マグル学のすゝめ   作:バナナ牛乳

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ハーマイオニー視点です。長い。


第二十七話 ハーマイオニー・グレンジャーの推理

 

 三人は厨房を訪れていた。

 厨房に訪れる生徒はそう多くなく____ハッフルパフ生はよくやってくるらしいが、クリスマス休暇だから皆帰省している。つまり、秘密の計画を練るにはうってつけの場所なのだ。

 

 しかし、ただ集まるだけだというのに、それすらスムーズには行かなかった。

 

 マルフォイは屋敷しもべ妖精なんかに囲まれるのは嫌だと駄々をこねたし、ハーマイオニーはこのあり得ない奴隷労働が学校という公的機関でまかり通っていることに憤慨した。

 

「ちょっと待って! こんなの許されないわ、奴・隷・労・働よ!」

マ・グ・ル・生・ま・れ・のミス・グレンジャーはご存じないだろうね。彼らはこういう生き物なんだ」

 

 二人は言い争ったが、ジョージが取りなしたので一旦大人しく座った。でもやっぱり、こんなの許されないわ。この騒動が終わったら、屋敷しもべ妖精たちの待遇改善について考えなくちゃ。

 

「父上に手帳を返した。脅迫は成功した」

 

 マルフォイが短く言うと、ハーマイオニーとジョージは拍手した。彼がいなければ事態はもっとひどいことになっていたかもしれない、とハーマイオニーはひそかに思った。

 倫理的に考えれば、手帳を先生に渡してすべて話すのが一番だろうけど_____コーディに傷ついてほしくない。

 

 一年生のハロウィーンの夜、それまで酷い態度を取っていた自分を優しく励まして庇ってくれた。人と親しくするのは苦手だったけど、コーディのおかげで、ラベンダーやパーバティとも楽しく話せるようになった。

 

 やっと周りに溶け込めて、友人がたくさん出来て楽しく過ごせるようになったコーディを、もう孤立させたくない。一年生の最初、あらぬ噂を信じてコーディを避けてしまったのは、ハーマイオニーの人生の中でトップクラスに愚かな行動の一つだ。

 

「取りあえず、やることリストその一は済んだな」

 

 ジョージが小さな黒板の一番上に書いてある「手帳の処分」に二重線を引いた。「どこから用意したのよ」と聞きそうになったが口をつぐんだ。ジョージとマルフォイは脱線するときりがないのだ。

 

「そうね。私も考えたことが」ハーマイオニーが続けて、一番重要な事について話そうとするとマルフォイが遮った。

 

「ちょっと待て。お前のご立派な友人たちはずいぶん忙しいようだな。コーディが寝たきりだっていうのに、見舞いにも来やしない。面会謝絶だって言ったって、ザビニ____母親の方にサインをもらうくらい簡単だろう。あのロングボトムでも来られたんだから」

 

 これは耳が痛かった。大事な友達が倒れたというのに、つい最近までまったく面会に行こうとしなかった。マルフォイの言う通り、面会謝絶だからと何も考えようとしなかった。せいぜいクリスマスプレゼントをマダム・ポンフリーに託したくらいだ。

 

「仕方ないわよ。だって、私たち、休暇まで本当に忙しかったんだもの。ハリーはスネイプに“我輩の研究室で盗みを働いたと聞いたぞ! ”って言われて罰則を受けていたし、ロンと私はポリジュース薬があって」

 

 そう言いつつも、それが言い訳でしかないことはハーマイオニーがよく分かっていた。ハリーは何も話してくれなかったけど、コーディについて思うところがあったようだし、ロンはまだコーディを完全には受け入れてないみたいだし、私だって_____「穢れた血」と言った時のコーディの顔があまりに怖かったから。それに、クィレル先生のことだって、何か隠しているように見えた。

 コーディとは友達なのに、きちんと信じてあげられなかった。

 

「ポリジュース薬だと?」マルフォイが言った。しまった、と思った時にはもう遅かった。

 

「驚きだぜ、ハーマイオニー。君、案外ワルだったんだな」

「私たちはあなたたちみたいに、ふざけた目的で使おうとしてるわけじゃないわ!」

「____じゃあ何に使おうとしてたんだ。言うまでもないと思うが、お前たちは何十もの校則を破ってるんだぞ。僕が先生に言いつければ……」

「おいマルフォイ、ストップ。ハーマイオニー、俺もこいつも告げ口なんかしない。俺たち、愉快でサイコーなフレンズなんだぜ」

 

