セミナー副会長はとにかく巻き込まれたくない   作:ピンク髪大好きニキ

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今回特に書くことないです、強いて言えば閲覧数が安定してきてホッとしてるくらい

ある程度固定で読んでくれてる人もいるんだなぁって感じ、本当にありがたい限りです

それとすまん、今回ヒフミが著しくキャラ崩壊してるけど温かい目で見てやってほしい


29話「試験と結果と副顧問」

 

 

 

「ハナコ、これはどうやって解けばいい?」

 

「これですか? これなら教科書の……そう、これです。 この公式を当て嵌めて解くといいですよ」

 

「……成る程、分かった」

 

「あ、あのランさん。 これってどうやって解けば……」

 

「これはこの方程式を用いるね。 これを経由してここをこうすれば」

 

「あっ、解けました! ありがとうございます!」

 

「良かった、その調子でドンドン解いていこうか」

 

 

放課後の自習時間、補習授業部と私たちは教室に集まって試験勉強に取り組んでいた。 ハナコちゃんは主にアズサちゃんの勉強を、私はコハルちゃんを、そして先生はヒフミちゃんを見つつ、ヒフミちゃんと共に全体の進捗を見守っていた。

 

元よりヒフミちゃんの学力自体は問題ないからね、ただペロロ関連のイベントで試験を受けなかったのが悪いし。

 

 

「……それにしても」

 

”ヒフミ、どうかしたの?”

 

「あ、いえ……最初は不安だったんですけど、今の様子を見たら安心しちゃって。 この調子なら最初の試験で合格出来るかもしれません!」

 

「やけに最初に拘ってるように思えるけど、何かあるの?」

 

「えっと、実はですね……一次試験で不合格者が出てしまったら合宿をしてほしいとナギサ様から言われていて……」

 

「合宿? ナギサちゃんがそう言ったの?」

 

「正確にはティーパーティーから、となってますけど。 それに、もし三次試験まで落ちてしまったら……あうぅ」

 

 

何か何処かで見たような猫みたいな頭の抱え方をするヒフミちゃんに困ったように笑いかけるけど、今の会話の中に疑問に思ったことが出来てしまった。

 

「三次試験まで落ちてしまったら」……その後に、どんな言葉が続いたのだろう? いや、分かってる。 その先に続く言葉なんて、選択肢が限られてるんだから。

 

 

(……そこまでするの? ナギサちゃん)

 

 

もし予想が合っていたとしたら、ナギサちゃんらしくない冷酷さだ。 何だかんだで温情を与える彼女らしくない、そこまでするような事情があるのか……それとも

 

 

「……焦ってる? だとしたら、何に?」

 

「ランさん、何か言いましたか?」

 

「あ、ううん。 こっちの話、ミレニアム関連の事だね」

 

「そうでしたか。 ……それなら、良いのですが」

 

 

私の僅かな動揺を察知したのか、ハナコちゃんが心配そうな顔でそう問いかけて来たので平静を装って誤魔化す。 ……でも、ハナコちゃんの事だから気付いているんだろうな、私の動揺もヒフミちゃんの会話にあった不自然な点も。

 

きっとハナコちゃんも同じ結論に辿り着いているはず。 もしかしたら、私の知らない事情も知っていて私以上に先の答えも知っているかもしれない。 でもきっと、彼女は動かないだろう。

 

何とも歯痒い、けど今何か行動したところで現状が好転する可能性もまた低い。 なら変な小細工とかしないで一次試験に合格するのが一番の近道、だろう。

 

 

”皆、一旦手を止めようか。 結構長時間勉強してるから、ここで一旦休憩にしよう”

 

「あら、もうそんな時間だったんですか」

 

「つ、疲れた……」

 

「あはは、コハルちゃんもアズサちゃんも集中してましたもんね。 疲れて当然ですよ」

 

「疲れた時は甘いものに限るよ。 軽く摘まめるマカロン作って来たから、これでも食べてリラックスしようか」

 

 

そう言って持参していた鞄からマカロンの入った容器を取り出す。 私の料理の腕を知っているハナコちゃんは嬉しそうな顔になっているし、他のみんなもそれぞれ期待の眼差しをしている。 中でも一番目を輝かせているのは先生だけど。

 

……大人、なんだよね? 何で一番興味津々なんだ? あ、そう言えば前にユウカちゃんが言ってたな。 「先生の無駄遣いが酷すぎます! 何ですかゲームに課金なんて! するなとは言いませんが額をキチンと考えてくださいってあれほど……」なんて愚痴っていたし。 さては課金のし過ぎで食生活が悲惨なことになってるな?

