ヒフミとナギサの恋人ごっこ   作:りゅう_ツチホシ

2 / 4
初デートと招かれざる友人

 さて、恋人ごっこが始まったのは良い。良いのだが、このことを他の人にはどうするべきだろう。

 隠し通しておいた方がいい気がする。熱愛報道でもされたら困るから。

 しかし、ミカさんセイアさんにはどう説明しようか。いくら隠蔽しても二人には勘でバレそうだ。

 もしあの二人が執念深い性格だったら……

 

『ナギちゃん、どうして私を選んでくれなかったの? ねえ?』

 

『ナギサ、確かに君の親しき友人は純情で魅力的な者だが、この私を選ぶ道理というのもあるはずだろう?』

『やはり、君としては……』

 

 いけない、これ以上はやめておこう。二人はそんな人じゃない。あの二人なら大丈夫……だと信じたい。

 とにかく、明日に向けて準備しよう。明日の日曜日は何と言ってもヒフミさんとの初デート。

 どんなことでも最初は肝心なのだ。仕事を上手いこと調整しておいた甲斐がある。どんな服を着るか、どこへ行くか、などを考えながら準備を進めていく。

 明日が楽しみだ。

 

 待ち合わせ場所はトリニティ郊外、約束の時間は12時。だというのに30分早く来てしまった。仕事上外交にも携わる私の癖である。遅刻など許されてはいけない。

 流石にヒフミさんは来てないだろう……

 と思ったらいた。こっちへ駆け寄ってきている。大丈夫? 転んだりしない? 

 

「あっナギサさん! 待たせちゃってごめんなさい!」

 

「いえいえ、大丈夫ですよ。私も癖で早く来てしまったので」

 

『ナギサさん』と呼ばれるたびにドギマギしてしまう自分がいる。

 

「そのサングラス、普段のナギサさんとは違ったイメージが出てきてカッコいいです! ナギサさんの私服姿は初めて見ました!」

 

「ふふ、ありがとうございます。そういうヒフミさんも、そのワンピースがお似合いですよ」

 

「ありがとうございますっ!」

 

 よく考えてみると、二人とも集合時間よりも30分早く来ているのである。やっぱりヒフミちゃんも初デートに並々ならぬ思いがあるのかな。

 で、30分の時間ができたわけだが、どうしようか。そのまま前倒しでもいい気はする。

 

「で、予定は前倒しにしましょうか。お互い早く来てしまったものですからね」

 

「はい、そうしましょう! 今日は1日中よろしくお願いしますね!」

 

 こちらこそ、と返す。初めてのデートなので少し緊張もあるが楽しみだ。きっとヒフミちゃんもそうなんだろう。

 

「まずはあのカフェでお昼にしましょう!」

 

 ということで私たちは『食べ歩きの街』という場所に来ている。名前の通り飲食店が立ち並ぶ場所だ。そこのカフェでお昼を取ることになっている。

 店内はそれなりに混んでいるようだ。日曜だし仕方ない。店員に4人掛けのテーブル席を案内され、そちらへ向かう。

 

「せっかくですしナギサさんと一緒のものを食べたいです」

 

「いいですよ、ではこちらの紅茶とサンドイッチのセットでよろしいでしょうか?」

 

 はい、と返事を受け取る。ここの紅茶は申し分ないほどの美味しさだったはず。

 美味しいものを二人で共有できるとは幸せだ。

 たわいない話をして数分後、紅茶とサンドイッチが来るかと思ったが……代わりに現れたのは2人組であった。

 2人組が私たちの隣の席に……否、私たちの席に乱入してきたのだ! 

 

「なっ!? どなたですか!?」

 

「君の大事な友人の顔を忘れるとは残念だよ、まさか君はこのサングラスを外しても分からないのかい?」

 

「うわああっ、ミ、ミっ……」

 

「しーっ、ヒフミちゃん。私たちもお忍びだから……ね?」

 

 その2人組は──────────セイアさんとミカさんであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。