「フン、認めたつもりは無いが」と言いつつも、マルフォイは渋々頷いた。ハーマイオニーも、マルフォイを信頼していないけれど……今は信じるしかないのだ。

 

「クラッブ、ゴイル、ブルストロードに変身するつもりだったの」

「君こそが真のグリフィンドール生だぜ、ハーマイオニー。クラッブの足の爪を飲むなんて、考えただけで吐きそうだ」

「言っておきますけどね、ポリジュース薬に入れるのはどこの部位でもいいのよ」

「へえ。僕はどこの部位だろうとごめんだがね」

「____って、そんなことを言ってる場合じゃないのよ」

 

 少しするとすぐこれだ、すぐに脱線してしまう。ロンに「宿題をやりなさい」と言った時以上に遠回りな議論。しかし、ハーマイオニーはため息をつきつつも、自分の口角が少し上がっていることに気づいていなかった。

 

「実は私たち____あなたを疑っていて……いいえ、その、あなたから情報を聞き出すつもりで……でもあなたは無実だったわね。本当にごめんなさい」

 

 事の発端はルシウス・マルフォイがジニーに手帳を渡そうとしたことなわけで、マルフォイもそれを知っていたのだからこの疑いは的外れではないけれど、無実ではあったのだ。

 マルフォイは不満気な顔で鼻を鳴らした。

 

「でも勿体ないな。それ、使わないんだったらちょっと分けてくれよ」

 

 ジョージがそう言ったので、ハーマイオニーは眉をひそめた。

 

「何言ってるの。予定通り使うわ、いきなり中止なんて言ったら疑われるに決まってるじゃない」

「マジかよ、マーリンの髭なんてモンじゃないぜ」

 

「マーリンの髭」という言葉に、ハーマイオニーはコーディとロンを思い出して少し笑った。____いつかロンが、コーディを受け入れられる日が来ますように。悪い大人のせいで、何の罪もない子どもたちが悲しい気持ちになるなんて、許されるべきじゃないわ。

 コーディも優しい子だけど、ロンも優しい子だ。きっと、分かり合える日が来る。

 

「ちょっと待て、中止しないってことは、お前たちが寮に入ってくるってことか?」

 

 ハーマイオニーが感傷的になっていると、マルフォイが怪訝な顔をして尋ねた。確かにこれはマルフォイに言っておくべきだった。

 

「ええ。あなたとお話することになるでしょうね。ちなみに、明後日の晩の予定よ」

「……グレンジャー、そういうことは先に言っておいてくれないか」

 

 マルフォイがやれやれとため息をついた。この手順について、またあとで話し合わなくっちゃ____どうせ、何か厄介な事になるに違いない。

 

「ハーマイオニー、もしまだ何か隠し事があるなら早めに言ってくれ。俺たち、驚いて死んじまうかもしれないけど」

 

 ハーマイオニーは顎に手を当てて考えた。ここ数日、あまりにいろいろなことが起きたから、全て話していたらものすごい時間になってしまう。

 

「隠し事って言うほどのことじゃないけど……ハリーとロンにはあなた達と会っていることがバレたら困るから、それぞれ忙しくしてもらっているわ」

「へえ、どうやって?」

「ハリーの方は、スネイプに匿名で嘘の告げ口をして、毎日罰則が行われるよう仕組んだわ。クリスマス休暇だけど、スネイプったらカンカン。ロンの方は、ポリジュース薬の効果が長続きする薬を作ってもらっているの。もちろんそんな物は無いわ、ただの縮み薬よ。私は今、図書室にこもって怪物の正体を調べていることになっているの」

 

 ハリーとロンにこの会合がバレることはない、と安心させるつもりで言ったのに、二人は引きつった顔をしている。むしろ、何の準備もせずに来るほうがおかしいのに。

 

 マルフォイとジョージがハリーとロンに同情し、心の中で「何があってもハーマイオニー・グレンジャーを怒らせないようにしよう」と固く誓ったことなど、ハーマイオニーは知る由もない。

 

「____ハーマイオニーの恐ろしさが十分わかったところで。二人とも、他の方面で何か進捗はあるか?」

「まず僕から。証拠隠滅に関してだ」

 

 マルフォイの話は、とても信じられないものだった。

 

 ロックハート先生が稀代の嘘つき? 詐欺師ですって!? 何かの間違いに決まっているわ_____確かに、授業内容は完ぺきとは言えなかったし、少し不思議な行動もしてらっしゃったけど、詐欺師だなんて! きっと何かの間違いだわ。

