セミナー副会長はとにかく巻き込まれたくない   作:ピンク髪大好きニキ

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(オフの日なんて)ねぇよ


23話「オフを親友と楽しみたいセミナー副会長」

 

 

 

 

セミナーにて書類作業をこなしていた私にその連絡が来たときは、珍しいこともあったものだと内心驚いていた。

 

それほどまでに、ヒマリちゃんからこういう連絡が来るのはないからである。 基本業務連絡でも何でもないのに長々としたお気持ちメールみたいなものばかり送ってくるからね、既読無視も少なくない。

 

 

『件名:私の可愛い可愛いランちゃんへ

 

今日も書類作業をしているであろうランちゃんへ、このミレニアムが誇る才色兼備で雪山の透き通った天然水のように清らかな心を持つ超天才病弱系美少女の明星ヒマリからちょっとしたお誘いの連絡を致しますね。

 

私今日は特異現象捜査部の活動もない完全オフな一日と言う世間の社畜からすれば喉から手が出るほど欲しいであろうものを勝ち取ったわけでして……そんな貴重なオフの休日を他でもないランちゃんと過ごしたいと思っております。

 

ランちゃんは今日のご予定は? あぁ言わなくても分かります、貴女の事ですからまた今日もセミナー内に山のように積もった書類の山と格闘しているのでしょう? 全く、ランちゃん達に任せっきりでどこで何をしているのか分からないあの下水道のような女は困ったものですね。

 

ですがそんな事は百も承知、既に直近で提出期限が迫っている書類自体は捌き終わっていることも把握しております。 ですからランちゃんはオフである私のエスコートをすると言う名誉ある役職を授けましょう。 ランちゃんの他にはエイミしかやったことのない非常に名誉あるものですよ?

 

書類作業をすると言うランちゃんの決意は実に称賛に値するものですが、根を詰めすぎるとまた徹夜でおかしな行動をしてしまったり死んだように寝落ちしてしまうと言った心臓に悪い出来事が起こってしまうかもしれません。 私はそんなランちゃんの姿を見たくないのです、私の心配する気持ちをどうかご理解していただけることを願っておりますよ?

 

ここまで長々と語ってしまいましたがランちゃんへのお願いは一つ。

 

 

人混みが怖いから一緒に来て下さい

 

 

これだよ、どう考えたって内容の9割近くがどうでもいい内容なのにこうやって長々と文章を書いて送ってくるんだもの。 毎回これだと私だって読む気失せるよ。

 

ちょっと頭にくるけど、書いてある内容も全てが間違いと言う訳でもない。 実際期限の迫った書類の類は粗方処理し終わっているわけだし、私も息抜きにお出かけすると言うのも悪くない。 ならここはお誘いに乗った方がいいのかも……?

 

とか思っていたら端末がまた振動してメールの着信を告げる。 お次は誰かと思いメールを開いてみると、それはリオちゃんからだった。

 

 

『件名:ランへ

 

行くわよ』

 

 

逆にキミは内容が少なすぎて伝えたいことが分からないんだってば。 付き合いが長いからこれでも伝わるでしょみたいな嬉しくない信頼感は止めてほしい。 私だって必要な情報が無ければ理解できないんだ。

 

でもこのタイミングで送って来たということはヒマリちゃんが私を誘ったことだって把握しているということに違いない。 なら二人と一緒にお出かけしようかな?

 

 

「ユウカちゃん、今日はもうこれで終わって休みにしようか」

 

「良いんですか? 書類はまだ沢山ありますけど」

 

「期限が迫った書類はそんなにないし、徹夜覚悟でやる程でもないからね。 いざとなったらリオちゃんを引き摺ってくるから」

 

「……分かりました、なら今日はこれで終わりましょうか」

 

 

おや、今日はやけに聞き分けがいいな? 何時もなら「こんな早く終わって明日以降の仕事量が大変なことになりますよ!?」って怒ってくると思ったんだけども。

 

 

「やけに大人しいな、みたいな顔をしてますけど。 私だって仕事が友達の社畜みたいな人間じゃないんですからね」

 

「それは知ってるけども」

 

「たまには良いんですよ、最近は書類に追われて徹夜だって繰り返してたんですから。 いい機会ですし私もノアと一緒にお出かけでもしますよ」

 

「そっか、分かったよ。 私もリオちゃんとヒマリちゃんと三人で遊びに行くね」

 

「了解です。 あ、でもリオ会長にあったら顔を出して書類作業を手伝えって伝言もよろしくお願いしますね」

 

「それで手伝ってくれればいいんだけど」

 

「来なかったときはラン先輩に徹夜の最長時間を更新させるって脅しますので」

 

 

いやそれ私が大変な目に遭うだけじゃん、そこはユウカちゃんが心労で倒れるとかそう言うことを言うんじゃないのかな?

