セミナー副会長はとにかく巻き込まれたくない   作:ピンク髪大好きニキ

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エデン条約編書くって言っておいて天啓を得たせいでまだまだ閑話書いてる、不思議


25話「偉い奴の暴走は洒落にならないセミナー副会長」

 

 

 

 

「────────と、言う訳でモモイ達には面倒を見てほしいのよ」

 

 

セミナーで巻き起こった悲劇から数時間後。 ユウカの姿はゲーム開発部の部室にあった。 言うまでもなく、小さくなったランも一緒である。

 

ミドリとユズは不安そうな顔をしているが、反対にモモイとアリスは目をキラキラさせて楽しみにしている様子を隠せていない。 本当に大丈夫だろうか? 今更ながらここに連れてきてしまったことをユウカは後悔し始めるが、時すでに遅し。

 

 

「何その面白そうなこと! ゲームのネタにピッタリじゃない?」

 

「アリス知ってます! これは少年探偵団の出番です! つまりアリス達が少年探偵団になるわけですね!」

 

「違うと思うんだけど……でも、本当に私達で良いんですか?」

 

「今更だけど、連れてきたことを後悔してるわ。 不安の方が大きいわね」

 

「えー!? 私達への信用無さすぎじゃない?」

 

「これまでの行いを振り返って何処に信用があるのか聞きたいわね」

 

 

「私不機嫌です」と言った様子を隠さないモモイにユウカは呆れてしまうが、頼むと決めたのは自分自身であるため何も言わない。 言葉の代わりにランをユズに預け、懐から財布を取り出した。

 

 

「基本的に部室で過ごしてもらいたいけど……缶詰にしてラン先輩の事を悲しませてもね。 これ、お小遣い渡すから外にも連れ出してあげて」

 

「おぉ、あの冷酷な算術使いにも人の心が……」

 

「何馬鹿なことを言ってるのよ、お小遣いくらい渡すわよ。 あ、でも貴女達だけで無駄遣いは止めてね」

 

「それくらいは分かってるってば! ちゃんとラン先輩に美味しいモノ食べさせてあげるから!」

 

「お願いね……私はセミナーの方に戻るから、何かあったら連絡して頂戴」

 

 

それだけ伝えると、ユウカはゲーム開発部を後にする。 残された面々は小さくなったランを見つめ、これからどうしようかと思案し始める。

 

しかしアリスだけはその輪に参加することなく、きょとんとした顔のランを正面から見つめていた。

 

 

「ラン先輩はアリス達の事を覚えていないと聞きました。 なので改めて自己紹介をします!」

 

「アリスは天童アリスです! そしてこっちがモモイとミドリとユズです!」

 

「わ、わたしのなまえはあまみらんです」

 

「はい! ラン先輩よろしくお願いします!」

 

 

流石コミュ力つよつよ勢と言うべきか、堂々とした自己紹介にランの警戒心も薄れてくる。 そのままの流れでゲームをすることになったのだが……

 

 

「やった! また1位だ!」

 

「ぬぐ……ラン先輩、強すぎない?」

 

「一応聞くけど、接待プレイじゃないよねお姉ちゃん」

 

「私がそんな器用なこと出来ると思う?」

 

「だよね、でも一応聞いてみたよ」

 

「ラン先輩強いですね、アリスも負けてられないです!」

 

 

思いの外ゲームの腕が上だったランのプレイによってモモイ達は苦戦を強いられていた。 レースゲームだからこその和気藹々とした雰囲気だったが、恐らくすごろく系だったら場外乱闘が発生していたかもしれない。

 

一通りゲームを堪能した後、買ってきたお菓子をつまんでいたモモイが思わずと言った様子で口を開く。

 

 

「ラン先輩、ゲームも結構やったから何処かに遊びに行かない?」

 

「おそとにいくの? でもどこにいけばいいかわかんない」

 

「ミレニアム自治区で楽しめそうなところってあんまり思い浮かばないかな……」

 

「目的もなくぶらつくのもアリじゃない? 今の状態なら何を見ても新鮮だろうし」

 

「そ、それもそうかも……」

 

「なら外に行こう! あ、ラン先輩ははぐれちゃダメだから私と手を繋いでね!」

 

