ありふれたハッピーエンドを目指して   作:クラウディ

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ありふれたステータス確認

 

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、『ステータスプレート』と呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

 皆さんとの会議から数日後、俺氏達が召喚された国――『ハイリヒ王国』の騎士団訓練場にて、騎士団長である「メルド・ロギンス」氏が直々に訓練と座学を付けてくれることになりました。

 

 『完全無欠のスーパーアルティメットハッピーエンド大作戦』を発足した俺氏達は、他のクラスメイトを落ち着かせるために奔走していた愛ちゃん先生にも意見を聞きつつ、何とか妥協案である『十全な力と経験を得るまで戦争の参加は難しい。なので入念な訓練を付けてもらう』ことを条件にしてイシュタル氏に要求したのでございます。

 下手に拒否すれば何をされるか分からなかったのであくまで妥協案ではあるが、これで戦争参加までの時間を伸ばすことに成功しました。

 

 

『な、ななな!? 何で先生抜きで勝手に決めちゃうんですか!!??』

『あ、愛ちゃん先生は忙しそうだと判断してしまいましたので……』

『もっと先生を頼ってくださいよ!!!』

『ま、まぁまぁ、愛子先生も落ち着いて……』

『あなた達もですよ!? そんなに私は頼りない先生ですか!?』

『『『『『『『『『『すみませんでした……』』』』』』』』』』

 

 

 ……まぁ、愛ちゃん先生には皆さん共々だいぶ説教されてしまったんですけどね……先生の言葉には赤べこのように頷くしかありません……。

 

 と、そんなこともありましたという訳で現在に戻ります。

 

 現在はメルド氏が直々に俺氏達に訓練を付けてくれるという状況です。

 イシュタル氏のような明らか信者と言える人達とは違い、メルド氏はそういった雰囲気は感じ取られませんでした。「信仰はしてるけどまぁそれはそれ、これはこれ」的なスタンスでしょうか?

 俺氏達に訓練を付ける理由に関しても、「面倒な雑事を副長に押し付ける理由ができて助かった!」と大声で言うくらいですし。憐れ、仕事を押し付けられてしまった副長氏……。

 

 纏めれば「完全にとは言い難いがそれでも信用のおける方」というのが個人的な評価ですね。

 接し方も気楽ですし、色々と気が張り詰めていた俺氏達にとってもありがたい方です。

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう? そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 『ステータスオープン』と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

「アーティファクト……?」

 

 おっと、思考の海に浸っていると話が進んでいました。

 話の段階としては『ステータスプレート』の使い方の所ですね。

 しかし光輝氏のような一部の生徒はあまりその単語にピンとこないようで……と思っていると、こういうことには珍しく龍太郎氏が口を開きました。

 

「お、清水が言ってたあれか? ファンタジーでよくある魔法の力が込められてる道具ってやつ」

 

 その言葉に、龍太郎氏を除くクラスメイトのほぼ全員がバッという勢いで彼に視線を向ける。

 皆さんの視線には、信じられないことを聞いたとでもいうかのような驚愕が乗せられています。

 

「ど、どうしたんだよお前ら? そんなバケモンを見るみたいな目で俺を見て……」

 

「りゅ、龍太郎君が私達よりも詳しい、だと……!? あの『力の賢者*1』の『力』部分が大半を占めている龍太郎君が……!?」

「ちょっと待てそれどういうことだ谷口ぃ!!??」

 

「の、脳筋の極みみたいな坂上が、オタク知識を覚えてる……だと……!? あの『リアル大団長*2』と呼ばれたお前が……!?」

「おいひでぇなお前ら!? 俺だってダチの言ったことはちゃんと覚えてるんだぞ!?」

 

「坂上……ダチ判定は嬉しいんだが、お前は普段の行動を思い返せよ……」

 

 皆様から散々な評価を下されていることを知った龍太郎氏が、心外だとでも言わんばかりに吠える横で、少し気恥しそうにそっぽを向きながらツッコミを入れる幸利氏。

 まぁそういう評価になるのも仕方ないことでして……

 

『よっしゃあ!! 今日は待ちに待った騎馬戦だ!! 気合入れていくぞお前らー!!』

『おーっす! でございます!!』

『あんまり張り切りすぎるなよ龍太郎!!』

『……なんで俺も駆り出されてんだよ……俺運動部じゃねぇだろ……』

 

『! ホイッスルが鳴ったぞ! それじゃ作戦通りお前らのマッスルを活かした機動力で――』

『おっしゃ任せろ!!!』

『――え……? ふおぉっ――!?*3

『ちょちょちょちょ!!?? まっ、は、速すぎるぞ龍太郎!!!』

『ぬぅうううううううう!!! 俺氏結構鍛えてるはずなのに足の回転数ががががががが!!!???』

『あばばばばばばばばばばばばばば!!?? 酔う酔う酔う!!??』

 

 過去に俺氏、龍太郎氏、光輝氏、そして巻き込まれた幸利氏の4名で参加した騎馬戦にて、先頭の騎馬であった龍太郎氏が、後ろの騎馬であった俺氏と光輝氏を引きずりかねないほどの速度で猛進し始めた……というものがあります。

