セミナー副会長はとにかく巻き込まれたくない 作:ピンク髪大好きニキ
「はい」
:はいじゃないが
:草
:人ってこんなに死んだような目をすること出来るんっすね
:これがセミナー公式チャンネルってマ?
:ここが祭りの会場ですか?
「えー、あー……はい、ミレニアムサイエンススクール、セミナー副会長の天海ランです」
何で私はこんなことをしているんだろう?
「概要欄に書いている通り、今日はセミナー公式チャンネルではありますが私のゲーム実況を行います」
いやこう、もっと事前に話を聞いたいたほうが良かったのかもしれない。 でも既に遅い、こうして配信までしながらやらざるを得ないところにまで来てしまった。
私にこのソフトを渡してきたアリスちゃんは満面の笑みで「ラン先輩がこのゲームをプレイしてもっと他の人が楽しみにしてくれることを待ってます!! これはアリスだけじゃなくゲーム開発部としてのクエストです!」って言って来たし、モモイちゃんはサムズアップ、ミドリちゃんは申し訳なさそうな顔をするだけだしユズちゃんに至ってはロッカーから出て来る事すらなかった。 端的に言ってハメられた気がしてならない。
「えっとぉ……そのぉ……このゲームはまだ配信されてないです。 正式リリース前に特別にゲーム開発部から宣伝のために渡されました、俗にいう案件ってものです」
:身内ならではの特別待遇
:TSC2は良かったぞゲーム開発部
:もっと早くベストを尽くしてくれゲーム開発部
:先輩を困らせるなゲーム開発部
「それでですね……前置きが長くなりましたけど、今日プレイするゲームはこちら────────」
「────────『ときめきアーカイブ』です」
何が楽しくて、自分で声を当てたギャルゲーをやらなくてはならないのか? それは少し時間をさかのぼることになる。
────────────────
「……え? 新作ゲームの手伝い?」
ミレニアムプライスから暫く経った後の事。 その日も私はセミナーの仕事をこなした後にミレニアム内を巡回ついでにゲーム開発部の様子を見に向かっていた。
すると急に私に飛び込んできたアリスちゃんからそんな話を聞いて、私の目は点になっていたに違いない。
「はい! アリス達ゲーム開発部はラン先輩からい、いん……?」
「……インスピレーション?」
「そうです、それです! インスピレーションを受けて新たなゲーム開発に着手しようと言う話になりました!」
「ラン先輩って色んな学校の生徒と仲がいいって話だし、それを上手く活かしてゲームを作ろうかなって」
「ラン先輩から話を聞けばシナリオ作成は容易ですし、どうでしょうか?」
「成る程ね……」
みんなの話を聞いて私は唸る。 TSC2が成功したおかげでゲーム開発部のモチベーションは高い、ならこの勢いのまま次のゲームを作らせた方がユウカちゃんもきっとモモイちゃん達を見直してくれるに違いない。
「私の話がみんなの為になるのなら、喜んで協力するよ」
「やった! ありがとうございますラン先輩!」
「それで、具体的に何をすればいいのかな?」
「はい! ラン先輩の交友関係から特に親しい人達とのエピソードを教えてほしいです!」
「特に親しい……?」
これはまた、判断に困る気がする話しだ。 みんな等しく仲良くさせてもらってる気がするけど、そうなると人数が多くなる。 何人かに絞って話をするしかなさそうだね。
誰がいるかな……ゲヘナならヒナちゃんにアコちゃん、セナちゃんにフウカちゃんかな? あとは便利屋68の面々に……イブキちゃんも、だろう。
トリニティならティーパーティーの三人にヒフミちゃんとハナコちゃん、サクラコちゃんにミネちゃんとウイちゃん……? 改めて考えると各学園のお偉いさんと親しいな、リオちゃんが出歩かないせいで私が手土産をもって話をしに行ったからなし崩し的に仲良くなってしまった。
「……ふむふむ、成る程」
「話を聞くだけでラン先輩の交友関係の凄さが分かると言いますか」
「リオちゃんが精力的に動いていたらこんなになってなかったよ。 リオちゃん基本的に他校に顔見せしに行かないから……」
「こう言っては何ですけど、よく会長に……何でもないです」
「まあそう言いたくなるのも分かるよ。 でもそれを補って余りあるほどに有能だからセミナー会長の地位についているんだ」
「凄い話ですよね……」
そう、凄い話なのだ。 問題はその功績が霞むくらい出歩かないし顔を見せないし、コミュニケーション能力が低すぎるせいで誤解を生むと言うことか。
でもビッグシスターって二つ名は許されない、何でリオちゃんはそんなで私はミレニアムの破壊姫なんて物騒な名前なんだ、異議を申し立てたい。
「それで、今話した内容で参考になったかな?」
「十分すぎるくらいです。 ここからオリジナルのシナリオだって追加しますし、専用スチルも増やせば……うん、いけるかな」
「それなら良かった。 ……ここまで話しておいてなんだけど、今作ろうとしてるのってどんなゲームなのかな」
「恋愛シミュレーションゲームです」
「ごめんね、耳が遠くなったみたいだからもう一回聞きたいかな」
「恋愛シミュレーションゲームです」
「? ……?????」
聞き間違いかと思ってもう一回聞いたけど、そんな事はなかった。 いや本当に聞き間違いであってほしかった。 よりにもよってギャルゲー? 正気か?