「うん! わかった!」

 

 

元気よく返事をしたランに気分を良くしたモモイは、しっかりと手を繋いで部室を後にする。

 

時間帯的にも人通りが多くなった自治区の中をラン達は歩いていく。 初めて見る光景に目を輝かせるランに、モモイ達は微笑ましそうな目で見つめていたが……ふとこちらへ近づいてくる人影に、一体何者なのかと首を傾げる事態となっていた。

 

 

「あれ、あの人こっちに来てない?」

 

「そうだね……って、あの人」

 

「前に、ラン先輩が呼んだ助っ人の」

 

「? モモイ達が知ってる人ですか?」

 

「知ってる、と言うか知り合い? と言うか」

 

「……連絡を聞いた時は半信半疑でしたが、まさか本当に」

 

 

モモイが知り合いと言った相手────────狐坂ワカモが、モモイと手を繋いでいたランを見てそう呟く。 原因であるランはきょとんとしているが、そんなのは知らないとでもいうようにワカモは徐々にランへと近づいていき……

 

 

「おねーちゃん、だれ?」

 

「私は狐坂ワカモ、と申します。 よろしくお願い致しますね」

 

「わたしはあまみらん! よろしくねわかもおねーちゃん!」

 

「~~~~~ッ!!!!」

 

「ど、どうしたの? どこかいたいの?」

 

「痛いくらい心臓が動いていて辛いですね」

 

 

突如胸を押さえて悶えるワカモを心配してランが駆け寄るが、ワカモは何でもないように振舞いつつ微笑む。 尚面を付けているのでその微笑みがランに見えるわけでもなかったのだが。

 

 

「モモイ、と言っていましたね」

 

「ひゃい……」

 

「ランさんの事は任せました。 私も面倒を見たいところではありますが……少々野暮用がございまして」

 

「あ、うん。 それは構わないんだけど」

 

「よろしくお願いしますね。 ではランさん、私はこれで失礼しますね」

 

「わかもおねーちゃん、またね!」

 

「ふふっ……ええ、また」

 

 

本当に顔を見に来ただけだったのだろう、ワカモはそれ以上何も言うことなくその場を後にした。 ワカモは意識していなかったが、その身から滲み出る強者の圧とでもいうのだろうか? それを見に浴びて震えていたユズ達も、徐々にいつもの調子を取り戻していった。

 

 

「は、話には聞いてたけど……凄いね」

 

「本当だよね、今でも信じられないよ」

 

「こ、怖かったです……まるでモモイに軽口を言われて怒ったユウカみたいでした」

 

「その例えには突っ込みたいけど……今はいいや。 早く他の場所に行こうよ!」

 

 

モモイの一言にランも乗り気になり、更にミドリ達も「それもそうだ」と言った感じで乗っかる。 お菓子で多少は使ってしまったが、まだユウカから貰ったお小遣いは残っている。 残ったら返せなどと言った事も言われていないし、ここは派手に使って豪遊してしまっても誰も怒ることはないだろう。

 

そう考えて、モモイやランは休日を楽しみつくした。 後に全部使った事を聞いたユウカが「確かにお小遣いとして渡したけども、全部使ってしまえだなんて誰が言ったの!? もしものことが無いように多めに渡したのに、モモイが楽しむために渡した訳じゃないのよ!? 大体モモイは……」とかなり長めの説教を受けることになるのだが、これは今語るべきではない。

 

 

 

────────────────

 

 

 

「……こうして見ているうちは、可愛いんですけどね」

 

「大きくなったらああなるのかと思ったら、怖いな」

 

「ふふ、ふふふ……ッ! ラン、私の膝に座って頂戴」

 

「ひなおねーちゃんのおひざにのるの?」

 

「そうよ、ヒナ”お姉ちゃん”の膝に乗るのよ」

 

「委員長、すっかり姉属性に染まってしまって……」

 

 

日が変わりゲヘナの風紀委員会。 ヒナの変わりように死んだような目になったり頭を抱えたりする人物がチラホラ見える中、当のヒナはこれ以上ないくらいの満面の笑みでランの事を構い続けていた。

 