 

 

”おぉ、美味しそう……!”

 

「……言うまでもない事かもですけど、自重してくださいね? 先生の為だけに作ってきたわけではないんですから」

 

”ワ、ワカッテルヨ?”

 

「その反応は分かってない人の反応なんですよ」

 

「ラン、食べてもいい?」

 

「先ずは手を洗ってくること、それまでに取り分けておくから」

 

「む、確かに。 不衛生なままで食べるのは作った人に申し訳がない」

 

「では早く行きましょう、ランさんの手作りを食べられないなんて拷問です」

 

「ハナコちゃんに至っては何でそんなに必死なのか理解に苦しむんだけど」

 

 

どうやら一番心待ちにしているのはハナコちゃんらしい。 いの一番に教室から出て行ってしまった……後に続くように皆も出て行ったけど、そんなに楽しみにしているのか。

 

私? 私はほら、衛生面に気を付けて使い捨ての手袋を付けてるから問題ない。 ちゃんと紙の皿に人数分分けて準備を済ませる。 数分後に戻って来た皆の為に紅茶も淹れつつ、誰が何を言うまでもなく休憩が始まった。

 

ハナコちゃんが目を輝かせながらマカロンを頬張るのをおかずに、私もマカロンを食べる。 うん、今日も良い感じの出来だね。 流石私、料理の腕は落ちてないな……最近は忙しかったこともあって疎かにしてたから不安だったけど。

 

 

「ランさん、料理も上手なんですね」

 

「趣味の一つ、かな? 美味しい物を作って食べたり食べてもらったり……美味しそうに食べてくれるのを見るのって、達成感があって気分がいいよね」

 

「ランさん」

 

「何かな、ハナコちゃん」

 

これから毎日私の為に味噌汁を作ってくれませんか?」

 

「プロポーズかな? 流石に毎日作るのは……」

 

「ランさんの為の部屋は既に用意しています」

 

「そう言う用意周到さはいらなかったかなぁ」

 

 

何を冗談を……と思ってハナコちゃんを見た私は、思わず喉の奥がヒクついた。 マジだ、目がマジになってる。 え、本気で言ってる?

 

恐らくハナコちゃんの目を見たであろうヒフミちゃんの笑顔が引き攣ってる、コハルちゃんは顔を真っ赤にしているしアズサちゃんは……平常運転だね、キミのそのマイペースさは見習いたいよ。

 

 

「ハナコちゃん、私たちは学生だからそう言うのはまだ早いと思うんだ」

 

「まだ、と言う事は可能性はゼロではないのですね?」

 

「いや、その、同性だから、ね?」

 

「性別は些細な問題ですよ。 大事なのは気持ちです」

 

「う、うーん……」

 

「……なんて、ふふっ。 冗談ですよ、毎日飲みたい気持ちは嘘ではないですけど」

 

「そ、そっか」

 

「ええ、そうなんです」

 

 

そう言って微笑むハナコちゃんだけど、どう考えたってさっきは本気で言ってたよね? 今自分が何言ってるのか理解して慌てて取り繕った感じになってるよ?

 

リオちゃんやヒマリちゃん、それにナギサちゃんやミカちゃんとかにも共通するけど……やけに好感度が高いよね。 私の何がそんなに琴線に触れたのか分からないけど、私はそんな良い女と言う訳じゃないから将来的な話は他の人を見つけた方が良いと思うな。 ……って、私は一体誰に説明しているんだろう?

 

 

(……ランさん、ランさん)

 

(どうしたの、ヒフミちゃん?)

