 

「ん、あっ……あぁ、ランさん。 おはようございます」

 

「おはよう、上から避けてもらってもいいかな?」

 

「もう少しランさんを堪能していたかったのですが……仕方ありませんね」

 

 

残念そうな顔をして、ハナコちゃんが私の上からいなくなる。 お風呂上がりのハナコちゃんは良い匂いがした……これが現役JKの体臭か、素晴らしい。

 

私達の会話でチヒロちゃんも起きたみたいだし、みんなで朝ご飯を食べようかな。

 

 

 

~~~~~

 

 

 

「ほら、チヒロちゃんも起きて。 早くご飯食べないと遅刻だよ?」

 

「……アンタが遅くまで駄弁ってたのが原因なんだけど。 そのソース取って」

 

「はいはい。 早速で悪いんだけど」

 

「ヴェリタスから連絡が来てたよ、何か面倒なことになってるみたいだね」

 

「だねって、そんな他人事みたいに」

 

「私にとっては他人事だからね。 ランとヴェリタス、それにゲーム開発部とエンジニア部でもいれば何とかなるんじゃない?」

 

 

詳細はまだ不明だけど、G.Bible自体は入手できたらしい。 でも肝心の中身を見るために何かが必要なんだとか。 ここ最近で思い当たる節は……

 

 

「鏡だよね。 正式名称までは覚えてないけど」

 

「ああ、確かそんな名前だ。 ヒマリが置いてったものだけど、ちょっと前にセミナーに押収されたからね」

 

「あー、まあユウカちゃんならするかな」

 

 

危険物、と言う訳ではないけど。 用途を間違えれば確かに押収されてもおかしくはない。

 

押収されたとすれば、保管場所には目途がある。 しかしその目的だってユウカちゃんたちは把握しているはず。

 

 

「私セミナー副会長なのにセミナーと敵対するってことになるの?」

 

「そうなるね。 ゲーム開発部に協力するって言っちゃったんだから責任は取ろうか」

 

「うぐ、まあ協力はするけどさ……」

 

「ランさんも大変そうですね。 トリニティの方はお気になさらず、今は目先の問題を解決してくださいね」

 

「ごめんね、折角話してくれたのにすぐに協力できなくて」

 

 

ハナコちゃんの方も話に進展があった。 昨日の就寝前にした会話で、何やらトリニティでも動きがあるらしい。

 

特にティーパーティー周りがコソコソと動いているらしく、近く何かしらの動きはあるだろう。

 

 

「前にナギサちゃんが話があるって言ってたけど、それかな?」

 

「恐らくは。 小耳にはさんだ話ですが……内部に、怪しい人物が入り込んでいるようですね」

 

「トリニティに、か。 まさかゲヘナが何て言わないよね?」

 

「流石にそこまでは……ですが、エデン条約が迫っている中ゲヘナの生徒がそんな事をするでしょうか?」

 

「しない、かなぁ。 ヒナちゃんは把握してないかもだけど、マコトちゃんがそんな分かり易い妨害をするとは思えない」

 

「でしたら第三者ですか……まさか、ですよね

 

 

ハナコちゃん的には心当たりがあるみたいだけど、今は詳しく聞かないでおこう。 そのために明言を避けたんだろうし。

 

その後は三人とも黙々とご飯を食べていく。 食べ終わった食器をみんなで洗った後、私達は玄関先で向かい合って話をしていた。

 

 

「それでは、私はこれで。 今度はトリニティでお会いしましょうね」

 

「またねハナコちゃん、でも何もない時でも家に来てくれていいからね」

 

「その場合、ランが家にちゃんと帰っていることが前提になるんだけどね」

 

「それもそうだ、家に来るときは事前に連絡してくれると助かるかも」

 

「徹夜や泊まり込みをしないって選択肢はないの?」

 

「書類の量次第かな……」

 

(……あのバカ二人に何とか連絡入れておかないとね)

 

 

呆れたって感じの様子でチヒロちゃんが見てくるけど、私は何も気にしない。 過去は振り返らない性格なんだよ。

 

ごめん盛った、過去を死ぬほど引き摺り続ける重い女だった。

 

 

「私は別に寄る所あるからここで。 ランは早く学校に行ってゲーム開発部に顔を見せるように」

 

「分かった。 チヒロちゃんもありがとうね」

 

「これくらいでお礼なんていいよ、これまで何回やったと思ってるの」

 

「お礼はちゃんと言わないといけないって教えてもらったからね」

 

