更紗帆奈の隣の家に住んでいた男の子の話   作:nalnalnalnal

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今回もプロローグ感が強め。


第29話 隠し事

 

 

 

 

 

「……あぁ〜……俺が先に起きたのか。じゃあ弁当は俺が作るか──って」

「ま〜た色々はだけてんだよな……」

 

 

 微かな眠気を孕みつつ怠そうに起き上がるナル──そしてそんな彼の腕を抱き枕にして至福の笑みを浮かべて眠る帆奈。この光景は二人にとっては慣れっこであったが、意識が覚醒したナルが最初に感じたのは柔らかな触感──帆奈のパジャマの中に無理矢理突っ込まれた腕に纏わりつく乳房だった。

 

 

 相変わらずでっかいな……と後少しで乳房が全て曝け出されてしまう程服がはだけた帆奈にナルは感じる。

 付き合ってからはと言うものの、毎日同じベッドで夜を過ごすようになった二人──ナルが先に目を覚ます時にはいつも帆奈が身体に纏わりついているか、今日のように乳房が溢れかけているか溢れているか──慣れっこではあるが、朝っぱらから色々と煩悩が出てくるせいでベッドから出るのが遅れる事が多々ある。

 

 

「……みことさん見てないよな……?」

 

 

 瀬奈みこと──帆奈の中に存在する人格。本体は魔女化して人格だけが帆奈に移植されたという、異端も異端な存在。本人が魔力切れを起こしたら帆奈に姿は見えなくなり、本人が回復するまでの期間の記憶は本人だけがなくなる。ナルは未だにみことの顔すらも見た事がない為、いつか挨拶したいと考えている──それと同時に元の魔法少女に戻す方法がないか、模索している。

 

 

 帆奈が魔力を分け与える事も可能であるが、最近はみことも思念体へ適応し始めている。以前より多く帆奈に姿を見せる事が多くなった。しかし当然休息も必要な為、大体二人が寝るタイミングで本人も休息を取るのだ。丁度今日は長く休息を取っており、お互い姿を見せ合っていない。

 

 

「……」

「んぁっ──あっ」

「……」

「ぅぁっ……んっ」

「……起きるか」

 

 

 視線を乳房に集中させると、ナルの本能が脳内で揉めと命令し始めた為、とりあえず五回程帆奈の乳房を揉むと帆奈の口から小さな嬌声が溢れ落ちる。普段の強気な帆奈とのギャップに更に唆られるが、これ以上やったら本人が起きると危惧したナルはすぐさま起床する事に決めた。

 知り合いの魔法少女にこんな姿見られたらどう思われるか想像もしたくない……と自分の煩悩は当然だと言わんばかりに疑問を抱くナル。

 

 

 一度揉んでいる時に帆奈が目を覚ました時があったが──その時はぶっ飛ばされると思っていたナルだったが、帆奈の反応は予想外にもいつもの生意気さではなく艶めかしさを感じさせるものであり、むしろウェルカムという雰囲気を纏っていたのだ。

 学校前であるのに加えて理性的な意味でヤバいと感じたナルは飛び起きるようにベッドから起床……その日は学校でも微妙な空気が流れていたのだ。

 ちなみにその日のみことは二人が起床後に意識を覚醒させ、お互いに流れる微妙な空気に疑問を抱いていたが、帆奈の下手くそ過ぎる言い訳でなんとか説得出来たのだ。

 

 

 ナルは曲がりなりにも思春期真っ只中の男子──当然()()()()()にも興味はあるが、お互い心の準備が出来ていない状況下である為、流石に不味いと感じている。

 だからとりあえず起きないように堪能する……これが最近のナルの日課になっていた。

 

 

「切り替え……られる訳もないんだってマジでさぁ……作るけどさぁ」

 

 