尚ここには万魔殿のイブキも一緒におり、ランと共に遊んでいる。 今回の事態にマコトですら「いや……まぁ、イブキも一緒に遊ばせてくれないか? 仕事はこっちで如何にかするから」と変な薬でもやったのではないかと言うくらい素直に引き下がったこともあり、風紀委員会は完全フリーになっている。

 

 

「ランちゃん! イブキとお絵かきしよう!」

 

「いいよ! なにかいてあそぶの?」

 

「うーん……好きなものを描く、とか?」

 

「すきなもの? うーんと……ヒナおねーちゃん!」

 

「アコ、式場の準備をして頂戴」

 

「すみません、良く分かりません」

 

 

AIみたいな返答をして適当に流すアコを他所に、ランとイブキは思い思いに絵を描き続ける。 ヒナはそんな光景をビデオに収めつつ、仕事も何もなくランを堪能できているこの瞬間に心からの感謝を述べていた。

 

社畜にとって休日と言う単語は最高のご褒美なのである。

 

 

「アコ、店の予約は出来てる?」

 

「そっちの方はばっちりです。 昼食のために中華の店を予約してますし、服の方もその自治区一帯も風紀委員会の方で完全に包囲しています。 流石にこの包囲でバカをやらかす生徒がいるとは思えません」

 

「念には念を、よ。 そこまでやっても美食研究会か便利屋68がバカをやる可能性だってあるのだから」

 

「否定できないのがまた何とも……」

 

「あこおねーちゃん、こわいかおしてるよ?」

 

「え? あぁいや、そんなことはないですよ」

 

「そう? でもこまったことがあったらいってね、らんがたすけてあげるから!」

 

「……養子縁組って、どうやったらできるんでしたっけ?」

 

「アコちゃん、ステイ。 そこから先は言ったらいけないと思う」

 

 

純粋無垢なランの言動にアコすらも堕ちてしまいそうになる中、未だまとも枠のイオリやチナツが必死に引き留める。

 

良くも悪くも、幼女と言うのは人の心を惑わせてしまう妙な魔力が籠っているのかもしれない。

 

 

「ラン、これからお昼を食べに行くわ」

 

「おひる? みんなでいくの?」

 

「そうよ、みんなで行くの」

 

「分かった! いぶきおねーちゃんもいっしょにいこう!」

 

「うん! イブキも一緒だよ! ランちゃんはイブキと手を繋ごうね!」

 

「じゃあ空いてる方は私が繋ぐわね」

 

「やった! こうしてるとおかーさんとおねーちゃんみたい!」

 

「アコ、養子縁組の手配は?」

 

「無いので正気に戻ってください」

 

先程自分が言っていたのにしれっと他人の時に突っ込む辺り良い性格をしているなぁ、等とイオリは内心で突っ込む。 でも口に出すことだけはしない、出したらアコだけでなくヒナまで正気を失った目で襲い掛かってくるに違いないからだ。

 

学園を出て人気の少ない自治区内を歩くヒナたち。 そんなヒナたちの後ろ姿を眺めつつ、イオリとチナツは周囲の警戒を行う。 事情を聞いている風紀委員はその光景に何も言うことなく自治区の警備を行っている中、ふとイオリは自身の傍に近づいて来たチナツに目が行った。

 

 

「チナツ、何かあった?」

 

「いえ、特に何もないのですが……」

 

「じゃあ何でこんな傍に」

 

「その、何と言いますか。 ……ああやっていると、本当に可愛いだけの女の子なんだな、と思いまして」

 

「あぁ、うん。 言いたいことは分かるかも」

 

「ですよね? ランさんと会う時って高確率で戦闘になるので恐怖心が強くて」

 

「模擬戦をしてくれる時は頼り甲斐のある良い人なんだけどね……」

 

「あんな天真爛漫な女の子が、大きくなるとあんなふうになるのかと思うと……時の流れと言うものは」

 

「それ以上は言っちゃいけないと思う」

 

「……ですね」

 

 

イオリとチナツは口を噤む。 なんて事はない、話の途中からヒナの視線がイオリ達の方へと向けられていたからである。

 

まるで「私の可愛いランの悪口言ってんのか? お? 良い度胸だなテメェら、あんま調子こいてっと潰すぞ?」と目で言っているようだ、いややっぱ違う、もうなんか口から呪詛のように漏れ出てる。

