更紗帆奈の隣の家に住んでいた男の子の話 作:nalnalnalnal
一応入れておこうと思いまして…
「へぇ…こんなところで開業するんですか?」
「そうねぇ。人気の多い場所だと魔法少女の存在が周知されちゃうかもしれないからぁ」
「その核となる技術が『調整』とやらですか…話を聞く限りだと八雲さん自身の固有の魔法がそれではないみたいですが」
「色々あってねぇ…魔力を応用したらこういう事もできるのよぉ」
「成程…」
とある日。私と十七夜は調整屋の開業予定地にナル君を呼び出した。その理由は勿論開業するから少し手伝いをして欲しいから。それともう一つ──ナル君の身の上話について。どうやらチームのメンバー達には全てを話したそうで、それなら私達にも話しておきたいと彼から申し出を受けたから。
それを聞いた瞬間に私は居ても立っても居られなくなり、連絡が来た翌日にナル君を呼んだ。以前会ったナル君とは何か雰囲気が違っていたけど、恐らく一度吐き出したお陰で肩の荷が下りたのでしょうねぇ。
本人曰く最近は楽さんの背中を追うべくハードな特訓をしているそう。一人で色々と抱え込まないで相談して欲しいのだけれど、これから中立の立場となる私が言えた事ではないかもしれない。
そう。調整を行う上で守るべき事は絶対中立。先生がそうであるように、私もそれに倣わないといけない。調整はソウルジェムを弄る事で魔力の強化を施せるが、その子の過去も見えてしまう。
当然、人に言えないような理由で魔法少女になった子もいるでしょう。私だってナル君に今話せと言われたら絶対に話せない自信があるもの。
だから信用を勝ち取るのは至難の業…そこで最近発生した中央区での魔法少女襲撃事件を解決した立役者のナル君に手伝って欲しかった。東のまとめ役である十七夜と西のまとめ役である七海やちよさん…その両者と関係があり、尚且つ事件を解決したという実績もある。実力も折り紙付きでしょう。
ただ、手伝ってもらうのはあくまで開業の旨を周知させる事、それまでのグリーフシードの調達…私も最初は不本意だったけれど、本人が即承諾してくれたのはありがたかったわぁ。
その後は私の腕の見せ所…
いきなりソウルジェムを弄らせてと言われて良いよ。と言う魔法少女は少数派…地道に信用を勝ち取って行くしかない。その為にも色んな物品を開発したのだからぁ。だからまずはやちよさんを調整しようと考えている。そうすれば信用を得る事で、東西双方のまとめ役からの信用があると周知させる事ができる。
「調整についても話し合うべきではあるが、まずは聞いてもいいか?急かすような真似をして申し訳ないのだが」
「そうですね。今更隠すような事でもないですし」
***
「…それで君は楽さんの死後、キュゥべぇから全てを聞かされた…と」
「そうなりますね。話してみると案外記憶って明瞭になるんですね…キュゥべぇにムカついてきちゃいましたよ」
「…あなたは楽さんを殺してしまった罪滅ぼしとして戦っているの?」
「俺が強ければそもそも姉ちゃんは死んでなかったと思いますし…姉ちゃんが生きていた事を途絶えさせたくないんですよね」
私達はナル君と楽さんに起きた全てを話してくれた。それはたった一日で起きた絶望の記憶…私達が最後に会った時の楽さんは酷くやつれていた。
その理由はナル君の虐めと入院…楽さんにとって残された唯一の希望がナル君であったとよく聞かされていた。その希望がいとも容易く打ち砕かれた…しかも楽さんが毛嫌いしている軋轢によって。
きっと理由なんてなかった。私達が受けた事も、結局はただの歴史に踊らされた人間達による行動。普段親世代やネットで東に関する偏見に触れているせいでしょうねぇ…だからそんな私達にとって楽さんの存在は大きかった。
十七夜から聞けば、魔法少女に関しても弱い者の希望のような存在で、グリーフシードを分け与えてくれていたそうだ。本人が必要ないと明言していたから…その理由は未だに分からない。恐らくナル君ですら知らない話。
本人が最前線から一歩を引いた教育実習生の時期でも一部の東の魔法少女からは尊敬の眼差しを受けていた程だそう。そもそもの戦闘能力が別次元にある…十七夜が自らの事を足手纏いだと自嘲する程…最強を名を冠するには相応しいわねぇ。同時にちょっと怖いけど…でも意外と可愛いところもあったりしたのよねぇ。