 この時の龍太郎氏の気迫とあまりにも大きい威圧感を感じるマッスルパワー、そして引きずられる俺氏と光輝氏、騎馬の上でグロッキー状態になる幸利氏の姿を見た者達が、畏怖の念を込めて付けた異名が、先程の『力の賢者』や『大団長』につながるという訳です。

 

 まぁそんな龍太郎氏の余談はさておき、『ステータスプレート』並びにアーティファクトの説明に戻ります。

 

「あー……話を戻すぞ。アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」

 

 メルド氏の言葉に頷く俺氏達。

 「なるほど……この世界でのオーパーツみたいなものですか」と一人納得しながら指先に軽く針を刺し、浮き上がった血を『ステータスプレート』に刻まれている魔法陣に擦りつけます。

 すると魔法陣が一瞬淡く輝き、文字が浮き出て来て俺氏のステータスを表してくれました。

 さてさて、俺氏のステータスは、っと……

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

霧島ムスブ 17歳 男 レベル:1

天職:拳士/仙術師

筋力:1220[+最大4352]

体力:5340

耐性:4421

敏捷:6540

魔力(気力):7500

魔耐:4563

技能:陰陽拳[+震脚][+徹甲][+発勁][+縮地][+転身]・仙術[+陰と陽][+軽業][+波動][+流転][+圏境]・仙法[+気動][+不倶戴天][+太極陣法][+震天動地]・気力操作[+周天]・気力感知[+先見の明]・言語理解

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 ほうほう、数値になっているステータスが全て4桁で、スキルも確かに見覚えのあるもので埋め尽くされておりますな。

 うーむ……これが、異世界の力ですか……改めてファンタジーを感じますなぁ……。

 

 そんなことを呑気に思っていると、隣に座っておられたハジメ嬢が頭を捻っている様子が見えました。

 

「う、うーん……これパッと見低く見えるけど……どうなんだろ……」

「おろ? ハジメ嬢はどうされましたか? もしや、『ステータスプレート』に不備が……?」

「あ、ムスブ君。えっと、ちょっと見てもらいたいんだけど……」

「ほいほい、失礼して拝見させてもらいますね…………んん??」

 

 そう言ってハジメ嬢が渡してきたのは彼女のステータスを表したと思われる『ステータスプレート』。

 自身のステータスとの感覚をすり合わせるのに最適だと思って覗き込んだのですが……予想していたものは思っていた方向の斜め上に向かってカッとびました。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

南雲ハジメ 17歳 女 レベル:1

天職:錬成師

筋力:10

体力:10

耐性:10

敏捷:10

魔力:10

魔耐:10

技能:錬成・言語理解

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

…………………………………………んんんんんんんんんんんんんんんん??????

 

 は?? おいちょっと待て責任者連れて来い!!!!!(ガチギレ)

 

 は、え、ちょ、まっ、な、なんかおかしくないですかな!? おい誰だハジメ嬢をこんな低く見積もった奴は!!! ぶっ○されてぇんですか!!??

 この際俺氏のステータスとの比較はどうでもいいです。いやまぁ、確かに俺氏も地球の方で結構頑張ってきた方ではありますぞ?

 あ、ちなみにまだ『()()』に合格をもらってはおりませんので俺氏は半人前でございます。

 

――ってのは良いんですよ別に!!!

 

 なんかハジメ嬢の数値がおかしくないですかね!? おい誰だこんなポンコツ渡した奴は!!

 ハジメ嬢はもっと可愛らしくもっと素晴らしい方なんだぞ!!?? なにがオール10じゃゴラァ!!!!

 

「ハジメ嬢、俺氏、今から時空を超えてこのポンコツの板切れを生み出した奴に直談判してきます。メルド氏には旅に出たと伝えておいてもらえれば」

「正気に戻ってムスブ君!? 急になにを言ってるの!!??」

 

 ……ハッ! お、俺氏は一体何を……

 

 怒りのあまり時空を超えようとしてしまいましたが、ハジメ嬢の声に現実に引き戻されます。

 危ない危ない……俺氏の実力では時空の壁なんて超えられないのでした……俺氏、反省。

 

 ってか現実に戻ってふり返ってみれば俺氏のステータス、これ端的に言って化け物というやつでは???

 レベル1?? これがレベル1???

 いやハジメ嬢もレベル1ですね…………おい誰だハジメ嬢の魅力がレベル1とかいったやつ。ぶち○すぞヒューマン……!!!(ガチギレ)

 

 いや待て、待つのだ俺氏。

 これがもしかしたら一般的かもしれぬのです。まだ焦る時では……!!

 いや、どっちかというとハジメ嬢を基準に考えれば…………ハジメ嬢が一般的だと??? ぶち(ry

 

「各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! まったくうらやましい限りだ!!」

「□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□――!!!!!!!!!(言語にならない咆哮)」

「うぉっ!? ど、どうしたんだよ霧島!!??」

「ム、ムスブ君が発狂した―!!!???」

 

 キレちまったぜぇ……!! 久しぶりによぉ……!!!