 でも、忘却術を使いこなすのは難しいし、ロックハート先生を頼るのは良い案だわ。こんな計画に手を貸してくれるかは不安だけど……それに関しても、話し合う可能性があるわね。

 

「次は私よ。コーディを目覚めさせる方法について……確実ではないけれど」

 

 ハーマイオニーがそう言うと、二人は途端にイキイキとした表情になった。三人を繋いでいるのは「コーディを助けたい」という気持ちのみなのだ。

 

「さっすが千年に一度の才女だぜ」ジョージが身を乗り出しながら言った。

 

「記憶を消すしか無いと思うわ。もちろん、継承者や秘密の部屋に関するものだけをね」

 

 魔法薬をいくつも調べたが、スネイプですらコーディを目覚めさせることは出来なかったのだ。魔法薬でのアプローチは諦める他ない。

 それに加え、“コーディ自身が目覚めたくないと思っている”という話。コーディが目覚めたくないと思うのは、秘密の部屋騒動の罪悪感があるからだろう。

 ジョージが珍しく難しい顔をしているが、ハーマイオニーにはその気持ちがよく分かる。勝手に記憶を消すなんて絶対に許されないが、こうするしかないのだ。

 

「良いじゃないか。三人に忘却術をかけるのも、四人にかけるのも変わらない」_____マルフォイったら、忘却術がどんなに難しいか分かっていないんだわ。いくらロックハート先生だって、立て続けに忘却術を使うなんて無茶よ。

 

「それに関しても、別の案があるの。スウーピング・イーヴルを知っているでしょう? ディーンたちに使うのはそっちにしようと思うの」

 

 ハーマイオニーがそう言うと、ジョージとマルフォイは顔を見合せて首を傾げた。“スウーピング・イーブル”はとっても有名な動物で、ニュート・スキャマンダーやグリンデルバルドに関する本には数多く登場するのだ_____とっても有名なんだけど、まさか知らないのかしら。

 

「あなたたち、スウーピング・イーブルの毒液に関する逸話を知らないの?」

「グレンジャー、鼻持ちならないご高説は結構だからさっさと本題に入ってくれ」

 

 ハーマイオニーはマルフォイをきっと睨みつけた。

 

「スウーピング・イーブルは別名、空飛ぶ悪魔と呼ばれていて……」

「今は授業中じゃないんだがね?」

「_____彼らの毒液はとても強力なんだけど……」

「君の知ったかぶりにはウンザリだという意味なんだが、分からなかったか?」

 

 マルフォイって、やっぱり、本当に嫌な奴だわ! 

 

「薄めることで、非常に有用性のある魔法薬を作り出せるのよ。悪い記憶だけを消すことが出来るの」

「クールにもそれを使えば良いんじゃないのか?」

 

 ジョージが目を輝かせて言った。ハーマイオニーだってそう考えなかったわけじゃない。

 

「_____秘密の部屋に関する全てが悪い記憶とは限らないでしょう? 少しでも残っていると、いつか、自分が継承者だって思い出してしまうかもしれないわ」

「良い案だとは思うが……そのスウーピング・イーブルの毒をどうやって手に入れるんだ?」

 

 そういえば、マルフォイって意外にも真面目なのよね。一年生の頃の自分を思い出し、ハーマイオニーは笑いを堪えた。

 ハーマイオニーとジョージは声を合わせて言った。

 

「もちろん、スネイプの研究室から盗むのよ(んだよ)!」

 

 マルフォイは青白い顔で「僕は絶対行かないぞ!」と叫んだが、二人は無視した。

 

「それから、秘密の部屋の怪物についていくつか候補が絞れたの」

 

 まず、アクロマンチュラ。

 ハグリッドは追放される前、「蜘蛛を追え」と言い残したのだ。まさか、本当に蜘蛛を終えという意味ではないだろう。蜘蛛といえばアクロマンチュラだ。あまりに捻りが無い伝え方だが____まあ、ハグリッドらしいだろう。

 

 次にコカトリス。水を飲んだだけでその場を汚染するという伝承があり、ホグワーツで風邪が流行った原因ではないかと思ったが、考えすぎだろうか。

 

 三つめはマンティコア。先の二つと並ぶ危険な生き物だ。人肉を狙うという記述もあった。

 

 最後はバジリスクだが、これは“スリザリンといえば蛇”という安直な推理からだ。

 

「でも、どれだとしても、継承者がいなかったら何もしないんだから放っておけば良いんじゃないか?」

 

 ハーマイオニーが反論しようとしたが、驚いたことに、先に口を開いたのはマルフォイだった。

 