だから現まとめ役のやちよさん達にも厳しい目が向けられる事もしばしば…
「姉ちゃんの意志を継ぐ…ってのはちょっと先になりそうですがね。それこそ神浜でトップクラスに強くなれたら行動範囲も広げられるでしょうし」
「なかなかに長い旅路だな…」
「姉ちゃんがおかしいんですよホント」
「だが、彼女のような片鱗は見え始めているぞ。さっきの戦いで確信した。一辺倒な戦い方ではダメだと判断したのだな」
「それはどうも…最近は刀を使わずに単純なパワーで勝負するのも良いかなって思い始めてますよ」
「筋肉もついたものねぇ…あの頃が嘘みたいよぉ」
さっき早速十七夜とナル君で魔女を討伐してもらったのだけれど…ナル君凄い戦い方してたのよねぇ…刀を一切使わずに殴打や蹴りで牽制する事で後隙を短くしようとしているとナル君は言っていたけれど。
楽さんの背中に引っ付いていたのも割と最近だった気がするのに…こんな短時間で男の子っぽく成長しちゃって。学校じゃ悪評が広まっているそうだけれど、私達はナル君の良さはちゃんと理解している。
悪評が付いているのはナル君が言っていた友達の子もそうらしいけど…名前とかまだ聞いてないわねぇ。団地に住んでいるのなら知っている可能性もあるかもしれないのだけれど。
「修行も兼ねて魔女退治の時は偶にでもいいので呼んでくださいよ」
「…あまり自ら危険を冒して欲しくはないのだがな」
「私が呼んじゃったんだけどねぇ…」
私だって危険を冒すのは極力避けて欲しいけれど、本人がどうもやる気なものだからつい…楽さんに見られたら叱られそうねぇ。
…ナル君。私達はずっとあなたの味方で居るつもりだから…もう一人では抱え込まないで。私は中立だけれど、相談に乗ってあげる事はできるから…
楽さんが遺したあなたを途絶えさせはしない…絶対に。
***
トワとの特訓が始まってかなりの時間が経った──最近は何かと面倒な噂が付き纏い始めている。もう進級が目の前だってのに…それは数名の魔法少女が急に昏倒するというもので、犯人が全く見つからない事件となっている。
まぁ一部で俺が犯人なのではないかと疑われている訳だ…最近唐突に現れて七海さん達のチームに居座っているし、とにかく異端という理由が殆どだろうな。今考えるとあの時の安名さんが急に眠ったのもそれが原因なんじゃないかと…実際初めての被害者は安名さんだと言われている程だし。特に誰にも話した覚えはないのだが…一体どこから漏れ出したのやら。
調整屋を開業した八雲さんの情報筋でも真犯人は分からないらしい。火のないところに煙は立たないと言うし、犯人が居るのは事実なんだと思うんだけどな。
そう言えば結構繁盛してるみたいだよ。調整屋。八雲さん中々の曲者だから逆にそれが信用する理由になり得るのかも?いや理屈は分からんけど。
それと、最近は梓さんと会う事が極端に少なくなった…あの出来事から。如実に覇気がなくなっているし、いつもの実力も発揮できなくなりつつある。
あの出来事からかなり経ったのだが…一度話してはみたが逆効果だった。姉ちゃんみたいに梓さんの事を理解していないせいでただの綺麗事を突きつけていたようなのだ。梓さんに関しては俺はどうしていいのか分からない…
どうしたものか──
***
「よっし…やるかぁ〜!」
「ここ暗いんだよな…他に場所がないから仕方ないんだけど」
今日も今日とて廃墟で特訓を行なっている。日を跨ぐ毎に俺達の技術も格段にレベルアップはしている筈だ。ただ、今日はいつになくやる気に満ちているなコイツ…
「お前が如実に手加減しやがるから地味ーにイラついてんだよね。俺」
「手加減なんて別に…」
「嘘吐くなよ。俺じゃ役不足だってのかよ…お前から頼んできたのになぁ…っ!」
「──!」
速い──瞬きしただけなのに視界から消え失せやがった。予備動作なしでこの瞬発力…コイツマジでなんなんだ。
視界から消えたトワは既に俺の懐へと入り込んできており、足払いを決めようとしていた。咄嗟に小さい跳躍で避けるがそれはコイツの読み通りだった訳だ。
「──っ!無茶苦茶だなオイ!」
足払いの途中で瞬時に足を垂直に曲げて俺の下顎を鋭い蹴りで突き破る。だからって止まるような奴ではない。間髪入れずに天高く突き上げた足の軌道を逆行させるように振り下ろす。どんな筋力してやがる…!地面を押す手の力が相当ないと無理だぞこんな芸当…!