 俺氏のステータスが最低でも一般人の数倍、数十倍どころか100倍以上というやべーステータスであることへの焦りなんて消え去った。

 あるのはハジメ嬢に不当な評価を付けやがった『ステータスプレート(このポンコツ)』への怒りだけであった!!!

 

「フーッ! フーッ! このドグサレ板野郎が……!! 落ち着け、落ち着くんだ俺氏……Be cool……そう、冷静になって落ち着くのだ……」

「も、戻ってきた……だ、大丈夫ムスブ君……?」

「もちろんでございますよハジメ嬢! 俺氏はこんな板切れ程度に心を乱しませんので!!! そう、ドイツ軍人は狼狽えないとは『シュト○ハイム*4』氏の名言で……

「落ち着けてないよムスブ君!? 君はドイツ軍人じゃないよ!? しかもそれジョ○ョネタ!!」

 

 今すぐにでも叩き割りたい衝動に駆られるが、何とか深呼吸で心を落ち着かせ(?)、俺氏はメルド氏に向き直って説明を聞く。

 

「そ、それじゃお前らの『ステータスプレート』の内容を報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな。それじゃあ光輝からだな」

「は、はい!」

 

 光輝氏を筆頭に、クラスメイトの皆さんがステータスをメルド氏に見せていく。

 おそらく皆さんもレベル1にしては高いステータスを持ってるからなのか、喜色を露わにするメルド氏。

 特に光輝氏のステータスはこの世界基準で見てもかなりの高水準でまとまっていましたし、俺氏としても鼻が高い気持ちでございます。

 

「錬成師……?」

「えっと、これはどんな天職なんですかメルドさん……?」

「ああ、その、なんだ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……」

 

 ハジメ嬢もステータスを見てもらったのだが、まぁやはりメルド氏も歯切れが悪い反応を返してました。やっぱあの板カス叩き割っておきますか。

 

 そんな中、一度発狂したことで後ろの方に回されていた俺氏の順番が回ってきました。

 メルド氏に俺氏の『ステータスプレート』を渡し、内容の評価をしてもらうと……

 

「!? こ、こいつはどういうことだ……!? ステータスが全て4桁な上に、『技能』まで派生している、だと……!?」

「あ、やっぱりおかしかったですかな」

「……お前……ムスブだったか? なんとなく予想はしていたみたいだが……これに関しての説明とかはできるか……?」

 

 まぁ予想していた反応をもらいましたし、説明もしてもらいたいようですね。

 いやまぁ、先程見てもらった光輝氏ですら全ステータスがオール100、この世界の猛者であるメルド氏ですらレベル62にして平均300前後ですからね。弱くはないんですけど俺氏のステータスが馬鹿なだけで……。

 しかし、メルド氏が俺氏のステータスに注目したのはそれだけでなく、技能の横にある『[](かっこ)の中』についてもでした。

 

「……俺達のよく知る『技能』っていうのはその本人の『才能』を表すものだ。だからそれ自体が後から増えることはない……しかし、『派生技能』と呼ばれる「通常の技能を長年磨き続けた末に『壁を超えて』取得する」ものもある。それがこの横に書いてあるやつだ」

「はえー……そんなものがあるんですね……」

「お前なぁ……俺ですらここまでは持ってないんだぞ? それこそ限界を超えるような修行でもしない限りは……で、説明できるか? 駄目そうなら無理に言わなくとも……」

「いえいえ、俺氏としては知ってもらえるのなら喜んで、ですよ。隠し事をした上で、信頼できるようになるのは難しいですからね」

 

 メルド氏の気遣いが身に沁みますが、ここはあえて『上の人達』への牽制目的も含めて情報を開示するようにしておきましょう。

 情報を開示するための切り出し方は……そうですね……このような感じで行きましょう。

 

 

 

「皆様、仙人というものをご存知ですかな?」

 

 

*1
元ネタは某光の巨人の一人である『ウルト○マンタイタス』。筋肉バリアの使い手。冗談抜きで筋肉でどうにかしてしまえるタイプの人

*2
『大団長』とは 某モンスターなハンターのワールドに登場するキャラクター。ただでさえ強いモンスターの中で、特に危険な『ラージャン』と呼ばれる超野菜人みたいになれるモンスターが放ったビームを、そこらの岩盤で受け止めたという実績があるバケモン

*3
岩盤に叩きつけられそうになる野菜人の王子みたいな声

*4
『ジョ○ョの奇妙な冒険 第2部 戦闘潮流』に登場するドイツ軍人であり、「ドイツの医学薬学は世界一ィイイイイイイイイイイ!!」という名言を残した人物でもある。ちなみにサイボーグにもなった。ドイツの化学力は世界一ィイイイイイイイイイイ!!!






~登場人物紹介~

名前:霧島ムスブ 種族:■■ 男性 17歳
 この世界に迷い込んだ逸般ハピエン厨。
 交友を結んだ仲間たちと共に異世界トータスで「完全無欠のスーパーアルティメットハッピーエンド大作戦」を始動した。
 実は『地球』の方で色々とやっており……?

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