 

解せない気持ちを誤魔化すようにセミナーから立ち去る。 制服のままでもいいけど折角だから着替えて遊びに行きたい。 二人にメールを送って何処かで待ち合わせすることにしようかな。

 

 

 

────────────────

 

 

 

「待たせたわね、ラン」

 

「ふふ、こんにちはランちゃん。 今日は私のお誘いに応えてくれてありがとうございます」

 

「ヒマリの誘いで来た訳じゃないわ、私の誘いよ」

 

「いえ、誰も貴女の誘いで来る訳がないです。 私の、わ・た・し・の! 誘いで来たんです」

 

「自惚れも大概にしなさい、見苦しいわよ」

 

「はっ! 図星を突かれて必死にプルプルしていますよ? 本当に見苦しいのは一体どちら何でしょうかね?」

 

「あの、会って早々言い争いするなら私帰って寝るけど」

 

「言い争いなんてしてないわ、早速行きましょう」

 

「見間違えではありませんか? ほらエスコートをよろしくお願いいたしますね?」

 

(こいつら……)

 

 

今の今まで私の前で醜い言い争いをしていたくせによくもこうぬけぬけと……恥ってものを知らないのかな?

 

けどそれを今私が言ったところで何も変わらないだろう、この二人はそう言うものだと自分の中で結論付けるしかない。 言って変わるならとっくの昔に変わってるんだ。

 

 

「それで、遊びに行くとは言ったけど何処に行くのか決めてるの?」

 

「私は決めていないわ、久し振りにこの三人で行くのだから……ウィンドウショッピングと言うのも、悪くないのではないかしら」

 

「非常に不本意ではありますが私も同意見です。 折角集まれたからと無理に目的地を決めるより三人で気の向いた方向に歩くのもまたいいものだと思いますよ」

 

「こう言う時だけ息ぴったりだね。 でも分かった、それじゃあ適当にぶらつきながら色々と見て回ろうか」

 

 

目的も決まったことで私達は歩き始める。 ヒマリちゃんは車椅子だから私が後ろから押してあげることにしよう、自動で動くけどこういう時くらいは押してあげたいしね。

 

とか思ってたら急にリオちゃんが車椅子の後ろに立って押し始めた。 あら珍しい、何も言わずにヒマリちゃんの手伝いをするなんて。

 

 

「ランは書類作業で疲れているでしょう? ヒマリは私が押すわ」

 

「おや、珍しいこともあるのですね。 リオが自発的にこんなことをするなんて明日は槍の雨でも降るのでしょうか?」

 

「降るわけないでしょう、この方が私にとって都合がいい……の、よっ!!!」

 

「ぶへぇっ!!!??」

 

 

そこそこの速度で動いていた状態から急にリオちゃんが立ち止まった為か、ヒマリちゃんはそのままの勢いで前方へと飛ばされていく。 人間ってあんな風に飛ぶんだね、知らなかった訳じゃないけど滅多に見ることなんてないだろうから新鮮だ。

 

地面に顔面から突っ込んだ挙句そのまま前方に三回転もして、アレ絶対痛いだろうな。 お茶目を通り越して悪意全開な行為だ、リオちゃんそれは如何なものだと思うよ。

 

 

「こ…………」

 

「あら、どうかしたのかしらヒマリ。 地べたに這い蹲って滑稽な姿ね」

 

「殺すぞ……????」

 

「ごめんなさいね、手が滑ったわ」

 

「そうですか、ええそうですか良いでしょう貴女のそのしょうもないいたずらには私の広く広大で底の深い堪忍袋の緒が切れると言うものです。 今すぐそこに座りなさいこれからキヴォトス中を引き摺り回してその醜態を晒上げて差し上げますから」

 

「ごめんなさいね、私は貴女と違って地面に座るなんてはしたないことは出来ないのよ」

 

「おまっ……このクソ売女……ッ!!!」

 

「二人ともステイ、そろそろ止まらないと殴るよ」

 

「はい」

 

「ランちゃん、私にやられたままでいろと言うのですか……?」

 

「うーん……それも確かに。 じゃあ私が代わりに殴るからそれで勘弁して」

 

「え、ちょっと待っピギュ」

 

 