「えっと、登場人物全員女子だけど」
「きちんと主人公は男性にしますよ」
「そっか、それならいいんだけど」
「主人公役はラン先輩です!」
「?????」
何にも良くなかった、何故に私が男性に? 性転換かな? サヤちゃんなら出来ても可笑しくないんだけども。
「うん……うん? 理解したくないけど理解せざるを得ない」
「あとはボイスですね! ラン先輩には大分負担がかかりますが是非CVをですね……」
「え、私なの? 私そう言うの詳しくないんだけど……」
「大丈夫です、ちゃんと台本は用意しますから」
「私が気にしてるのはそこじゃないんだけどなぁ」
色々ブツブツと呟いたけど、事態は好転することはなく……なし崩し的に私は専用ブースまで借りて本格的に収録したボイスをゲーム開発部に提供することになってしまった。
大丈夫か? 台本の中身にちょくちょく規制されそうな内容があったぞ……
────────────────
「……と、いう流れで完成したのがこれです」
:はえー、すっごい……(巻き込まれ感)
:躊躇うことなく世話になった先輩に無茶振りを課す後輩の鏡
:でもなんだかんだでやってあげる先輩ってのが良い所なんでしょ
:この配信の結果でこのゲームの人気が決まるぞ、気張っていけ
「やる前からプレッシャーをかけるのはやめてください。 グダグダ話してても何も始まらないので早速プレイしていきましょう」
流れるコメント欄を半ば無視しつつ、私はスタート画面からずっと止まったままだったゲームを操作する。 ニューゲーム、難易度は普通……ギャルゲーに難易度……?
【ときめきアーカイブへようこそ。 貴方は今日からキヴォトスで生活を始める一人の生徒です】
【始める前に、貴方の事を教えてください】
まあそうだね、名前も何も決まってないんだから。
特に迷うことなく名前の欄を『天海ラン』に設定し、次の質問を促すことにする。
【貴方が求めるものは秩序ですか? それとも混沌ですか?】
トリニティかゲヘナの事を言っているのかな? 選択肢は秩序と混沌、それとその二つ全てを求める……ここは無難に秩序を選択しておこう。
【貴方は女性の何処に魅力を感じますか?】
【胸】
【尻】
【うなじ】
【鼠径部】
【太腿】
急にぶっこんできたな? 個人の性癖趣向を不特定多数の生徒に見られるって苦行だぞ。
「こ、れは……うーん?」
:でも実際何処が魅力なのかね?
:私貧乳、胸の大きい人に憧れは感じる
:あー、そういう。 私は安産型のお尻がですね……
:いやここはうなじでしょ、体育後の汗がにじむうなじには楽園がある
:何でここに脇がないんですかねぇ……?
思ったより他人の部位に興味がある生徒がいるのね……どれも同じくらいだけど、ここはお尻でいいかな。
お尻を選択すると、今度はシルエットだけの人影が三人映りこむ。 その傍には銀行でよく見かけるロボットが佇んでおり、こちらを見てにっこりとほほ笑んだ。
【ようこそ天海ラン様。 早速ですがこちらに三人の生徒がいるでしょう?】
ギリギリだなぁ!? 本家に怒られても知らないぞ!