だが俺は避けずに頭のてっぺんで直で受ける。踵が入りジンジンとした痛みが響くが問題ない。
片手で足を掴んで半円を描くようにしてトワの身体全体を振り回して壁に向かって投げ飛ばし、休む暇を与えない為に全速力で投げ飛ばした方へと走る…前プロレスの試合で見たジャイアントスイングの片手版だ。普通なら全力では投げ飛ばさないよ。普通なら…だって──
「──相変わらずのバケモンっぷりか!」
空中で身体を旋回させてそのまま握り拳で壁をぶち破るぐらい馬鹿力なんだからさぁ。幾ら廃墟とはいえやっぱりおかしいんだよコイツ…だからやり甲斐があるんだよな!
壁を突き破ったトワは廃墟の外で立ち上がって俺へと向かって来るから俺も向かう。近接格闘戦だ…コイツの得意分野だ。まぁ大体近接戦闘しかしないがな。
「──っぶな!鼻潰す気か!」
「お前が言えた事か…普通なら死んでるんだよあんなん!」
空気が揺らぐ程の速度で振り抜かれた突きを避け、腕を掴んで腹部へと膝蹴りをお見舞いするが…かってぇな…!
──!やっば…!
俺が冷や汗をかいた原因は腹筋だけで蹴りを受け止めたトワの右手にある。トン…と優しく俺の脛へと指が曲がっている掌がセットされている。不味い…!この構えは…!
「──っ!お前出来ないんじゃなかったんかよ!」
──寸勁。ワンインチパンチとも呼ばれる中国武術の発勁の一つだ。以前コイツは出来ないなんてほざきやがったが…いや、こんな土壇場で完成させたのか!
寸勁の特徴は一つ──ほぼ予備動作なしで最大限の威力を引き出す事。支えのない板をも破壊する事ができ、一撃必殺の技とも捉えられるが──
「脛に入ったんだから少しはよろけろや!」
「よろけるかよ!そんな隙見せる程ヤワじゃねぇんだわ!」
コイツに関してはコンビネーションへの第一段階としての技なんだろう。俺がよろける事を期待してそこをやろうと奮起していたらしいが、コイツのやり方にも慣れて来てるんだわ。舐めてもらっちゃ困るって話!
まぁとは言え急所の脛に馬鹿力撃ち込まれて無事ではないわ。こっちの足は要らない…殴り合いだ。
お互い痛みで逆に漲って来ている状況からのガチの殴り合い──小細工なしで一撃一撃を全力でぶち込むがコイツは倒れない。いや、全部いなされてる…方向を全て別方向へと無理矢理転換させられている?魔力で拳の速度も格段に昇華してるというのに、どんな動体視力してるんだ…!
俺には悉くモロに入ってるのに、なんならもっと滾ってやがる…!こちとら魔力で強化してるってのになんなのコイツ!
十数分に及ぶ殴り合い──なんとか俺もいなせていると油断していたらトワの左手の掌底が俺のこめかみへと入る。流石にクッソ痛いが…!急所に入れても尚油断しないしコイツ…だけどお陰でお腹がガラ空きだ。
「──!」
地から天へと放物線を描く突き上げるような蹴りをトワの腹部へと全力で叩き込むと…トワの身体は吹っ飛び、受け身をとって地べたに倒れ込む。
「お前マジでなんで虐められてんだよ…怖いわ。こちとら何年間も武道習ってたってのにさぁ…速いんだわ。全体的に」
「お前も怖いよ…死ぬ程ムズイ技をこんな土壇場で完成させやがって。今だって衝撃を逸らしただろ…平然と立ち上がるしさぁ」
「効いたか?」
「まぁまぁ」
「はっ…こりゃ悪評が付いて正解だ」
魔力強化によるものとは流石に言えんわな…でもマジでアレは効いた。魔力なしでこの威力…常人なら骨が折れてるんじゃないか?
