セミナー副会長はとにかく巻き込まれたくない   作:ピンク髪大好きニキ

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この作品はコメディ(以下略)

連日ゴリラゴリラ言われるんでタグ追加しました、※天海ランはゴリラではありません!

昨日書かれた感想に6話で伝えたかった部分を簡潔にまとめた感じのものが書かれてて感動した、よくこんな文章から読み取れたなキミって

それと一部の人間との関係性ですが……まあコメディだからね、最悪にはならないよ


7話「また手の届かない巻き込まれ娘」

 

 

 

アビドスから帰還した翌日の午前。 ランはゲヘナの万魔殿へと赴いていた。 理由は勿論昨日のアビドス自治区内での戦闘行為に関してである。

 

頭に血が上っていたとはいえ、ゲヘナの風紀委員会に対して戦闘行為……更に甚大な被害を出している。 セミナー副会長と言う立場としては責任問題を問われるだろうと思っていたのだが……

 

 

「────────何もない、と?」

 

「キキッ、ああそうだ。 今回の件に関してミレニアム……もとい天海ランに対して公的に何らかの賠償を問うことはない」

 

 

予想に反して何も請求されないことにランは戸惑う。 あり得ない、確実にゲヘナの業務に支障を来しているはずなのに……そう考えているのが分かったのか、マコトが口を開く。

 

 

「元を辿れば、ウチの風紀委員会がヒナに無断で、しかも他校の自治区での大規模な戦闘行為を行ったのが原因だ。 どちらかと言うと此方が頭を下げる立場だ」

 

「でも私は、結構な人数怪我させましたけど」

 

「ああ、だろうな。 だがそれも風紀委員会の練度不足……そう言うことだ」

 

「いや、それは」

 

「それに、ミレニアムの会長にもデータを貰ってな」

 

「はぁ、データですか」

 

「舐めた真似すんじゃねぇよばら撒くぞと言われた」

 

「駄目じゃん」

 

 

リオちゃん何やってんの???? とランは頭を抱えて唸るが、そんなランをマコトは笑いながら見つめる。

 

 

「冗談だ。 しかし過失割合としては圧倒的にこちらの方が上なのも確か……まぁ、お前が気にしているのであれば自主的に動く分には何も言わないがな」

 

「自主的に、ですか?」

 

「手隙な時に風紀委員会の手伝いをすればいいし、その他の事をしてもいい。 本来なら何かしら正式に請求するが……お前の素行を知っているからこそ、それに賭けたともいうな」

 

 

只より高い物はない、そういう言葉が頭に浮かんだ。 マコト的にはランの善性を信じて何も言い渡さなかった。 ……要は「悪いと思っている分自分の裁量でこちらを手伝え」と遠回しに言って来ているということだろう。 ランの性格を考えれば下手に要求するより多くの利益を齎すと考えたようだった。

 

 

「……分かりました。 では私の手の空いている時、風紀委員会や万魔殿の雑務を手伝うことにします」

 

「キキッ、よろしく頼むぞ。 お前が手伝えばゲヘナの治安も多少はましになるだろうからな」

 

「因みに建物の賠償は……」

 

「ああ、アレの方もこちらに丸投げで構わない。 面白いことも分かったからな」

 

「面白いこと……?」

 

「何だ、知らなかったのか? あそこは既にアビドスの手から離れているぞ」

 

 

ランは目を見開く。 予想だにしていなかった事実に思考が纏まらない、今言われたことが嘘ではないのかと思うが……この場でそんなはったりをかますようなことはしないだろう。

 

 

「何年も前にあそこはカイザー系列の会社に所有権が移っているぞ」

 

「そんな……」

 

「詳しい事情は知らんがな。 そう言う訳で其方の方も問題ない」

 

「分かり、ました」

 

「話は以上だ、後は個人的に風紀委員会に頭を下げにでも行けばいいのではないか?」

 

「……そう、ですね。 そうします」

 

 

ランはそう言って万魔殿を後にする。 足取りは若干重くはなったが、どうにか風紀委員会の下へと辿り着いたランは、深呼吸をして扉を叩く。

 

「入って頂戴」と言う声が聞こえたのち、ランは緊張しつつも扉を開けた。

 

 

「……待ってたわ、ラン」

 

「空崎ヒナさん、この度は」

 

「よそよそしい態度なんていいわ、普通に話して頂戴」

 

「……ヒナちゃん、今回の事は本当に申し訳ありませんでした」

 

 

そう言って深く頭を下げる。 誰かの息をのむような音が聞こえたが、ランは何も反応せず頭を下げ続ける。

 