【正義を掲げる副委員長、羽河ハスエ】
【生徒会の長、桐富士ナズサ】
【突拍子もない行動をする問題児、浦環ハナ】
【さあ、この中から一人を……】
絶妙に元になった生徒が分かるネーミングに冷や汗が流れる。 これ本人に許可取ってないけどいいのかな? いやあくまでもゲームだからって言い張るつもりだろう。 これ後で私が謝りに行く羽目にならないかな……
【選んでも特に何もありませんが、多分貴方がこの先出会うことになるかもしれないことを覚えておいてください】
:草
:じゃあなんで最初に三人選ばせようとしたんだよ
:こーれ訴訟したら勝てそう
紅茶大好き:見覚えのある方ばかりですね……
……コメント欄に物凄く見覚えのある人がいたような気がするけど、もう気にしないぞ。
と、私がそんな事を考えているうちに画面は次々変わっていき……どうやらゲーム本編が開始したみたいだった。 見覚えのあるトリニティの校舎が映し出され、顔の描写が少ない生徒の波が現れては消えていく。
【ここはトリニティ、オホホーとかデスワーとかが口癖の金一杯もってそうな生徒達が在籍しています】
:もうちょい言い方ってもんがあっただろ
:偏見が過ぎる
:パクパクですわ!!!!
:それはゲヘナだろ
ゲヘナにもいねぇよ、それは会社も違うんだ。
【まさに今初登校を終わらせた貴方のもとに、一人の生徒がやってくる】
そんなテロップと共に、画面に一人の生徒が現れる。 それは先程シルエットでも見えてたナギ……ナズサちゃんだ。
でも立ち絵には突っ込みを入れたい。 何故ティーカップを常に持ち歩いているんだろうか? 立ち絵の差分は用意してないのかな?
『ごきげんよう、貴方が噂の……』
『私は桐富士ナズサ、このトリニティで生徒会長をしております』
『宜しければ、これから学園の中を案内して差し上げましょうか?』
【ナズサはそう言って、ニッコリと微笑む】
①はい、お願いしてもいいですか?
②いや、俺は一人が好きなんだ
③案内をするのは学園じゃなくキミの体についてでもいいかな?
④無視する
:あからさまな即死トラップ
:友好的な生徒と孤高の一匹狼ルート、ですかね
:まあ難易度普通だし分かり易いな
「そうですね、ここは4番一択です」
:なんでぇ???
:何で入学して早々ヘイトを集めようとしてるんだこの人
紅茶大好き:ランさん???
全痴:一見突拍子もないように見えますが、この選択は正解の一つですね
:知ってるのか全痴
疑問一杯なコメント欄を眺めつつ、私は4番を選択して校舎内に入っていく。 丁寧に後ろの描写も入ってナズサちゃんが白目を剥いているところにこだわりを感じるな。
さて、分からない他校の生徒のために解説をしてあげよう。
「トリニティは派閥が大きく分けて三つあるんですけど、基本的に仲がいいとは言えないです」
「要は、入学早々に派閥に入ると他派閥の生徒との交流が非常に難しくなります。 無所属と言うか中立の人もいるんですけど、あんまり肩身が……うん」
:分かる、中学の友達が派閥違ってあんまり会話できないし
:あと気に入らないと陰湿な嫌がらせもある
:正実も頑張ってるんだけどね……数がね
:トリニティの嫌な面を見てしまった気がする
全痴:同じ学園なのにいがみ合うなんて虚しいですね
全痴が言ってると思うと吹き出しそうなんだけど、内容が笑えなくて今すごい顔してる自覚がある。 と言うか何でそんな名前にしたんだろうか。
入学から日々の授業と色々こなしているけど、BDでの授業ってイメージが強くて必死に教卓に書かれた内容を書き写すってのが物珍しさを感じるなぁ。 多分個々の描写は先生から聞きだしたんだろう。
授業中に選択肢が出て、正解すると科目によってパラメーターが上昇。 間違ってもわずかに上昇して、後日補修があると……内容はそこまで難しいものはないね。
:きちんと学校要素も入れてるんだね
:すまん、正直授業って言いながら銃撃戦くらいは想像してた
:ゲーム開発部の信頼度が低すぎるせいですね……
登校、授業、昼休みに放課後……基本この4つの場面でそれぞれの生徒と交流して親密度を上げて、休みの日にデートをして告白と言った流れらしい。 そして親密度が近い生徒同士がいるとブッキングイベントやら突発イベントが発生、ヒロイン同士の潰し合いが……
:あの、途中から気になってたんですけど
:言うな
:言ったら負けだぞ
:乗るなよ、戻れ
:もしかしてハーレムルート目指してます?
:言うなって言っただろ
:そもこれハーレムルートあるの?
シナリオ担当:あるよ! 初見で行くのは絶対無理だけど
:いやこの人初見でハーレムルート言ってるんですがそれは
「気になってたこと言わないでほしいんですが」
何かさっきからヒロインが休みの日のデートを巡って銃撃戦を繰り返してるんですが??? 最初は「みんないい子だなぁ」とかほんわかしてたのに途中からみんなバチバチににらみ合ってるし一部生徒は刃物ちらつかせてるんだけど?