下手すりゃコイツ魔法少女ともやり合えそうな実力してるんだよな…幾ら武道経験者とは言えどんな身体してんだ?今の蹴りも割と本気でやったんだけど…何故平然と立ち上がるんだ。えっ?本当に効いてんの?めっちゃピンピンしてるんだけど。天は二物を与えずと言うが…例外が居たなここに。
何度も殴り合う上で分かる。俺が魔力によって攻撃範囲や速度を向上させていなかったら確実にコイツには惨敗していた。コイツこそ全力を出していないだろう…この特訓があくまで特訓の範疇であるから手加減をしているのかは分からない。体術面ではまだ俺はコイツの足元にも及ばない。
こっちが魔力強化ありきでようやくコイツの上に行けるぐらいだ…いい特訓になりそうだ。
だが、この技は使えそうだ…試してみるか。
「今日はお開きにするか。やり過ぎても無駄に悪評が広がるだけだからな」
「やっぱ気にしてるんだな」
「お前自分がした事記憶から抹消したのか??」
***
そして翌日──俺は早速寸勁を真似てみる事にした。そう簡単には成功しないだろうがまずは実践実践。と、言う訳で…結界にやって来た。とりあえず目標は寸勁の完成…他にも色々な技を教えて貰いたいしな。寸勁に関しては上澄み寄りなんだけども…当ててトワみたいにコンビネーションに繋げたいからな。最小限の出力で最大限の威力を出せるなら魔力の出力も抑えられる。
まぁ
刀を使わない戦い方なら魔力は身体強化のみに抑えられるが、適材適所だよな。拳なら一撃一撃を重く、刀なら広範囲を斬り刻める。だが…拳に徹する方が効率はいいだろう。俺の身体が刀を使うという事に魔力の割合が配分されているからな。それだけ魔力を節約できる。
それに他の魔法少女と協働する際に巻き込まないようにも出来る。完成を見据える事は大事だろう。
単独で魔女を討伐出来る程になれば怪我もする事が減る。だから魔力もより節約できる…のもある。奇跡的に反動が魔女戦中に来たのは精々指で数える程だが。
結界に突入し、使い魔を蹴散らしながら大元の魔女のもとへとやって来た。使い魔に関しては余裕で勝てるようになった。問題は大元の方だ。一撃でブチ破れる威力があれば相性関係なくもれなく討伐出来るかもしれない。必殺技ってのはやっぱり憧れるよなぁ。
この魔女は顔がピーマンでケンタウロスみたいな身体をした異形タイプ…見る限り走力はそこまで高くない。と言うか普段から常軌を逸した奴を見てるからこの程度じゃ動揺なんてしなくなった。
「よっし…コツを教えて貰ったからやってみるか」
寸勁の他にも中国武術には応用の効く技が多いらしい。靠撃という所謂体当たりの技や、化勁という防御技など…上澄みじゃない奴を殆ど扱えるアイツは本当に化け物だと思い知らされる。アイツ中2だよな…?年齢詐称でもしてるんじゃないのか。
落とすように撃つ…下半身に力が入っていて、上半身は脱力している。そんな感じらしい…極限の瞬発力を生むにはまずは身体の軸がブレないようにしないといけないと言う事か。
確か前にテレビで見たな…元から力が入っている腕は衝撃を受けたら簡単に動くけど、脱力して衝撃を受ける瞬間に力を入れれば全く動かないみたいな。それの応用…かな。
まぁまずは実践あるのみだよな。
『!□△〇〇〇〇??!。!』
「そっちから来てくれるとは…話が早い!」
向こうから俺に突撃してきてくれた。速度に関しては全力のアイツの方がまだ幾分か速い…だから簡単に避けられる。その瞬間に足を全て叩き斬り、立て直す術を失った魔女へと飛びかかる。やけに身体が脆い…何か裏があるのか?
「さて…再生されるかもしれないからな。早めに試させてくれ」
巨大へ登って魔女の腹部へと掌を脱力させてセットする。まずは一度全力で撃ち込んでみようか。
脱力からの…全…力!!