 

 

焦ったように紅茶を飲もうとして「熱っっっっつッッ!!???」ってなってるハナコちゃんを視界の端に収めつつ、私の耳元で囁くようにして話し始めるヒフミちゃん。 一体何事かと思ってその声に耳を傾けると、ヒフミちゃんは少しだけ言いづらそうにしつつもそれを話し始めた。

 

 

(先程までの様子を見ると、ハナコちゃんって凄く勉強が出来るように思えるんですけど……)

 

(……そうだね)

 

(でしたら何故、落第なんてしたのでしょうか? あそこまで人に解説が出来るような人が落第するとは到底思えないんですけど)

 

(それは、まあ。 人には人の事情って言うものがあるのかもしれないし。 私も全て理解出来る訳じゃないからこれって言う可能性の話は出来ないかな)

 

 

「それもそうですよね」と言って一応の納得をするヒフミちゃんに、私は心の中で謝罪をする。

 

嘘だ、私はある程度の理由を知っている。 でもそれを本人に許可なく話すようなことをしたくない。 いや、話したくないと言った方が正しいのかも。 ……何かが違えば、彼女はきっとここにいなかったかもしれない。 もっと他の、それも世間的に見れば良い方向の未来があったのかもしれない。

 

けど、それも全てたられば、だ。 そうはならなかったから今ハナコちゃんはここにいる。 それが正解なのかなんて私が決めるべきことじゃないし、ハナコちゃんだって勝手に決められたくないだろう。 だから私は何も言わない、語らない。 道を決めるのはハナコちゃん自身なのだから。

 

 

「何か理由があるのなら、きっとハナコちゃんが話してくれると思う。 だから、今は待とう」

 

「そう、ですね。 確かに人の事情を詮索するのは褒められたことじゃないですもんね」

 

 

やだ、やっぱりヒフミちゃん良い子だ。 こんな子が落第間際なんて世も末だよ。

 

まあ実際はヒフミちゃんの自業自得なんだが。 ペロロに傾倒するのは個人の自由だとは思うんだけど、程度と言うかのめり込み過ぎないようにしないとと思うのはきっと私だけではないはずだ。

 

 

「さ、みんな良い感じに休憩できただろうからここからは勉強の時間だよ」

 

「ま、待ってください……まだ、まだランさんの作ったマカロンを食べ終えていないんです」

 

「結構時間あったのにまだ食べ終えてないの? 1人10個しか渡してないのに……あと何個残ってるの?」

 

「あと7個です」

 

「さっさと食えよ、勉強しろ」

 

 

何でそう後生大事に食べてるみたいな消費量なんだよ、お前に今必要なのは勉強なんだ、さっさと食って試験対策しろよ。

 

無言でハナコちゃんの口にマカロンを突っ込み続ける。 もがもが言ってるが知らん、勉強しろ。

 

 

 

────────────────

 

 

 

────────第一次特別学力試験、当日。

 

 

「とか言ってたらもう当日になってたって話、する?」

 

「ランさん、一体誰と話を……?」

 

「ああいや、独り言だよ」

 

 

私の言動に変な波動を感じたのか、ヒフミちゃんが話しかけてくる。 私はそれに誤魔化しながら答えつつ、何時の間にか来てしまった学力試験に頭を抱えてしまった。

 

だってさ、ついさっきまでマカロン食べて休憩してた気がするのにもう当日だって? 確かに毎日放課後には試験勉強をした、したよ? 時間が経つのは早いって言うけど、これはいくらなんでも早すぎる。 時を飛ばされたと言っても誰も馬鹿にしないだろう。

 

とは言え、試験日になってしまったのもまた事実。 今日の為にやれるだけの事はした、はず。 みんなだって一生懸命に机に齧り付いて勉強したんだ、今日その成果が発揮される。

 

 

”もう試験だって思ってるだろうけど、皆は今日の為にやるべきことはやって来たんだ。 緊張しないで今まで通りの事をすればきっと合格出来るよ”

 

「皆の努力は私達が一番近くで見て来たからね。 普段通りにやろう」

 

「う、うぅ……が、頑張ります!」

 

「任せてほしい、今日の為の勉強はばっちりだ」

 

「ふふ、腕が鳴りますね♡」

 

 

ハナコちゃん達が思い思いに今日の抱負を言っていく中、ヒフミちゃんだけは静かに試験が始まるのを待っていた。 彼女にしては珍しいな? と思って見つめていると、私の視線に気付いたのかヒフミちゃんが口を開く。

 

 

「私、ランさんたちの助力もあって初日とは比べ物にならないくらいの学力を身に付けられたと思ってます」

 

「うん、それはそうだね」

 

「だから、余計なことは言いません。 これまでの全てを、出し尽くすだけですから」

 

「ヒフミちゃん……」

 

