セミナー副会長はとにかく巻き込まれたくない   作:ピンク髪大好きニキ

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最近忙しくて執筆の時間が取れないことにモヤモヤ

別に他人に強制されてるわけじゃないんだけど、ゲームとかやってたりすると「コイツ執筆はしないのにゲームは楽しくやろうとしてるよな」って考えてしまう……うーむ、強迫観念

一応更新が遅れる時は後書きとかで報告するようにはするけど、遅れたらごめんな
いやマジで最近仕事が忙しいんだって、ブルアカのログイン途切れる程度には時間ないんだって


38.5話「side:狐坂ワカモ」

 

 

 

私がランさんと出会ったのは……そう、私がまだ百鬼夜行に入る前。 停学なんてものとは無縁の、何処にでも居そうな普通の少女だった時の話でしょうか。

 

……何ですか、その目は。 まるで私が常日頃から暴走している厄介者のような感情を感じますね。 事実ではないか、と? 良い度胸ですね、買いましょうその喧嘩。

 

いえ、それは良いんです。 そんな下らない喧嘩は今は隅に置いておきましょう。 兎も角彼女と会ったのは……ブラックマーケットでも特に治安が悪く、訳アリの中でも特に訳アリな者しか居座れないような、言い方は悪くなりますが『ゴミ溜めの成れの果て』のような、この世の地獄のような場所でした。

 

あの日は、何と言いますか。 日常に刺激が欲しかったとか、そんなしょうもない些細な理由でブラックマーケットへと赴いていたんです。 何事もない平穏な日常と言うのも、それはそれで退屈でつまらないものなんですよ。 思えばこの時の私は見える範囲の事だけで世の中の事を知ったように思えていた馬鹿な学生だったのでしょう。 そのお陰でランさんと出会えましたし、私の価値観も変わったと思えば悪い事ばかりではなかったとも言えますが。

 

 

「ここが……ブラックマーケット」

 

 

ブラックマーケットは治安が悪くて有名なのもありますが……違法パーツ、薬、禁止武器、臓器、挙げればきりがないですがそんなものばかりが取引されている危険な場所。 更には何らかの理由で学園に通えなくなった不良生徒もゴキブリのように蔓延する場所です。

 

 

「なあ、身なりのいいお嬢ちゃん」

 

「ここらってさ、アタシらの縄張りだから我が物顔で歩かれると困るんだよねー。 ……だからさ、誠意ってものがあるでしょ?」

 

「……はぁ、またですか」

 

「あ? 何か言ったか?」

 

「また、歩くゴミが」

 

「てめぇ良い気になっ!?」

 

 

銃を使うまでもなく、蹴りだけで気絶してしまう不良生徒達。 彼女達が弱いのか、私が強いのか……そう考えるくらいには、私は自分の強さに自信を持っていたのでしょう。

 

所要時間僅か3分足らずで5人の不良生徒は物言わぬ木偶へとなり下がりました。 特にそれに関して何を思う事もなく、私は奥へと歩いていきます。 ここであれば私を楽しませてくれる何かがあると信じて来てはみましたが……的外れに、なってしまったかもしれない。 そんな時の事でした。

 

 

「ここは……山?」

 

 

正確には、ガラクタやらゴミやらが山のように積みあがった廃棄所のようなものでしょうか? 噂に聞くミレニアムの廃墟とは、もしかすればこのような場所なのかもしれないと思いつつ、中へと入っていく。 目につく範囲では特にこれと言った興味をそそられる様なものはありません、これ以上いても時間の無駄だと思いつつふと視線を向けた先に────────その体は、ありました。

 

 

「……これ、は」

 

 

一目では生きているとは到底思えない、血まみれの小さな体。 元はとても綺麗であっただろう青い長髪は、根元からくすんだ青へと変わっています。 地肌が見えている範囲は傷がない場所を探す方が楽ともいえるくらいの傷の多さ……それでもなおその当人が生きていると思えた理由は、虚ろな目をしながら天を見上げていたから、でしょうか

 

ですがその空虚な眼からも予想できた……いえ、この時点では私も話程度にしか知らなかったことでしょう。 『ヘイローが砕けた』生徒を見るのは。 ヘイローの残滓らしき微かな光が、彼女の頭上付近を悲しげに照らし続けている。 正に生きていながら死んでいると言う言葉が当てはまるのでしょうね。

 

 

「これほどまでにボロボロになると言うのは……一体、何が」

 

 

不良生徒と戦った? だとしてもここまでボロボロになると言うのは想像がつかない。 であるならば他の要因があるのでしょうけれど、その時の私には候補を思いつくことが出来ませんでした。

 

間近で見つめてはみましたが、その視線は私と交差するわけもなく。 ヘイローが砕けた生徒がどうなるのか? と言うのは聞いたことがありませんが、どの道碌な末路ではないのでしょう。 せめてもの情けと思いもう少しまともな場所にでも連れて行ってあげようかと気まぐれに手を差し伸べた────────その手が、勢いよく掴まれる。

 

 

「ッ!!?」

 

「────────ぃ、わ────────」

 

 

先程まで閉じられていたはずの口が、何かを紡ぐ。 こんな状態になってもなお意識が、自我があると言うのでしょうか? 小さいながらも何かを紡ぐその口、何を言っているのか気になった私はもう少し口元まで耳を近づけることにした。

 

 

「何を言っているのですか? もう少し大きく」

 

「ぜ、っい、に、しな……い。 わた、しが……てい、かぎ、り」

 

「……」

 

「ぜったい、に、しなせな、ぃ。 わたし、が、いきて、かぎ、り」

 

「絶対に、死なせない。 私が……」

 

「────────死なせるものかと、誓ったから」

 

 