30秒程が経過したころ、ヒナの「頭を上げて頂戴」の言葉で、漸く頭を上げた。

 

 

「……今回の件はアコの独断を止められなかった私の責任でもあるわ。 だからこれ以上の謝罪は不要よ」

 

「分かった。 でも今後私が自主的に風紀委員会の仕事を手伝うから」

 

「自主的に? ……マコトに何か言われたのね」

 

「何も言われなかったのが不満なだけ、やらかしまくったのに何も求めませんなんて言われたらこちらの方が申し訳なくなっちゃう」

 

「そんなに気にしなくていいのに……と、言いたいけど。 確かに風紀委員の数が少ない分治安維持に不安が残るからその提案はありがたいわ」

 

「それなら良かった。 空いてる時間を擦り合わせて丁度いい時に手伝うよ」

 

「ええ、お願いね」

 

「あの……」

 

 

ランとヒナが話をし終えた時、ランの傍にアコがやってくる。 何事かと身構えていると……徐に、アコが頭を下げた。

 

 

「先日は、大変申し訳ありませんでした。 ……私の身勝手な行いで、ランさんには迷惑をおかけしてしまいました」

 

「…………」

 

「許してもらえるとは思いません。 でも謝罪出来ない人は人として最底だと思っています……自己満足のようで不快かと思いますが」

 

「ううん、許すよ」

 

「……え?」

 

 

許すだなんて言われると思っていなかったのか、アコはきょとんとした顔でランを見つめてくる。 ランはそんなアコに苦笑を浮かべつつ、言葉をつづけた。

 

 

「正直、割り切れない気持ちはあるよ。 でもそれだけじゃきっと、怒られちゃうから」

 

「……」

 

「だから、許す。 でも、行ったことは一生忘れない。 アコも、絶対に忘れないで」

 

「……はい、肝に銘じます」

 

 

お互いぎこちないながらも笑みを浮かべる。 そんな二人を見てヒナも内心安心しつつ、笑みを浮かべながら二人の間に入っていった。

 

なおこれは和解を喜んでの行動ではなく単に二人の間に流れる空気がなんか良い感じだったのが癪に障ったからである。

 

 

 

 

 

ランがゲヘナから立ち去った後、ヒナは万魔殿に呼ばれてマコトの下へ向かっていた。 ドアをノックし中へ入ると、普段と違って険しい顔をしたマコトが待ち構えている。

 

珍しいモノを見た、と言う感情とそれだけのことをやらかした、と言う感情がヒナの中を渦巻く。 暫く黙っていたマコトだったが、やがて言葉を選びながら口を開いた。

 

 

「ヒナ……呼ばれた理由は分かっているな?」

 

「今回の件に関しては私の監督不足、本当に申し訳なく思っているわ」

 

「ああ、それは本当に反省してくれ。 ……普段私はお前に無茶ぶりをしている自覚はあるが……

 

(あるのね……)

 

「流石に、今回の件に関してはふざけていられないと思ったまでだ。 お前だって天海ランの事は気に入ってるとは思うが……万魔殿としても、アレとは良好な関係性を続けたいと思っている」

 

 

マコトはそこで言葉を区切り、静かに息を整える。

 

 

「だからこそ今回の件に関しては天海ランに万魔殿からの正式な要求はしなかった。 そもそも風紀委員会の不手際から大事に発展したんだからな。 代わりと言っては何だが、個人の手伝いの範疇で動いてもらうように頼んだ」

 

「……それに関しても、私からお礼を言うわ」

 

「キキッ、不要だ。 だが今回の天雨アコの独断に関しては擁護できないことも理解しろ。 反省文も奉仕活動ももちろんの事、しばらくは行動を逐一報告するように。 勝手に動いてまた似たような事が起きれば……」

 

 

「────────エデン条約の前にミレニアムとの争いにだって発展しかねない、それだけは起こってはならないんだからな」

 

 

