セミナー副会長はとにかく巻き込まれたくない   作:ピンク髪大好きニキ

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息抜きは短く書いてもいいって私が決めた
いや本当に本編以外は手抜きさせてくれ……カロリーが多いんだよ


21話「ゲームはゲームだから許されるセミナー副会長」

 

 

 

 

セミナー公式チャンネルにてかなりギリギリな線を攻めたときめきアーカイブなるギャルゲーを配信した数日後、私はセミナーで終わらない書類の山と格闘していた。

 

公開処刑されたのに誰も慰めてくれないなんて……悲しいよ……

 

 

「ラン先輩、大丈夫ですか?」

 

「だいじょばない」

 

「ラン先輩……」

 

 

私の返答に悲しそうな顔をして太腿を差し出してくるユウカちゃん。 いやそれ何? 何をしろと?

 

 

「ラン先輩太腿もイケるんですよね」

 

「実に不本意な事を言ってくれるね」

 

「いや、あの配信を見ればそうも言いたくなりますよ」

 

「うぐ……」

 

 

そう、あの後も私はゲームをプレイし続けた。 トリニティだけじゃなくゲヘナやミレニアム、それに生徒数が少ない学園等々……後半はもう自棄だった。 どこ行っても痴情の縺れで刺されるんだもん。

 

何やったら嫌われるんだって思いながら太腿を舐めまわしたりうなじに顔を押し付けて深呼吸したりもした、でも何故か好感度は上がっていく。 おかしいでしょ?

 

 

「ほら、いいから休憩ですよ。 膝枕してあげますから」

 

「ユウカちゃん……」

 

「ダメですよ、ユウカちゃん」

 

「……? ノア?」

 

 

私とユウカちゃんがそんな会話をしているところに、自分の仕事が一段落したらしいノアちゃんがやってくる。 その顔は真剣そのものであり一体何があったのかとユウカちゃんと二人で身構えていると……

 

 

「────────ランさんは私のおへそを舐めまわしたいんです。 いくらユウカちゃんでもこれは譲れませんよ」

 

 

それはノアちゃんじゃなくミレニアム所属の牛尾ノワちゃんの話しだね、キミじゃないね。

 

それにその選択肢はハーレムルートを逃れるために選択したやつだね。 アレで好感度上がったのは多分怒っていいことだと思うよノアちゃん。

 

 

「ノア……現実を見なさい。 ラン先輩がそんなことするわけないでしょう」

 

「ユウカちゃんは何もわかっていません、人は誰しも変態的嗜好を持ち合わせているんです」

 

「それ遠回しに私が変態って言ってる?」

 

「変態的嗜好って……ならノアは何かあるの?」

 

「私はランさんに頼みごとをされた時昂りを感じます」

 

 

聞きたくなかったよ、後輩の変態的嗜好なんて。 しかも割と日常的に見る場面じゃないか。 私これからノアちゃんに頼み事するたびに「でもこの子こうして頼み事する度に興奮してるんだよな……」なんて思わないといけないの? どんな苦行だよ。

 

ほら見なよ、ユウカちゃんもドン引きしてるよ。 これまで仲良くやってた親友の見たくない面を見て友達付き合い考え直さないといけないのではみたいな顔してるから。

 

 

「そ、そう……そうなのね」

 

「そう言うユウカちゃんの嗜好は知ってますよ。 ロリコンですよね」

 

「言い方ってものがあるでしょ!? 小さい子が頑張ってる姿を見るのは嫌いじゃないけども」

 

「それは世間的にロリコンって言うんですよ」

 

「ユウカちゃん……」

 

「な、何ですかラン先輩」

 

「私小さくはないけど……」

 

「知ってますよそんなことくらい!! ラン先輩まで私の事なんだと思ってるんですか!!」

 

 

でもアリスちゃんを見る時のユウカちゃんって妙にジトっとした目で見てるよね? まるで……そう、値踏みするみたいな目で見てる。 アレをミレニアムじゃない場所でするともれなくヴァルキューレがやってくると思うんだけど。

 

やめよう、この話は不毛すぎる。 みんなダメージばかり受けて何の得もないよ。

 

 

「ユウカちゃん」

 

「どうしました、ラン先輩」

 

「太腿貸して……仮眠するから」

 

「ふふ、どうぞ。 30分経ったら起こしてあげますから」

 