有無を言わせない、硬く強い意志。 虚ろなはずの目から、殺意に似た何かを感じて思わず後ずさりしそうになりますが、掴まれたままの手によってその行為は失敗に終わってしまいます。

 

何が、彼女をそこまで駆り立てるのか? 何があって、そこまでの強い意志を燃やし続けるのか? 私にはわかりませんでしたが、その目が、眼だけが……私の中に強く残り続ける。

 

死なせてはならない、漠然としたものではありましたがそう感じた私は彼女を連れ帰ることにしました。 元より人もいない私の住居であれば、ここよりはましな療養も可能だろうと思って。

 

 

 

~~~~~

 

 

 

「……ふぅ、人一人を背負って帰るのは骨が折れますね」

 

「……」

 

「眠って、いえ、元より生きているのが不思議なくらいでしたし仕方のない事でしょうか」

 

 

私が普段使っているベッドに、名も知らない彼女を横たわらせる。 先ずは治療に必要な物を用意するべきか、はたまたこの状態を正確に診断できる医者にでも見せるべきか、ですが既にヘイローが砕けたであろう生徒を見れる様な医者が存在するのか? 考えれば考える程悩むことが増えて行ってしまう。

 

私の判断は合っているのだろうか? そんな思いだけが頭の中をぐるぐると回っていく。

 

 

「…………」

 

「……ヘイローが砕けても、このような状態になってもなお、生きている……」

 

 

いや、果たしてこれは生きていると言えるのだろうか? 自我がほとんど見受けられない状態の彼女。 意思の疎通すらできるのかすら怪しいその様にどう対応をしようかと思案しますが、私には判断が出来ない。

 

ですがお腹は空くでしょうから何か食べる物でもと思い、コンビニで買ったおにぎりを渡してみますが……咀嚼すらすることなく、ただ口の周りにポロポロと零すばかり。 無理矢理口に入れて水で流し込むことによって漸く、と言った所でしょう。

 

 

「先程の光景は、正に奇跡と言った所でしょうか」

 

 

ヘイローが砕けた生徒が自我を見せると言う、恐らく稀有なものを見たのでしょう。 未だ詳しいことは何ら明らかになっていない生徒のヘイロー。 その一端を見ることが出来るかもしれないと言う気持ちと、まるで人体実験でもしているかのような後ろめたさ。 その二つに挟まれて居心地は悪いですが、やれることはやろうと思いこの日から私は彼女の世話をすることにしました。

 

最初の方は、本当に大変でした。 何せ食事から排泄まで彼女の意志で行うことが出来ないのですから。 私がここまでやる必要は全くないのですが、一度見てしまった以上は見て見ぬふりをすると言うのも居心地が悪い。 1週間、1か月……そうして、気付いた時には半年の期間が過ぎていた、そんな日でした。

 

 

「礼を言おうか。 君がずっと面倒を見てくれていたみたいだからね」

 

「……はい?」

 

 

その日も同じく朝食を食べさせようと部屋に入った瞬間に、彼女がベッドから体を起こして私を見ていました。 返答があるとは思っていなかったために私の口からは変な声が出てしまいましたが、仕方のない事でしょう。 砕けたはずのヘイローが修復され、意志があるのですから。

 

 

「御目覚めに、なられたご様子で」

 

「残念ながらまだだね。 私は起きているけど私はもう少し時間が掛かりそうだ」

 

「……仰っている意味が、良く分かりませんが」

 

「いや、気にしないでくれ。 間借りしている身であれこれする気はないからね。 だが修復の過程で色んなものが無くなってしまったな……」

 

 

見ると、辛うじて残っていた綺麗な青色の髪は失われており短く切り揃えられている。 瞳の色も、最初見た時は両目とも青く灰色な瞳孔をしていたと記憶していますが……今は片方が紫色に変色している。 どういう理屈でそうなっているのかは解明できそうにありませんが、私程度が考えを巡らせたところで分かることではないのでしょう。

 

ですが私にでもわかることとすれば────────目の前にいる彼女が、今は得体のしれないもののように見えている、と言う事でしょうか。 無論姿かたちが変わったと言う事ではない、ただその内面が変質している、と言う感じでしょうか?

 

 

「色々と聞きたいことがあるかもしれないけど、残念ながら私は答える権利を持ち合わせてなくてね。 お礼しか言う事が出来ない」

 

「いえ、お気になさらず。 ですが貴女は今後どうするおつもりで? 身よりはないと思いますが」

 

「その辺はどうにでも出来る、かな? 幸い場所には困っていないからね。 ……それに、やるべきことが残っているから」

 

「やるべきこと?」

 

「ああ…………独裁者気取りの大人に、一発入れないと気が済まない。 何より彼女が願った事だからね」

 

 

言っている半分も理解はしていませんが、私が口を挟む様なことでもない。 故に無言でうなずくだけに留める。 そそくさと準備をして部屋を後にしようとする彼女を見て、どうしても聞いておかなければならない事を思い出して私は口を開いた。

 

 

「そういえば、貴女の名前を聞いていませんでしたね」

 

「私の名前? ランと言うのはあるけど……困ったな、名字は持ち合わせてないんだ」

 

 

でも、だが、しかし……暫くランと名乗った彼女はうんうん唸っていましたが、やがて何かに納得したように顔を上げると

 

 

「天海」

 

「天海……?」

 

「天海、天海ラン。 何時か彼女達と見ようと約束した海を入れるよ。 私の髪や空のように綺麗な海を見に行こうと……まあ、髪の方はこんな感じになっちゃったけどね」

 

 

少しだけ悲し気な笑顔をした彼女との邂逅が、まさか私のこれからを変えてしまうことになるとは。 人生と言うのは何があるのか分かりませんね。

 

小説の書き方、どっちがいい?

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