 

~~~~~

 

 

 

「……やっぱり、ここにいた」

 

「へ? 誰……って、えぇぇぇぇっ!!??」

 

「アルちゃんどうした……の……」

 

 

便利屋68の事務所────場所が分からずヒマリがハッキングを仕掛けて見つけた────の前にて、現在進行形で引っ越しの準備をしていたアル達の前に、ランは現れた。

 

アルたちの顔や腕には未だに湿布や包帯が貼られており、頑丈なはずの生徒にすら後に引く怪我を与えたランの攻撃の強力さが窺えた。

 

 

「え、あ、その、ナンノゴヨウデショウカ……」

 

「そんなに身構えないで、別に息の根を止めに来たわけじゃないから」

 

「そ、そそそうなんですね……へへ……」

 

 

ランの言葉に、アルやハルカがぎこちない笑みを浮かべる。 確かに今のランは銃らしき物は持っておらず、何やら重そうなボストンバッグのみを持っていた。

 

 

「まあその気持ちがないと言えば噓になるけども」

 

「ひぃ……」

 

「じゃあ何でここに?」

 

「謝罪に。 ……いくら怒りがあるとしても、やりすぎたのは此方だから。 本当に、ごめんなさい」

 

「な、なななっ、謝らないでよ!!」

 

 

急に頭を下げたランにアルは慌ててしまって話にならない。 どうにか落ち着きを取り戻しつつ、ランは口を開いた。

 

 

「ハッキリ言う。 私は貴女達を許せそうにない」

 

「そ、それはそうよね……知らなかったとはいえ、私達あなたの大切な場所を壊しちゃったんだもの」

 

「ご、ごめんなさい……生きててすみません……」

 

「少なくとも、今は」

 

「……へ?」

 

 

思いもしなかった続きの言葉に、アルたちの表情が固まる。 そんな様子にランは「それはそうだろうなぁ」と思いつつも、言葉を続けた。

 

 

「過去に囚われ続ければ、私は一生前に進めない。 ……戻らない人の影に縋り続けて、前を向けないのは……前を向いている人に失礼だと思ったから」

 

「過去に……」

 

「だから、私は許す。 時間がかかるけど、必ず許す……だから貴女達も約束して」

 

「アウトローを目指すなら、手を差し伸べるべき人を間違えないで」

 

「手を差し伸べるべき、人……」

 

「色々あったとは思うけど、確かにあの時貴女達は対策委員会と協力できた。 なら今後もきっと、そういう場面があるはず……でもすぐに割り切れないと思うから、これを」

 

 

そう言って、ランは持っていたボストンバッグを手渡してくる。 何なのかとは思いつつも、アルは何も考えずそれを受けとってしまった。

 

 

「あの、これは?」

 

「1億入ってる、因みに自腹」

 

「いぃっ!!? 1億!?」

 

「そのお金で依頼をする。 ……アビドスが困ってたら、協力してあげて」

 

「い、依頼なら受けるけど……」

 

「お金が発生する以上、信用問題が、責任が発生する。 私達の間には信用も信頼もない……これは依頼料と同時に、私からの期待の形」

 

「信用を、期待を、裏切らないで。 ……お金さえ貰えれば、何でもやるんでしょう?」

 

 

アルは目を見開く。 それ便利屋68のモットーであり、あの時ランが怒りに身を任せながら言ってきた言葉だったからだ。

 

目を閉じ、深く息を吸い込み……そして、目を開く。 その時には不安気だったアルの顔はなく────便利屋68の陸八魔アルに相応しい、自信に満ち溢れた顔へと変わっていた。

 

 

「えぇ、任せて頂戴。 お金さえ貰えば何でもする……その言葉に違わないことを、証明してあげるわ!!」

 

「期待してるね。 ……それじゃあ、私はもう行くから」

 

 

その啖呵に満足そうにうなずいたランは、振り返ることなくその場を立ち去る。

 

その少し後に訪れた先生と便利屋68の間にまた色々とあるのだが、それは今語ることでもないだろう。

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

「ラン先輩、こちらの書類を」

 

「分かった」

 

「ランさん、コーヒーを淹れました」

 

「ありがとう。 頂くね」

 

「ラン、膝枕は必要かしら?」

 

「リオは仕事をしてね」

 

 

謝罪行脚を済ませた翌日、私はセミナーで業務を行っていた。

 

私がいなくてもユウカちゃんとノアちゃんだけで業務は回るけど、私がやらかした関係でリオちゃんとヒマリちゃんが私をセミナーに縛り付けようと話がまとまったらしい。 何で?

 

と言うかリオちゃんはセミナーにいるのに業務をこなせよ、事あるごとに私に膝枕しようとしてくるそれは一体何なんだ。

 

 

「ランちゃん、そんな贅肉なんて気にせず私の膝へ。 無駄に肉の乗った膝など寝心地が悪いに違いありません」

 

「ふっ、負け惜しみね。 そんな骨と皮みたいな貧相な体で何が出来るというの」

 

「まずはその言葉が無差別に攻撃をしていることを理解しようね」

 

「リオ会長、ヒマリ部長、お話します」

 

「拒否権すらないというの?」

 

「待って、話しましょうユウカ。 まだ話せばわかります」

 

「もうその段階は過ぎました」

 

 

ユウカちゃんに首根っこを掴まれて引き摺られていく。 そこそこ体重あるはずなのに筋力があるなぁ……

 

そんな風に呆れていると、徐にノアちゃんが近づいてくる。 一体何事かと思ったら、ノアちゃんが紙の束を手渡してきた。

 

 

「……これは?」

 

「リオ会長とヒマリ部長が持ってきたものです。 何でもアビドスの現状に関して分かった範囲でまとめ上げたらしいですよ」

 