「へぇ、ちゃんと礼節を重んじた人もいるんだね」

 

「うん、ヒマリちゃんが言ってたよ」

 

「一番見習っちゃいけない奴だね、手本は他の人にした方が良いよ」

 

 

 

────────────────

 

 

 

「ごめんね、遅くなったよ」

 

「あ、ラン先輩! 待ってたよ!」

 

 

チヒロちゃんやハナコちゃんと別れた後、私はゲーム開発部の部室ではなくヴェリタスの部室へと赴いた。 既にG.Bible関連の解析を一通り終わらせ、今は作戦会議中らしい。

 

 

「大まかな話しか聞いてないけど、押収品の保管場所に行くことは確定な感じかな?」

 

「う、そうだね……鏡がないと中身は見れそうにないし」

 

「で、その保管場所はメイド部……C&Cが守りを担当している訳です」

 

 

C&C……ミレニアムトップクラスの戦闘集団。 ネルちゃん一人でも難敵だけど、4人全員集まった時の連携は本当に面倒だ。

 

出来れば正面から戦いたくはない、一人か二人なら問題ないだろうけど……

 

 

「作戦は何かある?」

 

「具体的な事はまだ何も、でも正面から馬鹿正直に突っ込んで勝てるとは思わない」

 

「ラン先輩がいれば大丈夫じゃないの?」

 

「出来なくはない、とは言えないかな。 正直ネルちゃんとの戦闘だって戦績は芳しくないし」

 

「具体的には?」

 

「38勝42敗92引き分け、かな」

 

(割といい勝負では……?)

 

 

戦績だけ聞けばそこまで悪くないように聞こえるが、あくまでこれはミレニアム内で行った模擬戦闘の結果だ。 ルール無しで本気でやったことがお互いない以上、楽観視はしたくはないかなぁ。

 

 

「だから作戦を成功させるためには準備が必要だよ。 先生は何かありますか?」

 

”何か、と言うよりは。 エンジニア部にも協力してもらえないかなとは思ってるよ”

 

「エンジニア部、ですか」

 

「ウタハ先輩たちが協力してくれるかなぁ?」

 

「要請くらいはしてもいいのでは? 戦力は多いに越したことはないですし」

 

 

理には適ってる。 きっとウタハちゃんは快く受けてくれるだろうし、一人くらいは足止めしてくれるはずだ。

 

だが、これでもまだ足りない。 確実に成功させるための作戦が、まだ必要だ。

 

 

「あ、言い忘れてた。 今はネル先輩いないんだった」

 

「あれ、いないの?」

 

「そうだね。 話だけだけど、今はミレニアムの外郭に用があるって言って離れてるって」

 

 

これはいい話を聞いた。 ネルちゃんがいないのであれば戦力的には大分拮抗できるはず。

 

まあ敢えて問題を挙げるとすれば……作戦中に、ネルちゃんが戻ってくるかもしれないと言うことか。

 

 

「私達が鏡を奪還してる最中にネルちゃんが戻ってこないようにする方法が必要だね」

 

「確かに、もし戻ってきたら失敗は免れない」

 

「でもそんな都合のいい手段なんてあるの? 相手はミレニアム最強だよ?」

 

「戻ってくるのかなぁ? 私はそんなに気にしなくても良いと思うんだけど」

 

 

ポケーっと虚空を見つめながらモモイちゃんが呟くが……甘い、甘いよモモイちゃん。

 

ネルちゃんは面白そうなことがあればすっ飛んでくるぞ、何かをぶっ壊すことに関してはピカ一だからね。 でもそうなると……

 

 

「……これしか、ないかなぁ」

 

「? 何か作戦でもあるんですか?」

 

「作戦、と言うか方法は一つだけ。 ちょっと早めに恩を返してもらおうかな」

 

 

私達はそんな事を話し合いながら、鏡奪還のための作戦会議を進めていった。

 

 

 

~~~~~

 

 

 

一歩そのころ、ラン達が作戦会議をしている最中に抜け出した先生達はエンジニア部へと赴いていた。

 

理由は簡単、鏡奪還のための協力要請である。

 

 

”────────と、言うことなんだけど”

 

「ふむ、話は分かった。 ……私達で良ければ、協力するよ」

 

「本当ですか!? ありがとうございます!」

 

「お礼はいいさ、私達にも関係ないことではないからね」

 

 

先生からのお願いに、快く引き受けるウタハ。 ミドリ達も喜んでウタハを見ているが、当のウタハは浮かない顔をしていた。

 

 

”ウタハ、何か気になることでも?”