 

おお、ヒフミちゃんが何処かの主人公みたいなことを言い始めた。 それだけ自信満々……と、言う訳ではないんだろう。

 

ヒフミちゃんだって内心は心配や不安で一杯なんだと思う。 でも彼女が一言でもそれを漏らしてしまったら、彼女だけではない……補習授業部全体の士気に関わってくると理解しているからこその言葉なんだろう。

 

なら、この場で私がとやかく言う必要はないだろう。 自覚している人に分かり切ったことを言っても意味がないのだから。

 

 

「うん、なら私からはもう言う事はないよ。 ……行ってらっしゃい」

 

「……はいっ!」

 

「ランさん、私には」

 

「程々に頑張って」

 

「何か冷たくありませんか?」

 

 

だって何をするか大体想像できるんだもん、呆れて何も言うつもりがないんだよ。

 

そう、成果が発揮されると私は言った。 けれども「全員が」発揮するとは、一言も言っていない。 副顧問と言う立場上、そして友人と言う立場上言うべきことは言わないといけないんだろうけど……

 

 

(────────見極めないと、いけないよね)

 

 

先日から抱いていた違和感、そしてそれに伴って浮き上がる問題。 それをどうにかしようとするのであれば……この一回目で合格するのは、都合が悪い。

 

これだけ聞いてれば私は一体誰の味方なんだよと言われそうなんだけど、まあ仕方ない。 私が八方美人なのが悪いんだし。 もし全部バレて怒られたら素直に謝ろう。

 

 

”じゃあこれから第一次特別学力試験────────開始!”

 

「ッ!!」

 

「ふぅ……」

 

「……」

 

「ふふ……♡」

 

 

先生の号令と共に、彼女達は机に向かって一心不乱にペンを走らせる。 明るい顔をしている者がいれば、暗い顔をしている者だっている。 勉強した箇所が出ているのか、自分の苦手な個所が出ているのかはここからは見えないが、自分の出せるものを出し切って頑張ってほしい。

 

 

(────────ここは!! 天海ンゼミで習った箇所だ!!)

 

 

……なんて考えてるか分からないはずなのに、今脳裏に過ったなにかは一体……?

 

 

「う、うぅ……」

 

 

コハルちゃんはそんな不安そうな顔をしない、やったことは無駄じゃないんだからまずは解ける問題を先に解いて行こうか。

 

 

「む、これは……」

 

 

アズサちゃんは今のところ問題なさそうかな? 思ったよりスムーズに筆が進んでいるみたいだ。 その調子でどんどん解いて行ってくれ。

 

 

「ふふ……♡」

 

 

おめーはまずペンを持てよ、解く気ないじゃねぇか。

 

 