流石にヒマリちゃんが可哀想なのでリオちゃんの顔面に一発お見舞いしておく。 リオちゃんも地面と平行に吹っ飛んでいき、近くにあった木に突き刺さってようやく止まった。

 

うーん、ナイスショット。 ヒマリちゃんも満足そうに何度も頷いているしこれでお相子でいいでしょ。

 

 

「ラン……」

 

「何かな、リオちゃん」

 

「前が見えないわ」

 

「どう考えたって自業自得でしょ? 私ついさっき言ったよね? 言い争いするなら帰るって。 もしかして言い争いじゃなくて直接事に及んだからノーカンとか言わないよね?」

 

「……そ」

 

「そ?」

 

「そんにゃことにゃいわよ?」

 

「かみっかみじゃん、動揺するくらいなら黙秘を貫いてよ」

 

 

全くもって悲しい。 私ゃこんな事のために休日にしたんじゃない。 大きく溜息を吐きつつヒマリちゃんを車椅子に座らせる。 次こそは私が車椅子を押して街ブラをするんだよ。

 

ミレニアム自治区を抜けてD.U地区へと入る。 平日の昼間なのに人の数は多い、そんな人混みをかき分けながら私達三人はショーウィンドウに並べられたバッグや洋服を見つめる。 季節の変わり目な為か流行りの種類も変わっているし品揃えも豊富になっている。

 

 

「最近全然見てなかったけど、結構種類が増えたんだね」

 

「ランは服どころか着飾ることに無頓着すぎるわ、前に見た洋服……私が選んであげたものじゃない、しかも年単位も前に」

 

「とか言ってる貴女も、基本スーツで着飾ることに無頓着では?」

 

「それを貴女に言われたくないわね、貴女だってその服しか殆ど見たことないわよ」

 

「私だって着飾っています、貴方が見ていないだけでは?」

 

「それは悪かったわね、微塵も興味がないから気にしたことなかったわ」

 

「はいはいそこまで、ウィンドウショッピングと言ってたけど丁度いいからここで服でも買っていく?」

 

「別に構いませんが、ここで着ていくんですか?」

 

 

うん、その方が休日を楽しんでる感じがして良いんじゃないかな? と思って二人にも問いかけてみると「成る程……」と納得の表情。 中に入って店員の案内も受けつつ、私達は思い思いの洋服を手に取って吟味し始めた。

 

 

「ラン、貴女は青系統で統一したほうがいいわ。 暖かい色より冷たい感じの色の方が貴女を際立たせるわ」

 

「その意見には同意ですが、その上に合わせるなら此方の方が良いでしょう。 しっかり着るより羽織るタイプの方が似合ってます」

 

「……一理あるわね。 なら靴はこれかしら」

 

「ふむ、良いセンスです。 ワンポイントとしてこのネックレスはどうでしょう」

 

「デザインは及第点、と言ったところかしら。 品揃え的にこれが一番マシなのでしょうね」

 

 

私関連の時にだけ息ぴったりなのは喜ばしい。 それをもっと日常的に見せてほしい所なんだけど、このセリフを何度言っただろうか? 何度も言ってる時点で改善できていないことはお察し、である。

 

私は二人の服選びを眺めつつ、二人に似合うような服を見繕っていた。 リオちゃんは何時もスーツ姿だから正反対の明るい色にしたいな。 白いワンピースで清楚さをアピールしたい、清楚かと言われれば……うん。

 

ヒマリちゃんは……何だろう、個人的にはグレーのダボっとしたパーカーとか着て欲しいかも? 寒いのが苦手だからTシャツ系をお勧めできないのが悲しい所かな。

 

アレでもないコレでもないと試行錯誤を続けつつ30分、漸くお眼鏡にかなったコーデが完成したので二人に持って行く。 二人の方も私に着せたい服を見繕ったみたいなのでそのまま三人で更衣室へ行って着替える。

 

 

「……馬子にも衣装、ね」

 

「当然です、他でもないランちゃんが選んでくれた服ですよ? そういう貴女の方も着飾ればそれなりに見てくれが良くなりますね」

 

「当たり前でしょう、ランのセンスには何ら心配していないもの」

 

「それに関しては同意ですね、ランちゃん自身が全く私服に無頓着と言うのが悲しい所ですが」

 

「悪かったね、無頓着で。 でも着飾るより美味しいものを食べたいから」

 

「食い気が勝ると言うのは、何と言うか」

 

「ストレスが溜まっている証拠ですよ。 貴女が手伝いをすれば解決する話ですよ?」

 

 