「ありがとう……」

 

「ッ!!! ユウカちゃん! ランさんもです! 何で私の臍に魅力を感じてくれないんですか!!?」

 

「ごめんね、私その言葉にどう反応したらいいか分からないよ」

 

「疲れてるんですよ、みんな。 だって徹夜ですよ徹夜」

 

 

そうだった、みんな徹夜してるんだった。 よく見たらユウカちゃんもノアちゃんも目の下に隈があるね。 コユキちゃんは先日から遊びに行くって言っていないし、リオちゃんは頼むだけ無駄だし。

 

うん、ここは素直に寝て思考をリセットした方がいい。 そうじゃないと書類で致命的なミスをしてしまうかもしれないしね。

 

 

 

~~~~~

 

 

 

「うぉ……ふっと……」

 

「んがっ……だれがふとももがふといって……」

 

 

圧倒的重量感を感じて目を覚ましたら、目の前にはユウカちゃんの顔面がどアップで映し出されていた。 え、なにこれガチ恋距離って奴かな?

 

徹夜で疲労満載なはずなのに顔がいい……嫉妬しそう……!

 

 

「おはようございますランさん。 早速ですが臍は如何ですか?

 

「おはようノアちゃん。 臍はいいから寝て、割と本気で」

 

「ふっ……」

 

 

声がかかった方に視線を向けたら、寝る前より隈が酷くなったノアちゃんが一心不乱に書類を捌いていた。 頼むから寝てくれ、変に寝てないときのテンションって思い返したとき凄いダメージを食らうんだ。 ソースは私ね。

 

尚も捌き続けるノアちゃんの後頭部に手刀をかまして気絶させる。 妙に満足げなノアちゃんをソファーまで運びつつ、私は背中を伸ばして凝り固まった体をほぐしていく。 緊急性のある書類は粗方終わらせたから……今日は一日オフでもいいかもしれない。

 

まだ寝続けるユウカちゃんの傍にその旨を記したメモを置きつつ、私は身だしなみを整えてセミナーを後にした。 家に帰ってシャワーを浴びたら久しぶりにヒナちゃん達の様子を見に行こうかな……

 

 

 

 

 

 

────────と、思っていたのが数時間前の話。 今どうしているかと言うと……

 

 

「ラン」

 

「何かな、ヒナちゃん」

 

「今日は囁いてくれないのかしら」

 

「……何の事かな?」

 

「僕の可愛いヒナって言ってくれないのかしら」

 

「それはゲームの話だね? ヒナちゃんも大概寝てないね???」

 

 

風紀委員会へと向かったら早々に言われた言葉に、私は目頭を押さえることしか出来なかった。 もしかしなくてもβ版をプレイしたな?

 

 

「アコちゃん」

 

「何も言わないで下さい、考えてる通りですよ」

 

「仮にも風紀委員長がゲームと現実の区別が出来なくなるくらいのめりこむなんて……」

 

(でもそれって大体ランさんに原因があるのでは)

 

「何か言ったアコちゃん」

 

「何でもないですよ」

 

 

二人して溜息を吐いていると、ギュルンッ!!!! と言う擬音が似合うくらいの勢いでヒナちゃんがこちらを向く。 その勢いに思わずアコちゃんと二人で引いていると……

 

 

「他の女に目移りしないで!! ちゃんと私だけを見てよ!!」

 

「典型的な束縛系彼女みたいなこと言わないでよヒナちゃん」

 

「もう収拾がつかないので外回りしてきてください、今ならランさんがついてきてくれますよ」

 

「ラン、すぐ行くわよ」

 

「アコちゃん私を勝手に売らないで?」

 

 

あのさ、対応するのが面倒だからって私に全部丸投げはいけないと思うんだ。 だから責任を取ってみんなで書類をだね……

 

待って、いや本当に待ってヒナちゃん。 そんなに腕にしがみつかなくても私は逃げないからね? だからその手を離そうね?

 

え? 繋いだ手だけは離さない? それはひびみくだね、全く関係ないね。

 

 

「ラン、次はあそこよ」

 

「ヒナちゃん」

 

「今はヒナちゃんなんて呼ばないで。 ヒナって呼び捨てにして」

 

「ヒナ」

 

「もっと低い声で」

 

「……ヒナ」

 

「良いわ、寝不足の頭が今は心地いいわ」

 

「そこは寝ようよ」

 

 