「いいや、そういうわけには行かない。継承者も怪物も見つからなければ犯人探しは終わらない。怪物の正体を突き止めて報告し、倒してもらうまでが証拠隠滅だ」

「お前、意外と賢いんだな。見直したよ」

「お前は頭が悪いんだな。もちろん知ってたぞ」

 

 マルフォイとしばらく頭を叩き合ったり、くだらない言い争いをした後、ジョージはハーマイオニーに質問した。

 

「そいつらって、人を石にするような怪物だったか?」

「いいえ、ただ殺してしまうの。コーディがどうにか防いだんだと思うけど……」

 

 それに、コーディはどうやって危険な怪物たちに刃向かったのだろうか。大人の魔法使いだって出来るとは思えない。

 

「父上は何もおっしゃってなかったのか?」

「ああ。怪物の正体を知っていたら具体的に警告してくれたはずだ____グレンジャー。もっと何か情報はないのか? なんでもいい」

 

 ハーマイオニーは少し考えた。仮説はあるが、自信が無いのだ。

 

「実は私、アクロマンチュラとマンティコアの可能性が高いんじゃないかって思っているの。この二つの共通点が何か分かる?」

「僕らは君の生徒じゃないんだがね」

「……アクロマンチュラはとても賢くて、人の言葉を話せるの。マンティコアは獲物を食べるときに小声で歌を口ずさむとされているわ」

 

 マルフォイとジョージは顔を見合わせた。二人とも、「それがなんだって言うんだ」と思っているに違いない。

 

「ハリーが襲撃の前に毎回声を聴いていたの。それで、その方向に向かったら石があって、第一発見者になってしまったの」

「へーえ、ポッターはついに幻聴が聞こえるようになったのか?」

「よせよマルフォイ。でも、それならハリー以外にも聞いてるやつがいたはずだぜ」

 

 確かにジョージの言う通りだ。

 ハリー、ロン、ハーマイオニーの中でハリーだけが特別耳が良いというわけではない。それに、ミセス・ノリスの時はハリーの隣にいたのに何も聞こえなかった。

 

「まあ、それでも一歩前進だけどな」

「ねえ、あなたは何か心当たりが無いの?」

 

 ミセス・ノリスにディーン。ジョージは襲撃直後のコーディに二度も会っていて、証拠の隠滅までしているのだ。気づかないうちに何か見ていてもおかしくない。

 

「そりゃ、クールの様子は“気づいてください! ”ってくらいおかしかったけど……」

 

 ハーマイオニーは俯いた。ジョージの言う通り、コーディは“気づいてください! ってくらいおかしかった”のに、こうなるまで何もできなかったのだ。気づくチャンスはたくさんあった。おかしな顔色、ハリーに対する態度、自分たちを避けていたこと、あんなに大事にしていたウォークマンを自ら壊したこと、それに___「穢れた血」なんて、コーディが言うはずないのに。

 

 隣を見ると、マルフォイも暗い表情をしている。

 

「まあまあお二人さん。ただでさえ最悪な状況なんだからさ、明るくいこうぜ」

「まずはハロウィーンの夜だ。そこから何があったか、詳細に、一つ残らず話せ」

 

 マルフォイがそう言うと、ジョージは話し始めた。大体は前に聞いたのと同じ話で、何も分からないけれど____ちょっと待って。ペンキと……鶏の羽根? 

 

「ジョージ! それよ! ああ、私ったらなんて馬鹿だったの!」ハーマイオニーは叫んだ。

 

「落ち着けよ、ハーマイオニー。君がバカなら俺たちはトロールか?」

「僕を巻き込まないでもらいたいね」

 

 二人の会話に口も挟まず、ハーマイオニーは歩き回る。

 ____バジリスクは雄鶏の鳴き声を恐れる。声がハリーにだけ聞こえたのは蛇語だから。それに何より、スリザリンの継承者が使役する怪物にこれ以上ぴったりなものはないだろう。

 

「死ななかったのは、誰も目を見なかったから! ミセス・ノリスは水たまり、ディーンは窓越しに、ジャスティンは首無しニック越しに……なんてこと! コーディはヒントをくれていたんだわ……」

 

 うなされているんだとしか思えなかった。でも、コーディはあんな状態になってまでハーマイオニーを心配してくれていた。だから、「見ないで」と言ったのだ。

 

「ハーマイオニー、かわいい屋敷しもべ妖精が抜けてるぜ」

 

 ハーマイオニーは立ち止まった。この推理の数少ない抜けはそこだ。

 