 

~~~~~

 

 

 

”試験結果が、届きました!”

 

『キャー!!!!』

 

「うおっ、突然現れた教員ロボットが先生を叩いて去って行った」

 

「大丈夫ですか、先生?」

 

”だ、大丈夫……何だったんだ一体……?”

 

 

きっと何かしらのトリガーを引いてしまったんだろう。 教員ロボットが何の意味もなくあんなことをする訳がないんだし。

 

pull the trigger、引き金は先生だった。 まあそんなどうでもいいことは置いといて、届いた試験結果の方に私達の意識は集中する。 あれだけ勉強して頑張って来たんだ、みんなの緊張もこっちに伝わってくるくらいだ。

 

 

「緊張しますね……あ、因みに試験は100点満点中60点以上で合格です! 試験内容は比較的簡単でしたし、これは期待できます!」

 

 

ヒフミちゃんはそう言って表情が明るい、が……コハルちゃんの表情は芳しくない。 やるだけはやったけど、まだ自信がないらしい。

 

そんなコハルちゃんをハナコちゃんが微笑ましそうに見つめている。 アズサちゃんに関しては普段通りだ、全く動じている様子がない。 その胆力に関しては私は見習った方が良いのかもしれない。

 

 

”じゃあ結果発表と行こうか。 先ずはヒフミ……72点”

 

「よ、良かったです……! 無難な点数ですが、合格は合格ですし嬉しいです!」

 

 

そう言って安堵の息を吐くヒフミちゃん。 何だかんだで不安だったんだね、まあ彼女の学力なら問題はないとは思っていたけど、それはそれとして不安を払拭しきれなかった部分もあるのだろう。

 

学力は問題ないんだ、学力は。 何度も言うようだけどペロロ関連で学業を疎かにしなければ何ら問題はないんだって。 だから今度からは授業をサボるな、擁護出来ないぞ。

 

 

”次、コハル。 ……点数は、61点”

 

「ッ!!!! あ、あびゅ……あわわ」

 

「おめでとう、コハルちゃん。 ギリギリだったけど合格は合格だよ、よかったね」

 

「ら、ランさん……うぅ、ありがとうございます」

 

 

私もヒヤッとしたけど、合格には違いないのだから安心してほしい。 ここには平均点の半分以下は退学(赤髪バスケ野郎)なんてルールもないし点数をプライベートポイントで購入(事なかれ主義者)なんてルールもない。 実力至上主義な奴はいない、いたら私が全員潰す。

 

ここまでは順調、後は残りの二人が60点以上を取れば問題なく合格できr

 

 

”次、アズサ。 ……32点、不合格”

 

「ちっ、紙一重だったか」

 

「全く紙一重じゃないですね!!? 逆に何をどう見たら紙一重何ですか!!? アズサちゃんは辞書を引いて紙一重の意味をもう一度しっかりと確認してください単語の意味も理解出来ていないんですかしっかりしてくださいよ!!!」

 

「ひ、ヒフミ……ご、ごめん」

 

 

ヒフミちゃんのあまりにもなリアクションに流石のアズサちゃんもドン引きしながら謝罪の言葉を口にする。 気持ちは分かる、私も今ドン引きしてるし。 あんな大声出せたんだなって関心も強いけど。

 

でもあのテストで32点は流石にないと思う、後で私も見せてもらったけど……ケアレスミスさえしなければ90点は普通にとれるような内容だったんだけどなぁ?

 

 

”次、ハナコ。 2点。 不合格”

 

「2点!!!????」

 

「あら、私も力及ばz」

 

「逆に何をどうしたら2点なんて芸術的な点数が採れるんですか普段行っていた勉強で一体何を学んでいたんですかしかもアズサちゃんに勉強を教えておいてそのアズサちゃんよりも点数が低いって一体どう言う事なんですか何か変な物でも食べたんですか!!? わ、私も不安な場所がありましたけどハナコちゃんならきっと大丈夫だって思って必死にテストを解いて合格ラインを越えていて安心していた矢先にこれですか私をぬか喜びさせてそんなに楽しいですか何か言ってくださいよハナコちゃん!!!!」

 

「あ、あのヒフミちゃん?」

 

「な……」

 

「ヒフミちゃん? 」

 

「何やってんだお前ェっ!!!!!!!」

 

「ピギュッ」

 

 

あぁ、ヒフミちゃんがハナコちゃんを殴り飛ばした。 知ってる? あの子アレで普通の女の子みたいな事抜かしてるんだよ?

 

何処が普通なんだよ、お前みたいなのは普通って言わないんだよ。

 

 

「……これで、合宿は決定したって感じですかね」

 

”そうだね、うん”

 

「なら私も合宿の為の着替えとか用意しないといけませんね。 一旦家に戻るか……」

 

”ごめんね、でもミレニアムから通うでも全然問題ないとは思うんだけど”

 

「まさか。 ここまで一緒にやって私だけ合宿しないなんて言いませんよ。 それでは一旦失礼しますね」

 

 

先生に断りを入れ未だハナコちゃんを殴り続けるヒフミちゃんをスルーし、私は教室を後にする。 その足で私が向かったのは、自宅……ではなく、古書館だった。

 

別に嘘を言ってるわけじゃない、ただ気になっていた事を先に解消する為に先に向かった、ただそれだけの事である。

 

 