 現在の六倉家でのルール──先に起きた方がその日の弁当を作る。というもの。お互いがお互いの手作り弁当を食べたいからという理由で制定された絶対的な六倉家における法。

 付き合ってからこのルールはお互い一度も破った事がなく、それはお互い根は真面目である為絶対に寝坊はしないという性格上の理由だった。また、二人とも料理は多少は嗜んでおり、ナルは帆奈が来る前からの日常的な食事、帆奈は六倉家に来てから付き合うまで毎日のように花嫁修行と言わんばかりに料理をしていた。お互いが相手の料理が下手でも、絶対にお世辞じゃなく心の底から美味いと言える自信があるという理由もあるのだが……

 

 

「さっさと作ったらもう一回ぐらいいけるか──って、メールか……しかもアイツじゃん……」

 

 

 未だに煩悩が抜けきらない発言をかますと、ナルの携帯にメールが入る。送信主は小日向トワ──『悪い。課題やってなかったから学校で見せてくれ頼む!』という内容であった。

 アイツが課題やり忘れるなんて珍しいと思うナル──それもその筈、学校一の不良だとか何とかで恐れられている彼は毎回課題をきっちりこなすのだ。出会って間もない頃はマジかと驚愕した思い出がナルにはあるし、担任からの評価も意外と悪くないのだ。ただ、面倒事を以前はちょくちょく起こしていた為目はつけられているが。

 

 

 そこら辺の中学生よりも遥かに真面目な奴という認識でいるが、魔力を持たざる者であるのにナルと地味に格闘戦でやり合える化け物っぷりを見ると、やっぱコイツ恐れられて当然だともナルは感じる。

 トワに了承の旨を伝え、彼とのメッセージ欄を閉じると目に入るのは他の連絡相手──トワ以外全員女性という年頃の男子中学生とは思えない光景が広がっていた。

 

 

「そういや常盤さん達との情報交換はいつだったかな……」

 

 

 彼が最近よく連絡をしているのは、常盤ななかの一派と静海このは率いる三人組──このはと遊佐葉月に関してはただの友人としての会話もあるが、他は大体がそれぞれの地域における情報を交換する事だ。

 本当はななかとの同盟は切るつもりだったのだが、彼にも色々事情が出来た為、同盟は切らずに続けている。お互い単に不器用な為色々誤解し合っていたが、昏倒事件以降は上手く話せているのだとか。ななか達とこのは達とはよく情報交換の場を設けている。

 

 彼女達以外では安名メルや御園かりんなど……単にプライベートで会う事が多い魔法少女だ。

 ナルは一応名目上は七海やちよのチームに所属している事になってはいるが、殆ど帆奈と行動を共にする為、やちよとメル、由比鶴乃の三人チームとして今は機能している。

 かりんとはよく漫画の話で盛り上がっているが、帆奈に本気で節度は考えろと脅されている為、内心ビビりながら会っているのだ。

 

 

「静海さんのアイコン三栗さんなの偶に見間違うからビビるんだよな……余程好きなんだろうけど」

 

 

 メールを見ながら片手間で弁当作りをしていたナル──数少ない友人の不器用な行動に笑みを零しながらもテキパキと作り終えた。

 時間を見ればまだ出るには早過ぎる時間……帆奈がまだ寝ている為、今から二度寝なんてしたら寝坊してしまうと感じたナルは、朝食の支度に入ろうとした。が、その時──

 

 

「ナルぅ……あれ、居ないぃ……」

「──おっ、起きたか」

「うん……」

「って、今日は一段と寝ぼけてるな。朝ご飯作るからもうちょい寝ててもいいぞ」

「ほんとぉ……? ありがとぉ……」

 

 

 帆奈が目を擦りながら起床する。ナルが居ない事に寂しさを覚えてる様子に可愛らしさを感じながらも、揉んだ事はバレてませんようにと祈るナル。

 再度就寝する──と言うよりは、朝食が完成するまでナルの布団の匂いを嗅ぐ帆奈……朝はよく帆奈の珍しい一面が見れるからナルは好きなのだ。

 

 

 彼らの一日はこうして始まる。二人が望む幸せな日常──彼らはこの日常を守る為、今日も戦い続ける。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「──で、お前はそのクソの役にも立たないクソ話を俺に聞かせて何がしたい訳?」