「アビドスの……」

 

「行動はアレですけど、ランさんの事を心配しての行動だというのは理解してあげてくださいね。 行動はアレですけど」

 

 

何故二回言ったし、とは言わない。 さっきの奇行を見れば言いたくもなるだろう。

 

まああの二人は殺しても死ななそうだし気にすることはないだろう。 そう考えて私は紙の束をめくって内容を確認する。

 

 

「……これは」

 

 

その中に書いてあったことは、私が事前に知っていたことから知らなかったことまで色々と書いてあった。 何ならカイザー系列の表沙汰になっていない不祥事まで載ってある。 どこまで調べ上げたんだあの二人。

 

アビドスの土地の大半がカイザー系列の所有になっている事、カイザーローンによって膨大な借金を抱えている事、砂漠の何処かで何やら大規模な事をしている事……

 

 

「アビドスは、私が覚えていた以上に崖っぷちって事か」

 

 

それなのに、迷惑をかけまいというように私を……ホシノちゃんは。

 

何時の間にか力んでいたのか、紙に皺が付く。 浅く息を吐いて紙をデスクの上において、少し冷めたコーヒーで口の中を潤す。 ……あぁ、苦いな。

 

 

「ランさん、大丈夫ですか?」

 

「大丈夫、とはいいがたいけども。 私一人が騒いで事態が好転するわけじゃないからね」

 

「……そう、ですか」

 

 

何で私以上に落ち込んでるんだろうか、別にノアちゃんが落ち込む要素はないと思うんだけど。 とか考えてたらユウカちゃんがボロボロになったリオちゃんたちを引き摺って戻って来た。 顔を執拗に殴ってる辺り相当頭に来ていたんだろうな。

 

 

「あぁ、ラン……見たようね」

 

「それよりも大丈夫か確認したいところなんだけど」

 

「これが大丈夫に見えるかしら」

 

「まだ元気そうだね、安心した」

 

 

『コイツ何言ってるんだ?』みたいな顔したリオちゃんを無視してヒマリちゃんに近づく。 こっちはまだ元気そうだ、顔の原型がある。

 

 

「ヒマリちゃん、この紙……」

 

「ふふ、感謝してくださいねランちゃん。 私とリオで調べ尽くした情報の数々を。 全て網羅したとは言えませんが大半は丸裸にしたはずですよ」

 

「それは本当にありがとう。 それで聞きたいんだけど、この土地の所有権は」

 

「かなりグレーではあるでしょうが契約上成立しているはずですので、アビドスが訴えを出したとしても戻ってくるということはないでしょう。 借金を返すことでしか……まあどんな手を使ってもいいのであれば」

 

「いや、今はそういうのは控えたほうがいいと思うから」

 

 

中に書いてある内容のいくらかはカイザーローンと関わりの無いモノもあるから、これの全てを活かせるわけじゃない。 渡したところでここぞというタイミングじゃなければもみ消してきそうだし。

 

 

「その内容をどう使うかはランちゃん次第です。 そこから先は私の管轄外ですし」

 

「そうね、貴女のやりたいようにやりなさい。 ……責任は、私が負うわ」

 

「カッコいい感じに言ってるけど、それ言ったら私一人でカイザー潰しに行くよ?」

 

「ごめんなさい、流石にそれは庇いきれないわ」

 

 

貴女一人じゃ無理よって言えよ。 何で出来る事を否定しないんだよ。

 

 

「正直危うかったからセミナーに縛り付けたけど……その様子なら心配なさそうだし。 でも約束して頂戴、危ないことだけはしないように」

 

「それは分かってる。 ……立場があるんだもんね」

 

「ええ、そうです。 それに何かあったら私が悲しむので」

 

「まあそんなこと言ってももう時間も時間だしね、アビドスに渡しに行くのは明日になるよ」

 

「そうしなさい、それと明日はヘリで行きなさい。 車で行ったら碌な事にならないから」

 

 

そんなこと言うなよ、私だって気にしてるんだぞ?

 

 

 

────────────────

 

 

 

セミナーの仕事も終わり、私は自宅へと戻ってのんびりと風呂に入っていた。

 

最近はゆっくりと楽しむ時間がなかったからなぁ、半身浴でつい寝そうになっちゃう。 浴槽に半分蓋をして腕枕をしながらうつらうつらとしていると……

 

 

「……ん?」

 

 

何か音がしたような気がした。 風呂に入っている時は端末を持ち込まないから誰かから連絡が来たとしても気付かない。 まあリオちゃんあたりがダル絡みしながら電話してきたんだろう。 上がってからでも問題はないかな。

 

そう考えて私は重くなっていた瞼を閉じる。 それから30分くらい寝ていたらしく、若干温くなった浴槽の中でくしゃみをしたことで目が覚めた。

 

中々にいい湯だったな……と風呂から上がりバスローブ一枚でリビングで寛いでいると、端末がピカピカ光っている事に気付く。 ああ、そう言えば風呂に入っている最中連絡が来てたみたいだしそれだろうな。

 

 

「……ホシノちゃん?」

 

 

履歴に残されていたのはホシノちゃんの文字。 一体何用だったのかと折り返し電話してみるが……繋がらない。

 

寝てしまったかな? もう少しで日付変わっちゃうし。 一応モモトークでも『風呂入ってた、何かした?』と送ってみたが……既読もつかないから寝たのだろう。

 

ううむ、少しもやもやするけど寝てしまったのなら仕方ない。 どのみち明日にはアビドスに行くわけだし、その時に用件を聞くとしよう。

 

だからもう寝なきゃ。 起きればまた何か反応あるかもだしね。

 

 

 