「ごめん、ウイちゃんはいるかな?」

 

「……ランさん? 珍しいですね、急に来るなんて」

 

「少し用事があってね、本当は事前に連絡すればよかったんだけども」

 

「本来ならそうですけど……ランさんなら、変なことをしないでしょうし問題ないですよ」

 

「ありがとね、そう言う所は好きだよウイちゃん」

 

「ヘェア……」

 

 

私の言葉に変な鳴き声を出すウイ……古関ウイちゃん。 彼女とは古書関連で少しだけ突飛な出会い方をしたのだけれど、今では普通に話をするくらいには交流できていると思っている。

 

まあ私の家にお泊りしに来る程度だ、仲が悪いなんてことは絶対にない、はず。

 

 

「それで、今日はどんな用事で?」

 

「そうだね……トリニティの、そうだなぁ……昔の本ってないかな? 色んな学区が会った時の奴とか」

 

「? また珍しい注文ですね。 何かあったんですか?」

 

「特にあったって訳じゃないけど、折角トリニティにいるからこの機会に詳しくなっておこうって単純な理由かな?」

 

「そう、ですか。 昔の……なら、多分覚えてます。 案内しますね」

 

 

そう言って先導してくれるウイちゃんに続いて古書館の中を歩いていく。 古書独特の匂いに包まれつつ、大量の本を眺めていると……目的地に着いたのか、ウイちゃんが止まった。

 

「ここじゃない……あれ、こっちだったかな?」なんて暫く漁っていたウイちゃんだったが、お目当ての本を見つけたらしく私に一冊の本を手渡してきた。

 

 

「多分、ランさんの注文した本は此方かと。 戻す際は其方に、私は修復に戻りますので」

 

「ありがとう、終わったら勝手に帰るから私の事は気にしないでいいからね」

 

「修復に掛かり切りで忘れる可能性の方が高いので助かります」

 

 

ウイちゃんが去って行ったのを横目に、私は知りたかった情報が載っている個所を探し始める。 ペラペラと破れないよう慎重に捲っていく中……漸く私の知りたかった情報が載っている個所を見つけることが出来た。

 

喉に刺さった小骨みたいな疑問は解消することが出来た、結果は良いものかと言われれば微妙なラインではあるが。

 

 

「……アリウス、か」

 

 

最初はそう言うデザインの模様かと思っていた。 でもそうだとすれば反対方向に対になるように付けられたトリニティの校章に対しての説明がつかない。

 

それに、何処かで見たようなデザインだとも思っていたんだ。 でも今現在キヴォトスに現存する学園のどの校章とも一致しないそれに、私は古書を用いて一致する校章を探した、そして見つけた。

 

 

(……アズサちゃんは、何処から転校して来たたんだろう?)

 

 

記憶が正しいのであれば、アリウスなんて学園は存在しない。 古書が正しいのならアリウス自体既に存在していない。 なら何故アズサちゃんはアリウスの校章を身に着けているのか? 意味はあるのか?

 

……悩んでも答えは見つからない。 判断するための材料が足りないんだ、それにこれ以上の材料は見つかりそうにないし、ここでやるべきことはもうないと言えるだろう。

 

古書の修復に夢中になっているウイちゃんに静かに頭を下げつつ、私は古書館から立ち去る。 さてこれから着替えなどを取りに戻らなければな……と考えていた私の目の前に、一人の生徒が立ちはだかった。

 

 

「ここにいたんだね、ランちゃん」

 

「……ミカちゃん?」

 

「今、少しだけ時間良いかな? 話したいことがあるんだ」

 

 

そう言って私に笑いかけた彼女の表情は、お世辞にもいい笑顔とは言えなかった。

 

 

 

────────────────

 

 

 

ミカとランがそんな会話をしている同時刻、二人の様子など知らない先生は、ナギサに呼ばれてティーパーティーのテラスへと足を運んでいた。

 

先生が辿り着いたころには、ナギサは紅茶を飲みつつ静かにその場に佇んでいた。

 

 

「……突然お呼び立てして申し訳ありませんでした」

 

”ううん、大丈夫。 でも急だったけど、何かあったのかな?”

 

「そう、ですね。 補習授業部の件もそうですが……」

 

「先生には先にお話しておこうかと。 何故私が、補習授業部等と言う部活を立ち上げたのかを」

 

 

ナギサはそう言い、視線を先生へと合わせる。 普段の柔らかな表情からは想像できないその鋭い視線に、先生は無意識に体が固まってしまった。

 

 

「────────トリニティ内部に存在する裏切り者を、退学にするためです」

 

 

奇しくも、同時刻に別の場所で……トリニティの未来を左右するような会話が、始められようとしていた。

 




私毎回話の中にネタを盛り込まないと気が済まない病気にかかってるから毎回何かしらのネタを拾ってもらえると嬉しくなっちゃう

小説の書き方、どっちがいい?

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