「酷い言いようだな……サラッと言っただけじゃないか」

「お前絶対その話更紗にバラすからな」

「俺が悪かったからマジでやめて」

「周りに聞こえないように言うのも余計タチ悪いんだよ」 

「聞かれたくはないし……」

「何言ってんのお前」

 

 

 そして学校生活へ──ナルとトワは体育の授業終了後、教室で着替え始めていたのだが、ナルがサラッと今日の朝の出来事をトワに話した事によってトワの機嫌が急降下している。元々真面目よりの性格だったナルがここ最近になってふざけ始めたせいで色々と困惑しているのだ。コイツにも一応欲はあるんだなと、改めて帆奈の凄さを感じるトワ。

 あの時ナルに帆奈の事を意識させたのは間違いだったかなと思うぐらいナルから毎日のように惚気話を聞かされて辟易している。

 

 

「にしてもお前って……世界一着痩せするタイプじゃない? どうなってんのそれ」

「どの口が言ってんだ? こんな短期間で筋肉ってつくものじゃないんだよ……お前ドーピングでもしたん?」

「体質だよ体質」

「だとしても限度ってもんがあるくねーか?」

「素直に友達の成長を喜べよ」

「そんなキャラだったかお前……? 更紗の影響力すげーな。普段何してんだよ家で……あぁ揉んでんのか」

「それは朝だけだよ!」

「更紗も大変だなー」

 

 

 着替え時間である為当然お互いの身体が晒されるのだが、ナルはトワの中学生とは思えない筋肉量に、トワはナルのたった数ヶ月だけで前とは比べ物にならないくらい発達した筋肉に疑問を抱いていた。

 ナルに関しては筋トレ後に無理矢理魔力で筋肉の超回復を行なっている為このような結果になっているのだが、トワに関してはただの幼少期からの鍛錬の賜物によるものなのだ。

 

 

「って、やべ! 呑気に話してる場合じゃねーわ!」

「ああ、課題か。多分想像以上に量多いから頑張れよ〜」

「クッソ昨日寝落ちさえしなけりゃ!」

「多分というか絶対間に合わないけどな」

「黙ってろ!」

 

 

 昼休みになると、いつもナルと帆奈とトワの三人で昼食を取っている。トワは帆奈にとっても良い友達という存在なのだ。帆奈がナル以外の男に心を奪われる事なんか天地がひっくり返っても有り得ないとトワに豪語しているのもあるが。

 爆速で課題を写していくトワを横目に、ナルは着替えを終える帆奈を待ちながら昼食を食べ始める。

 

 

「──うわっ、その課題やってなかったんだ」

「話しかけるな更紗。俺は今窮地なんだよ」

「不良なんて言われてる癖に提出期限を厳守するのはなんなの?」

「変に真面目だからなコイツ」

「課題すらやんなかったら余計目つけられるからだよ!」

「あんた何しても目つけられんじゃないの?」

「マジで黙ってろよ!!」

 

 

 男子が全員着替え終え、授業終わりの女子が教室に戻る。帆奈も何とも学生らしい話をしながら自席に座ってちょくちょくトワを煽りながら弁当を食べる。側から見ればナルと帆奈の距離が近過ぎるせいで色々と噂されているが、本人達は全く知らないようだ。

 トワは当然知っているが、面白いという理由で本人達には知らせていない。だが、最近はナルのおちゃらけ度が急速に上がっている為言うか迷っている最中で、最近はナルとの特訓も取りやめになり、ストレスの吐け口が見つからずにいる毎日。

 

 

 普段の教室では三人に水波レナが加わったグループが形成されているが、帆奈以外の三人の印象が悪いせいで誰も寄り付かないのだとか。中でも一番印象が悪いのがトワ──数年前に起こしたとされる騒動が尾を引いているのだが、未だにナルと帆奈、レナはその全貌を知らない。

 本人が神浜の軋轢を毛嫌いする理由もそれに関連しているのだが、本人が全く話す気すら見せない為今は現状維持を続けている。 

 が、ナルはトワとの特訓での彼の発言から、何となくだがその騒動の内容は理解している。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「ごめんなさいねぇ。手伝わせちゃって」