 

「いや、気になると言うよりは……ランが何をするのか、大体想像出来ると言うかね」

 

「ラン先輩が何か?」

 

「……いや、今は置いておいていい話だ。 私達が今すべきことは、如何にして鏡を奪還するかだろう」

 

「ヴェリタスにエンジニア部、それに私達と先生にラン先輩がいても足りないですか?」

 

「実力的には問題ないだろう。 だがランが足止めされたら? 相手は戦闘のプロだからね、素人の私達では数で勝っていても楽観視だけはしてはいけない」

 

 

ウタハの言葉に一同が黙り込む。 確かにランが一人で頑張っても、他のみんなが失敗してしまっては意味がない。

 

それにラン一人だけに頑張ってもらうことも出来ない、先生がきっとそれを許すことがない。

 

 

「エンジニア部から出せる武装は全部出そう。 ヴェリタスからは?」

 

「私達からはEMPとか、盗聴とかハッキングとかかな」

 

「十分だ。 まあ突入はゲーム開発部頼りになるけど……」

 

”そっちは任せて、私が指揮するよ”

 

「頼んだよ先生、私達も全力を尽くそう」

 

 

あれこれ言いながら作戦会議は進んでいく。 みんなの力を合わせればきっと上手くいく……先生はそう考えながら、ゲーム開発部のみんなを微笑みながら見つめていた。

 

 

 

~~~~~

 

 

 

「────────本当に、ゲーム開発部やヴェリタスが?」

 

「そうよ。 ヒマリ部長が言って来たから間違いはないはず」

 

「ヒマリ先輩が、ですか」

 

 

所変わって、押収品の保管場所にて。 セミナーのユウカとC&Cの室笠アカネも鏡の件で話し合いをしていた。

 

ユウカはヒマリ経由でゲーム開発部の目的を知り、警備を担当しているアカネに話を共有していた、のだが……

 

 

「ラン先輩が絡んだヒマリ先輩は著しく信用に欠けますが、大丈夫ですか?」

 

「流石に今回は大丈夫……な、筈よ」

 

「それを聞いて一気に不安になりました」

 

 

情報源がヒマリと言うこともあり、信用より不信感が勝ってしまう。 別に全く信用がないわけではない、単にランが絡んでいる時は一気に信用がなくなるだけだ。

 

今回はゲーム開発部にランが協力していることもあり、本当に信じていいのかが分からなくなってしまう。

 

 

「でもラン先輩が直接鏡を奪還しに来ることはないはずよ。 ラン先輩は甘いように見えるけど、ちゃんと線引きはしっかりしてるから」

 

「そこに関しては、まあそうですね。 部長の無茶ぶりには付き合ってくれますし」

 

「あの律義さをリオ会長も身に着けてくれれば……」

 

「そこに関しても、ですね」

 

 

セミナーとC&Cと言う別の管轄ではあるが、お互い面倒な問題のある存在の事を思い出し、大きなため息を吐く。

 

 

「ま、まあとりあえず保管場所にはラン先輩は来ないはずよ。 でも注意して、ゲーム開発部には先生がついているから」

 

「先生……話でしか聞いていませんが卓越した指揮能力を持っているとか」

 

「そうよ。 モモイ達の実力はそれほどでもないけど、先生が絡むとどうなるか分からない」

 

「そこは警戒しておきましょう。 カリンやアスナ先輩にも通達しておきますね」

 

「頼むわね……本当に、こんなことをしなければ」

 

 

ユウカはそう言って頭を抱える。

 

ゲーム開発部が無くなればいい、とまでは思っていなかった。 だからこそミレニアムプライスを絡めてランやゲーム開発部にも伝えて、どうにか廃部を回避してもらおうと助言をしたのだ。 それが何をトチ狂ったのか押収品の保管場所を襲撃するなんて話になるのか? 普通にゲームを作るだけではいけなかったのか?

 

 

「……頼むわね、本当に」

 

「お任せを、寧ろ部長がいない分守りに関しては問題ありませんよ」

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

「いや、頼むとは言ったけどまさかここまでとは思わなかったわ」

 

「いえ、どちらかと言うとそれは私のセリフと言うか……正面から強行突破って冗談ですよね?」

 

 

つい数時間前までゲーム開発部の襲撃に関して色々と……そう、本当に色んな対策を考えて万全の準備を整えていたユウカとアカネ。 それがまさかの正面突破でやってくるとは思わず、用意していた作戦の殆どを使うことなく一番危険視していた天童アリスを倒し終わっていた。

 

 

「これが罠の可能性は?」

 

「勿論その可能性だってあるわ。 物理的に破壊したのだって、何かしらの意図があるかもしれない」

 

「エンジニア部が絡んでいるのも知っているし……セキュリティはエンジニア部以外の物を急いで購入して取り付けるわ。 それで当面はどうにかなる」

 

「了解です。 そうなると後は」

 

「ええ、残りの部員ね」

 

 

ユウカとアカネは安堵こそすれど警戒は薄れさせない。 まずはアリスの収容と、扉の修理を最優先に。 そして監視カメラの映像を見逃さないようにしつつ、未だ動きを見せないモモイ達の動向を注意深く監視することにした。

 

 

 