 

 

「着いたわ、ここね」

 

「おぉー、すごいおおきい!」

 

「ふふ、そうね。 今日は無理言って料理人も別から連れてきてもらったのよ」

 

「? 他の人?」

 

「────────そうだよ? いやぁ、小さくなったランも可愛いね」

 

 

昼食のために来た店の前に、一人の生徒が立っていた。 大きな耳に中華風の装い、普段であれば玄武商会で中華鍋を振るっていたであろうその少女────────朱城ルミは、小さくなってしまったランの目線に合わせるように屈みランの頭を撫で始める。

 

 

「久し……いや、この場合初めましてかな? おねーさんの名前は朱城ルミ、今日はランちゃん達のお昼を作りに来たんだよ?」

 

「るみおねーちゃんがつくるの? たのしみ!」

 

「ふふ、そんなに嬉しそうにしてくれると料理人としても鼻が高いよ」

 

「今日は本当にありがとう、ゲヘナの無茶ぶりを聞いてくれて」

 

「いやいや、困った時はお互い様ってね。 ランには日頃お世話になってるからこういう時くらい恩を返さないと、ね?」

 

「……そう言ってくれて助かるわ」

 

「じゃあ早速作ることにするよ。 ランちゃんは何が食べたい?」

 

「うーんとね……ちゃーはん!」

 

「良いよ、炒飯ね。 ヒナ委員長の方はどうする?」

 

「そうね……なら、青椒肉絲でもいいかしら?」

 

 

その後、思い思いの料理を注文しつつ店内へと入る。 映画でも見るような回転するテーブルへとみんなで座り、厨房から漂ってくる良い匂いに期待しながら料理が運ばれてくるのを心待ちにしていた。

 

 

「思えば、店にまで来てご飯を食べるなんて何時振りかしら」

 

「ここ最近は出前か食堂で軽く食べる事しかしてませんでしたね。 それもこれも万魔殿が余計な仕事を増やすから……と、言いたいところですが」

 

「今回よく万魔殿が仕事を代わってくれたよね、アコちゃん何かしたの?」

 

「何で私が何かしたかのような言い方をするんですか、でも実際何かしたのですか?」

 

「特別なことはしていないわ、でもマコトはミレニアムの会長と何か話をしていたみたいだけど」

 

 

今回の万魔殿の提案自体はヒナも知っていたのだが、肝心の話し合いの内容まではヒナですら知らない物であった。 恐らく何かしらの取引をして此方が譲歩した……恐らくはその辺りだろう、とはヒナの中で考えていたのだが。

 

まあ実際はリオが「其方が内密に行っている動き……随分と神経質な程までに隠しているのね、これは空崎ヒナに知られたくない類のものかしら?」「え、いや何の事か皆目見当も」「ならこれはゲヘナ全体に知らしめても問題ないことなのね? なら早速空崎ヒナに送ろうかしら、この不明な金銭の動きから武器の流通、それと飛行船の新造も」「あっはい、言う通りにします……ハイ」とかそんなやり取りがあったとか無かったとか。

 

それでいいのか、マコト。 もうちょい頑張って取り繕うとかできなかったのか。

 

 

「じゃい、お待たせ。 注文の料理が出来たよ」

 

「おぉー! おいしそう!」

 

「わぁ、油淋鶏だ!」

 

「うっ、この匂いだけでお腹が凄い音量でなってるんだけど……暴力的なまでの……」

 

「最近温かい料理自体食べる機会が少なかったですからね、これは反則でしょう」

 

「お代わりは沢山あるからね、お腹いっぱい食べてね」

 

「ありがとう! いただきます!」

 

 

料理が出揃ったところで、一斉に手を合わせて料理を堪能し始める。 炒飯のパラつき具合からエビチリの甘辛さ、どれをとっても絶品としか言いようがない。

 

最初は元気に美味しい美味しいと言っていたヒナたちも、徐々に無言になって料理を食べ始める。 あまりの美味しさに話すことではなく舌鼓を打つ方に集中し始めてしまっていたのである。

 

そんな光景をルミは満足そうに見つつ、まだ上手く握れないスプーンで一生懸命に炒飯を口に運ぶランを微笑ましそうに見つめていた。 ちゃっかりその光景をカメラで撮影している辺り、本当にちゃっかりしているともいえる。