徹夜何日目か分からないけど、ヒナちゃんの体が心配すぎる。 これゲームやってて徹夜してるわけじゃないよね? 書類作業で徹夜してるんだよね?

 

外回りと称しつつやっていることはデートに近しい。 屋台の鯛焼きを食べたり店に入ってケーキを食べたり、何か普通に楽しんでた。 全然外回りじゃないけどヒナちゃんの息抜きになるから良いか……

 

 

「ラン、次はあそこに行きたいわ」

 

「うn……ああ、分かったよヒナ。 お嬢様の仰せのままに」

 

「ふふ、ふふふふふ……」

 

 

ごめんやっぱ全然良くないわ。 私が公開羞恥プレイの真っ只中で恥ずか死ぬ。 誰でもいいからこの状況から救ってほしい。 切にそう思う。

 

そんな事を考えていたからか、その直後にこの状況を一変させる出来事が起きた、いや起きてしまった。

 

 

「お兄様────────いえ、ランさん!」

 

「ッ!? ナギサちゃんが……立ってる……!?」

 

「驚くところがそこって一体どういうことなのですか?」

 

 

聞き覚えのある声に思わず振り返ると、そこにはティーカップも椅子もないナギサちゃんが息を切らしながら走ってやって来た。

 

その声でお兄様はいけないと思うんだ私。 ジャンルが変わっちゃうんだよね。

 

 

「ナギサちゃんと街中で会うなんて珍しいね、何かあったの?」

 

「ランさんを監s……偶然見かけた生徒から話を聞きまして。 私も今日予定がないのでランさんと街ブラなるものをしてみようかなと」

 

「今監視って言わなかった?」

 

「気のせいですよ」

 

 

私って他校に監視されてる立場なの? 知りたくなかった事実なんだけど……

 

 

「ラン」

 

「何かな? このくだり今日何回やったかな」

 

「その雌は誰なの」

 

「いやナギサちゃん知ってるでしょ? トリニティ関連で顔見せしてるでしょうに」

 

「私はこんな女知らないわ」

 

「ヒナちゃん?」

 

「ランさん」

 

「うん、何かなナギサちゃん」

 

「その貧相な方は一体どなたですか?」

 

「この二人正気か????」

 

 

仮にもゲヘナとトリニティの上から数えたほうが早いくらいな立場の人間が言っていい言葉じゃないでしょ? 戦争する気か?

 

 

「尻に脂肪が集まったような女は言うことも太いのね、納得したわ」

 

「体が貧相だと器量も狭くなるのですね、そうならないように私も気を付けなければなりません」

 

「待って、二人とも止まって」

 

「どきなさい、ランの隣は私のものよ」

 

「そう言うヒナさんこそ、お兄様の隣は義妹である私の特等席です」

 

「ゲームを引き摺っていざこざを起こさないでほしいなぁ!!?」

 

 

分かった、ナギサちゃんもときめきアーカイブの呪縛から抜け出せていないな??? 頼むからゲームと現実の区別をキチンと付けてくれ、さもないと私の胃が死ぬ。

 

尚もにらみ合う二人にどうしたものかと頭を抱える私。 でもこういう時に限って厄介事と言うのはやってくるらしい。 また新たな足音が近づいてくると思ったら……それは来てしまった。

 

 

「ランちゃん」

 

「……ホシノちゃん。 奇遇だねこんな場所で、何かあったのかな?」

 

 

もうなんかこの後のオチが読めた気がする、今日の私は勘が冴えてるらしい。

 

 

「────────そこの虫二人、邪魔だよね」

 

「ああもうそんな事だろうと思ったよ」

 

「聞き捨てなりませんね、貴方方こそお兄様の邪魔になるのでは?」

 

「淫乱ピンクは黙ってて頂戴、貴女のようなのがいるとランの迷惑になるのよ」

 

「それを決めるのはランちゃんでしょ? それともランちゃんの気持ちを無視するつもり?」

 

「ランの事は私がよく知ってるから問題ないわ」

 

「はは、面白い冗談だね。 付き合いは私が一番長いんだよ」

 

「出会った時間だけでマウントを取るだなんて惨めですね。 こういうのは時間ではなく密度なのですよ」

 

「なら私が一番濃いわ」

 

「ご冗談を、私の方が濃いですよ」

 

 

街中でバチバチににらみ合わないでほしい。 周囲の視線が痛い、何で私悪くないのに「女の子三人を侍らせて……」みたいな目を向けられないといけないんだろうか?

 