~~~~~

 

 

 

「ああっ、アリスが捕まっちゃったよ!」

 

「落ち着いてお姉ちゃん、これも作戦の内なんだから……そうだよね?」

 

「そうだね、作戦の範囲内だ。 アリスが作戦通りにしてくれたんだ、私達も行動に移ることにしよう」

 

 

ミレニアムタワーが良く見えるビルの一室。 そこでゲーム開発部や先生はヴェリタスとエンジニア部によって作戦の最終確認に入っていた。

 

時間帯的にも夜であり、辺りは暗い。 そんな暗がりで明かりをつけることもなく、一同はウタハが差し出したタブレットをじっと見つめていた。

 

 

「ミレニアムタワーの話はしたね? セミナーはミレニアムタワーの最上階を専用スペースとしている」

 

「目的の鏡がある保管場所はその西側。 そこまで行くには監視カメラやロボットなどと言った多数の障害を乗り越えなければいけない」

 

「そして一番重要な情報だ。 そこまで行くにはエレベーターでの移動が必須、更にそのエレベーターには生徒会や関係者しか通行できないように指紋認証システムが導入されている」

 

「アリスちゃんが馬鹿正直に突破しようとして破壊した……ように見せかけたけど、向こうだって馬鹿じゃない。 恐らく私達のセキュリティなど使わず外部の強固なものを使用しているだろうね」

 

「うう、聞けば聞くほど無理ゲーすぎる」

 

「無理ゲー何て言わないでよ、私達今からそこに行くんだから」

 

 

ウタハやハレは淡々と説明していくが、要の一つであるモモイ達は表情がよろしくない。 特出した戦力と言う訳でもない彼女達には、セミナーとC&Cと言う戦力は脅威以外の何物でもないのだ。

 

そう、普通ならば、だ。

 

 

「ほ、本当に大丈夫なんですよね? ここまで来て無理とか言わないですよね?」

 

「やだなぁ、おじさんがそんな薄情に見える?」

 

「ら、ラン先輩の推薦だから心配はしてないんですけど……それでも、不安で」

 

 

彼女は、本来ならばここにはいない存在であった。 きっと何もなければ、今日だってパトロールや後輩と遊んでいたことだろう。

 

 

「心配しないでよ、おじさんは頼まれたことはきちんとこなすからさ」

 

 

だが、ランから連絡が入った。 自分を頼ってくれた、それもいの一番に。

 

無論それだけで二つ返事で協力していたであろう。 他でもないランの頼みごとなのだから……だが

 

 

「────────それに、居場所が無くなってほしくないって気持ちは、私だってよく知ってるからね」

 

 

ゲーム開発部の思いに、彼女が動かない理由は何一つなかった。

 