各々言いたいことを言いつつ会計を済ませる。 着替え終わった姿でまた街に繰り出せば、先程よりも新鮮な気持ちで歩くことが出来た。 うん、歩く足取りが軽いね。

 

 

「この後はどうする?」

 

「その言葉が来ることは予想済みよ。 ランチに最適な店のピックアップは済ませているわ」

 

「和食とフレンチなら候補がありますね、ここから近い場所に二件ありますよ」

 

「二人はどっちが食べたいとかある?」

 

「私は和食ね、おすすめのサバの味噌煮定食が美味しい店があるわ」

 

「私はラタトゥイユも気になりますね。 昼時だと混雑するほど人気らしいですよ」

 

「む、迷うね……真っ先に行ける店はどっち?」

 

「フレンチね、この角を曲がれば数百メートル先に」

 

「なら混雑具合でどうするか決めよっか」

 

 

決まったなら急げと言わんばかりに私達は歩を早める。 歩いて数分もすれば、話をしていた店が遠目からでも確認でき、更に店の前に三組ほど待っている生徒の姿も見受けられた。

 

 

「混雑、とまではいかないけど……人はいるね」

 

「あの人数からだと……待って30分程かしら」

 

「ふむ、それくらいなら待てますが……リオ、貴女はどうします?」

 

「道すがら調べたフリカッセが気になりだしたところね。 折角だしここで決めてもいいのではないかしら」

 

「ならここに決めようか。 待ってるだけでいいのかな?」

 

「店頭に予約用の記入欄があるわ、私が名前を書いておくわよ」

 

「うん、よろしくねリオちゃん」

 

 

私の言葉に頷いたリオちゃんが店頭へと歩いていく。 今の店ってこうやって予約した人の名前を把握してるんだね、私書いたことないから分からなかったよ。

 

三組のお客を避けるように前へと進んだリオちゃん。 傍に置いてあったペンを手に取って名前を書こうとした、まさにその時だった。

 

 

 

────────ドカァァァァァァァァンッ!!!!

 

 

 

「ミ゛ッ」

 

「あっれすごいデジャヴ」

 

 

今まさに予約してお昼を食べようとしていた店が、大きな爆発音と共に木端微塵に吹き飛ぶ。 その爆発に巻き込まれたリオちゃんは、縦軸に回転しながら反対側の道路まで吹き飛んでいってしまった。

 

何だろう、多分ここはリオちゃんの安否を真っ先に確認しなければいけないんだろうけど……妙な既視感からか、はたまた厄介事がまた起こってしまったと言う諦めの感情からか、その惨状を何処か他人事のように見つめることしか出来なかった。

 

勘弁してくれ、私今はオフでまったりしたかったんだよ。 私を厄介事に巻き込まないでくれ。

 

 

「あら、随分面白い吹き飛び方をしましたねあの下水道も」

 

「ヒマリちゃん、開口一番それでいいの? 安否を気にするとかは」

 

「あの程度で倒れるならそれまでの存在だった、それだけですよ」

 

「何その魔王みたいな立ち位置からの発言は」

 

 

自分がやったわけでもないのに何故かドヤ顔でリオちゃんのことを見据えるヒマリちゃん。 そんなヒマリちゃんを連れて吹き飛んでいったリオちゃんの下へと辿り着くと、リオちゃんはプルプル震えながらも何とか立ち上がろうとしていた。

 

 

「ふ、ふっ……生憎と、この程度で倒れるような軟な体じゃないわ」

 

「傷は浅そうですね、残念です」

 

「まあリオちゃんは(肉体は)それなりに頑丈だけど(メンタルは)豆腐より貧弱だからあんまり心配してないよ」

 

 

あ、今まさに立ち上がろうとしてたリオちゃんが倒れこんだ。 何かうわ言みたいに「貧弱……ふふ、そう私は貧弱……」って涙を流してる。

 

リオは泣いた、親友だと思っているランからの心無い一言に心が折れてしまったのだ。

 

 

「ランちゃん……貴女、良い性格してますね」

 

「? まあ私は他人に優しくあれと常日頃から思ってるから」

 

「先程のセリフは普通そんな性格の人が吐かない言葉なんですよ」

 

 

とか言ってたら爆心地から便利屋68が出て来たね、殺します。

 




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何時もなら土曜も更新するんですけど、今回は土日どっちも休みます

月曜からデカグラマトン編or面倒ならエデン条約編に突入すると思うので、そのためにストーリー見直す時間をくれ……

小説の書き方、どっちがいい?

  • これまでの書き方でいいよ
  • 新しい書き方でお願い
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