「いいんですよ別に。普段お世話になってますし」

「……そうねぇ」

 

 

 なんて事のない学校生活が終わり、二人は調整屋へとお手伝いにやって来た。元は帆奈が起こした事件の償いとして始めたものであるが、慣れてきた帆奈は偶に自主的に手伝いに来るのだ。最近は報酬も貰えるようになった為、それ目当てでもあるのだが。

 

 

 ただ、調整屋店主の八雲みたまは、帆奈とナルへの対応の仕方について考え始めている。それは二人に出来た()()に関連しているのだが、未だに本人達には打ち明ける事が出来ないでいる。

 何とか表面上は取り繕ってはいるが、二人には当然バレている。みたまの懸念の理由の大部分をナルの姉──六倉楽が占めており、ナルも大体懸念する理由も分かっている。だが打ち明けはしない──ナルにとってはみたまよりも優先するべき事情だからだ。

 

 

 最近になって、ナルも楽同様に最強だ何だと一部の魔法少女の間で揶揄され始めているが、本人はそれを聞くたびに心を少し痛めている。

 しかしみたまのようにそれを全く表には出さず、今日も目的を完遂させる為に戦っている。

 

 

 みたまが客の気配を感じ取って店の方へ出向き、二人は裏での作業を続ける──このタイミングで帆奈がある話題を投下する。

 

 

「あんたもこの後向こうに行くんだよね?」

「そうだな。戦闘教練もあるし……」

「……他の子とあんまりスキンシップ取らないでよ」

「取らないって。今日の朝十分取ったから……」

「……は?」

「いやなんでもない」

 

 

 投下された話題のせいで今朝揉んだ帆奈の乳房の感触を思い出すナル──その反応で薄々何があったのか察してしまった帆奈の顔はどんどん真っ赤になり、声もか細いものになっていく。しくったと冷や汗を流し始めたナルは、逃げるように話を戻す。

 

 

「今日はあの子達には呼ばれてないし、特訓の方に力を入れられそうだ」

「……ヘンタイ」

「ごめんて」

……もっと揉んでもいいのに……

「……」

 

 

 下を向きながらボソボソと呟く帆奈にナルは頭を抱える──自分からあんな過激な事をしておいて何を今更恥ずかしがっているのか。と、とうとう開き直り始めた。帆奈の過激な行動がなければ付き合っていなかったかもしれないと考えると何とも言えなくなるが。

 とは言ってもやり過ぎたら本気で理性が瓦解してしまう為何とか衝動を堪えるナル……脳内がピンク色に染まり切る前にさっさと終わらそうと考え、未だに動きが遅くなった帆奈を横目に機敏な動きで作業をする。

 

 

 そしてナルが作業を終える頃には、店の方で複数人の話し声が聞こえ始める。調整が終わったのかなと考えるナルの耳に、クラスメイトの声も入り込んでくる──丁度良い。ついでに明日の学校でのグループワークについて話しておこう。という名目で帆奈から逃げる。

 店へ出向き、中に居た魔法少女達へと挨拶をするナル。

 

 

「やっぱ十咎さん達だったんですね」

「お〜ナル君。今日もお手伝い? 帆奈ちゃんも裏に居るの?」

「今作業してますよ」

「ふ〜ん……また一緒なのね」

「そりゃ勿論」

 

 

 つい先程恋人から逃げて来たとは思えない発言をかますナル──店には元やちよのチームの十咎ももこを筆頭とするチームのメンバー全員が揃っていたが、その中に一人だけ見覚えのある魔法少女を見つけた。彼女と一緒に居た魔法少女は帆奈が既に連絡したと聞いた為居ないのは当然かと思いながら、彼女に話しかける。

 

 

「君、宝崎の魔法少女だよね? 神浜に来てたんだ」

「──あっ、あの時の! あの時はありがとうございました!」

 

 

 つい先日魔女に追い詰められていた所を助けた宝崎市の魔法少女──環いろはを。

 

 

 

 

 

 

 






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