 

「だから手伝うよ。 ここに来れないランちゃんの分まで。 私にも手伝わせて」

 

 

何時かランが言った、本気の本気なホシノちゃんを見たいと言ったあの約束を。 立場的に危うい状況でありながらも、助けに来てくれたその恩を返すため。 ……そして、己と似たような境遇の彼女達を助けるために。

 

 

 

────────『戦いに臨む暁のホルス』(アビドスドリーマー)小鳥遊ホシノが、その実力を発揮する。

 

 

 

「だからランちゃんもしくじらないようにね。 ……私も、頼まれたことはしっかりこなすからね」

 

 

ホシノは見つめる。 ランが向かったであろう方角を、これから起こるであろう大きな争いを考え、そうポツリと呟いた。

 

 

 

────────────────

 

 

 

「……ちっ、思ったより時間が掛かっちまった」

 

 

C&Cの部長である美甘ネルは、予定していた時間に間に合わないことに対して舌打ちをしつつ、ミレニアム自治区を走り抜けていた。

 

所用でミレニアム外郭へと赴き用件は済ませたのだが、そこに予定になかったヘルメット団の襲撃や生徒同士の銃撃戦などが重なり……それら全ての処理が済んだ頃には、とっくに辺りは暗くなってしまっていた。

 

アカネからゲーム開発部の襲撃の話は既に来ていたが、特に自分がいなくても問題はないと判断していた。 しかし、その後に来た連絡によってその判断は即座に覆されてしまっていたのだ。

 

 

「アタシに匹敵する実力者、ねぇ……楽しみになって来た」

 

 

自分に匹敵する実力者と聞いて、生粋のバトルジャンキーなネルの食指が動かないわけがなかった。 アカネが嘘をついている、等と言った疑心はさらさらないしそんな嘘をついても得をする人がいない。

 

逸る気持ちを抑えて、ネルは走る速度を上げ……ようとして、立ち止まった。

 

 

「……オイ、そこにいるのは分かってんだ。 さっさと姿見せろよ」

 

 

自分に向けられた、強烈な敵意。 誰か分からないがこんな時に邪魔をしようなんていい度胸をしていると考えていたが、現れた人物を確認してネルは目を大きく見開いた。

 

 

「はは、マジかよ。 何でお前がここにいるんだ?」

 

「……」

 

「だんまりかよ、アタシの質問に答えてくれたっていいだろ? ……ラン、いやセミナー副会長サン?」

 

 

愛用しているアドミニストレーターと、それに装填する弾や杭をこれでもかと装備したランが、物陰から現れる。 その顔は真剣な物であり、溢れる闘志を一切隠すことのないその様に、ネルの口角は上がりっぱなしだった。

 

 

「こんなタイミングに、こんな場所にいるんだ。 目当てはアタシか?」

 

「そうだね、私の目的はネルちゃんだよ」

 

「そーかそーか。 で? そんな物騒なおめかしして何の用だ?」

 

「簡単なことだよ。 ────────そろそろ公的に、ネルちゃんに黒星をあげないといけないよねって

 

「……言ってくれるじゃねぇか、負け越してるくせによ」

 

「模擬戦で全力なんて出さないでしょ? で、どうする? 尻尾を巻いて逃げる?」

 

「決まってる、ンなもん……」

 

 

ネルは自分の銃を構え、ランをギラギラとした目で見つめる。

 

以前から気にしていたのだ、本気を出したランの実力を。 模擬戦だけしかできない燻った感情が、ネルを駆り立てる。

 

ミレニアム最強の称号? C&Cの実績? そんなものはネルには毛ほども気にならない。 ……だが、白黒はっきりつかないのは、ネルにとって一番気にするものであった。

 

 

 

「────────やってやろうじゃねぇかこの野郎!!!!」

 

 

「────────吠えるのはいいけど、挑戦者(チャレンジャー)はそっちだからね」

 

 

 

ミレニアムの中で、もう一つの大きな戦いが、今ここに起こる。

 




次回、約束された勝利の象徴VSミレニアムの破壊姫

これがやりたかっただけです、戦闘描写書く気はあんまりないです

小説の書き方、どっちがいい?

  • これまでの書き方でいいよ
  • 新しい書き方でお願い
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