ときめきアーカイブ、もしや厄ゲーだな?

 

 

「あのさ、みんな」

 

「何かしら、ラン?」

 

「どうかしましたかお兄様」

 

「ランちゃん、どうしたの?」

 

「とりあえず私の家に行こう? 私徹夜明けだからベッドでぐっすり寝たいかも」

 

「すぐ行きましょうか」

 

「そうね、私が誠心誠意お世話してあげるわ」

 

「ご飯は任せて、腕によりをかけて作ってあげるよ」

 

 

何でこんな時だけ息ぴったりなんだよ、それをもう少し前に出してくれないかな?

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

「……と、言うことが先日ありまして」

 

 

:えぇ……(困惑)

:まあ妥当

:愛されてるんっすね(震え)

:愛かこれ? 歪んでない?

 

 

「ときめきアーカイブ、これ本当にリリースして良いモノなんですかね」

 

 

:今更リリースしないは問題がありそう

:β版やったけど、ゲームとしては面白かったゾ

:面白いんだよ、一部の生徒が暴走してるだけで

 

 

その暴走が怖いんだよなぁ……暫くナギサちゃんは私の事をお兄様としか呼ばないわホシノちゃんは尽くしてくれる系彼女みたいなムーブするしヒナちゃんにはお嬢様呼びしないと離れない体になってしまった。

 

それだけじゃない、他の生徒だって何かしらのムーブかまして私のキャパは限界だよ。 ユウカちゃんですら最近「ラン先輩、幼児化ってどう思います?」なんて質問してくるんだよ? 身の危険を感じたねあの時は。

 

 

「因みになんですが、皆さんはどの生徒を攻略したんですか?」

 

 

:そらもう、ハスエちゃんよ

:私はサクラちゃんを

:は? マリちゃん一択なんだが???

:待て待て待て、お前らなんも分かっちゃいない。 ここは黙ってホシミちゃんだろ

 

 

「思ったよりばらけるんですね、何か意外です」

 

 

生徒ごとに趣味嗜好が分かれるのは分かるけど、ここまでばらけるとは思ってもみなかった。 と言うかやってる人多いな。

 

 

「まあ今出た皆さんの意見は参考にします。 何でか何時の間にか公式配信者みたいな立ち位置になってしまったので、正式リリースまではこのチャンネルで進捗情報を伝えていくことになると思います」

 

 

:助かる

:とんでもねぇ、待ってたんだ

:新規コンテンツ期待してる

:ところでボイスの方は結局どうなったの?

 

 

「あー、ボイスの方はですね……思った以上に向こうが好印象で乗り気と言いますか」

 

 

そう、ヒナちゃんやナギサちゃんその他複数の生徒がボイス収録に乗り気でゲーム開発部は大忙しな状態だ。 台本の修正なども入っているらしく、今配信されているβ版から一新したものになるとは聞かされている。

 

それに伴って私の台本も変わってしまったのだが……個人個人のシナリオに矢鱈注文が入っているのはどういうことなのだろうか? やれ「ここは恋人に囁くように甘く」とか「後ろから抱きしめているような距離で」とか……私に何を求めているんだ。

 

 

「個別のリクエストが多かったので、私のセリフも大幅に変わると思います」

 

 

:知 っ て た

:当然の結果です

:約束された運命

:愛されてますね()

 

 

「何となく嬉しくないですが、受け取るしかないみたいです」

 

 

大きなため息を吐いてしまうが大目に見てほしい。 好意的に見てくれること自体は嬉しいのだ、問題はその好意的な目が私の思ってもいない方向に突っ走ってるだけでね。

 

 

「次回は修正されたバージョンの実況をすることになると思います、次も是非見てくれると嬉しいです」

 

 

次はゲヘナのルート開拓をしていく予定だ。 シナリオも色々と変わるらしいし、依然やったよりは楽しめる……はずだ、うん。

 




次の更新は何か思った以上にリアクション多かったんで別ルート書くと思います
ゲヘナ編のボイス変更あまあまバージョンがリリースされると思います

小説の書き方、どっちがいい?

  • これまでの書き方でいいよ
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