でもハナちゃんに包丁はやけに様になるな、ヤンデレ彼女に愛されて夜も眠れなくなりそうだ。
『ちょっと、ランは私とデートに行くって約束してるんだけど』
『見苦しいですね、彼は私と前々から約束しています』
『あははっ、嘘つくの下手だね☆』
『貴女はお呼びじゃないんですよ。 一人さみしく家に籠っていればいいんじゃないですか?』
『ラン、こんな奴ら放っておいて私と遊びに行こう』
『あはは……有象無象は黙っててくださいね』
カズサちゃん似の生徒にナズサちゃん、ミカちゃん似の生徒にハスエちゃん、セイアちゃん似の生徒にヒフミちゃん似の生徒がにらみ合っている。 怖いよ君たち、そんな争いする様な子じゃないだろうに。
本格的に胃が痛くなってきた。 これ本当に怒られないよね? 嫌だよ私ゲームがきっかけでトリニティとミレニアムで戦争が始まるとか。
「あ、私が刺された」
急に場面転換したと思ったら顔の描写されていない生徒に後ろから刺されると言うバッドエンドスチルが表示される。 あんなに苦労して交流したのに最後は刺されるなんてこれ本当にギャルゲーか? ギャルゲーの皮を被った別のゲームじゃないよね?
:お疲れ様
:痴情の縺れエンド
:人たらしの末路
:全く参考にならなかったけど面白そうと言うものは伝わったからゲーム買うわ
:でも主人公だけフルボイスでヒロインが声無は痛いマイナスポイントですねぇ
「そこは私も思う所があるけど、逆にこの内容で声当ててくれると思う?」
:まあ言いたいことは分かる
:本人じゃなければセーフだから……(震え)
お姫様☆:多分お願いしてくれたら協力してくれるんじゃないかな?
紅茶大好き:そうですね、案外受けてくれるかもしれませんよ?
ペロロ様:あはは……恥ずかしいって言うかもしれませんけど、これなら問題ないと思いますよ
キャスパリーグ:まあ、ランのお願いなら? 聞いてあげなくもないけど
「思ったより好印象なの驚きなんだけど」
いいのか、立場ある人がそんな事を言って。 でもボイス追加するんなら私も立ち会おう、モモイちゃん達がやらかさないとも限らないし。
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【ときめきアーカイブ】
貴方は今年入学の生徒。
様々な生徒、様々な学園で交流をし……貴方だけの、青春の物語を綴りましょう。
平均評価:4.2
代表的なコメント
【空崎】
最近学校で話題になっていたからプレイしてみました。
学園ごとに個性のある生徒と交流できて見聞を広めることのできるいいゲームだと思います。
私が一番気に入った部分は……何と言っても主人公がフルボイスな点ね。 彼女の男性を意識した低めの声は控えめに言って濡れたわ、毎晩寝る前に聴くのが日課になるくらいね。
特にゲヘナ編の空崎ヒメとのデート時の「キミの事がもっと知りたい、だからキミのこの先の時間を……僕にくれないか」と言われた時の興奮は今でも鮮明に思い出せる、初見時は意識が飛んで何時の間にか朝になっていたわ。 私も貴方のこの先の時間を独占したいくらいよ。
それにヒメルートの最後で見れるヒメ視点での主人公の微笑みと共に聞こえる「ヒメとこうして一緒にいられること、本当に嬉しいよ。 キミも同じ思いでいてくれたら、僕も嬉しい」と言う言葉も最高ね。 私も同じ気持ちよ、貴方と一緒にいるわ。
逆に気になった点としてはヒロインのボイスがないことね。 ボイスがあればより世界にのめりこんでゲームをプレイできる筈なのに……そこが一番大きくてもったいないと思うわ。
作成したゲーム開発部は一度でいいからゲヘナ風紀委員会の空崎ヒナさんにボイス収録のお願いをしてみてはどうかしら? 彼女は怖く見えるかもしれないけれど話をしてみれば分かってくれるはずよ、必ず収録に協力して……
(▼21行省略されています)
あの、これ普通に私の個人的な話になるんですけど
FANZAにオトギフロンティアってあるじゃないですか。 周年迎えたんで適当にガチャしたりして育成だけしたんですけど…何だあのゲーム、地雷ばっかじゃねぇか(寝室シーン)
純愛が好きなんだけど、ただの村人やら盗賊やらのお古なんて悲しい。 でも興奮しちゃう
小説の書き方、どっちがいい?
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これまでの書き方でいいよ
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新しい書き方でお願い