~~~~~

 

 

 

「んー、うん? だれだこんなあさから……」

 

 

枕元に置いていた端末が長々と着信を響かせていることに気付き、私はまだ重い瞼を無理矢理開きつつ着信相手の名前を確認した。

 

 

「アヤネちゃん?」

 

 

相手はアビドスに行った際に連絡先を交換していたアヤネちゃんだった。 まだ時間も早いうちに何の用かと電話に出ると……焦りがこちらにまで伝わってくる声色が聞こえて来た。

 

 

「ら、ラン先輩!! ホシノ先輩が……ホシノ先輩が!!」

 

「落ち着いてアヤネちゃん。 そんな大声で……」

 

「ほ、ホシノ先輩の退学届けが!」

 

「は?」

 

 

直後、アヤネちゃんの口から出た言葉に私の思考は完全に停止してしまった。

 

退学届け? 何でそんなものをホシノちゃんが? いや、それよりも……昨日の電話は、何が要件だった?

 

真っ白になりそうな頭を、頬を殴りつけることによって無理矢理働かせる。 今止まっちゃいけない、止まって後戻りできない状態になったことを忘れちゃいけない。

 

 

「……詳しく聞かせて」

 

「わ、私さっき学校に来て……対策委員会の教室についたら、机の上に退学届けとみんな宛ての手紙が……」

 

「……分かった。 私も今から向かうから落ち着いて、他のみんなに連絡は?」

 

「い、いえ……まだです。 頭が真っ白になっちゃって、気付いたらラン先輩に電話を」

 

「ならすぐに連絡を。 いい? 焦ったりしないでなんて言っても難しいけど、今慌ててたら何も進展しないよ」

 

「はい……すみません」

 

「謝らないで、私だってアヤネちゃんの立場なら同じ状態になってただろうし」

 

 

私だって今落ち着いてるかと言われればそうでもない。 叫びたい気持ちを無理矢理落ち着かせてるだけだ。

 

今は一分一秒が惜しい、私もリオちゃんに話してすぐにヘリを手配してもらわないと。

 

 

「対策委員会のみんなに連絡、先生に連絡。 それが済んだら装備の点検でもして心を落ち着かせて……大丈夫、大丈夫だから」

 

 

アヤネちゃんに言っているはずの言葉が、何故だか自分に言い聞かせているように思えてしまったのは多分気のせいではないだろう。

 

 

 

 

ユメちゃんがいなくなってしまった、あの時の記憶が頭を過っていた。

 




まーたコイツ不穏な終わらせ方してるよって思うかもしれないですけどしゃーなしでしょ、対策委員会編はこれ経由しないと終わらんし、もうすべてを暴力暴力暴力暴力で解決できるんなら天海ランが全てをぶち壊してるんだよ今頃
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