「──っらぁ!」
『○*¥€%→!?!?』
「うわっ!ちょっと…!」
ダメか…精々凹んだぐらいだ。ただひたすらに全力で撃ち込むだけじゃダメなのか…まぁ、流石に一回だけで会得出来るなんて考えちゃいない。こういうのは回数をこなすのが重要なんだ。
身体が脆い代わりに再生できるのかこの魔女…!今の俺と相性が果てしなく良い。だがいつまでも出来る訳じゃない。下手をすれば使い魔を呼ばれて数の暴力に晒されるかもしれない。それは避けないと…なるべく短時間で複数回決める。
***
「はぁっ…っはぁ…疲れたぁ…」
結局一回も成功しなかった…後半になるにつれて体力持ってかれるから突進を避けるのにも地味に苦労した。使い魔から成長した魔女なのかは分からないが、単に今回は相性が良かっただけなんだよな。鋼鉄みたいな魔女が来たら逆に腕が折れそうだ。
いや、この魔女だって別に弱くはなかった。身体が脆いだけでかなり厄介だった。すぐ再生するし…どこが致命傷になり得るのかが把握しづらかった。結局頭を潰したら討伐出来たけど…ジリ貧に強制的に持っていける魔女も居るのか。相性が良いんだか悪いんだか…
「あの…大丈夫?」
「えっ?ん…?魔法少女!?」
「気づいてなかったんだ…まぁ凄い気迫だったから」
結界から脱出して肩で息をしていると突然誰かに話しかけられた。声がした方向には三人の魔法少女が立っていた。見る限り…いやなんか…カウボーイの人以外の二人の格好凄いな…やっべ見過ぎたら変態扱いされてしまう。色々と露出多くない…?十咎さんとか鶴乃さんにも言えるんだけどさ。まぁ慣れか…曲がりなりにも思春期真っ只中の男子なんだよな俺…
***
「じゃあ、あなたが昏倒事件の犯人だって噂されている人?」
「ちょっとまさら…」
「やっぱりそうなんだ…」
「まぁまぁ…」
凄い格好をしていたのは『粟根こころ』さんと『加賀見まさら』さん。カウボーイの人は『江利あいみ』さん…同じ中央学園の生徒で仲が良いらしい。特に粟根さんと加賀見さんに関してはかなり絆が深いのではないだろうか。加賀見さんも何だかんだ粟根さんを気に掛けているのが分かる。
とは言え直球で言ってくるなぁ…事実…ではないんだよ?噂を潰そうなんて殆ど不可能に近いし…安名さんのアレも昏倒なのかね?
その昏倒した魔法少女ってのが判明できたら話は進展しそうなのだが…いかんせん情報が無さすぎるんだよな。
仮に犯人が居るとしても目的が分からんな…魔女とは考えにくいし。もし魔法少女だとしても行動理由がマジで把握できん。俺を犯人に仕立て上げたいのか?
「六倉君の噂はよく聞くんだよ?まさらが言ってる昏倒事件もそうなんだけど、東西のトップとまともにやりあえる実力者だとか」
「あっ、それ私も聞いた!筋骨隆々なムキムキマッチョマンだと思ってたけど」
「過大評価が凄いな…!」
まーた噂が阿保みたいな湾曲の仕方してる…最近になって魔女とも単独でやり合えるようになったばっかりだってのに。姉ちゃんの意志を継ぐならそれこそ七海さん達を超えるぐらいの実力が欲しいのも事実ではあるが…長い長い道のりだが…
「でも意外と噂通りだと思うんだけど…どう?」
「えっ?何を見てそう思ったの?」
「何って…キミさっきの自分の戦い方客観視してみて?凄いから」
「魔女の腹部が凹む程の力…私にはできない」
「六倉君って着痩せするタイプ?」
「分かんないな…筋肉は多少人よりはあると思うけど、一撃で倒せるぐらいのパワーはまだついてないと思うんだよね」
今はそこが目標になっている。勿論筋力も技術も特訓のお陰で無意識的に行えるようにはなっているが…やはりまだ姉ちゃんのような極致には達していないようだ。姉ちゃん一撃で魔女を真っ二つに出来る程のパワーもあったらしいし。
「随分先を見据えてるんだね…私は十分に感じちゃうな」
「あれだけでも百人力だと思うよ?倒せてなくともフラフラさせれるし」
「そういうものなのかな…」
最近はチームで戦う事が減ったからイマイチ把握できんな…最近一番チームで会ってるの安名さんだなそう言えば。今度安名さんにも聞いてみるか。
「噂は仕方ないか…」
その後、安名さんの身に起こった事を三人に話してみたのだが…何とか信用はして貰えたようだ。いや100%とは言えないが…俺が嘘を吐いているという可能性も彼女達は捨て切れないだろうし。
この嫌な噂を払拭したいが…何処か俺を陥れようという作為的な意志を感じる。
もうちょっとで帆奈を出せそう…早く出したい。
トワ君に関してはナル君と地味にやりあえてる時点で化け物。