 

 

「おいしかった……ごちそうさまでした!」

 

「本当に絶品だったわ……」

 

「フウカさんの料理も美味しいですけど、これはまた別のベクトルの美味しさでしたね」

 

「惜しむらくは、今後食べる時は玄武商会まで行くことになると言う点でしょうか」

 

「あはは、ここまで喜んでもらえると料理人冥利に尽きるって奴だね」

 

 

やがて出された料理どころかお代わりまで所望した挙句デザートまで堪能したヒナたち。 そんなヒナたちの賛辞にルミは満足そうに頷いていた。

 

ヒナが料理に対しての感想を評論家ばりに述べ続ける中、お腹がいっぱいになったからなのかランの頭が前後に小さく揺れ始める。 午前中沢山イブキやヒナと遊んだからか、いっぱい遊んでいっぱいご飯を食べた子供と言うのはすぐに眠気が襲ってくる生き物である。

 

よく食べ、よく遊び、よく寝る。 子供のうちにしかできない贅沢な時間の使い方だ。

 

 

「……あら? 眠くなったのかしら?」

 

「ん、う……まだ、みんなとあそぶ……」

 

「そう言ってくれるのは嬉しいわ。 でも眠いのを我慢してまで遊ぶのは体に悪いわよ?」

 

「でもぉ……」

 

「ならゲヘナに戻ってから沢山遊ぶことにして、今は帰るまで少しでも眠った方がいいのでは? ヒナ委員長、おんぶしてあげては如何でしょうか?」

 

「その手があったわね、ラン……ほら」

 

 

アコの提案に天啓を得たとばかりの表情をするヒナ。 ヒナはそのまましゃがみ込み、ランに背中に乗るよう促した。 ランは少しだけ迷いながらもその誘惑には抗えなかったようで、少し遠慮がちにヒナの背中へとおぶさった。

 

 

「じゃあ私たちは帰るわね。 今日は本当にありがとう」

 

「るみおねーちゃん、あいあと……」

 

「うんうん、こちらこそありがとうね。 ランちゃんも……また食べに来るといいよ」

 

「うん、またくるね……」

 

「……ふふ、こうしてみれば本当に自分の子供みたいに可愛いね」

 

「ごめんなさいね、ランはうちの子供なのよ」

 

「委員長、それも違うと思うけど」

 

 

ランを背中に背負ったまま店を後にするヒナ。 ルミはそんなヒナたちの背中を見送りつつ、つい今しがた撮影し終えた映像や写真を即座にキサキへと送り届けていた。

 

すると送り届けて5分もしないうちに着信音が鳴り響く。 ルミは「ランの事になればこうなんだから……」苦笑しつつ、その電話に出ることにした。

 

 

『これはまた良き物を見せてもらったのぅ』

 

「そう言ってもらえて何よりだよ。 久し振りに見たランはどうだった?」

 

『ふむ、普段と違った様子を見れて満足、と言った所かの。 そう言うルミも随分と堪能したように見えるが』

 

「はは、確かに……元気そうで良かったよ」

 

『懸念していた物は払拭できたようじゃの』

 

「どうかな、まだ何とも言えないだろうけど」

 

 

電話口から聞こえたキサキの一言に、ルミは少しだけ顔を曇らせる。

 

懸念と言うほどではない。 最後に会った時の『あの顔』が忘れられなかっただけだ。 そう、別に、懸念していると言う訳では、ない。

 

 

『まあそう焦るでない、時間は幾らでもある。 ランもまた山海経へ来るじゃろうし、その時にでもまた確かめるがよい』

 

「そうさせてもらおうかな。 と言うか、そう言うキサキの方が心配しているんじゃないの?」

 

『……そうさな、否定はせん』

 

 

思わず漏れ出た、そう表現するのが正しいキサキの声だけが、ルミの耳に嫌にこびり付いていた。

 




今回も特に言うことないんですけど、次のトリニティとかアビドス分書いたら今度こそエデン条約に行くはずです

小説の書き方、どっちがいい?

  • これまでの書き方でいいよ
  • 新しい書き方でお願い
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