「悔しいけど……これだけは私の仮定に過ぎないのだけど……屋敷しもべ妖精の使う魔法は、私たちとは違うものなの。彼らは杖を使わずに魔法を完璧に使いこなせるでしょう? 彼らの魔法って、とっても高度で強力なの」

 

 そう。屋敷しもべ妖精は非常に優秀な生き物だ。そして、魔法族はそんな彼らを奴隷のように扱っている____何度考えても許せない。ひどい話だ。

 

「奴隷労働に関する話をするのは、僕がいない時にしてもらいたいね」

 

 ハーマイオニーの気持ちが伝わったのか、マルフォイがそう言った。

 

「つまり、彼らの使う魔法は私たちとは全く別物で、且つ、とても強力なものなの。だって彼、ホグワーツに姿あらわししたのよ? 信じられないくらい強力な守りの魔法が使えたって、おかしくないわ」

「ちょっと待てよ、姿あらわしだって? 奴はホグワーツの屋敷しもべじゃないのか?」

 

 そうだ、そういえばこの事もマルフォイに言うべきだった。本当に、頭が破裂しちゃいそう! 考えること、すること、言わなくちゃいけないことがたくさんありすぎる。

 

「ええ。ドビーは石になるちょっと前に、ハリーに会いに来てたの。何か伝えたかったみたい。それに、ブラッジャーに細工したのも……」

 

 ドビーが何を伝えたのか、ハリーは教えてくれなかった。少しもやもやするけど、ハリーを責めたり、無理に聞き出そうとは思わない。秘密を分かち合うのは友情だけど_____きっと、秘密を受け入れるのも友情なんだ。

 

「ちょっと待て、アレ、スネイプがやったんじゃなかったのか?」ジョージが言った。

 

「あなたたち兄弟はいい加減、スネイプ……先生に謝るべきだわ。あんなだけど、一応ホグワーツの教師なのよ」

 

 ふとマルフォイのほうを見ると、青白い顔がいっそう白くなっていた。

 

「ドビーだって? ____それは父上の屋敷しもべだ。勤めているのはコーディの家だが」

 

 これでようやく全てが繋がった。コーディとも手紙のやり取りが出来なかった事、ドビーがハリーに何を伝えたのか。

 

「____そういえばコーディは夏、「自転車が飛んだ」とか「自転車で急降下した」とか意味が分からないことを言っていたが……」

 

 ハーマイオニーは思わず涙が出そうだった。雇い主はルシウス・マルフォイなのに、コーディを守るために必死に行動していたなんて、なんて健気なの! 

 

 ちなみに、マルフォイは驚きの事実の連続に今にも倒れそうになっていた。

 

 ____しかし、なんで最初に聞いたときにコーディは知らないふりをしたのかしら? 何か深いわけがあるかも……などとハーマイオニーは考えようとして、やめた。

 一年とちょっと一緒に過ごしていれば、コーディの考えそうなことはなんとなく分かる。「なんか面倒臭いな。まあどうせ大した事じゃないだろうし、放っておこう」____そんなところだろう。コーディが目覚めたら、もっと色々なことについてきちんと考えるよう言わなくっちゃ。

 

「これでほとんどが解決したな。やっぱりドラコ・マルフォイ君の素晴らしい友情は最高だ!」

「うるさい。それに、まだ全然解決してないぞ」

 

 またしても言い争う二人を見ながら、ハーマイオニーはマルフォイの言葉に頷いた。

 

 あんなに大きな怪物がどうやって誰にも見られず移動したのかも、秘密の部屋の場所も、入口もまだ分かっていない。

 それに、先生たちに怪物の正体を報告したとしても、ルシウス・マルフォイが討伐を妨害する可能性だってある。

 

 この事件を完全に終わらせるには、自分たちだけで怪物を倒さなければならないのだ。




○コーディのお見舞い問題について
・そもそも面会禁止
・マルフォイ側の人達に許可を取ろうという発想が無い
・自殺未遂みたいな状況&理事会権限がデカい故に、他の先生たちも「友達のお見舞いに行ってきてあげなさい。ほれ、特別措置」などは出来ない

という背景があるので別に薄情というわけではないです。“面会禁止”の時点で普通の子は「仕方ないね」となるので。

○ハリーの罰則
ジョージたちの薬品庫泥棒&花火イタズラの罪(濡れ衣)に加えてハーマイオニーの匿名の告げ口のせいでスネイプは大激怒しており、休暇中でも関係無い。

○スネイプ
生ける屍の水薬の材料、ポリジュース薬の材料などに加え、スウーピング・イーブルの毒液も盗まれる。一番の被害者。
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