後方支援者面で行けない宇宙世紀   作:乾燥海藻類

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再走します。



第01話 「気がつけばサイド7」

密閉型のコロニーであるサイド3は、昼でもどんよりとした薄暗さがあった。

グラナダはキシリアの拠点だけあって警戒レベルが高く、気の休まる場所ではなかった。

サイド7は開放型のコロニーで、全体的に明るい。遠くに見える街からも活気のようなものが伝わってきた。だが軍人の横柄さというのかな、フラウ・ボゥとの会話から察するに、そういうものはあるようだ。まあ軍事機密だから、警戒しているというのはあるのだろう。

 

彼女と別れてから、俺は河原に寝そべって空を眺めていた。

これが単純なタイムスリップなのか、それとも次元跳躍して並行世界へ飛ばされたのか。それはまだわからない。

……イリアとレシアはどうなったんだろう。あの光で、宇宙は消滅したのか? わからないことが多すぎる。

 

イリア、レシア、ほかのみんなも、この世界にはいるのだろう。だがそれは俺が知っている彼女たちじゃない。たぶん、記憶は受け継いでいない……と思う。同じ人間だけど、別人だ。そう思うと、なんか寂しいな。

目指すところ(ゴール)はおそらく、あの映像だ。あの空間で見た映像。シャアとアムロとララァが一緒にいる未来。

だとしてもだ。あの少年は俺に何を期待しているのかね。

 

それにサイド3(ジオン)でダメだったからサイド7(連邦)ってのは、安直すぎやしないか?

とりあえず作戦を考えよう。まずは避難民としてホワイトベースに乗る。そしてガンキャノンのパイロットあたりに志願して、どうにか戦局をコントロールする。シャアを殺すわけにはいかないから、なんとか上手くやって……。

 

いや、そうだ! シャアだ! 前回(まえ)の世界ではシャアがガンダムの鹵獲に成功したんだった。こんなことになるなら、詳しい経緯を聞いておくんだったな。

前回の世界では、サイド7はそれほど荒らされていなかったと聞いた。原作ではデニムとジーンが暴れまわるわ、アムロがコロニーに穴を開けるわで大変なことになっていた。

それに比べると、シャアは軍事拠点だけを狙ったのだろう。シャアが来るかどうかでだいぶ変わるな。まあ避難だけはして、その後のことはまた後で考えるか。

 

ひとまず方針は決まった。少し眠ろう。空も暗くなってきた。

コロニーの夜は真っ暗にはならない。光量が調節されて、薄暮になるだけだ。

色々と疲れた。寝心地は良くないが、少し眠って頭をすっきりさせよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、俺はサイレンの音で目を覚ました。

どうやら(ベイ)に補給艦が到着するらしい。物資の希望者はドッキングベイに集まれとのことだ。

補給艦……ホワイトベースか!

早い、早いよ。なんで翌日なんだよ。ゆっくり考える時間もないな。とりあえず港に行くか。

 

「――ッ!?」

 

今、ララァが言った。ガンダムに乗れと。

ええぇ、マジで言ってる? そりゃあ、ガンダムは整備やら稼働テストやらで散々乗り回したけども、実戦なんてやったことないんだぞ。まあ初搭乗のアムロよりは上手くやれるとは思うが。少なくともコロニーに穴を開けるようなことはしない。

 

……クソッ、やってやる、やってやるよ。

さっきのジープがあっちに向かって行ったから、あの先に開発区があるのだろう。

そっちに向かって駆け出す。しばらく走っていると、山影から緑の巨人が姿を現した。

2機のザクは盛大にマシンガンをぶっ放している。その先から黒煙が上がった。

 

「派手にやるもんだ。いや、あのザク、赤くないな」

 

2機のザクは双方とも緑色のノーマルタイプだ。ということは、シャアは来ていないか。それはそれで、アムロに任せるとコロニーに穴が開くな。

開発区に向けて速度を上げる。その途中、ガンダムを乗せたトレーラーを見つけた。脱輪しているな。運転手もいないようだ。

タラップを登り、コクピットにかけられた(ほろ)を取る。

 

「よし、ハッチは開いているな……ん?」

 

なんかキミ、顔ちがくない?

俺の知っているガンダムとちょっと違う。有機物感が強いというか、ロボットというよりも人造人間に近いような見た目をしている。

……ってそんな場合じゃないな。早くザクを止めないと!

 

顔は違っていても、コクピット周りはほとんど同じのようだ。

ハッチを閉めて、計器の電源を入れる。

このガンダムは改修された機体じゃない。初期の試作機ゆえのクセが残っているはずだ。それを示すように、計器には多数のメモが張り付けられていた。

 

「よし、エンジンOK。バランサーも正常だな」

 

ガンダムは無事立ち上がった。

2機のザクが驚いたようにこちらを向く。改めて見ると、あのザクもなんか違うな。下半身がスタイリッシュというか、原作のようなずんぐりむっくり感がないというか。なんか不安定そう。

武装は、頭部バルカンとビームサーベルだけか。まあビームライフルがあっても、コロニー内では使えないが。

 

頭部バルカンは砲身がないに等しい白兵戦用の武装だ。この距離から撃っても当たるものではない。

残弾も80発しかない。2射すれば弾切れを起こすだろう。

無駄だとは思うが、一応警告はしておくか。

 

「ザクのパイロットに告ぐ。降伏しなさい。捕虜の扱いは南極条約に基づいて……」

 

うぉっ! 撃ってきやがった!

マシンガン程度でガンダムの装甲は抜けないが、カメラなどの弱い部分は守らねばならない。メインカメラをやられたら、普通のパイロットは戦えない。

 

スラスターを噴かしてザクの左側に回り込む。

んん? 遅っそ! ガンダムってこんな鈍かったか? まあ考えてみれば、6年前(・・・)の機体だもんな。それに教育型コンピューターもほぼ初期状態で、マグネット・コーティングもされてないなら、そりゃこんなものか。

 

それでもザクとは性能がダンチだ。ビームサーベルで単眼(モノアイ)を突き、その隙にくるぶしを斬り裂く。宙に浮いたザクの動力パイプを掴んで前方に引き倒し、腰部を軽く踏みつけた。

ザクは派手に四肢を吹き飛ばすわけにはいかない。ザクは自動遮断システムを搭載していないので、損傷個所から負荷がかかり、下手をすれば核融合炉にまで影響を及ぼすのだ。

まあ、このザクが俺の知ってるザクと同じとはかぎらないが。

 

「よくもジーンをっ!」

 

たぶんそんなことを叫びながら、もう1機のザクがヒートホークを振り上げながら突進してきた。

脇をすり抜けるような動きでビームサーベルを切り上げ、ヒートホークを持った手首を斬り飛ばす。そのまま回転蹴りの要領でコクピットにキックを叩き込む。

ザクがあお向けに倒れた。

 

「ザクのパイロット、ヘルメットを取り、両手を挙げてゆっくりと出てこい。骨も残らないくらいの高温で蒸発させられたくはあるまい」

 

ビームサーベルをチラつかせながら告げる。これで出てこなかったら、コクピットを焼くしかない。ビームサーベルでコクピットを突けば、ミンチよりヒデェ状態になるどころか、人間がいた痕跡すら残らない。

 

「5秒待つ。5、4、3、2……賢明な判断だ。そのままゆっくりと地面に降りろ」

 

デニムが地面に降りたのを確認して、ジタバタとしているもう1機のザクに向かう。

うつ伏せでもがいていたザクをひっくり返し、同じように警告する。

苦虫をかみ潰したような表情を浮かべたジーンがコクピットから出てきた。

やれやれ、これでひと安心かな。

 

 

 





主人公は謎の少年と接触したことで、ニュータイプとして覚醒しています。なので割と無双系です。
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